戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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さて今回は拓実くんとバトルグランプリ運営の選んだテイマーとの激突です。果たして正体は誰かお楽しみください。まあ、大体察しているかもしれませんが…


第171話 今を越えて…

「さて俺の出番か、一体どんなテイマーなんだ?」

 

 入場を果たした拓実だったが、相手のテイマーは入場していなかった。

 

「どういうことだ?どこにいるんだよ?」

 

「おい、ゲストは誰だよ!?」

 

 観客がまたもや不満を露わにしていると一機の戦闘機がやってきた。

 

「今そのテイマーはやってきたわ!さあ、彼女のターンよ!」

 

 操縦席からやってきたその主を見て控え室のメンバーや拓実は愕然とした。

 

「みんな、私がこの大会のゲストだよ!!」

 

 その主は、世界に名を轟かせるトップアーティストの風鳴 翼だった。

 

「え?翼さん!?」「うっそまじ!?」

「翼さん!?許せる…!」「うそぉ…」

 

 観客がざわつきに包まれながら翼は笑みを浮かべて拓実を見つめた。

 

「私も大会の運営のイメージキャラクターとして運営の呼ばれてたの!この大会が終わったら臨時ライブも開くつもりだから待ってて!!」

 

 翼が再び拓実を見ると険しい表情で見つめてきたがそれで怯む拓実ではなかった。

 

「どうやら、水琴が1回戦目の相手のようだな。」

 

「翼さん…」

 

「お前に改めてその心意気を問う!遠慮なくかかってこい!!」

 

「改めて第6試合、風鳴翼&ファルコモン VS水琴拓実&ベタモンの試合を始めるわ!」

 

「まさか翼さんがゲストなんて驚いたな〜」

 

「いきなり先輩と戦うとは拓実も運がねえな。」

 

 控え室の響たちも翼の登場を見てお菓子をつまんでいた。

 

「まさかまさかの登場デェース…」

 

「これは翼さんの勝ちかな?」

 

「いや、調。もしかしたら水琴先輩にもワンチャン勝つってのもあるんじゃねえか?」

 

 調の一言にキャンドモンが反論した。

 

「たしかに、拓実先輩も翼さんといた時間はこのメンバーの中で一番長いから癖とかそういうのも理解してるかもしれないね。」

 

____________________

 

 試合が開始し、シードラモンは巨体でペックモンを追跡していた。

 

(きっと逃げるだけ逃げて、一気に進化してくるんならこのまま追いながら攻撃を仕掛ければいい!)

 

 拓実はデジヴァイスを構えると翼は笑みを浮かべた。

 

(水琴、お前の戦いの展開は知っている。こちらは進化すると見せかけてお前のシードラモンが攻撃を仕掛ける寸前に苦無羽で牽制する。)

 

「ぐおおおおおおおお!!!!」

 

「当たんないよ!」

 

「ペックモンは先程から回避しつつ何かを伺ってるのかしら?そうとも知らないシードラモンはガンガン攻め立てる!」

 

 マリアも実況しながら翼と拓実を見つめていた。

 

(翼、相当楽しそうね。普段は可愛くないのにね。)

 

「シードラモン、進化だ!」

 

「シードラモン超進化!メガシードラモン!!」

 

 メガシードラモンに進化するとすぐにペックモンは追いつかれ頭突きで吹っ飛ばされてしまった。

 

「やるな、だが…!」

 

 翼もデジヴァイスを構えるとペックモンはヤタガラモンをスキップしてレイヴモンへとワープ進化を遂げた。

 

「行くぞレイヴモン!」

 

「おう!!」

 

 レイヴモンが印を結ぶと突然メガシードラモンを囲むように分身が現れた。

 

「ここでレイヴモンは分身の術を放った!?まるで忍者ね!」

 

(まあ、翼のマネージャーの緒川さんは正真正銘、忍者なんだけどね。)

 

 観客たちもどれが本物なんだ?と辺りを見回していた。そういう間にもレイヴモンは天ノ尾羽張の連続攻撃を分身と共に仕掛けた。メガシードラモンも防ぎきれず、防戦一方になっていた。

 

「翼ちゃんも少し熱くなってるようね。それにしても忍術なんて覚えてたのね。」

 

