戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
サンジェルマンたちが命を燃やして消滅した中、アダムが悪あがきを試みるが自らが切り捨てたはずのティキに神の力を手にする野望を阻まれるという皮肉な現実を味わった。
「歌は聞こえていた。けど!!何もできなかった。またぶん殴ることしかできなかった。」
響は立ち上がったが空には雲しかなかった。
「ありがとう、サンジェルマンさん。でもこれが私の望んだ結末なんかじゃない。手をつないでもっと話し合いたかった。リコリスさんと仲直りして欲しかった。」
「手を取り合う!?」
アダムが響の望みを嘲笑しティキの顔面を踏み潰しながら響をにらんだ。
「バラルの呪詛がカストディアンいや、アヌンナキに施された以上そんなものはまやかしだ!」
「だとしても…」
「だが支配するとなれば別!統率者が無秩序を統率することこそ本当の価値がある!」
「だとしても手を取ることは無駄ではなかった!」
そこに拓実たちもついた。爽谷が冷静に受け止めかつての自分を思い出していた。
「そうだね、あんたの言うことは正しい。
統率は大切なことかもしれない。人はあまりに愚かで学習せず、同じ過ちを繰り返すガン細胞みたいなものだ。僕にはあんたの考えが少なからず理解できる。いつの時代も何かしらで苦しむ人がいるから誰かがまとめなきゃいけない。
でも、少なくとも自分にはそんな資格がないっていうことには気づいてないようだね!!」
「なんだと!?」
爽谷の突然の言葉にアダムは動揺した。
「お前が支配したい理由ってのはさしずめ復讐だろ?
そんなことでどうにかなると思ってるのか?
お前だって俺らより頭良いなら分かるだろ?他にどんな手を下すべきだったかをな!お前は人間舐めすぎだぜ!!」
拓実もアダムを指差した。
「彼のいう通り私たちの出来は確かに良くない!過ちだって犯す!けどそれを償おうともする!」
「だからなんちゃらの人覚えで何度でも立ち上がってきたんデス!」
「諦めずに何度でも!それの積み重ねで一歩ずつ歩んできた!」
マリアたちも爽谷と拓実に続いて発破をかけた。
「たかだか完全を名乗るくらいで私たち不完全を支配できると思い上がるな!」
「てめえの支配なんざこの場でクーリングオフしてやるよ!」
翼とクリスも構えた。
「どうしてだ!?どうしてそう大きく言える?」
アダムも動揺した。
「簡単だ。お前は完全じゃねえ!不完全な人間のなりそこないだ!
完全な存在でも心までは理解できなかった時点で俺たちと同じ、いやそれ以下の価値しかねえ不完全なんだ!」
「黙れええええ!お前らはなんなんだ!?」
「あんたには一ついいことを教えてあげるよ。支配の意味っていうのは行動を制限し束縛することなんだ。けどね、本当の支配っていうのが成り立つのは単なる価値を分けることや利害を超えて自ら従うことでしかないんだ。お前には誰も従う奴はいない!」
「おのれ完全版な端末めええ…!!僕の支配を受け入れていればいいものを…!」
爽谷の言葉で逆鱗に触れたアダムはアルカノイズにギズモンMKを呼び出した。
「やっぱお前は、図体だけが育ったガキだな。自分の弱さすら認められない奴に俺たちが負けるかよ!!」
「そう、人でなしなんかにはわからない!」
全員デジモンを呼び出して進化させた。
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(ここから先はアクシアの風を聴きながら読むのを勧めます)
「ブレイブトルネード!!」
「スパイラルレイブンクロー!」
ウォーグレイモンも巨大ノイズを一撃で風穴を開け、レイブモンの追い打ちで細切れにさせた。
「よし!シャイングレイモン、メタルシードラモン頼む!」
「わかった!」
「メルキューレモン、シャイングレイモン、メタルシードラモン!デジクロス!」
