戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

149 / 227
ユニゾンPart2です。ぶっちゃけ今回プレラーティだけとばっちり食らってやられた感がすごいです。なんというかユニゾンの組みでは個人的にあんましパッとしない活躍だったかなって思えます。前々回から喧嘩してしまった調ちゃんとキャンドモンですが今回キャンドモンがどっかのデジモンシリーズの台詞を言っています。聞いたことある人にはあれかとわかります。ヒントは装者のパートナーデジモンが実際に行ったセリフです。


第148話 激走の蒼兎!

 調はただ1人思い悩んでいた。ただ1人誰とも合わせられずに壁だけが出来ていくという実感はいつしか今あるものを手放すことになるのではという疑問が生まれていた。

 

「おや、眠れませんか?」

 

 宮司が笑顔を浮かべながら調に声をかけた。

 

「はい、でも大丈夫です。私だけでもなんとかできるので…」

 

「そうですかな?ここは神社ですし困った時のなんとやらということでここはひとつ、お祈りでもして見てはいかがですかな?」

 

 宮司に言われるまま調はお祈りをすることになった。

 

「やはりあまりお祈りの動作は馴染んでないようですね。」

 

「うん、なんていうかめんどくさい…私はだれかに合わせることはできない。しきたりや決まりごとがよくわからないからなのかな?狭い世界でしか関係が作れないのに、今ではその世界すら壁でさらに狭くなる。厚くて大きな壁に人が遠ざけられている…そのせいで大切な友達とも喧嘩した。向こうは心配してるのかもしれないけど私にはどうしたらいいのか…」

 

 調は俯いていたが宮司は難しい顔をせずに穏やかなままで調を優しい人だと告げた。

 

 その予想外の評価に当然疑問を持った調はなぜだと声を荒げたが宮司は笑顔を崩さなかった。

 

「壁とはなにも遮るためだけのあるのではないのです。確かに崩す必要があるかもしれませんが拒絶だけが壁ではない。私はそう思います。ですからあなたの壁とは何かを知るのも大切なことです。それは急がず何年か経ってようやくわかるものなのです。」

 

 すると、本部から連絡が入った。

 

「現在新川越バイパスで錬金術師を発見!」

 

「なに!?」

 

 いち早く聞きつけた拓実と爽谷が響たちの部屋に向かった。

 

「みんな大変だ!今すぐ起きるんだ!」

 

「なぁーんですか〜?」

 

 部屋を開けられ響たちが目をこすって起き上がった。

 

「爽谷、今はまだ夜中でしょ〜?」

 

 マリアも欠伸をしていた。

 

「寝ぼける場合じゃないって、奴が現れたんだ!」

 

「お化けかなんかデスか〜?」

 

「大きいご飯〜?」

 

「そうそうご飯のお化けが出たんだって…

 

 だ、違う!!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「「え!?」」

 

 全員すぐに起き上がったが、拓実が近くで起き上がったマリアがうっかり放った拳で倒れてしまった。その際切歌が調を発見した。

 

「大丈夫!?」

 

「俺はいい…早く調ちゃんを…1人じゃ無理だ…」

 

「わかった!」

 

「待ちな爽谷、俺も連れてきな。調とはあんなこと言っちまったがあいつは追いかけようとするはずだ。頼む!」

 

「わかった!マリアさんたちは急いで準備を!僕が先行して奴を追います!」

 

「全くしっかりしなさい!」

 

「そうは言われても…」

 

 爽谷がデジヴァイスを構えた。

 

「クネモン進化!!スナイモン!」

 

 爽谷は1人スナイモンに乗って調の後を追いかけた。

 

「現在調ちゃん敵錬金術師を追跡中!」

 

「そんな!!まだユニゾンもできてないのに!!」

 

 藤尭が心配そうに状況を確認する中、弦十郎はただじっと見つめていた。

 

 

「シュルシャガナなら追いつける!!」

 

 調はただ1人追いかけようとしたが背後からバイクに乗った翼が駆けつけた。

 

「お前だけが高速起動能力を持ってるなどと思わぬことだ!」

 

