戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
それとこの辺りからティキがどんどんヘイトを溜めるようになりますが公式によると彼女には悪意がないっていう分ただ流されるだけていう人形そのものである的な記述を見て最初こいつ結構なバカキャラでドジ踏みまくりそうって思ってましたけどそれは後々に回って来いぇここでかよってつっこみました。
カリオストロとの戦いの後ユニゾンの特訓に励み、響と切歌が特訓をスムーズに進める中調だけが周囲に合わせてフォニックゲインが高められずにいた。
「月読、行くぞ!!」
ホログラムのトリケラモンを相手に翼と調が連携を図るが切歌に慣れていた調は一向に合わせられないままでいた。
「調、やっぱり切歌とじゃないと無理そうかもね。」
弦十郎たちが見守る中、リコリスは手錠で手が動かない中で淡々と調を見ていた。
「あーあ!あいつ、元から合わせる気ないんじゃねえの?
ギアの性能にかまけてた反動がここに来て見えたのかもな。悲しいねえ、せっかく色々やったってのに…」
「ちょっとそこのおチビく〜ん?あんまり人のことを悪く言っちゃダメだよ?」
アケミがニコッとしながらリコリスにアイアンクローを決めた。
「いででででで!てめえ、今の痛かったぞこら!!」
「それ以前にも少し周りを気にしようか?」
横で軽くもめてるアケミとリコリスをよそに弦十郎は絆のユニゾンの穴に頭を抱えていた。
「どうしたものかな、大きな落とし穴が早くもできてしまったか…」
すると緒川が印を結んで風と共に調と翼の前に現れた。
「よければ手伝いますよ?」
「あいつもただのアイドルのマネージャーってわけでもないようだな。」
「ああ、緒川は飛騨山中に隠れ住んでいた飛騨人群の忍者だ。だからお前と同じくらい強敵なのは間違いない。」
「ほう…じゃあお手並み拝見と行くかな。」
「手を貸しますよ?」
「無限軌道でやっちゃうデスよ調!」
「月読、緒川さんは強い!心を合わせなければその影すら捉えられぬと覚えよ!」
調と翼が緒川に向かって行く中、パートナーデジモンはお互いの連携をうまく取り呼び出されたトリケラモンを相手に上手く立ち回っていた。
「行くぜペックモン!」
「ああ!!苦無羽!」
「からの〜!バーニングフィスト!!」
ペックモンが飛ばした苦無羽にメラモンの炎が燃え移り火の玉のようになってトリケラモンに命中した。
「調、超進化プリーズ!!」
「くっ!」
調は翼と合わせようと試みるもやはり調の方から連携が乱れてしまった。
「何をやってんだ、調!テンションが高いぞ!?一旦落ち着け!」
「分かってる!」
調が緒川を追い込むため、必死にただ1人で攻撃を放ったがスピードでの面で勝る緒川を前に焦りが見られた。
「月読、落ち着いて合わせるのだ。でなければ捕らえられない!」
翼の助言に対しても焦る調には逆効果だった。
「だったら面で一気にやれば早い!」
α式 百輪廻で緒川が残像が使えないよう徹底的に追い詰めたが運悪くそのうちの一枚が緒川の胴体を切り裂いてしまった。思わぬ事故に戸惑う一同だったがそれは緒川の空蝉の術だった。
「やべえな、本当にシャレにならねえ感じだな。よっぽど切歌ちゃんとの連携がよかった分の弊害ってやつかもな。」
「問題はなさそうですがあとは使い方ですかね。」
緒川が微笑む中調は唇を噛み締めた。
「調…」
拓実と爽谷も翼と調だけがユニゾンをうまく進められないことを心配していた。
「調、なんでさっき翼先輩を頼らなかったんだ?頼っときゃあ、少しくらいスムーズに…!」
「キャンドモンにはわからないよ!切ちゃんがいないと私には…」
調は自分の名前がわからない。
月読 調はFISに来た時に持ってた持ち物から職員によってつけられた名前だった。そんな時にさりげなく話しかけてくれた切歌に友情を感じたり、マリアとも親しくなり、アケミには可愛いから頬をプニッとイタズラされたりしていた。しかし、彼女の人間関係は切歌に比べると薄い。切歌は太陽のように人とすぐ接しようと試みるが調にはその勇気がなくただ、今あるものに頼り続けていた。だが今となってはその大事な関わりであった切歌との距離は広がるばかりであった。
「おいおい、調!何もそこまで言うかよおい!俺は調のリレーションシップを気にしてんだぜ!?俺はお前のパートナーなんだよ!」
キャンドモンがむすっとした表情を浮かべた。調にはかえって逆効果だった。
「キャンドモンにはわからないよ!パートナーって言ったってどうせ…!」
「そうかよ、じゃあもういいよ!お前が頭をクールにするまで家出だ。この頭でっかち!!
