戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回は3大シンフォギアのフィーネ、3体のデジモンVSメタルエテモンになります。シンフォギアの方はともかくデジモンは連戦ということでエネルギーを消費した状態で戦いを挑むことになります。しかも仮に進化できても完全体止まりの3体では魔王のチカラを受けたメタルエテモンにはどうあっても勝てないという詰み状態にあります。


第16話 ネフシュタンの恐怖 明かされた真実!

弦十郎が目を覚ました。しかし、本部の電源はほとんどがやられてしまい地上はおろか地下の様子もわからずだった。拓実は左手に包帯を巻かれていた。

 

「防衛大臣暗殺やデュランダルの強奪に本部のカモフラージュとして建造されたカディンギル…俺たちは全て櫻井 了子に踊らされていたんだ。」

 

藤堯と友里とがライトを持ちながら、緒川が弦十郎の、未来が拓実の肩を貸しながら歩いていた。さらにフィーネはイチイバルを紛失させたりなどの暗躍にも関わっているだろうという疑惑も浮上してきた。

 

しかし、弦十郎は同じ時を過ごした仲間だったとあってか了子を未だ信じようとしていた。

 

「甘いのは分かる。性分でな。」

 

「しかし、今の彼らにはあのメタルエテモンは倒せない。奴には魔王の一体の洗礼を受けている。」

 

「魔王?なんだそりゃ?」

 

「魔王とはデジタルワールドに君臨する7体のうちの一体だ。彼らは人間で言うところの7つの大罪を司る存在だ。憤怒、強欲、嫉妬、傲慢、色欲、暴食、怠惰の7体は存在自体がデジタルワールドを揺るがす。」

 

「じゃあ、魔王が侵略しようってのかこの世界を!?」

 

「おそらく暴走デジモンは全てその魔王によるものだ。」

 

「そんな…それじゃいくら立花さんたちでも危ないじゃねえか!」

 

(響!無事でいて!)

 

弦十郎たちはシェルターを目指し歩き続けた。

 

____________________

 

そんなことも知らず赤い満月のみえる夜に3人はリディアンに着いた。しかし、リディアンはほとんどが廃墟と化しかつての面影が残っていなかった。

 

響はその凄惨な光景に膝をついてへたれてしまった。

 

「リディアンが…」

 

すると翼が脇腹を負傷した了子を見つけた。

 

「櫻井女史!?」

 

「フィーネ…お前の仕業か!?」

 

「クックック…ハハハハハ!!!」

 

フィーネが高笑いをすると翼は怒りを露わにした。

 

「その笑いが答えか、櫻井女史!」

 

「あいつこそ、あたしが決着をつけなきゃいけないクソったれだ!」

 

「嘘ですよ…だって、了子さんは以前私を守ってくれました。」

 

響だけが「了子=敵」という認識ができずにいた。そして了子は光とともにネフシュタンの鎧を纏う。

 

「あれはデュランダルを守るためだけにしたこと。完全な聖遺物だからな。」

 

「だったら、本当の了子さんは!了子さんはどうしたんですか?」

 

響が反論したがフィーネは冷静だった。

 

それによればフィーネは先史文明の巫女であり、自らの遺伝子を多くのものに刻み、その者に対してアウツヴァッヘン波形に作用したらその人格を塗りつぶして生きていけるようにする細工を施した。そして12年前に幼い翼の歌で天羽々斬が起動したため、櫻井 了子本人の記憶はフィーネに塗りつぶされたのだ。

 

「そんな…それでは過去からの亡霊!」

 

しかも了子以外にも歴史に記されていた偉人、英雄とともにパラダイムシフトと呼ばれる技術の転換に常に関わっていたと言う。

 

「その技術とはまさかシンフォギアシステム!」

 

「そのような玩具など異性者からコストをひねり出すためのものにしか過ぎない!」

 

翼はかつてそれを纏って散った天羽 奏を思い出していた。

 

「お前のせいで…!奏は命を散らしたのか!?」

 

「あたしを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのもそのためだったのかよ!?そこまでしてあんたは何のために!?」

 

「知れたこと!全てはカディンギルのために!」

 

すると地震が発生した。それはシャルターにも届いていた。

 

「なんでこうなんのよ?アニメじゃないのよ?このままじゃ死んじゃうよ!」

 

板場が涙目になっていた。

 

