戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
さて、今回は並行世界のあのキャラPart2になります。
「さてと、各自で調べて来たことをまとめましょうか。」
「月読と私は岩場のあたりをもう一度探索したのだが、めぼしいものといえば大きな縦穴と小さなボートが一隻あったということだ。ただ、暗くなっていたためそれらに対する真偽は定かではないがな。」
「あたしらも山とかそっちの方に行ったけどとくに不審そうなノイズは見られなかったぜ。多分もう地上は全部調べ尽くしたぜきっとな。」
「森の方は何もなかったわ。あるとしたら木の実とかがいっぱいあったくらいかしら。」
(とはいえ立花響が、意味不明なことしたせいでよくわからなかったんだけどね。)
マリアがちらっと響の方を覗いた。
(なんだろう?昨日の夜からずっとマリアさんの視線が厳しいような…?)
「とにかく、その洞窟に行って見ましょうか。」
そういうとマリアたちは入り口付近に停泊しているボートを一隻発見した。
「これは…間違いないようね。何日も前からここにあるみたいね。」
「なんでこの島にきたのかなマリア?」
「分からないわ。調、キャンドモンと先行して前を照らしてちょうだい。ここから先は暗いから用心する必要があるわ。」
「じゃあ私が調を守るのデス!」
切歌の態度に笑みを浮かべた調は切歌の手を取った。
「ふふ、それはいいが早く進むぞ。なるべく今日のうちに決着をつけておかないといつまたカルマノイズに襲われるか見当もつかないからな。」
「ああ!さっさと片付けちまおうぜ!」
一行が歩き出すと次第にカササという音が聞こえた。
「ほう、珍しいじゃないか。まさかこんなところに現れるなんてねえ…」
すると黒い影を見て切歌に調、響は後方にダッシュした。
「おいどうした!?」
「あ、あれはああああああ!!!」
「あれは間違いなく危険だよ!切歌ちゃん!調ちゃん!」
「あれとは?」
翼がガクガク震える3人に対して首を傾げた。
「「コウモリ(デス)!!」」
「ああ!血を吸われたら未来に合わせる顔がないよおおおお!!!」
「調、ここは逃げるデス!」
「ダメだよ!切ちゃんを置いて行ったら誰がワームモンのパートナーになればいいの?」
響たちの行動に対してもれなくクリスの鉄拳がプレゼントされた。
「ククッ、コウモリが血を吸うわけないだろ。いたとしてもごくわずかさ。まあそんなこと対して関係ないかな?」
一行はその声にハッとした。
「お前まさか…!」
「なんでこんなところにいるのよ!?」
「水琴!?」
キャンドモンで前を照らしてみるとその先にはこの場にいないはずの水琴拓実が立っていた。
「どうやらあれがこの世界の拓実だね、翼。」
「やっぱ、有名人ってのは辛いねえ〜こんな美人さんに覚えられるなんてね。」
ファルコモンが有頂天の拓実を指差した。
「びびびび、美人!?」
翼が顔を赤くしてうろたえていた。
「というか誰だありゃ?以前どっかでああいう感じのあいつを見たことあるような…」
「というかあんたららこんなとこで何やってんの?」
「それはこちらが聞きたいわね。」
「おいおい!答えてあげたっていいじゃないの、お姉さん…」
ニコッと憎たらしく笑った拓実に対してマリアはため息をついた。
(まったくドクター並みに面倒なのね。ここの水琴拓実は…)
「て、語らずじまいかよ…というかさあ〜どこまで知ってんの?」
拓実が笑いながらおもむろに足元に落ちた石を拾い歩き出した。
「え?」
響たちが首を傾げた。そして1人先行する拓実について行った。
「ドウイウコトダ!?」
「デジモン持ちか…羨ましいねえ!俺んとこにはきてねえのに。まあ、どうでもいいことはさておき…一体何を知ってんの、子猫ちゃん?」
「子猫じゃないわよ!」
マリアが睨みつけてきた。
「なんかまるで別人デェース…」
調と切歌も真剣そうな表情で拓実を見つめた。
「なんかこういう攻める感じが苦手…」
「まあ、オリジン知ってりゃ、そりゃなあ…」
キャンドモンも調に掴まれながらだが軽く頷いた。
「この島にはすっごいお宝があるんだよ!
そいつを多くのトレジャーハンターがそれを狙ってるってわけ。けど村の住民とかがここの見張りをしてるからあんまし狙われてなかったんだよね〜!」
拓実が石を遠くに投げ始めた。
「トレジャーハンターだと…?」
翼が聞いたこともない言葉に首を傾げていた。
「そのとぉり〜!いいカンしてるじゃん!