「翼さん…!」

 

「僕も忘れないで欲しいかな?」

 

「シャドウシックル!」

 

 上からスナイモンがプレラーティを攻撃したがそれでもビクともしなかった。

 

「やっぱりこのままじゃダメか。」

 

「調!」

 

「キャンドモン?」

 

「べ、別に心配だからきただけだっての!そんなことよりここであれを一思いにバーストさせてあいつをやっちまおうぜ!」

 

 キャンドモンが一瞬顔を赤くしたがプレラーティの方を指差した。

 

「キャンドモンの言う通り、ここはイグナイトとデジクロスの共鳴現象で一気に行くぞ!このままでは被害が出てしまう。」

 

 しかし調はそれを聞いて俯いてしまった。

 

「ユニゾンは…出来ません…私はだれとも合わせられないから、1人でやります。」

 

「いい加減にしやがれ!!そんなセルフィッシュな言い訳があるかよ!!お前だけみんなからハブられて、ハブシャガナになるつもりなのかよ!?」

 

 キャンドモンが怒鳴りつける中調は唇を噛み締めていた。

 

「そうか、月読にも壁があるのだな。」

 

「え?」

 

「私にも月読のように壁を作っていた時があった。」

 

 翼は冷静さを欠くことなくプレラーティを追いかけた。

 

「そう、翼はあるときからずっと孤独に震えながら戦ってたんだ。けどみんなと触れて少しづつその壁は薄くなってついには壊れたんだ。そして大切な人の意思を知ったんだ。」

 

「もしかしてそれって天羽 奏さんの?」

 

 翼は静かに首を縦に振っていた。そして2人はトンネルに入った。

 

「私や月読にも壁があった。しかしそれはだれかを遮るためのものだけではない。」

 

「ああそうだ、お前は優しいんだよ!初めて出会った時や飯の時とかでもそうだが調は誰かを一番考える。だから自分にできることが誰かのことの妨げになるってなると一歩引く癖があるんだ。今まではいいかもしれねえ、けどな今必要なのはそれじゃねえんだ!

 

 優しいだけじゃダメなんだよ。強くねえと!優しさに押しつぶされて自分を見失わないことが本当に大切なんじゃねえのかな?」

 

「そうだ、月読が持つそれは優しさだ。」

 

「私の優しさ…ううん!!優しいのは切ちゃんだけじゃない!みんな私を考え、心配して、一緒に考えてくれるから私はそれに答えたい!」

 

 それを聞いたキャンドモンはハハと笑いデジヴァイスから出て調の肩に乗った。

 

「そうだ、その優しさに応えたいっつう純真がありゃあんなけん玉なんか怖くねえ!」

 

「キャンドモン、ごめんね…」

 

「いいっていいって、俺もすぐ熱くなっちまうからな。あとでなんか甘いもんおごってくれよな。」

 

 翼と調たちがプレラーティを追うべくトンネルに入った中爽谷はラーナモンにスピリットレボリューションし、プレラーティの動きを観察していた。

 

(あいつはどこかに向かっている。市街地を経由する前に決着をつけないと!けどまずは翼さんと調が決着をつけてからだね。)

 

「爽谷、様子はもう少しみといたほうがいいか?」

 

「うん、お願い…」

 

 プレラーティも痺れを切らしていた。

 

「ごちゃごちゃとうるさいワケだ!!いい加減消えるワケだ!」

 

 トンネル側に火を放ったプレラーティだったがその中からイグナイト化した調と翼が現れた。

 

「よっしゃああああああああ!!!!炎を浴びていつもよりパワーアップだ!!行くぜ行くぜ!キャンドモンワープ進化!!ボルトモン!」

 

「ファルコモンワープ進化!!レイヴモン!」

 

「小煩いのにはこいつをくれてやるワケだ!」

 

 調と翼がワープ進化するのを見るとプレラーティは改良されたギズモンXTを呼び出し戦わせた。

 

(ここから先は風月ノ疾奴を聴きながら読むのを勧めます)

 

「よし来た!翼さん、調!あれをやりましょう!」

 

