戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回から一期のラストが近づいてきました。今回はクリスちゃんのデレ回です。クリスちゃんとようやく和解した訳ですが、今気づいたら響がちょっと抱きつきすぎだろと一期を見てた時に思いました。嫁がいるのにね。


第14話 繋いだ手だけが紡ぐもの 集結、3大シンフォギア!

「失礼しました〜」

 

 2人が廊下を歩いていると、リディアンの校歌が聞こえ、それにつられて響が急に歌い出した。

 

「どうかしたの?響?」

 

 アグモンが尋ねると未来が響の隣に立った。

 

「合唱部に触発されちゃった?」

 

「リディアンの校歌って……和むよね……まだ入学して2カ月なのにね」

 

「でも、色々会った二ヶ月だよ」

 

 この二ヶ月で響はシンフォギアを知り、翼とすれ違い、クリスとわかり合おうとし、翼と協力することになり、未来が二課の協力者になったりという出来事が立て続けで起こっていたのだ。疲れるのも無理はない。

 

______________

 

 その頃、メカノリモンで再度フィーネの屋敷へ向かったクリスだが、そこにはアメリカ政府の特殊部隊の隊員が無残な姿で死んでいた。

 

「これは一体?」

 

「フィーネニシテハ、ショウショウアラッポイナ」

 

 すると背後から弦十郎が現れた。

 

「違う!あたしはやってない!」

 

「ソウダ!ワレワレハ、サッキキタンダ!」

 

 弦十郎の背後から現れた黒服たちはクリスを無視して、その場の調査を行なった。弦十郎はクリスの頭にポンと手を置いた。

 

「誰もお前がやったとは思わないさ」

 

「全ては我らや君たちにいた彼女によるものだ」

 

 弦十郎の顔がいつになく険しかった。すると、1人の黒服が死体に貼られ、血文字で書かれていた「I love you SAYONARA」を剥がすと周囲が爆発した。

 

 しかし、爆発による瓦礫を弦十郎が余裕でしかも片手で受け止めクリスを守っていた。周りの黒服たちも無事だった。

 

「何で、ギアをまとってない奴があたしを守るんだよ!?」

 

「俺がお前を守るのはギアの有る無しじゃない。お前よりも少しばかり……大人だからな」

 

 クリスが弦十郎を睨みつけた。

 

「大人ッ!あたしは大人が嫌いだ!

 

 パパとママも大嫌いだ!とんだ臆病者で夢想家だったよ!あたしはあいつらと違うんだ!

 

 歌で世界を救う?いい大人が夢見てんじゃねえ!戦争の火種を消したいのなら戦争の意思を持ったやつをかたっぱしからぶっ潰してけばいい!」

 

「たわけ!貴様のような考えではいつまでも争いは終わらぬ!むしろ弱きものたちの憎悪と苦しみ、悲しみが深くなるだけで新たな争いを生むことも繰り返しだ!」

 

 クダモンが怒りながら告げた。彼は元々ロイヤルナイツのスレイプモンであり7大魔王との戦争による悲劇を知るものの1人でもあった。

 

「それがお前の流儀なら聞くが……お前はそれで戦いを無くせたか?」

 

「それは……」

 

 クリスは口ごもってしまった。

 

「いい大人だから夢を見ないとお前は言ったがそれは違う。

 

 いい大人だからこそ夢を見るんだ。子供の時にしか見えないものほど大人になれば叶えられるチャンスがある。お前の親だって夢を見るためだけに戦地に向かったんじゃない。歌で世界を救う夢を叶えに行っただけだ。

 

 どれだけお前が親を嫌っても親はお前を愛している。だからこそ夢は叶うのを見せたかったんだ」

 

「クリス……」

 

 ハグルモンがクリスを見つめていた。屋敷にはクリスの泣く声が聞こえた。

 

 そして弦十郎は通信機を与え、クリスはカディンギルが"すでに"完成している情報を提供した。

 

「後手に回るのは終いだ。こっちから打って出てやる!」

 

