戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回は前々からやってみたかったシリーズです。なんというかシンフォギア世界でこういう密着番組は作られてもいいのかなって思います。装者の出番はモザイクかければきっと…まあ今回戦闘らしい戦闘は番組スタッフ視点なためカットしてます。SONGという組織にもし国連が密着したら…という私なりのストーリーをお楽しみください。


デジモンバトルグランプリ編
第161話 密着 SONG24時!!


 アダムとの戦いから数週間後突然SONGでミーティングが入った。その中には何故か未来も含まれていた。

 

「師匠、どうかしたんですか?」

 

「まさか…またギャラルホルンが!?」

 

「いや、今回はそれと別件だ。まずこれを見て欲しい。」

 

 弦十郎の指示でモニターに映されていたのは密着SONG24時と記されたものだった。

 

「密着ゥ?なんでンなことやるんだよ、おっさん。」

 

「うむ、相次ぐ事件の元に国連の要望で特異災害の最前戦で動く俺たちに24時間、密着で取材をしたいそうだ。」

 

「なんか、タイトル的にどっかで聞いたことあるような…」

 

 拓実が困惑した表女を浮かべた。

 

「あたし見たことあるデス!!病院とか警察とか色々なアレデスよね!?」

 

「でもそれならどうして小日向先輩を呼んだんですか?」

 

「ああ、未来くんには実際にSONGの活動を見てどう思ったのかインタビューをお願いしたいのだ。もちろん、この中のうち何人かも対象にされるからな!」

 

「ちょっと待って!調や切歌に関してはどうするの?」

 

「そうか、立花たちはまだ学生の身、顔を出したままは危険か…」

 

「大丈夫ですよ。一部希望者だけはモザイク処理はすると向こうは言ってますから。」

 

「そう…」

 

 数日後、スタッフが入ってきた。

 

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(これより先、ナレーションが語り部となります)

 

 相次ぐ特異災害__ノイズや暴走したデジモンたちによって引き起こされる事件は数知れない。

 

 我々スタッフは日夜そういった問題に対処するスペシャリストであるSONGに密着取材することになった。

 

 時間は午前6時、本部に早速数名がやってきた。

 

「あっ、おはようございます。」

 

 眠い目を擦りながら出勤して挨拶をしたのはSONGオペレーターの友里 あおいさんである。今日彼女は早い時間の勤務なのである。

 

「いつもこんな時間に出勤してらっしゃるんですか?」

 

「まあ…今日の場合はシフトでそうなっちゃってるんですけどね。」

 

 苦笑いを浮かべて友里さんは仕事に向かった。オペレーターたちは主に過去のデータの整理ならびに各国事情の把握であった。

 

 特異災害はいつ起こるかわからない。だからこそオペレーターたちが地形などの把握をするのだ。

 

 午前7時、オペレーターの藤尭 朔也さんも出勤し着替えていた。今回、彼にインタビューを取ってみた。

 

「まず、この仕事に関して一言お願いします。」

 

「まず、この仕事に関して僕はよくボヤいてるんですよ。ほんとに災害系って何が起こるかわからないじゃないですか?だからボヤきたくなるほど気を抜いちゃいけない仕事なんですよね。」

 

 ノイズには特別な事例がない限りは出現の予測はできない。できないからこそ私たちは怯えていたのかもしれない。

 

「次に、パートナーデジモンとの出会いってどんな感じだったんですか?」

 

「そうですねえ…僕の場合、入隊した時にデジヴァイスが支給されたんですよ。その時に、テントモンと出会ったんですよ。」

 

「どうも、藤尭はんは最初は食費に関して悩んでたんですけど、次第に気にしなくなりました。だから藤尭はんはええ人なんですよ。ただどうにも作戦中にうっかりを…」

 

「そ、それはもういいだろう!?」

 

 どうやら過去に何か失敗があった藤尭さんには今後も頑張ってもらいたいと願う私たちであった。

 

