戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回は祭儀のユニゾンのペアが戦います。正直言って第10話まできてさてどうなるかと初見のとき見てて最後の方でマジで衝撃的でした。 とはいえ、こう言う新しい要素(元からあったやつだけれども)を複数やろうとなると精々最初は驚かし要員で二つ目あたりからドラマが組まれ、最後のやつは微妙に不遇と言ったジンクスみたいなのでもあんのかなって思いました。
さて、セレナ参戦で驚いてる方もいるはずですが個人的にはネフィリムがピンクっぽくなってて、おいおいどうしたと。フィーネさんの赤いやつもカルマノイズ食っておかしくなったと言うことは今後ネフィリムやキャロルもそのパターンなんじゃないかって軽く予想してみました。キャロル参戦となればそのパターン該当も無くはないんですかね?


第150話 決戦、響VSサンジェルマン!

 プレラーティを撃破して響は次の日にようやく夏休みの課題を終え、誕生日を2日後に控えていた。しかし、SONGではまだ敵にアダムやサンジェルマンがおりリコリスも脱獄したままで一安心とは言い切れなかった。

 調神社の資料から神の力は鏡写しのオリオン座による神いづる門から創造されるとSONGは結論づけ、神の力に対抗する神殺しの力を探していた。

「それでしたら、前大戦時にドイツ政府がその記録を残しています。」

「だったら、それを使えばいいんじゃ…!」

 友里の発言から調が提案したがカメモンが首を横に振った。

「それがそうもいかないんだよ。あのアダムが資料ごと風鳴機関を吹き飛ばしちゃったから。」

「けれど、あの周到な動きには裏があったのは明らかだ。」

「そうね、アグモンの言う通りそう言った行動があれば最早切り札があると証明できたも同然!司令!」

「ああ!緒川、各国政府ならびにドゥフトモンとハックモンたちと連携して情報を探ってくれ!」

「心得ました。」

 それから一行は解散後に食堂に入った。

「神殺しの力、まさかガングニールにあったのかしら?」

「しかしマリア、そのような伝承は一切ないぞ。いくら立花があそこまでの力を発揮できたとはいえ」

「まあそうかもしれませんけど、もしかして立花さん自身が色々ガングニールによく馴染んでるから一瞬だけ神殺しが宿ったってパターンも想定できませんか?」

「けど、それじゃあマリアさんや天羽奏さんに関しての説明は難しいね。」

 拓実がカレーを、爽谷がシチューを食べながら翼にマリア、クリスと話していた。

「結局は待つしかねえだろ。エルフナインをな。あの反動汚染を除去しきるまでだ。」

「ああそうだ…「デース!!」」

 拓実が頷こうとしたが切歌が顔を出した。

「一体どうした?やけにテンションがたけえみたいだが…」

 切歌はそんな中響の誕生日パーティを開こうとしていた。が、クリスのお気楽発言でカリオストロの罵倒を思い出してしまい取り敢えず開くことにはなった。

「切歌、いつになくどうしてそうはしゃげるんだい?」

「それは…今はそんなこといいデスよ!とにかく明るくデス!響さんには大事にして欲しいものがあるデスから…」

 爽谷が尋ねるがあまり良い回答が出ず、その日は時間だけが過ぎていった。

 

 

 その夜、サンジェルマンが祭壇を見張っていたエージェントを73808、73809番目の犠牲として処理した。七つの神社にはすでに見張りをつけ一般人には大規模なノイズ出現が予測されるとして周辺地域の疎開を済まされていた。サンジェルマンはそのことを知りなお儀式を己が生贄となって始めた。

 元より誰かを傷つけることに関してはサンジェルマン自身すでに覚悟はしておりあくまで理想に殉じるつもりであった。それは彼女にとって何より誰かを犠牲にすることよりも重いことだったのだ。

「これより儀式を始める。」

「待ちな、サンジェルマン。」

 一つのシャボン玉がサンジェルマンの肩に付着して弾けると景色が一転し、あたりに風の音一つ聞こえない空間に変化した。

「リコリス…ここにきて何の用だ?」

「お前を迎えにきたんだサンジェルマン。」

「なに?」

「聞けばカリオストロにプレラーティがやられたみたいじゃないか。アダムのことだ。きっとどっちかを生贄にでもしろと言われたんだろうな。」

「お前には関係のないこ…「ああ余計だよ!そんなことはわかってんだよ。」」

 サンジェルマンに対して声を荒げたリコリスは笑みを浮かべ手を伸ばした。

「あいつらがいない今お前が死ぬ必要はないだろう!?あいつが何を考えてるかわからねえ。もしかしたらお前を消すつもりかもしれないんだぞ!?今ならまだ間に合うさ。2人きりで新しく結社を作ろう。どのみちアダムは奴らが処理する。ここで退けばあいつらはきっとお前を傷つけやしないんだ!」

