戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
そんな間にもXDではライダーギアだって?仮面ライダーの香川先生、貴利矢さんとか参戦してもおかしくはなさそう。というかアルカノイズ=翼さんに今まで破壊されたバイクの怨念っていう風に噂されてますがそんな元彼の嫉妬じゃあるまいしねえ…
「切ちゃん」「調」
その日は2人とも何やら緊迫した表情を浮かべていた。
「ただいま〜!」
爽谷が帰宅してなお、2人は何か紙に書いていた。
「何を書いてるんだい?」
爽谷が尋ねようとしたが、2人は集中していた。
「ごめん、爽谷。今大事な作戦会議中だから…」
「年数回のビッグチャンスなのデス!」
「うん、あんまり夜更かししないでよ。学祭も明後日なんでしょ?」
「そうデス!無理はしないのデス!!」
そう明後日はリディアンの学園祭なのだ。昨年は2人ともまだFISの構成員だった時、うまいモンマップ完成とライブステージの乱入と思い出たっぷりなひと時を過ごし大きな楽しみになっていた。
「学祭をする側に回ったから切ちゃんの火がいつも以上に暑いよ!」
「ああ!メラメラバーニングだな!!」
「去年はうまいもんマップだけデスが…!」
「今年はみんなで考えたカフェで学祭を楽しむデース!」
「響さんたちやクリス先輩はフリーみたいだけど私たちは最高の思い出を作るんだ!」
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明後日、それぞれの学祭が始まった。
「切ちゃん、お客さんが来たよ。」
「いらっしゃいませデース!」
「頑張ってるんだね切歌ちゃん、調ちゃん!」
「響さん、未来さん…」
「初めての学祭なんだよね?」
「はい、これから楽しみです。」
最初に響と未来がやってきた。2人は午後の板場たちのステージを心待ちにしていた。
一方、拓実は屋台をエルフナインと回っていた。
「どうだエル?学校ってのはこういうのを良くやってるんだぜ?夏祭りみたいだろ?」
「はい!あそこの射的とか輪投げとかも楽しかったです!!」
「そっか、そいつは良かったぜ!!」
(にしても、去年より人多いな。まあ、それだけリディアンに入りたい人がいるんだな。これも翼さんが活躍してるからってことだな。)
拓実も屋台を巡ってるうちに爽谷とアケミも会場に入っていた。
「姉さん、迷子にならないでよ。ここは結構広いんだから。」
「大丈夫よ、家族のにおいでどこにいるか分かるから!」
アケミが爽谷にサムズアップを浮かべるとピコデビモンが呆れていた。
(アケミ、あなたいつから犬になったのよ…)
学祭の中、クリスはひたすら周りを回っていた。そんな中である。
「え?あたしにか?」
「うん、昨年チャンピオンとしてお願いしたいんだ!今年も参加者を増やしたいっていう宣伝みたいな感じになっちゃうけど…」
クリスの元に大会実行委行会の会長が交渉に来ていた。卒業を控えて未だに進路も定まらないままのクリスであったが最後のこの日は楽しもうと思っていたが何をしようか決めかねていた。
「そんなこと言ったってなあ…」
「クリス、ウタッタラ?ハメヲハズセナクテコマッテナインナラ、タノシモウヨ。ケッカナンカ、カンケイナイ。ボクガキキタインダヨ?」
デジヴァイスからも悩むクリスを後押ししようとハグルモンが話しかけてきた。
「う…わかったよ。それじゃあ今日一日ステージに上がってやるよ。」
「本当!?それじゃあ学祭終わったら美味しいアンパンをご馳走するね!」
委員長が立ち上がって早速会場へと向かった。
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時間はあっという間に過ぎた。
「いらっしゃ…爽谷、来たんだ。」
「うん、頑張ってるみたいだね。」
「2人とも生き生きしてるね。まるで店員さんみたい。」
アケミも2人を見て笑顔を浮かべていた。
「それではご案内デース!2名様デスよ!!」
2人が入るとクラスメイトたちはざわつき始めた。
「誰?あの人?」
「調ちゃんと切歌ちゃんのお兄ちゃんとお姉ちゃんなんだって。」
「え?そうなの?羨ましいなあ〜」
「それじゃあコーヒ一杯をお願いしようかな。」
「私は紅茶で。」
注文を受けてる間爽谷とアケミの2人は外を眺めていた。
「僕たちも学生になりたかったね。」
「そうね…そしたら色々青春できたし爽谷も女の子にモテてたでしょうね〜」
「!?ちょっと姉さん、あんまりそういう冗談は言わないでよ。」
「分かってるわよ。お姉ちゃんジョーク。」
アケミがにししと笑うと爽谷はもうと呟いて注文されてきたコーヒーを飲んだ。
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学祭のメインイベントである勝ち抜き戦、そこでは生徒が観客に向けて歌を披露するというイベントである。審査員はもちろんリディアンの教師陣である。
「さあて一番手は去年惜しくも敗退してしまった、2年の板場さん、寺島さん、安藤さんの3人だ!曲はテレビアニメ 怪傑 うたずきんのOPだ!!」
「私の夢は終わりません!」
「はあ…またこれで歌うのか…」
「ナイスな心意気ですわ!」
そう言ってイントロが始まった。その場には響や拓実たちもいた。
「うたずきん…歌ってる人がクリスさんとそっくりな声な気がしますね。」
「うんうん!分かるよ、なんか歌ってる人クリスちゃんに声が似てるんだよね〜」
(その辺には触れないほうがいいような気がするんだがなんでだ?)