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 午前8時になってからようやく最高責任者である風鳴 弦十郎が現れた。

 

「おお、お疲れさん。」

 

 この人は格闘能力が高くインタビューを取ったがNGを食らってしまったのでそれは闇の中である。そんな中でも我々は彼にインタビューを取ることにした。

 

「指揮をとる上で考えていることってありますか?」

 

 最初悩んでいたような仕草をしていたが突然、そうですねえと言い始めた。

 

「やっぱり、可能な限り手を尽くしたいって考えますね。ノイズやデジモンって人があまり知らないこととかを秘めてるじゃないですか?だからこそ、自分たちが全力であきらめなければどうにかなるっていうことを忘れないようにしています。」

 

 やや緊張していたのかは定かではないが彼の願いがある限りSONGには諦めという言葉はないのだろう。

 

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 午前9時、研究スタッフが出勤してきた。

 

「それじゃ、あの件で研究を進めようか!」

 

「はい!!」

 

 我々スタッフは研究室に入った。するとそこにいたのはたった2人だけであった。

 

「おはようございます。」

 

「お疲れ様でーす。」

 

 この少女とも少年ともとれる人こそエルフナイン。SONGの聖遺物研究者である。なんでも、先の魔法少女事変から加入して敵対視されている錬金術師の中でも数少ない協力者であり、研究者である。

 

 そして、エルフナインの横に紫色の髪でメガネをかけた女性は冷泉 アケミ。デジモン関係の研究を志願した若き研究者である。両者もSONGの持つ聖遺物とデジモンの知識を持った研究者である。

 

「なぜアケミさんは研究者になったんですか?そしてどういう経緯でSONGに入ったんですか?」

 

「はい、レセプターチルドレンの時にデジモン持ちだった人って私を入れて数人だったんですよ。だから色々叩き込まれたんです。それでフロンティア事変の後に私が解放された時に政府の人からスピリットを渡されたんです。それが出会いですかね…まあほんとはグレてた弟を更生させてくれた恩返しがしたかったっていうのが理由ですけどね。」

 

 アケミさんは弟思いのようで仕事においても熱心に取り組んでいるようだ。

 

 それからSONGは業務を続け、我々は別の場所での取材に成功した。イギリスのロンドンにその人はいた。しかし多忙なためにインタビューのみとなった。

 

「お待ちしておりました。」

 

「別に対したことじゃないわよ。」

 

 やってきたのはトップアーティストの風鳴 翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴだった。

 

「では、本日はよろしくお願いします。」

 

「ええ…」

 

 彼女たちは歌で世界を癒すと同時にSONGの保持する聖遺物研究の賜物であるシンフォギアの適合者でもある。

 

「それでどの質問から始めればよいでしょうか?」

 

 翼さんが尋ねてきたのでひとまずSONGの業務以外は何をしているのか尋ねた。

 

「私はマリアとともに作曲に当たってるな。そしてよく生活においても助けられている。本当に頼りに…「今はそんなこと言わなくていいわよ!!」」

 

 翼さんの会話を赤面しながらマリアさんは断った。どうやら、よほど仲が良いようだ。

 

「こほん、失礼!本業は歌女であることは譲らないわ。歌は力になる。そしてそれはだれかをつなげるって信じてるわ。けれど週末は買い物したり、日本において来た子たちに会いに行ってるわ。大切な家族だしね。」

 

「なるほど、家族思いなんですね。」

 

「まあそんなところかしらね。」

 

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 さて、イギリスでのインタビューを続けている頃、日本では午後5時から装者たちの訓練が始まった。今回装者の1人と友達だという人物から我々は話を聞いてみた。(未来さんにはモザイクがかかってます)

 

「では、まずご友人がシンフォギア装者と知ったときにどう思いました?」

 

「そうですねえ…2回くらいは喧嘩しましたね。」

 

「喧嘩ですか!?」

 