「そうはいかない!私は理想に殉じなければならない!たとえ、ここで逃げてもその過程で散ったものに対してどうしろと言うのだ?私は許されない、決してな。だから今この瞬間で命を燃やす。理想のない者や人でなしに左右されてしまったからこそ私は自らの決断に賭ける!最後の賭けだ。」

 サンジェルマンはファウストローブをまとった。

「お前はどうしてそうなんだよ!?なんなんだよ…!一度くらい俺を頼れよ!俺はお前のためにしてやれることはするつもりだったのにどうして俺を見ない!?なんでなんだよ!」

 怒りを露わにしてサンジェルマンに掴みかかろうとしたリコリスにサンジェルマンは躊躇なく引き金を引いた。リコリスは倒れた。

「サン、ジェル…マン…」

「さらばだ友よ。」

 するとサンジェルマンは目を覚ました。

(今のは幻覚か…リコリスめ。あくまで姿を見せないつもりか…だが本体にダメージは与えた。おそらく追っては来まい)

「どうかしたの〜?」

「いや、気のせいだ。」

 そう告げてサンジェルマンは祭壇から光を発しそれがレイラインを経由していよいよ門が開かれようとしていた。ティキはそれを見て顔を歪ませ空を眺めた。

「私の役目は天地二つのオリオンがホロスコープスで門が描かれた時の位置を割り出すのが目的…!」

 そして門は開かれる寸前にして突然その流れが弱まった。

「なんだと!?」

 サンジェルマンとティキがその変化に戸惑い倒れてしまった。

「ふふ、お役所仕事を侮るなよ!」

 SONGは元より敵によるレイライン利用を考慮して事前に要石の利用を企てていたのだ。それに伴い6つの神社ですでに要石が起動したため計画をすんでのところで阻止したのだ。

「お父様と司令によりなんとか作戦は阻止できたな。」

「ああ、あとはあの4人でどうにかサンジェルマンを抑え込むだけだ!」

「切ちゃん…」

 

 

 作戦を阻止するとヘリから響と切歌が、デジメモリから呼び出したメカノリモン2体から拓実と爽谷が飛び出してきた。

「またしても邪魔を!」

(ここから先は必愛デュオシャウトを聴きながら読むのを勧めます。)

 すでにデジモンを究極体に進化させた4人はサンジェルマンが呼び出した強化型ギズモンXTと向かい合っていた。

「メタルシードラモン、ウォーグレイモン、アルボルモン!デジクロス!」

「グランクワガーモン、スコピオモン、ギガスモン!デジクロス!」

「ウォーグレイモンネイチャースタイル!」

「グランクワガーモンガイアモード!」

 拓実と爽谷も響と切歌のデジモンとすぐにデジクロスしてギズモンをけん制した。

「どうしても戦わないといけないんですか!?」

「ああ、お前たちと私たちの信じて握った正義は違う!だから他の道などありはしない!!」

 体力を幾分か消耗したサンジェルマンであったがそれでも遅れは取らなかった。両者の拳がぶつかる中、肘からバルカン砲を出した。

 響が一度距離を取ると班に攻撃を得意とする切歌がそれを防ぎカウンターを仕掛けた。

 それすらひらりとかわしたサンジェルマンだったが響と切歌の連携に翻弄され一度飛び上がって銃撃を仕掛けた。

 その横では拓実と爽谷がギズモンを圧倒していた。2人とも格闘戦でギズモンを難なく追い込んでいた。必殺のビームも片手であっさり防がれた。

「くらえ、ガイアインパルス!」

「エンドオブモーメント!」

 拓実は腕に気を練りこんでそれを発射し、爽谷はかまいたちのように鋭い刃を休むことなく繰り出した。

「立花さん!」

 しかし倒したはずのギズモンが分裂して襲いかかってきた。

 サンジェルマンと空中戦を繰り広げる中、水流弾を放ったサンジェルマンだったが、すぐさま響に飛びかかり掌からも銃を取り出し龍をかたどった弾丸を発射した。しかし響はそれをひらりとかわした。

「信念の重さなき者が!これより私たちが月の遺跡を掌握する!そしてバラルの呪詛から人類を解放する!」

 サンジェルマンの視界に入った切歌が狙われたが響が右腕をドリルに変化され防いだ。

「だとしてもだれかを犠牲にしたやり方は…!」

「そうとも!32831の生贄と40978の犠牲を背負った以上罪の重さがある限り心変わりなどない!」

 サンジェルマンが響の前に結界を張ってスペルキャスターの銃撃を放った。すると弾丸は響の左右から命中した。そして響に飛びかかり至近距離からとどめを刺そうとした。

 しかし、腋で止められ懐に強烈なパンチを受けた。さらに切歌の足が響の足とともに威力を底上げしサンジェルマンは大きく吹き飛ばされ地面に激突した。

 