 クリスは1人屋敷に取り残された。

 

______________

 

 本部に戻った弦十郎は翼と響と拓実に連絡した。そんな中了子だけが朝から出勤していないのだということが分かった。

 

「大丈夫です!了子さんは何かあったって私を守った時のようにどかーんとやってくれます!」

 

「いや、戦闘訓練もろくに受講してない櫻井女史にそんなことができないはずだ」

 

「だとしたら、ちょっと怪しいな。なーんか秘密を抱えてるんじゃないか?」

 

「まさかそんな…」

 

 疑いの眼差しが向けられたその時、当の了子から連絡が届いた。

 

「やっと繋がった……ごめんね〜寝坊しちゃって!通信機の調子が悪かったの」

 

 弦十郎が顔を険しくして了子に無事かと尋ねたが了子は無事だったそうだ。しかし通信場所にて了子は血を流して倒れていた。

 

「1つ聞きたい。カディンギルとは何だ?」

 

「カディンギルとは……古代シュメール語で"高みの存在"。転じて天を仰ぐものという意味があるわね」

 

「何者かが、それを建造したのになぜ俺たちは見過ごしてきたのか?」

 

「確かにそういうと……」

 

(まさか、本当に内通者がいるのか?だとしてもそいつがクリスの言うフィーネと何のつながりがあるんだ?)

 

 通信機越しで拓実や翼がその内容を聞いて訝しんでいた。クリスとフィーネの会話、さらには以前よりも融合が強くなっていると言う旨の了子の発言は翼にとっての彼女に対する疑念を強めることとなっていた。

 

「しかし、ようやく尻尾を掴めそうだ。このまま情報を集めていけば勝利は確実だ」

 

(いいのか?弦十郎、話さなくて)

 

(いいや、こうしておけばいい餌になるはずだ)

 

 クダモンに囁いた弦十郎はモニターを向いた。

 

「こちらから攻めるぶんには仕損じるな!最終決戦だ!」

 

「はい!わかりました!」

 

 響と未来が街を歩く中、カディンギルについて調べたものの引っかかったのはゲームの攻略サイトばかりで有力な手がかりは得られずだった。

 

 その時、空から超巨大型ノイズが現れた。その数は4体__今は空を移動するだけだが、危険なことに変わりはなかった。

 

「行ってくるね、未来!

 

 未来はみんなの避難をお願い!いざという時に地下のシェルターを使うのの手伝いをしてほしい!」

 

 近くに拓実が現れた。

 

「よぉ立花さん!」

 

「拓実さん!?」

 

「俺もちょうどカディンギルに関しては気になっててな。それで現場に向かってた途中で君らを見かけたんだ。

 

 ひとまず話は聞かせてもらった、よし!

 

 リディアン周辺には俺もついて行こう!奴らがリディアンに攻めてきたときに備えてデジモンたちで足止めさせる!小日向さんもピヨモンで防衛をお願いしたいけど、いいかな?」

 

「はい!お願いします!」

 

「ごめんね、未来……巻き込んじゃった」

 

「ううん。私は巻き込まれてなんかいない!響が帰る場所を守るの。私も大切なものを守れるくらいに強くなるから!」

 

「任せたよ!ピヨモン」

 

「ええ!」

 

「小日向 未来は私にとっての陽だまりなの。これまでもこれからも私が帰ってくるのは未来の隣だよ!じゃあ、行ってくるね!水琴さん!未来を頼みます!」

 

「ああ!約束は守るぜ!気をつけてくれよ!