拓実はメルキューレモンでシャイングレイモンとともにギズモンの掃討に当たっていたが数が多いためデジクロスを仕掛けた。
「メルキューレモンX3!」
左腕のメタルシードラモンのカノンでなぎ払ったメルキューレモンは駆け出し、右腕の縮小したジオグレイソードで撃破した。
「タイガーヴェスパモン!」
「ああ!マッハスティンガービクトリー!」
爽谷がブリザーモンとともにパワーとスピードのタッグでギズモンを難なく撃破した。
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戦いの中、響たちやパートナーはやり場のない想いに葛藤していた。6人のユニゾンで一気にフォニックゲインは高まってはいたがエクスドライブモード起動には至らなかった。
「どうしてこんなにも争いが続くんデスか!?」
「僕たちみんな、そんなものを望んで生きてなんかいないのに!」
「いつだって世界の争いは信念と信念のぶつかり合い!」
「妥協すら許せねえスタバーンどもが始めたがるんだろうぜ!」
切歌と調も戦いだけの日々からただの日常を知り、その尊さを知っている。だからこそ、それを奪う争いを嫌っており今回の件でなぜと言う疑問が一層濃く出て仕方がなかった。
「自分の正義の選択が争いの原因だっていうのかよ!?」
クリスは父と母を争い失った。だから彼女はそれを無くしたいと選択したがサンジェルマンたちの行為でそれこそが彼女自身が体験した選択の果てに待つものが最も忌み嫌う争いと結びつくと信じられずにいた。
「クリスの言う通りだよ!!正義の選択が重なったら争いだけが正しいの!?」
「くっ、安易な答えで歩みを止めたくない!」
「けどそれじゃ終わりだ!安易に逃げて間違ったままじゃ嫌だ!」
翼は防人に潜む風鳴の家との向き合い方に区切りをつけたが、改めて訃堂の国守の思想を前にしてそれをも変えるべきなのかと言う疑問を抱えていた。
「それもこれも全てはバラルの呪詛のせい!」
「そうだ!人と人が互いを傷つけるバラルの呪詛がこうしたんだ!」
ナスターシャ教授が命がけで再起動させて悲劇をしまったバラルの呪詛が新たな悲劇を引き起こしたことにマリアが覚えたのはバラルの呪詛への怒りだった。
「確かにね!みんながみんな牙を剥くことは簡単にできることだ!」
「それに欲望が重なるに重なるから無くならない!呪詛だけが悪い要因とは言えない!」
かつて多くを憎み、争いを起こそうとした爽谷にも争いを起こすことがどう言うことなのかはある程度はわかっていた。
「けどな、俺たちはアダムみたいな可哀想な奴じゃねえ!生きるってのは必死になることだ!どんだけ目の前に待ってるのが絶望的なものであってもその時その時を大切にするんだ!逃げずに向き合っていかなる結果でも前に歩む。あいつは目をそらして諦めた!
だから俺たちの敵じゃねえ!」
「それに僕たちにはたった一つ大きなものがある!」
「そうさ!メタルシードラモンの言うとおり、僕たちにはたった一つ響たち人間のパートナーに出会えた奇跡を分かち合うことで得た絆がある!!」
「そう、だとしてもです!!」
響以外はアルカノイズとギズモンをお互いの疑問にぶつけるうちに全て撃破した。しかしそれでもエクスドライブ発動には至らずにいた。響のパンチがアダムを狙うが、アダムの左腕には人の肌をしていなかった。
「その姿は!?」
「あれがアダムの真の姿!?」
遠くから見ていた拓実たちも愕然としていた。
「そうさ、僕は力を失ってるのさ。だから保てないのさ完成された美形がな!」
そしてアダムが光とともに真の姿を表した。
それは醜悪な姿をした怪物と形容できるものであった。
「さーて、次回のシンフォギアは?」
「サンジェルマンです。前回で消えたんで興味なんてないです。」
「次回、局長フルボッコ♡」
「ちょっと待って、1発殴るだけでもいいかしら?」
第104回 プレラーティ、サンジェルマン、カリオストロ(inあの世)
この発言をよーく覚えておいてください。