「「託した!!」」

 

「2人のデジモンお借りします!デジクロス!」

 

「疾風迅雷走り抜け!」

 

「闇夜てらして悪即斬!」

 

「眠れ、永遠に!」

 

 光とともにラーナモン、レイヴモン、ボルトモンが混ざり合った。

 

「レイヴモンライトニングストリーム!」

 

「いざ尋常に勝負!」

 

 調と翼がプレラーティを両サイドから攻撃を仕掛け減速を試みた。しかしプレラーティに邪魔され激流で足止めをされた。

 

「ふん、歌女には激流が似合うワケだ!」

 

「そんなもの!」

 

 激流をあっさり回避した2人は地面を攻撃して踏み台を作り一気に跳躍した。

 

「どおおおおりゃあああああ!!!」

 

 レイヴモンライトニングストリームはボルトモンのトマホークでギズモンのボディに大ダメージを与えた。

 

「エレクトロフィスト!」

 

 右手から雷を帯びたパンチでギズモンは顔面を潰され戸惑っていた。

 

「トドメだ!ストリームクラッシャー!!」

 

 体を高速回転させレイブモンライトニングストリームは雷を放出しながらドリルのようにギズモンを貫いた。

 

「ここで負けるわけにはいかないワケだあああああああ!!!!」

 

「一気に行くぞ!駆け抜ける!」

 

 2人のアームドギアが合体して西洋の戦車を思わせる乗り物に変化した。プレラーティもサンジェルマンに急ぎ真実を伝えるべく同じような形で翼と調に向かい合った。

 

「教えてくれた!」

 

「私も教わった!」

 

「「調べないこの絆 爆ぜよおおおおおおおお!!!!!」」

 

 両者の激突は翼たちが優勢だった。

 

「サンジェルマン、サンジェルマンんんんんんんんんんーーーーーー!!!!!!!」

 

 プレラーティは無念の思いのまま光と共に消えていった。そしてあたりに爆発音が響いた。

 

「勝った?」

 

「ああ、2人でつかんだ勝利だ。」

 

 戦いになった2人は安堵の笑みを浮かべた。

 

「ったく、ようやくスッキリかよ。」

 

「ありがとね、キャンドモン。」

 

 調の脳裏には初めてキャンドモンと出会った時のことを思い出していた。

 

 

 それはまだFISが武装蜂起する前のことだった。ナスターシャ教授は事前にデジヴァイスを盗んでいたのだ。

 

「マム、これがわたしたちのデジヴァイスデスか?」

 

「そうです。今からあなたたちと喜びを分かち合うパートナーが現れますよ。」

 

 調は当初パートナーといってもどう接しようかわからないままだった。

 

「一緒にやるデスよ調!」

 

「うん、切ちゃん…」

 

 デジヴァイスのスイッチを押すと画面からパートナーが飛び出て来た。

 

「君が僕のパートナーだね?ワームモンって言います…」

 

「おお!!可愛いのデス!」

 

 切歌がワームモンを抱きかかえた。

 

「で?俺のパートナーはサムウェア?」

 

「じーっ…」

 

「もしかしてお前か?」

 

「うん、月読 調だよ。」

 

「まあこれからよろしくな!ロウソクだけど頑張るぜ。」

 

「うん、よろしく。でもどこで握手すればいいの?」

 

「そりゃあ火の付いてないとこだよ。ちゃんと手もあるんだぜ?」

 

 それから皆、パートナーたちと笑い合い、喧嘩したりして絆を高めていったのだ。

 

(思えば私はみんながいるからこの場にいてみんなと戦えるのかもしれない。私にできることはきっとそれなんだ。)




「いってえ…」
「大丈夫?」
「大丈夫です。不注意でこうなっただけなんで。」
「全く、もっと落ち着いて話さなかったから…」
「いや、それマリアさんが言えたことじゃないでしょ。大事な地図握りしめて危うくしわくちゃになるとこだったんですよ?」
「う、それは寝ぼけてたからよ!」

第100回 マリア、拓実(in帰還途上)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。