戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
2回戦の最初の3組が登場した。
「さあ1組目は1回戦第1試合を圧勝した花山 咲に相対するのはシード枠の道化師 道楽 喜代人!!」
その時会場から花火のようなものが上がった。
「クハハハハハハッ!さあ、世紀のショータイムの開ッ幕だよおおおおおッッ!!クハハハハハハハハハッ!!!」
「…」
花火とともに咲は何も言わずに入場した。会場にはこの2人の温度差に絶句していた。
「なんかまた変な人がいるね…」
「ですが、ナイスなパフォーマンスですわ。」
「アニメでいうとこの強キャラかもしれないよ彼は!!」
「続いて並行する2組目は砂山キンジと冷泉爽谷よ!!」
「爽くうううううんん!!!!」
「爽谷ーーーー!!!!」
観客の女性や男性も爽谷コールをあげ本人は予想外の声援に戸惑っていた。
「あの子達…お姉ちゃんに許可なく爽谷を…!」
アケミは観客たちを睨んでいたが周りからは特に相手にもされなかった。
「君に関して聞きたいことは…うーん、そうだなぁ…」
「呑気にインタビューする話題を考えてる場合なんですかね?」
「はは、それもそうだね。悪いけどここで落ちるわけにはいかないんだ。全力でいかせてもらうよ。君の手の内は読めてるんだ。」
「そして最後の3組目はなんとか2回戦に勝ち上がるも実力は随一の暴走テイマー 雪音クリスと静かなる炎のテイマー 月読調!!こちらも見逃せないわ!」
「あたしは手加減しねえぞ。言い残すことはあるか?」
「相手がクリス先輩でも私は負けない。勝って切ちゃんと戦う、そう約束したから。」
3組はいずれも別々の電脳空間に飛ばされにらみ合っていた。
「制限時間は10分!試合開始!!」
今、一斉に3試合が始まった。
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開始早々に、森林エリアでは咲のパルモンが進化したトゲモンに道楽のサングルゥモンが身を隠しながら移動していた。
砂浜エリアでもキンジのオーガモンと爽谷のスナイモンが互いの武器で攻撃し、スナイモンのシャドウシックルとオーガモンの覇王拳 が相殺しあっていた。
同じように市街地エリアでも調のメラモンもクリスのメカノリモンに対して炎攻撃で有利に立ち回っていた。
「さて試合開始早々にどこもかしこも力のぶつかり合い…10分という短い時間の元、どの組みから準決勝の切符を掴むのかしら!?」
会場のモニターに映されたのは第1試合の様子だった。そこではサングルゥモンがトゲモンの巨体を身軽に回避しながら攻撃を避けていた。
「チクチクバンバン!!」
「ちょこまかと動かないでください…!」
「そぉれはできない相談だねえ!クハハハハハハハハハッ!!」
喜代人はサングルゥモンになおも逃げに徹するよう誘導した。
「今は起承転結の起…焦らずじっくりと地形を把握するんだ。」
喜代人は怪しく微笑む中、サングルゥモンは環を描くかのように素早く移動していた。
続いて映された爽谷とキンジだった。爽谷もスナイモン不利と読んだ上でスコピオモンに進化させ、地中に潜った。
「ほう、完全体に進化させたか。ならこっちも備えようじゃないか!!」
キンジは笑みを浮かべデジヴァイスを構えてオーガモンをデジタマモンに進化させた。
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控え室では応援団が爽谷、調そしてクリスに声援を送り、切歌も調の試合に緊張しつつも声援を送っていた。
「どこもかしこも1回戦と違って白熱してるな。」
(爽谷は空と陸の二つでバランスが取れている一方でキンジさんは陸での戦いに特化しているから少し不利。調ちゃんは金属が苦手としている熱で今のところ立ち回りはいい。けど俺にはわかる。クリスにはまだ切り札があるな。
それに、まさかこんなとこで会うなんてな。喜代人…)
「どーしたんですか拓実さん?クリスちゃんとかマリアさん並みに悩んでますけど?」
「響、あんまり言わないほうがいいよ。」
「ああ、すまない。みんなの戦いと昔の友達を見てな。」
「昔の友達?」
「ああ、道楽喜代人っているだろう?あいつは俺の中学時代の友達なんだ。」
「え?拓実さんの友人なんですか?」
「ああ、あいつとは高校が別だったが気の合う奴でな。まさかこんなとこで再会するなんて思いもしなかったよ。」
「もう、拓実さんも調の応援をするデスよ!」
「フレー!フレー!メ ラ モ ン!!」
ワームモンも応援団の面々に混ざって調を応援していた。
「おっと!?早速サングルゥモンに動きが!!」
モニターが切り替わると密林エリアでは逃げ回っていたはずのサングルゥモンが木々を飛び回りながらトゲモンを一方的に攻撃していた。
「そんな!」
「残念だねぇ…この喜劇から君はもう逃げられない。エンドマークさ!!」
喜代人は高笑いをあげながらデジヴァイスを構えた。
「サングルゥモン超進化、マタドゥルモン!!」
「さあ!破滅のダンスだ!!」
マタドゥルモンが進化したと同時にトゲモンを蹴り飛ばした。
「ヒョオオオオオオオオオ!!!ヒョ、ヒョ、ヒョヒョヒョヒョ!!!」
目にも留まらぬ連続蹴りと腕に装備したレイピアの連続攻撃で突きを放った。
「トゲモン!!」
咲が取り乱した表情を浮かべるも時すでに遅く、トゲモンはヒラヒラと落下してしまった。
「蝶絶喇叭蹴(ちょうぜつらっぱしゅう)…これにて終幕だ…」
「そ、そんな…」
「あんた、もう少し身近な人に対して素直になるといいさ。あんた、意地張りすぎなんだよ。パーティには向いてないよ。」
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敗れた咲とともに喜代人は上機嫌で控え室に戻った。控え室に入ると悠が咲の手を握った。
「咲さん、世界一周はまたの機会にしようよ。」
落ち込む咲に悠が歩み寄った。
「悠くん…でも…」
「咲さんは僕をもっと信じてよ!意気地なしな僕でも咲さんのために頑張って予選を勝ち上がってきたんだから!もう一度、頑張ろうよ。頑張って稼いで、2人で叶えようよ。」
「うん、そうだね…」
静かに会場から一つの男女の組は去って行ったが会場の面々が知る由はなかった。