戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
分かれたマリアたちは暗い道を進んでいた。響たちはエレキモンをデジメモリで呼び出し、先頭に歩かせた。
「へえ、デジモンって呼び出せんだ!」
拓実が興味津々な表情で先を進んだ。
「さて、かなり進んだのかな?かれこれどれくらい歩き出した?」
翼がどこまでも続く一本道にうんざりしたのか辺りを見回して確認を取ったが周りの皆も同じような景色を前に時間感覚が少しばかり鈍くなっていた。
「うん?あれってあかりですよ!やったあ!出口です!」
響があかりを前にして走り出した。するとまたセイレーンの歌声が響いた。
「おい立花待て!そう慌てるな!」
翼も走り出すが、明かりの先にはノイズの大群が待ち構えていた。
「ノイズの…!拓実さんは隠れててください!行きますよ!」
聖詠をまとった3人は先ほどとは異なり、デジモンたちも進化させてノイズ軍団を攻撃しようとした。
「うそぉ…ノイズを倒せる武装に進化したデジモンを操るって、とんでもない人たちと手を組んじまったな。俺も…」
猛攻を続ける3人に対してセイレーンの歌が響いたと同時に黒い靄とともにクジラ型のカルマノイズが現れた。
「やはり現れたか…今度も返り討ちにしてあげる!」
響がカルマノイズに一発を当てようとしたが尾を払って防がれた。
「メガフレイム!」
グレイモンも火球で攻撃したがカルマノイズは近くの水面に逃げたためダメージを与えられなかった。
「だったら!」
<NOBLE†TEAR>
アームドギアで水柱を発生させたマリアはクジラの潜む水面めがけで水柱をぶつけた。
「おびきだせたか!一気に叩くぞ!」
「うん!」
ペックモンにまたがった翼が跳躍してペックモンは下から、翼は上から斬撃を同時にはなった。
「今だ立花!」
「はい!」
背中のブースターを射出してスピードをあげた響の拳はカルマノイズの体を貫いた。カルマノイズはそのまま水に叩きつけられた。
「よし!これで大丈夫ね。」
「やれやれ、オタクら結構とんでもない連中だったんだな。となるとさっき俺の取ったペンダントって実は結構必要なやつだった感じ?」
「行くわよ。」
マリアたちは拓実を無視して歩き始めた。
「おいおい!!シカトはなしと行こうぜ。なあ、おい!待ってくれえええ!!!」
いつの間にか拓実は皆に置いてかれるキャラになっていた。
(ったく、とんでもない奴らと組んだからこの有様だよ!ついてないなあ…)
一方、クリスと切歌も広い部屋に出た。
「なんかこの部屋広いデス。」
不意に歩いていると切歌が偶然スイッチを押してしまった。
「切ちゃん!?」
すると切歌の足元が消えようとしていた。
「バッ!あぶねえ!」
クリスが切歌を突き飛ばした。
「クリスせんぱああああああああいいいいいい!!!!」
調の絶叫が響いた。しかし、
「おい!叫んでないで助けてくれよ!突っかかってるけど落ちそうなんだよ!」
よく見るとクリスの足元には剣山が広がっていたがクリスの胸が壁に引っかかったためそれ以上落ちずに済んだのだ。
「ワームモン、糸で引き上げるデス!」
「うん!シルキースレッド!」
ワームモンの糸でクリスは引っ張られた。
「ありがとうなのデス、クリス先輩の胸様。」
「切ちゃんを助けてくれてありがとうございます。」
2人はクリスの胸を見ながらお礼を言っていた。当然クリスがキレたが、すぐにセイレーンの歌が響いた。
「ったく、空気の読めねえやつだ!一気に片付けるぞ!」
するとその中から靄が現れた。
「まさか!カルマノイズ!?」
「なら好都合デス!あたしたちでリベンジしてやるデスよ!」
聖詠を唱え切ったと同時に3人にイカ型のカルマノイズが現れた。
「イカ!?セイレーンだから人魚型じゃねえのか!?」
「そんなのは後デス!今はこいつデス!」
「よし!俺に任せな!」
メラモンが1人先行してカルマノイズに掴みかかった。
「逃がさねえぞ!焼きイカにしてやるぜ!バーニングラッシュ!」