だったら今から俺は切歌やマリアたちと組んでやる!今までお世話になりました!」
キャンドモンが調の態度に呆れてデジヴァイスから出てしまった。その後切歌にお願いしたところワームモンと相性が悪いため断られたので、マリアのデジヴァイスに入ることになった。
「よお、お前も災難だな。」
リコリスが手錠に繋がれたまま廊下を歩いていた。
「あなたは、なんでうろちょろしてるの?」
「別に…ただ用が済んだから大人しく元の場所に戻るだけだ。」
「そうなんだ…」
調が上の空で話を聞き流していた。
「かっこ悪いよ、お前。自分自身なんなのかもういっぺん考えろ。でもって、もうちょい大胆になるんだな。あばよ…」
「そんなこと言ったって私には…」
パートナーと些細なことで喧嘩までしてしまった調はどうするのだろうか?
時を同じくしてカリオストロが敗れたと言う知らせはすぐにアダムに知られた。
「カリオストロはお星様になったよ〜!大っきなお星様だよ〜!ちーん!」
カリオストロの戦死に動揺を表したサンジェルマンに対してアダムがプレラーティがちょうどいい生贄になったなと笑いながら彼女の耳元に囁いた。
「局長、あなたと言う人はどこまでも…!」
カリオストロが怒りに任せてアダムを叩こうとしたが軽々と受け止められた。
「人でなしか、正しいよ。君の見解は。」
そういうとアダムはサンジェルマンを一方的に地べたに這いつくばらせた。
「アダムの鬼、悪魔、人でなし!!でもそんな悪い男に惹かれるのよね〜!」
サンジェルマンに心配の意など示さず、ティキはアダムに心酔していた。
「だってほら、神の力だよ?人の身で手に入るわけがない。」
アダムは冷徹ともとれる態度で倒れたサンジェルマンを見つめていた。
「にしても珍しいねえ、人間を理想のためにバサバサ殺し続けた君が仲間の命を大事にする心があるなんてね。」
サンジェルマンは己の無力さを嘆いていた。
(私は一体なんのために!かつての仲間と決別してまで理想を手にすべく生じてしまった犠牲に目を瞑りながら使命を果たしてきた!何故だ!何故なんだカリオストロ…!)
カリオストロは命令をあまり聞かず、ひたすら奔放だった。しかし、仲間を想う気持ちは本物だった。彼女にとってカリオストロにとってはかけがえない仲間だった。サンジェルマンは涙を流そうとしたが何が何でも理想を叶えなければという思いの元儀式を続けようとするため流すのをやめた。いくつもの想いが方向を見失おうとした中、誰がそれらを導くのだろうか?
「今回の件、バルベルデもあってか緒川さんは目立ちすぎです!緒川さんは忍びのなんたるかを忘れてます!最近では奏の幻も出ない始末…断固として雇用の改善を要求します!」
「翼さん、さっきこんなん見つかったんですが…」
「なんだこれは?忍者のヒーローというやつか?」
「ええ、この人たちもそんな忍んでないですよ。今の時代忍ってのは適材適所なんですよきっと。」
「うむ…水琴。しばらくこの番組を見るぞ。」
「あ、はい。」
第98回 翼、拓実(inSONG本部)