 アケミも控え室から翼の表情を分析していた。

 

「緒川さんから教わってたんだと思うよ、アケミ。」

 

「あたしやバカよりも付き合いが長いからこその先輩の全力なのかも知れねえな。あんなのあたしと戦ってた時には見られなかったやつだ。」

 

「翼さんは本気なんだね。」

 

 クリスもかつて翼と戦ったことのある身であるため、真剣にこの試合を見つめていた。

 

「メガシードラモン!」

 

「分かってる!」

 

 メガシードラモンはスピードで翻弄してくるレイヴモンの動きを見ながらどこから攻めてくるのかを対処して攻撃を防いでいた。

 

「良い判断だ、水琴!しかしお前で私に勝てるとでも思ったか!!」

 

 翼の一言に拓実はヘッと笑った。

 

「翼さんも俺のことを知らないんじゃないですか?この場合どう対処するべきかを!」

 

 拓実がデジヴァイスを構えるとメガシードラモンは上空に舞い上がった。

 

「メガシードラモン究極進化!メタルシードラモン!!」

 

「究極体のメタルシードラモンへの進化、ここでどうする?何かいい考えがあるのかしら!?」

 

 マリアもポカンとした表情でメタルシードラモンを見つめた。

 

「俺たちの真の力を見せてやろうぜ!」

 

「おう!」

 

 メタルシードラモンは空中で突然旋回を始めた。

 

「フッ、そちらがその気なら私も全力で応えよう!」

 

 レイヴモンも跳躍して天ノ尾羽張の連続攻撃を放った。しかしメタルシードラモンはそれにも動じずにじっとこらえていた。

 

「今だメタルシードラモン!!」

 

「アルティメットストリーム!!」

 

 旋回しながら放ったアルティメットストリームは分身を次々と消していき回転しながら本体を撃ち落とした。

 

「これぞ、秘技"回ればなんとかなる"!!」

 

 拓実のドヤ顔に会場は苦笑いを浮かべながらおお…と歓声を上げていた。

 

「またいつものアホな癖が出たよ…」

 

「なんか拓実さんも拓実さんだよね〜」

 

 クリスと響たちもたまに残念な彼の性格に関してはやや許容範囲であるためため息で流していた。

 

 そしてレイヴモンは落下してファルコモンに退化して立ち上がらなかった。

 

「決まった!勝者は水琴拓実&シードラモン!」

 

 勝ちが決まると翼がそれを称えるかのように拍手をして笑みを浮かべた。

 

「みんな、戦いには負けちゃったけど私とパートナーのデジモンはこんなにも生き生きしてる!だから、パートナーを大切にしようね。きっとパートナーも私たちテイマーのように笑ってくれるはずだから…!そしてどうかこの先の試合にもテイマーたちにみんなのエールを送ってほしい!」

 

 観客たちは拍手で翼の言葉を了承した。

 

____________________

 

 そして控え室に翼も現れた。

 

「しっかしまあ先輩がサプライズなんてな。」

 

「ほんと、ほんと!予想外でしたよ〜」

 

 クリスと響が翼にお茶を出して控え室でくつろいでいた。今会場では第7試合として切歌がかつての入れ替わり事件の首謀者だった乙 レイと戦っていた。

 

「実はこの大会が開催されると決まった時に私やマリアは司令にSONGと日本政府主催の大会のスポンサー兼スタッフを頼まれていたのだ。」

 

「司令も粋なことをするわね。おかげさまでマリアがテンパってるのが久しぶりに見れてお腹いっぱいね。」

 

「じーっ…」

 

「というか、皆は暁の試合を忘れてはいないか?冷泉と月読がジッと様子を見ているぞ。」

 

「ああ、そうだった〜頑張れ切歌ちゃん!レイさんは強いけど頑張って!」

 

 響たちがモニターを見つめる中翼は拓実の背を誇らしげに見ていた。

 

「水琴、お前は防人でなく戦士だ。本当に逞しくなったのだな。」

 

「何か言いました?」

 

「いや、何でもない!さあ、暁の戦いを見守ろうではないか!」

 

 翼も拓実と共に切歌の応援に入った。


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