戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回は非戦闘回です。拓実がどんどん空気になってますが出番を0にはしません。
で、翼さんのパートナーをファルコモンにした理由ですが、ファルコモンの究極進化であるレイブモンが忍者っぽいのと完全体のヤタガラモンでこれから大空へ羽ばたく決意を固めさせようという意味でチョイスしました。



第12話 冒険!翼の知らない世界!

 まだ、拓実が二課に来る前のことだった。非番でバイクで翼は遠出しようとしていた。鼻歌を歌いながら用意をしていると後ろから奏が現れた。

 

「ご機嫌ですな〜♪」

 

「今日はちょっと遠出しようと思ってるんだ」

 

「免許を取ったばかりだしな。それにしても任務以外で翼が歌うのは初めてだ」

 

「うむ、そうだな」

 

「奏!コテモンまで……」

 

 赤面して目を背けた翼は奏のデコピンを受けた。

 

「また、鼻歌を聞かせてくれよ。行ってきな」

 

 そんなことを思い出しているうちに、現在では風鳴 翼はすべての治療を終えた。

 

(ただいま……奏……)

 

____________________

 

 1日の授業を終えた未来と響は二課の本部への廊下を歩いていた。

 

「学校の地下にこんなシェルター付きの基地があったなんて……」

 

「あ、翼さん!」

 

 響が走り出すと、そこには翼以外に緒川と藤堯にテントモンもいた。

 

「おお、立花!そちらは協力者の……」

 

「小日向 未来です。響がお世話になりました」

 

「そして響の親友よね!」

 

 ピヨモンが捕捉した。

 

「こら、ピヨモン!」

 

「立花はこういう性格だからうまく支えてやってほしい」

 

「いえ、響は残念な子ですのでご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」

 

「まるで、近所に越して来た人のあいさつみたいでんな。なんでや?」

 

 テントモンはその様子を見て首を傾げていた。

 

「ええ!?どういうこと?」

 

「響さんを介してお二人が意気投合してるんですよ」

 

「なあんか小難しいなあ……それにはぐらかされたような……」

 

 響が頬を膨らませた。

 

 あの日から未来は、二課の一般人協力者として二課の手回しにより任命されたのだ。そしてその手回しは弦十郎によるものだった。しかし、今弦十郎は外出しており、どういうわけか拓実をそれに付き合っているという。モニターにはTATSUYAに緊急返却という字が残っていた。

 

「あーらあ……ガールズトーク?」

 

「どこから突っ込んだらいいのか?取り敢えず僕を無視しないでください」

 

 会話に乱入してきた了子に対して緒川が呆れていた。

 

「わいと朔也はんもやで」

 

「了子さんはそういうのに興味あるんですか!?」

 

「もちのろんよ!私の恋話100物語聞いたら夜も眠れなくなるわよ……」

 

「何、その怪談みたいなのは……」

 

 しかし、響はノリノリだった。翼はそれに少し呆れていた。了子は自分はこう見えて呆れちゃうくらい一途なのだと言った。未来と響はノリノリで翼は今まであった研究一筋だと思っていたことと違うのに驚いた。その後ろで藤堯がひっそり立ってるのには特に触れられなかった。

 

「いのち短し恋せよ乙女よって言うじゃない?それに女の子の恋のパワーってすごいのよ!」

 

「女の子ですか……」

 

 緒川が少々引き気味に言ったが次の瞬間裏拳を受けた。

 

「私が研究を始めたのだって……!」

 

 響と未来が何かくるか期待していたが、そこは秘密のようだ。

 

「ま、とはいえ私も忙しいからあんまり油を売れないのよね」

 

「自分から割り込んで来たくせに……」

 

 緒川がボヤくと了子の蹴りを受けた。

 

「緒川さん!大丈夫ですか!?」

 

「緒川はん!?」

 

 藤堯とテントモンが気絶した緒川を起こそうとしている中で翼はそれを唖然としながら見ていた。未来と響は了子の方を向いていた。

 

「それじゃあねえ〜!」

 

「聞けなかったわねえ……」

 

「ガードは固いか……けどいつか聞き出してみせる!」

 

 横で翼は呆れながら立花を見ていた。

 

(らしくないことしちゃった。変わったのか……変えれたのか?)

 

 了子にはまだ秘密が多いようだ。翼は弦十郎にメディカルチェックの報告をしたかったのだが、回復してすぐにもかかわらず次の予定が迫っていた。翼本人曰く、慣らし運動のつもりらしい。

 

「だったら、翼さん。デートしましょ!」

 

「デート?」

 

 果たして響の言うデートの意味とは?

