戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
翼が響たちと遊びに行ったその翌日、2人は翼が中止されたライブの埋め合わせが10日後に開催されると言うことで未来と響にチケットを渡した。響には会場の場所が目に入った。そこは2年前奏が殉職した場所だった。
「過去は乗り越えていけますよね?翼さん!」
「ああ!そうだな!そう信じている!」
響の質問に対してこれっぽっちも迷う表情すら見せずに翼はうなづく。
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それから10日後、ライブが開かれていた。翼は以前に海外展開を持ちかけたトニー・グレイザー氏の話を断らずに考えさせて欲しいと一言だけ言った。響はライブ会場に向かっていた。
「せっかくチケットをもらったんだから……急がないと!」
しかし、響の携帯にノイズが現れた情報が届いた。
「わかりました。私、行きます!」
しかし、拓実が止めた。
「待て、立花さん。今日は翼さんのライブだ!司令、今日は翼さんと立花さんはお休みさせてあげてください。
大丈夫、俺には仲間がいます。翼さんには歌う戦いが、立花さんはそれを見届ける戦いがあります。お願いします!」
弦十郎は驚いたがすぐに微笑み、声を鋭くした。
「やれるんだな?」
「はい!」
「水琴さん……」
「任せときな!デジメモリのバーゲンセールだ!
お互い、祭り騒ぎを楽しもうぜ」
「はい!」
拓実はエアドラモンを呼び出した。
(俺の予想が正しければ……奴もおそらくここにいるはずだ。立花さんじゃややこしくなりそうだしな。俺が行くぜ)
密かな期待を胸に拓実はたった1人でノイズの元へ向かうのだった。
(ここから先は Flight featherを聞きながら読むのを勧めます)
響と翼がホールにいる中、拓実はデジメモリでエアドラモンを呼び出し現場に向かった。すでにクリスがノイズと交戦していたが大型のノイズに苦戦を強いられていた。ノイズの反撃でクリスは攻撃を受け、爆煙で吹き飛ばされた。そして攻撃が迫った。
「あんたもここで終わりよ〜」
エテモンがダークスピリッツを放った。
「させるか!」
<グレイモン!デジメモリオン!>
「メガフレイム!」
横からエテモンを火の玉が吹き飛ばした。
「何よ!?未来のスターに向かって!」
「ヘッ、集団リンチは卑怯だろ!」
「うっさいわよ!行きなさい!クアトルモン!」
その時、空から暴走したクアトルモンが現れた。
「今まであんたたちはこいつを相手にしたことないでしょう!?終わりよ!」
今まで拓実たちが戦ったのは成長期、成熟期、完全体だったが、アーマー体は初めてだった。
「まだだ!俺たちは負けないさ。今日は最高のステージなんだ!行けるかい?クリス……ここは俺たちと一緒に戦ってくれ!」
「うっ、うるせえ!貸し借りはなしだ!」
「ハグルモン進化!メガドラモン!」
メガドラモンはクアトルモンと空中戦を展開していた。
「シードラモン!クリスと一緒にノイズを頼む!」
「ああ!」
<デルタモン!デジメモリオン>
「まずは持ってけ!トリプレックスだ!」
「トリプレックスフォース!」
デルタモンは周囲に攻撃した。
「クアトルモンは任せろ!」
<イビルモン!スティングモン!アクイラモン!デジメモリオン!>
デジメモリでさらにイビルモン、スティングモン、アクイラモンが現れた。イビルモンとスティングモンをクリスの援護に回し、拓実自身はアクイラモンに乗りメガドラモンの援護に回った。
「ナイトメアショック!」
イビルモンの超音波でノイズは一掃された。
「スパイキングフィニッシュ!」
スティングモンは飛び上がって、連続蹴りを放ち、トドメに大型ノイズを突き刺し、ノイズの体勢を大きく崩した。
「嘘でしょ!?」
「持ってけダブルだ!」
<BLIION MEIDEN>
エテモンが狼狽えてる間にクリスが集中砲火を浴びせた。
「アイスアロー!」
シードラモンも氷の矢を放った。
「痛いわねえ……」
エテモンはボロボロのまま撤退した。
「まだだ!」
デジヴァイスが水色に輝いた。
「シードラモン!超進化!メガシードラモン!」
メガシードラモンはすぐさまノイズを巻きつけた。
「サンダージャベリン!」
巨大ノイズが先ほど攻撃された部分を重点的に攻撃し、ノイズは崩れ去った。
「まだだ!」
<MEGA DEATH PARTY>
クリスの追撃でノイズたちは完全に倒された。
「グライドホーン!」