「最初隠してたこともあったんですがなによりも自分自身が許せなかったんです。辛い思いをしてる中で自分も力になりたいけどどうにもならないのが辛かったんです。でも、私は一度胸の内を思い切りさらけ出したことでその子を待つのができることなんだって分かったんです!!だから今では安心してその子の帰りを待ってます。」

 

 わだかまりをなくした彼女がいるからシンフォギアの装者たちは辛い思いをせずに安心して任務に当たれるのかもしれない。

 

 続いて私たちはこの2人にインタビューを取った。

 

「よろしくお願いします。水琴です。」

 

「冷泉です!」

 

 右に座っている熱血そうな人が水琴 拓実さんで左側に座っている物静かな雰囲気を感じさせるのが冷泉爽谷さんである。

 

 この2人には我々はシンフォギア装者にもかかわらずなぜ共に戦うのかと尋ねて見た。まずは水琴さんから話すようだ。

 

「戦うってのはまあ何かしらいろんな理由があるんですよ。

 

 まあ、俺の場合は助けられた時の感謝の思いを忘れないでなにかその人たちに対して出来ることをしたいっていう思いがあるんですけどね。

 

 そう考えたら普通だった頃の自分がまずしないこともしなくっちゃ本当にとんでもないことが起こった時、どうにもならないんじゃないかって気づいたんです。その中で俺はそれを戦いに結びつけて今もこうして戦ってるんです。その人たちにありがとう、今度は俺が礼を言われる番だっていう思いが俺の中にあるんです。」

 

 水琴さんが戦うのはそれが自分にできることだということがわかった。では冷泉さん、お願いします。

 

「はい、僕に両親はいません。家族といってもいるのは姉さんだけです。それから少しして、施設に引き取られてで同じ境遇の子達と出会ったんです。姉さんとはそれ以来別れてしまって最初はそばにいたはずの人がいなくなるっていうどうしようもない孤独感だけがありました。

 それでもなんとか家族みたいなつながりを手探りで作ったけど一回壊されそうになって何もかもが嫌になったんです。いっぱい間違いを犯してどうすればいいのかとまた孤独に負けそうになりました。

 けど、その時親切な人たちの心に触れて一回壊れてもめげない、挫けないっていうことを知ったんです。それでもう一度向き合ったら、つながりっていうものがとても大切なものになった。僕にとって戦いはとても大切なつながりを守り守り合うことなんだと信じてます。」

 

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 SONGの任務は唐突に始まる。あたりに警報が鳴り響く。

 

「つくば市周辺にワルシードラモンとラピッドモン、アンティラモンそしてランクスモン出現!!」

 

「現在デジモンたちは東京方面に侵攻している思われます!!」

 

 オペレーター2人も緊迫した表情で報告を行う。

 

「すぐさま、避難勧告と周囲の人の確認だ!」

 

 暴走デジモンは普段のデジモンと違って何者かから送り込まれてくる。さらにはデジヴァイスを介して暴れさせた場合はデジヴァイスの位置情報機能により場所が特定されるようになっている。シンフォギア装者はノイズ撃退だけが使命ではない。我々はこのまま彼女たちについていくことにした。

 

「よし!!じゃあ俺は駅周辺の避難場所への誘導と防衛を引き受けるから立花さんたちと爽谷は敵の足止めを頼む!!」

 

「分かりました!」

 

 水琴さんが現場に入るとすぐに出動していた自衛隊と合流して住民の避難を進めていた。

 

「こちら西ブロック避難所、SONGの支援により避難完了どうぞ。」

 

「こちら北ブロック、避難完了です。」

 

「良し、こちら水琴!友里さん、立花さんたちは今どこにいますか?避難が完了したので援護に向かいます!!」

 

「分かったわ!現在響ちゃんたちは火災のビルの救出に向かってるわ!」

 

「ありがとうございます!行くぞベタモン!」

 