 

 デジモン達もそう長くは持たないかもだしな。それに……味方は俺たちだけじゃないみたいだからね」

 

「え?」

 

「なんでもない!とにかく任せたぜ!!」

 

 ノイズの移動先に関して二課は調査の結果、東京スカイタワーに向かっているのを知った。東京スカイタワーは普段二課の情報といった要の機能が備わっているため攻撃されれば二課に被害が出てしまうことになる。翼はバイクで、響はヘリによりスカイタワー周辺に向かった。

 

 一方、緒川も何か自分の目的を果たしたのか車でどこかへ向けて走り出した。スカイタワー周囲では巨大ノイズから小型タイプのノイズが量産されていた。幸い目立つ被害も無く、ほぼ無人となった市街地に響達が到着する。

 

「行くよ!アグモン!」

 

「ああ!」

 

 響とアグモンはヘリから飛び降りた。

 

「アグモン進化!グレイモン!」

 

 グレイモンとガングニールをまとった響が一体目の巨大ノイズの腹部に風穴を開けた。一体が倒れてもまだ3体残っており、もう一体の巨大ノイズが量産した飛行ノイズによってヘリは墜落させられた。翼も現場について天羽々斬を纏った。

 

「ファルコモン進化!ペックモン!」

 

<蒼ノ一閃>

 

 翼の放った斬撃は巨大ノイズに向かっていったが量産ノイズが盾になったため、まるで聞いてなかった。

 

「苦無羽!」

 

 ペックモンが必殺技を放ったが、突如その場にガーゴモン、カンガルモン、リンクモンが現れた。

 

「頭上を取られるのがこんなに不利になるとは!」

 

 翼が襲ってきたノイズを切り捨てた。

 

「空飛ぶノイズ……どうしたら!」

 

「それにこの暴走デジモンは僕たちとは異なる進化を遂げたアーマー体なんだ!骨が折れそうかもよ!」

 

 現状二課では近距離向けの装者が主なため距離を取られると立ち回りにくいと言う弱点がここにきて発動されてしまった。

 

「臆するな、立花!防人が後ずされば、戦線は後退することになる!」

 

 飛行ノイズが2人と2体に迫ったが背後からの銃弾とレーザーの弾幕により一掃された。2人が振り返るとクリスが立っていた。

 

「勘違いすんなよ!この通信機がうるせえからきたんだ。お前らの助っ人になったつもりはねえ!」

 

「トハイイツツ、ココマデチョウトッキュウダッタジャナイ、クリス!」

 

「こら!余計なこと言うなって!」

 

「助っ人さ。到着が少々遅れたようだがな」

 

 響が喜ぶ中、翼は警戒していた。

 

「助っ人?」

 

「彼女こそ第2号聖遺物イチイバルの装着者__雪音 クリスだ!」

 

 響はクリスの抱きついていた。

 

「クリスちゃーん!私信じてたよ!分かり合えるって!」

 

「お前話聞いてないだろ!いっとくが勝手にやらせてもらうぞ!行くぞ!メカノリモン!」

 

「スマナイ。マダ、スナオニナレテナイヨウダ」

 

 メカノリモンと共にクリスはノイズの一掃に向かった。

 

「私たちは地上を片付けましょう!」

 

「はい!」

 

 グレイモンとペックモンはカンガルモン、ガーゴモンと戦うことになった。

 

______________

 

 クリスのおかげで空中のノイズはあっという間に殲滅された。地上も今のところは順調だったが翼とクリスがいまひとつかみ合わず互いの背中をぶつけてしまった。

 

「何してんだよ!すっこんでろよ!」

 

「あなたこそいい加減にして。1人で戦ってるの?」

 

「あたしはいつだって1人だ。それに今まで対立してた奴らが仲良くなれるわけがねえんだ!そう簡単に人と人が……!」

 

 クリスは拳を振るおうとすると響がその手を包んだ。

 

「できるよ!きっと!」

 

 続いて響は翼の手を取った。

 

「どうして私にはアームドギアがなかったのか悩んでた。半人前は嫌だ嫌だって思ってたけど……今はそう思わない!だって、この手に何にも持たないことは手を繋げる。"手をつなぐこと"が私のアームドギアだって分かる。だから……」

 

 翼も手を差し出した。そして恐る恐る差し出したクリスの手を引いて繋いだ。これに対しクリスは赤面した。

 

「ったく仕方ねえな!この馬鹿に多分毒されちまったらしいな。

 

 ここは、あたしに考えがあるんだ!」

 

「考え?聞かせて!」

 

「イチイバルの特性は"照射系広範囲攻撃"だ。これで派手にぶっ放してやる!」

 

「まさか……絶唱!?」

 

「ちげえよ!あたしはそんなに安くはねえ!