そして地面から、カディンギルが現れた。

 

「これぞ、天にも届く荷電粒子砲!カディンギル!これで月を穿つことができればな!」

 

「月を!?」

 

「なぜ月を穿つのだ!?」

 

「私はただ、あのお方と並びたかった。私はあのお方に届く塔を建てようとした。しかし、あの方はそれを望まず、人類の交わす言葉を砕かれ、"バラルの呪詛"をかけたのだ。その呪詛は月が源だからだ!だからそれを破壊するのだ!そして世界を再び束ねる!」

 

「で、結局お前が支配すんのかよ!?安い!安さが爆発し過ぎている!」

 

クリスがフィーネを否定した。

 

「永遠を生きる私が余人など気にするものか。」

 

そして3人は聖詠を唱え、デジモンも進化させた。

 

「アグモン進化!グレイモン!」

 

「ハグルモン進化!メカノリモン!」

 

「ファルコモン進化!ペックモン!」

 

3人はフィーネに向かい、3体はカディンギルに向かった。

 

「あちきが相手よ!」

 

「エテモン!?」

 

「いいえ、あちきはメタルエテモンよ!」

 

____________________

 

一方、地上で戦いが始まる中地下では板場たちのいるところの瓦礫がどかされなんとか未来、弦十郎、緒川、藤堯、友里に拓実が入ってきた。

 

「小日向さん!」

 

「良かった…」

 

藤堯がパソコンを起動した。

 

「この区間の電源は生きてるようです!」

 

「でしたら、地上へデジメモリでの援護ってできますか!?」

 

「難しいな…もしかしたら1枚でも地上に出すのは10秒くらいかかる。それに一度に何枚もは無理だ。」

 

「結局見てるだけかよ…けど、行けたとしても戦況は覆りそうにはないか。」

 

拓実は壁に寄りかかった。

 

「でしたら、他を調べます!」

 

「だったら見てくるくらいなら俺も!」

 

「いいえ、ケガしてる人に無理はさせられません。ここは僕に任せてください!」

 

緒川が走り去っていった。その様子を安藤、寺島、板場は目を丸くしながら見ていた。

 

「ひな、この人たちは?それになんで水琴さんが?」

 

「えっとね…」

 

「我々は特異災害対策起動部二課。一連の出来事の収集にあたっている。そして拓実くんは我らに属するデジヴァイス所有者だ。」

 

「ごめん。普段はこのこと話せなかったから。俺が人々を今まで守ってきたんだが…リディアンに襲撃された奴にやられてこの有様だよ…」

 

拓実が苦虫を潰したような顔をしながら顔を背けた。

 

「それって政府の?」

 

すると藤堯が、モニターの再生に成功した。

 

そこにはクリス、翼と響が戦っていた。

 

「あれは立花さん!?それに風鳴 翼さん?」

 

寺島が驚く中、未来にはクリスの姿が見えた。

 

「クリス…ようやく仲間になってくれたのか。」

 

拓実は一瞬安心した。

 

「これが…了子さん。」

 

「なんて言う金ピカなんや。」

 

「怖い…」

 

藤堯と友里は了子の変容に慄いていた。

 

「何よ?こんなのアニメじゃない!」

 

「弓美…」

 

「ひなはビッキーのこと知ってたの?」

 

「うん…」

 

「そっか、以前二人が喧嘩してたのってこういうことだったんだね?」

 

<CUT IN CUT OUT>

 

腰からクリスは追尾型ミサイルを発射した。

 

しかし、鎖で薙ぎ払われた。その爆煙を利用して響が蹴りを放ち、翼が間合いを詰めたがもう一本の鎖で剣を弾かれてしまった。しかし、翼は足の剣を使って対抗した。

 

<逆羅刹>

 

その隙に響が交戦するもフィーネはそれをあっさり受け流した。そしてフィーネはクリスの方を見た。

 

「本命はこっちなんだよ!」

 

一方、グレイモンにペックモン、メカノリモンは粘るもののメタルエテモンに翻弄された。

 

「トュインクルレーザー!」

 

「どこ狙ってんのよ!」

 

メタルエテモンは背後からダークスピリッツを浴びせた。

「メガフレイム!」

 

「あんたもしかしてバカあ!?」

 

メタルエテモンはそれを打ち返した。それがペックモンに激突した。

 

「くそッ!連続で戦ってるからエネルギーが…!」

 