アクイラモンがクアトルモンをツノでついたが受け止められ弾かれてしまった。クアトルモンが体を螺旋状に回転させて光線を放った。
「フリーズウェーブ!」
アクイラモンは撃ち落とされ拓実も落ちようとしていた。
「うわわわわ!!」
咄嗟にデジメモリを挿入する。
<フライモン!デジメモリオン!>
「お返しだ!」
「デットリースティング!」
毒針でクアトルモンは麻痺した。
「今だ!」
「ジェノサイドキャノン!」
クアトルモンは攻撃を受け止められず、落下した。
「メガシードラモン!トドメだ!!」
「サンダージャベリン!」
落下する中、サンダージャベリンを受けたクアトルモンはデジタマに戻された。
「よし!」
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翼が歌い終えた。
「ありがとう、みんな!こんな気持ちで歌のは久し振り!私は歌が好き……其れを思い出せたの!聴いてくれるみんなの前で歌うのが好き!」
会場から歓声が響いた。
「みんなはもう知ってるけど、私は海外で歌うかというオファーが来ている……今までは何のために歌っていたかは分からなかった。けど……今ならこれだけは言える!"私は世界に歌を届けたい"!」
会場は歓声と拍手に包まれた。
「だから……ひとつだけお願いがあるの。
私はこれから1人ではなく、みんなの心を乗せて歌いたい!言葉の通じない世界で歌が届くと信じるために!できたら……こんな私の我儘を許してほしい!」
翼は目をつぶった。そして奏がかつて言った言葉を思い出した。「許すさ」と言う言葉が。
すると聞こえたのは観客たちの声だった。
「大丈夫!乗せていいわよ!」
「翼さーん!」
「海の向こうに連れてってくれ!」
「応援してるわ!」
「アメリカ、ヨーロッパもどんとこい!」
「かっこいいよ!」
「翼さんの我儘1つなんて許せるぜ!」
「翼!翼!翼!」
「みんな……ありがとう!」
観客に礼を言う翼には涙が流れていた。
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一方クリスはその場から去り、またも放浪していた。
「何で、あいつを助けたんだ!?あいつは敵だっていうのに……!」
「よっ、また会ったな。ずいぶん荒んでるじゃないか?」
「お前は何であたしを助けるんだ!?あんたたちは敵だぞ?まさかまた仲間って言うつもりじゃないだろうな!?」
「お前のことを心配している奴がいる。随分前に小日向って人に会ったろ?その人が今もお前を心配している」
「あいつが!?」
「そうだ。せめて最初にできた友人くらいは無事だってことを教えたらどうだ?」
「うるせえんだよ!お人好しな奴はいっぱい見て来たが、みんないなくなった。あたしに残ったのは孤独感だけだ!」
クリスが去った。
「そうかな?お前は他に何か残っているはずだ。お前はそれから目を背けている。違うか!?」
クリスは拓実を無視してハグルモンを召喚させ、メカノリモンに乗って逃亡した。
「拓実……」
「きっと、目を背けてるんだ。司令だってこの場にいたらきっとそう言ってるはずだ」
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一方エテモンがフィーネの屋敷に戻っていた。
「あいつらだけは許さないわ!フィーネ!なんか良いもんよこしな!」
すると、背後からネフシュタンの鎖が現れエテモンを貫いた。
「良いわよ。痛みから与えられる力こそ素晴らしいから……さらなる力を上げるわ。これなら何とかなるでしょ?」
「なにこれ?力が!力がみなぎって来たあああああああ!!!」
エテモンが赤黒く輝き、山中には奇声が響いた。
「さあ、私のために働いてちょうだい。メタルエテモン」
エテモンはクロンデジゾイド合金でフルコーティングしたボディに身を包んだメタルエテモンに進化した。
「オッケー!アチキ1人でみんなあの世行きよ!」
ここに初の究極体がこの世界に登場してしまった。
まさかの初究極体となったのはメタルエテモンです。ここで究極体を出しても大丈夫かと思いますが、彼は慢心しやすいからアニメで完全体の攻撃で致命傷が原因でやられた印象があります。ですから少しは完全体のデジモンでも善戦させます。(勝つとはいってない)
では、後書きです。
「一期も原作だった今回は9話だ。あとわずかになったな。私たちの出番とかいつ以来だろう?」
「結構経ってるな。だが、それがどうした?世の中には出番があってもいい扱いを受けるとは限らんのだぞ。」
「それもそうだなあ…早く活躍したい…」
第14回 ハックモン、ドゥフトモン(in国連本部)