バーニングフィストのまま連続突きでカルマノイズを攻撃しようとしたメラモンだったが、カルマノイズは自ら触手を切って脱出した。
「まだだ!チャンスは来たぜ調!」
「うん!」
<β式 巨円斬>
ヨーヨーを巨大化させてヨーヨーを振り下ろした調は一気に振り下ろしたが、カルマノイズの気づかれ避けられてしまった。
「二度あることは…!」
「三度あるデス!!」
調の頭上から切歌とクリスのメガドラモンが現れた。
「ついでにこれもプレゼントだ!ジェノサイドキャノン!」
メガドラモンの攻撃で動きが鈍くなったところ切歌が一気に斬りかかった。
「今デスクリス先輩!」
「ああ!チャージ完了!フルパワーだ!」
クリスは水が充填されたミサイルに乗って水鉄砲を打ち続けた。
<SURFING PREAST>
水鉄砲攻撃を避けようとしたカルマノイズだったがミサイルはそれより早くクリスが離脱しミサイルは壁に激突し水柱を上げた。
「よくやったなお前ら!」
「ああっ!穴が空いてやがる!なんなんだよ!」
すると響たちが戦いで空いた穴を通ってきた。
「そっちも何かと遭遇したようだな。」
「ああ、その様子からだとそうみたいだな。」
「おっ、これって…!へへっ、いっただき!」
こっそり拓実はその辺に落ちてた何かを拾ったがすぐに近くにいたクリスに腕を掴まれた。
「いでデデデ!!!ちょっと〜!マジで痛いんすけど!離してくれませんかね〜!ねっ!お願いするよ!ほらマジでお願い、いたたたたた!!!」
「お前今なんか拾ったろ?」
クリスがニコッと笑顔を見せながら拓実をにらんだ。
「嫌だなあ、んなわけないじゃないっすか!ははは!」
拓実がはははと笑いながら目をそらした。
「ならこれだ!」
クリスに投げ飛ばされ拓実は近くの水辺に落ちた。
「うびゃああああああああ!!!」
すると近くに何かのかけらが落ちた。
「ったく、そんなこったろうと思ったぜ。」
「これって!なんで持ってたのよ!」
マリアが拾ったのは以前マリアたちが手に入れたかけらと同じものだった。ここに来る前、エルフナインからはかけらは聖遺物由来のもので今回の異変はカルマノイズが聖遺物を取り込んだのが原因だと考えられるという説明をマリアたちは受けていた。
「ゲホっ!ゲホっ!いや、あれっすよ!なんか大したことなさそうなのだったんでとりあえず借りパクしとこうと思ってですね〜」
必死に弁明しようとしたがマリアたちが先に行ってしまった。
「まだ俺の弁明タイム終わってないんすけど〜!」
「そりゃ悪かったって思ってますよ。ただわざわざ投げるこたぁないでしょうか!まああれに関してはちゃっかり拾っといたほうがトレジャーハンター的にも良いだろうしって完全良かれと思った結果でして…てか、俺にも俺のペースってやつがあるんすよ!今回だってお宝取ろうにも取れませんでしたし!」
歩く中でかい声で拓実は弁明と言う名の言い訳をしていた。マリアたちはそれをなんとか無視しながら歩いていた。
「つーわけで、自分は拾うべくして拾っただけっすよ!だから、許してニャン!」
一行は言い訳を言っていい訳もなく、ただ呆れていた。
「饒舌なものだな。」
翼が呆れながらそのまま振り返った。
「いやだって、誤解されたまんまってのも流石にまずいでしょうが!なら多少はね。」
「呑気すぎて逆に呆れるわね。」
「おいおい!!そりゃないっすよ!だいたいオタクらもオタクらでぶっ飛んでるっすよ、マジでノイズやっちゃうし〜」
「あれは!」
先頭に立っていたマリアがあかりを見つけた。
「間違いなく出口よ!行きましょう!」
出口かと思われる場所に出たがそこは何やら遺跡のような場所だった。
「ここは…?」
「へえ、君には大切な家族がいっぱいいるんだね。」
「ああ、僕にとってこの島は大事な家族の集まりなんだ。」
「そういうの、羨ましいな。」
「お互いにね。ところで姉さんがさっきからそこで鼻血垂らしながらハアハア言ってるけど大丈夫?」
「ああ、いつものことだよ。」
第91回 ビーチ(爽谷、並行世界の爽谷)
次回でこのヴァルキリーサマーを完結させてみなさまお待ちかねのAXZに行きます!