「あんたたちに究極体でクロンデジゾイドのコーティングを施されたあちきには勝てないのよ!」

 

____________________

 

クリスはエネルギーをためて2発ミサイルをカディンギルに狙いを定めた。

 

「ストライク!」

 

「させるか!」

 

鎖により1発は破壊された。

 

「もう1発は!?」

 

もう1発は月へと向かっていた。カディンギルの荷電粒子はチャージされ発射寸前だったのだ。

 

「クリスちゃん!?」

 

「なんのつもりだ!」

 

「クリス!」

 

メカノリモンも、空中に飛び上がった。

 

「しかし!玩具ごときにカディンギルの発射は止められない!」

 

「Gatranndis babel ziggurast edenal」

 

クリスは絶唱を唱えた。

 

「この歌…まさか!」

 

翼が驚愕した。

 

「バカな!?絶唱!」

 

その様子は二課のメンバーのいる部屋にも届いていた。

 

「何をするつもりなんでしょうか?」

 

傍観していた未来たちの後ろで拓実が青ざめた表情を浮かべる。

 

「絶唱…!いかん、クリスの奴は死ぬ気だ!」

 

拓実が目を開いた。

 

「え!?」

 

絶唱を知らない未来たちは驚いた。

 

「それってどういう…」

 

安藤が尋ねた。

 

「絶唱っていうのは立花さんが纏うシンフォギアの奥の手なんだ。

 

けど、其れは本人に多大な負担を負わせるんだ!あの翼さんだって、あれを使ったから数週間の入院が必要になったんだ!

 

ましてや宇宙空間ときたら…!死の危険性は地上の時よりも高まってしまう!」

 

「そんな!」

 

未来が衝撃を受けた。その間にクリスは宇宙空間に出た。そして腰のパーツが展開し光が細かいパーツの反射に生じたエネルギーが両手の銃からビームとなって発射された。カディンギルからチャージされた荷電粒子がレーザーとなって激突した。

 

(ここからはMeteor Lightを聴きながら読むのを勧めます)

 

「一点収束、押しとどめているだと!?」

 

その時、クリスよりも下の位置でメカノリモンもトュインクルレーザーを放った。

 

「メカノリモン!?」

 

「何よあれ?」

 

メタルエテモンも呆然としながらその様子を見ていた。

しかし、クリスのギアにはヒビが生じてきた。

 

(あたしはずっと…パパとママが大好きだった…だから歌で平和を掴む…)

 

(ボクモ…クリスノユメ…ステキダトオモウ…ボクハクリストイテ、シアワセダッタ…)

 

(ありがとう…メカノリモン…)

 

しかし、威力はカディンギルが勝り、クリスとメカノリモンは撃ち落とされてしまった。

 

(そう、あたしの夢は…そのために…!)

 

______________________

 

月に関しては僅かに破壊されただけで完全な破壊は免れた。しかし、皆の心に傷を生むのには十分すぎるほどの威力だった。

 

(さよならを言わずに別れて…それっきりだったのよ!?)

 

未来は涙を流しそうだった。

 

(お前の夢…そこにあったのか!その夢が途中なら…!俺たちはどこまで無力なんだ!)

 

弦十郎は目を大きく開きながらクリスの墜落を見ていたが己の無力さにより思わず目をつぶった。

 

「クリスーーーーー!!!!ちくしょう!ちくしょおおおおおおおーーーーー!!!!」

 

右手で思い切り壁を殴った拓実は泣き崩れてしまった。

 

「なんでこうなんだよ…ちくしょう…」

 

「拓実くん…」

 

藤堯はそれを見るだけだった。

 

響と翼は呆然としていた。特に響はショックを受けた。

 

「雪音…」

 

「あ、ああああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

響の叫び声だけが悲しく響いた。




「クリスーーーー!!!」

(必死のメカノリモンが現れた)

「メカ…ノリ…モン?」

「ダイジョウブ、ボクモイルヨ。サア、イコウヨ!」

「ああ、あたしの夢を叶えるんだ。パパ、ママ頑張るね。あたし…
でも、ちょっと疲れたみたいだ…」

「ソウダネ…ツカレタ…」

(2人とも落下)

第17回 クリス、メカノリモン(in撃ち落とされている時)

今回は後書きもシリアスにしました。自分は雰囲気をぶち壊すのが苦手なので…

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