エルフナインと響が談話する横で拓実は何かわからない疑問を抱いていた。しかし、去年同様に3人は鐘一つで終わったのだ。
「さて続いては昨年のチャンピオンの雪音クリスさんだ!卒業を控え夢を叶えようと頑張る彼女が歌うのは放課後キーホルダーだ!!」
クリスが入場してくるとアケミがすかさずカメラを構えた。
(マリアや翼さんにクリスちゃんの歌を撮っておくよう頼まれてるからね…さあ、聞かせて頂戴。)
メロディーとともにクリスは笑顔になりながらその歌声で人々を魅了していた。
「クリスちゃんって歌が好きだよね、未来。」
「うん!歌ってるクリス、私は好きだよ。」
「歌ってる時はあいつも素直だよな。まあ、あいつらしい面なのかもしれないね。」
拓実も未来の言葉に共感していた。それと同時に歌い終えたクリスに対して拍手が送られた。
「ふう…さてと、あたしはここで歌い終えたけど、まだみんなには聞いてほしい二人組がいるんだ。そうだろ!?」
「その通りデース!」
クリスが会場の入り口を見つめるとドアを開けて切歌と調が乱入してきた。
「やっぱり来たな。お前らなら来るって思ってたぜ。」
「クリス先輩、今日は後輩としてあなたに私たちが挑戦します!」
調がうなづいて会場に上がった。
「それでは、暁さんと月読さんが送るのは星天ギャラクシクロス!風鳴翼さんとマリア・カデンツァヴナ・イヴさんが共演したあのライブの曲を今ここでお送りします!」
「あの2人、乱入好きだよな…去年もあんな感じだったな。」
「もうあの時から一年になるんだね。」
2人の歌とともに拓実たちはフロンティア事変後の戦いから今までの思い出を走馬灯のように思い出していた。
(歌は誰かをつなげる。私の拳は誰かをきっと救って変えられるそう教えてくれた陽だまりがあるから私は負けない!)
学祭という日常の中で響はまた一つ何かを感じたのだ。守りたいという気持ちが…
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その後、学祭は2日間で無事終了した。
結局勝ち抜きバトルは僅差でクリスが2人を上回って優勝して願い事としてアンパン一箱が贈呈された。そしてちゃっかり実行委員長と美味しいあんぱんの店に行くという約束もされた。
「先輩の壁は厚いデース…」
「でも楽しかったよね。誰かとこうして楽しいことをやれるのはいいことだよね。」
「調…その通りデス!」
学祭の後片付けをしながらも調と切歌が談話していた。その中でたまたまクリスとすれ違った。
「クリス先輩、おつかれさまです。」
「おお、その、お前たち…」
「?」
何かを言おうと思って恥ずかしがってるクリスに切歌と調は首を傾げた。
「ありがとうな。最後の学祭を最高にしてくれて…」
そういうと2人は笑顔で抱きついてきた。
「いえいえ!クリス先輩自身が歌ったからいい想い出になったんデスよ!!」
「クリス先輩の歌、みんな大好きですから。」
(クリスッタラ、カオガマッカダネ。)
ハグルモンもニヤニヤしながらクリスを見ていた。
「お、お前ら…それを抱きつきながらいうなあああああ!!!」
照れながらもクリスは小声で2人にありがとうよと言いその場を去っていった。
「あとちょっとで私たちも先輩か…」
「ということは響さんたちみたいになるんデスか!?」
「そうなるね切ちゃん。」
デジヴァイスからもワームモンとキャンドモンが出てきた。
「調はともかく切歌は大丈夫かぁ?なんつーか先輩やるのに色々プレッシャーあるんじゃないか?」
「なにを!?あたしはそんなの平気へっちゃらデス!」
(響さんの言葉だよ、それ…)
「へっくしゅん!」
「どうしたの響?」
「いや、誰かに噂されてる気がしたんだ〜」
「響ったら、変わった子。」
未来と響も自宅で夕飯の準備をしていた。
さて次回からは新シリーズと題して「暴食黒禍(ぼうしょくこくう)編」を展開します。以下、そのあらすじになります。
リディアン学祭から数日…
平穏な時を過ごしていたSONGたちの影で何者かの手により各国の聖遺物や哲学兵装が強奪される事件が発生。そんな中ロシア政府の依頼で響たちはチェルノボグの杖とベロボーグの杖の欠片の起動実験の護衛に努めることに…
一方、デジタルワールドでも暴食の影が蠢き始めていた…