 

 サンジェルマンを撃破した響たちに拓実と爽谷が合流した。

「さてと、どうする?これ以上動く気配はないみたいだが?トドメでもさすか?」

「この星明日のために、この胸に誓ったのだ!私は支配を革命する!」

「こいつまだ!やはり今ここでトドメを刺そう…!大丈夫…僕がやるから問題ない。」

 爽谷がトドメを刺そうとしたが響が歩み寄った。

「私も正義を信じて握りしめた。けど拳で変えられないものがあるのも知ってる。知ってるからこそこの手を差し出すことを恐れない!神様の仕掛けた呪いを神様の力でとくのはちがいます。人は人のまま強くなるんです。」

 サンジェルマンは手を差し伸べようとする響を見て涙を流した。そして手を差し伸べた。

「茶番はそこまでにしてもらおうかな?」

 手を差し伸べたサンジェルマンの妨害をするかのようにアダムが現れた。すると空から赤い光が宿っていた。

「ハハハハハ!!!何も神いづる門は一つだけじゃない!この星空の惑星からのエネルギーでも神いづる門は作れるんだよ!もはや遮断できまい!」

「アダムが来てくれた…」

 響が妨害しようとするも、アダムの攻撃で妨害されてしまった。デジモンたちもそれを防ごうと技を放つが全てアダムに遮られてしまった。

「局長!これで本当に人類は救われるのですか!?」

「できる!かもしれないねえ…けどそんなのはどうだっていいんだよ。はなっからこちらを使うつもりだったんだよ。君は邪魔だから消しときたかったんだよね。」

 サンジェルマンは憤りを露わにするがアダムの命令でティキが光線を放った。

 

 

 光線が放たれ拓実と爽谷が飛び出して攻撃を防ごうとしたが威力は凄まじくあっさり吹っ飛ばされてしまった。

「なんて威力だ…!」

 しかしその時、歌声のようなものが響き、SONG本部や拓実たちも慄いたような表情を浮かべた。

「切ちゃんダメええええええ!!!」

 切歌はグランクワガーモンの背に乗りながら絶唱を発動して、攻撃を防ぐも強力なダメージを前に倒れ、ワームモンも退化してしまった。

「確かにあたしはお気楽デス…!けど誰か一人くらい何も背負ってないと、もしもの時に重荷を肩代わりできないんデスよ!」

 調の絶叫虚しく切歌は絶唱の負荷で倒れてしまった。

「え?」

 爽谷が信じられずに立ち尽くしていた。

「切歌ちゃん!」

「おい、大丈夫か!?絶唱なんて無茶なことしやがって!」

 サンジェルマンも切歌の覚悟に胸を打たれたのか驚いたまま呆然と立ち尽くした表情を浮かべた。響と拓実が切歌に駆け寄った。

「はは、拓実さん大丈夫デスよ…響さんの誕生日は明日デス。それは重ねてかないと…」

「こんな時にそんなこと!」

「いいえ、響さん…切ちゃんは"本当の誕生日を知らない"んです…」

 ワームモンも傷だらけで響と拓実に話すと2人の顔は凍りついた表情を浮かべた。

「まじかよ…?」

「ワームモンの言う…通りデス。だから誰かの誕生日だけは、大事にしたいんデス。」

「ん?」

 その時切歌の側から空のアンプルが発見された。それはLiNKERのアンプルで切歌は過剰投与してまで絶唱を放ったのだ。

「これってLiNKERじゃねえか!?」

 しかし負荷は減らせたとしても薬害があるため簡単にどうにかなるような状況にはならなかった。

「急ぎ切歌くんを!」

「司令!俺が切歌ちゃんを連れます!爽谷、ここは任せた!」

「どうして?」

 唖然と爽谷は倒れた切歌に詰め寄った。切歌を抱えようとするが拓実に払われた。

「決まってんだろ?切歌ちゃんがこんなになっちまったから助けんだよ!」

 拓実は切歌を抱えてその場から移動した。

<エアドラモン!デジメモリオン!>

 エアドラモンを呼び出し、拓実はそこから飛び去って急いで本部からの救急班と合流していた。

「切ちゃん!!聞こえる切ちゃん!?切ちゃん!切ちゃん!!」

 調が悲痛なまま叫ぶがそれは決して届きはしなかった。

 


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