「ああ!!」

 

 デジヴァイスを構えると彼のベタモンが光に包まれた。

 

「ベタモンワープ進化!!メガシードラモン!!」

 

 メガシードラモンの背に乗って水琴さんはデジモンたちのいる場所に向かった。

 

 一方、他のスタッフも装者と冷泉さんを追跡していたが目の前にデジモンたちが現れていた。

 

「クリスちゃん!」

 

「ああ!!2人とも、行くぞ!」

 

「はい!」

 

「はいデス!」

 

 装者のうち3人はデジモンを迎撃すべく向かった。そして残った1人がビルの壁を拳で破って火の海に向かっていった。我々も突入して密着したいところであるが火の手が大きくなってきたためこの場は諦めることにした。

 

「ムゲンキャノン!」

 

 遠方の方で大きな音がなったが我々も巻き込まれる場合があるので近寄れない。しかし、時折爆破音やデジモンたちの声が聞こえてきたがやがて聞こえなくなった。

 

____________________

 

 時刻は午後10時、戦いの後皆は事後処理にあたり普通の一般人の生活に戻る。最後に我々はインタビューした方々やシンフォギア装者一人一人に一つ質問を投げかけた。あなたにとってのSONGの願いは何かと…

 

「人の生活のためですかね。」

 

「まあ、安定した老後を一人一人が送ることかな?」

 

「子供のために何かしてやる。それだけです!」

 

「ラブアンドピース___愛と平和溢れる世界ですかね。」

 

「大切な人と笑いあえる未来です!」

 

「安心して友達と笑いあえる場所を守ることです。」

 

「人命の営みのためです。」

 

「ひとりぼっちを作らせないためね。」

 

「一生懸命を共有しあえるようにすることです。」

 

「大切な家族の絆をつなぎとめることですね。」

 

「歌で世界を平和にすること…です。」

 

「みんなが与えてくれたものを失わないことデス!」

 

「大事なものを遺してくれた人の感謝を忘れないようにすることです。」

 

「歌で英雄なんかいらない平和な世界、それを目指すのがSONGの役目だと思います!!」

 

 日々、未知の脅威に対抗するべく皆一人一人が一生懸命になっているSONG____その絆の歌は誰に届くのだろうか?

 

 

 

「とまあ、以上が完成した本編だが…みんなの評価はどうだ?」

 

 数日後、一部SONGの関係者や各国政府さらにはロイヤルナイツたちにこの映像は届いていた。そして響たちのもとにもそれは届いていた。

 

「アケミ、あなた普段と性格違ったけど誤魔化したでしょ?」

 

「な、なんのことかな〜?お姉ちゃんよくわからな〜い!」

 

「普段は何かあるとエルフナインにハグしたり、爽谷の写真見てうっとりしてるのに違和感が過ぎるんじゃない?」

 

「そ、それは…撮影だし緊張するから…」

 

 マリアとアケミが色々揉めてる中クリスたちも各々のインタビューを確認していた。

 

「にしても結構拓実とか冷泉もカッコ良く取れてたじゃねえかよ。」

 

「いや、あれでも結構マジでやってたんだぜ?」

 

「僕の思ってることが届いてくれたらそれはそれで嬉しいかな。」

 

「それにしても未来さんも顔にモザイクはかけられてはいたけどいい内容だったデス!」

 

「え!?そ、そうかな〜!?」

 

「そうだよ未来!!未来も恥ずかしがってなかったし!」

 

「それにしても私やマリアの尺が短いのはなぜだ?」

 

「それはきっと色々プライベートが入りすぎてたんだよきっと。」

 

 各々がワイワイしている中弦十郎はふふと安心した表情を浮かべた。実際インタビューには緊張して何を言おうか忘れてしまったというのは秘密だ。

 

(見ているか了子くん、これが今の俺たちなんだ。)

 

 弦十郎が想いを馳せていたのはかつての仲間だった。

 


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