 

 ギアの放出を抑えつつ出力を上げ、臨界までエネルギーを高め一気に放出するんだ」

 

「しかし、その間は丸裸になる!況してやこの数を相手にしては……」

 

「そうかもしれませんね。でも……私たちがクリスちゃんを守ればいいだけのこと!」

 

 クリスはハッとした。自分はずっと孤独だと思っていたがここには仲間がいる。そのことに気づいたのだ。

 

(あいつの言っていたことも……少しだけ分かる気がするかもな!)

 

 翼と響が微笑みながらクリスを見つめた。

 

(ここから先は 繋いだ手だけが紡ぐもの を流しながら読むのを勧めます)

 

「なんでなんだろ 心がぐしゃぐしゃだったのに 差し伸ばされた温もりは 嫌じゃなかった……」

 

 クリスが歌い出すとエネルギーは次第に上がっていった。

 

「アーマー体なら!一気にお願い!」

 

 ノイズを一掃する中苦戦するペックモンを見ると、翼のデジヴァイスが青く輝いた。

 

「ペックモン超進化!ヤタガラモン!」

 

 ヤタガラモンでガーゴモンと空中戦に入った。

 

「ホワイトスタチュー!」

 

 悪魔の像を発射したガーゴモンだったが、翼のヤタガラモンが素早く背後から回り込み攻め込んでいた。

 

「甕布都神(みかふつのかみ)!」

 

 独鈷杵(とっこしょ)から放つ光線でガーゴモンは体勢を崩した。

 

「私の戦いは誰かと手をつなぐためにあるんだ!」

 

 響のデジヴァイスもオレンジに輝いた。

 

「グレイモン超進化!メタルグレイモン!」

 

 メタルグレイモンはカンガルモンの攻撃を受け止め投げ飛ばした。

 

「ぶっ放せ!」

 

「「今だ!」」

 

 リンクモンがメカノリモンと交戦する間クリスを襲おうとした。

 

「激昂、制裁、鼓動、全部!空を見ろ!零さない……見つけたんだから!」

 

 クリスの背中から巨大なミサイルが現れ発射された。

 

<MEGA DEATH QUARTET>

 

 全弾発射された火器による攻撃はその場にいたノイズとデジモンを全て一気に倒した。

 

「やったのか!?」

 

「ったりめーだ!」

 

 あえなく一掃されたノイズ達に全員安堵のため息を吐くのだった。

 

_______________________

 

 戦いを終え3人は安堵していた。

 

「やったやった!」

 

 響がクリスに抱きついた。

 

「放せって!」

 

「でも勝ったのはクリスちゃんのおかげだよ!」

 

 もう一度響はクリスに抱きついた。

 

「あたしはただフィーネと決着をつけてやっと見つかった夢を叶えたいだけだ!」

 

「クリスちゃんの夢?聞かせて!聞かせて!」

 

 三度クリスに抱きついた。

 

「うっ、うるせえ!お前本当のバカ!」

 

 その時、響の携帯が鳴った。

 

「未来?」

 

「響!大変!リディアンがノイズに襲われてみんなが……!」

 

 携帯が途絶えてしまった。携帯はただプープー鳴るだけだった。

 

 先ほどの戦いは最終決戦のほんの序章に過ぎない。真の敵が待ち構えているのだ。3人はリディアンへ向かった。

 




「いよいよ最終回だ!」

「ココニキテナカマニナッタケドヨロシク!」

「ああ、よろしく!」

「ところでクリスってどういう子なの?」

「ソウダナ…ヒトコトダッタラ"ツンデレ"ダ。」

「まあ確かに素直じゃなかったもんね。」

「マア、ケッコウサミシガリヤダガ、クリスヲヨロシク!」

第15回 アグモン、ハグルモン、ファルコモン(in戦い終了後)

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