 

____________________

 

 一方、弦十郎と拓実はTATSUYAでビデオを返却し、また別の映画のビデオをレンタルした。その後パンと牛乳をなぜか買い、マンションのようなところに向かっていた。

 

「ええっと……司令?何故に今日俺を呼んだんです?」

 

「今、弦十郎は考え込んでいる。

 

 昨日お前は2人でなんとかしようと言ったな?今がその時だ」

 

「そ、そうですか?」

 

 そして弦十郎がドアを開けた。

 

「ど、どうも……お邪魔しまーす」

 

玄関から居間に向かった。

 

(知らない人の家とか入っていいのか?俺は怖いぜ。人の家に入っていったら横からお化けが……)

 

 その時、横から何者かに殴り飛ばされた。

 

「うわあああああああ!!!」

 

「よう、差し入れだ。大丈夫、応援は連れて来ていない。こいつだけだ」

 

「イテテ……何が起こったんだ?」

 

「大丈夫か、拓実?ああ……問題ないようだな」

 

 そこにはクリスが立っていた。

 

「いってて…ああっ!お前は!!」

 

「どうしてここが?」

 

「元公安の御用聞きでね。慣れたもんだ」

 

 すると、クリスの腹の音が響いた。

 

「あれ?クリスか……」

 

「クリス、ハラヘッテルナラタヴェテオコウ。ドクナドハ、ハイッテハイナイ」

 

「ちっ!分かったよ……」

 

 弦十郎が語り出したのはクリスの両親についてからだった。

 

 雪音 クリスはヴァイオリニストの父__雪音 雅律(ゆきね まさのり)と声楽家の母__ソネットMユキネとの間に生まれた。両親は8年前、南米の国 バルベルデ共和国の紛争に伴う難民救済の最中に死亡した。そして間も無くしてクリス自身も行方不明になった。

 

 しかし、その後国連軍が介入したことでクリスは保護され日本に移民される予定だったが帰国後消息不明になったそうだ。

 

「よく知ってんじゃねえか……そう言う詮索、反吐がでる!」

 

 そしてさらに語られたのは、クリスの捜索などを行った者たちが悉く死亡や行方不明になったために打ち切られたと言うことだ。

 

「そんなことが……」

 

 自分の知らないところで起こっていた真実に拓実はただ呆然と聞くだけだった。

 

「キサマ、ナニガイイタイノダ?」

 

「俺は君を救いたい。与えられたものをこなすのは大人の務めだ」

 

「ハッ、大人の務めと来たか。いつも余計なことばっかりして何もしてくれない奴が偉そうに!」

 

 飲んでいた牛乳パックを投げ捨てて逃げようとしたところに拓実が立ちはだかった。

 

「待て!この人の言うことには嘘がない!ひとまずここは……」

 

「うるせえんだよ。お人好しもいい加減にしろ!」

 

 クリスは駆け出していった。しかも窓を突き破って飛び降りた。

 

「ハグルモン進化!メカノリモン!」

 

 メカノリモンに乗ってクリスは逃亡した。

 

____________________

 

 翌日、デート(?)の待ち合わせ場所に翼がいた。ちなみに拓実は今日も弦十郎に連れ回されていた。

 

「あの子たち、何やってるの?」

 

「まあまあ、翼。待ってあげようよ」

 

 ファルコモンが宥めていると未来と響が遅れて来た。2人は寝坊したことを翼に言おうとしたが、翼の格好は明らかに楽しみにしていたかのようなものだった。

 

「そうだねえ……楽しみにしてたのかも……」

 

「以外と眠れてないんじゃない?」

 

 アグモンとピヨモンも頷いた。

 

「誰かが遅れた分を取り返したいだけだ!」

 

 3人はショッピングモールでマグカップを見たり、映画を見て感動して号泣しまくったり、アイスを食べ歩いたり、ファンに見つかりそうになったりなどで楽しんでいた。そして響は翼の望むぬいぐるみを手に入れようと躍起になっていた。

 

「遊戯に少しつぎ込みすぎじゃないのか、立花?」

 

「いいえ、やってみせます!」

 

 台に一回ぶんのお金を使い響はスイッチを勢い良く押した。

 

「きいええええええ──────い!!!」

 

「変な声出さないの!」

 

 しかしぬいぐるみをキャッチできずに落としてしまった。

 

「壊れてるー!こうなったらこわしてでも!」

 

「お、落ち着け!平和的にだ!」

 

「大声で騒がないで!そんなにいいならここよ!」

 

 3人はカラオケにやって来た。未来と響が曲を選ぼうとした中モニターには恋の桶狭間と表示された。未来と響は選んだ?と互いに確認したが、選んだのは翼だった。

 

「一度こう言うの、やって見たかったのよね」

 

 3人はカラオケでその後歌い続けた。その歌声に二人は唖然としつつも目を潤わせて感心していた。

 

____________________

 

「本当に今日は知らない世界ばかりだ」

 

一日を終えようとする三人は最後に町はずれの公園にいた。そして充実した一日を振り返っていた。

 

「そんなことないですよ!あそこを見てください!あの公園もあの場所もみんな知っている場所です」

 

 未来が微笑んだ。そこには何気ない一日を送っている人々や建物が彼女たちの目に移っていった。

 

「そう、翼が戦っているからこそみんなが笑顔に暮らせているんだよ?」

 

 ファルコモンが翼を見た。すると翼がファルコモンを抱きかかえ、夕日を見た。

 

「そうか。これが……奏の見てきた世界なんだな……」

 

 翼が沈みゆく夕陽を眺めながら微笑んだ。




「それにしてもドゥフトモンのやつ結構苦労してるらしいじゃないか。」

「人間は我々以上に複雑なようだな。それにしても我らの出番少なくね?」

「まだ一期だからいいだろう。そのうちきっと出番はくるさ。」

「噛ませキャラはもう十分だからな。」

「ドゥフトモンの悲惨さを忘れるなよ。あいつ初登場で噛ませだぞ。しかもたった1話でだぞ。俺たちみたいな終盤出番があってのやつよりひどいからな。」

「うむ…」

第12回 ロードナイトモン、デュナスモン(inデジタルワールド)

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