でだ、この島にノイズが現れた今危険だけどそのお宝さえ盗んでトンズラこく最ッ大のチャンスがこの俺にやって来たってわけ!お分りいただけたかなぁ〜!だからさあ、あんまし余計な邪魔、しないでくれる?」
首を傾げながら笑顔で要求してきた。
「そういうわけには行かないわ。この村の人と約束しちゃったから。」
マリアたちは冷静な表情だった。
「あれれれ〜?するとオタクらはさしずめ正義のヒーローってとこ?いや〜!大変そうだねえ。」
拓実は興味なさげに淡々と話し続けた。
「行くわよ。あなたに構ってる時間はないの。こっちは急いでるの。それじゃ、「いいのかな〜?」」
拓実がマリアたちを呼び止めるとそこにはギアのペンダントがあった。
「あれって私の!」
響のペンダントを握りながら拓実は満面の笑みを浮かべていた。
「さっきうっかり落としたのを見てさあ、ちゃっかりくすねてたんだわ。これが欲しかったら俺と手を組んだ方がいいと思うよ?」
「なんだと?」
翼が不信感を抱いていた。
「ほらほら、オタクら見た感じさあ、こういう探検とか慣れてなさそうじゃん!だっからさあ、俺を近くに置いといたほうが何かと役に立つよってこと!悪くないだろ?」
拓実が首を傾げながら飄々とした笑顔を見せた。しかし、マリアたちは普段わりと熱血で真面目なキャラとして拓実には親しんでいたため、違和感バリバリのこの世界の拓実には軽く引いていたため黙っていた。
「もし乗らないなら、これを捨てちゃうよ〜!いや、いっそ換金して高い金にしちゃおっかな〜!」
「マリアさん!ここは協力しましょう!人助けしてるんならこの拓実さんの力を借りましょう!多分あの人も協力してくれるはずです!」
響が焦りながらだがマリアを説得した。
「けど、あんまり信用できなさそうデスよ?」
「大丈夫だ、おいお前!あんま舐めたことしてっと容赦しないからな。」
クリスが悪そうな笑みで拓実を見つめた。
「はいはい、気を付けとくよ。是非ともよろしく頼むよ、お互いにね。それとこれは返しとくよ!」
あっさり拓実は響にペンダントを返した。
「あっさり返すなんて意外…」
するとポケットから水晶を取り出した。
「お生憎様、水晶はこれがあるしね。というか実際、あんま脅すのは得意じゃないんだよね。さあさっさとやろうか!ていうかよくそんな軽装で歩けるね。もしかして軽装移動のプロとかそんな感じ?」
道中拓実がひたすら自分関係の自慢話などをくっちゃべってる中でマリアたちは黙々と辺りを見回していた。
(いつまでくっちゃべるつもりよ!気づかれたらどうするの!?)
(バカが1人増えやがった。)
すると拓実は突然歩くのをやめた。
「どうしたの!?危ないじゃない!いきなり止まって!」
拓実が先を指差した。そこには見張りのノイズがうろついていた。
「というわけであとはよろしく。俺はお生憎様デジヴァイスは持ってなくってね。任せたよ〜」
拓実は少しその場から下がってよっこらしょっと言いながら座りだして眠った。
「て、あなたは寝るんですか!」
調が珍しく突っ込んだがクリスは拳を握って嬉しそうにペンダントを構えた。
「まっ、ようやく暴れられるんだ。行くぜ!」
聖詠を唱えた6人は一気にノイズ目掛けて走り出した。デジモンに関しては今回どうしても狭い通路にあるという都合上、デジモンを使わずにギアのまま立ち向かうことになった。
「ここは洞窟の通り、だから大技は控えろ!各自アームドギアでどうにかしろ!」
翼の指示でなるべく技を使わず装者たちは連携攻撃でノイズの動きを封じつつ撃破して行った。
「はああああ!!!」
「調!」
「行くよ切ちゃん!」
切歌と調もアームドギアの同時攻撃でノイズを真っ二つに切断した。
「ふう、終わったわ!」
「じゃあ、あのバカを起こせ!」
「起きなさい、いつまで寝てるのよ!人に苦労させてまったく…」
装者たちが戦う中、1人のうのうと眠っていた拓実はマリアの制裁で目を覚ました。
「ああ、悪いね…」
立ち上がった拓実は起き上がって歩き出すと前の方に転倒した。
「大丈夫ですか?」
「いや、大丈夫だ。問題ない!」
起き上がった拓実は軽く鼻血を流していたが特に気にしていなかった。再び拓実が先頭の方を歩き出した。
(どうする、彼に一言注意する?鼻血が垂れてるって。)
(こういうのはマリアにお願いするデス。)
(なんでよ!そういうのは切歌とか調がしてもいいじゃない!)
(いやデス!あの拓実さんちょっとおかしいデスよ!おかしいやつはマリアに任せるデス!マリアはおかしいやつとの相性はいい感じデス!)
(どういう意味よ!)
「はいストップ〜!」
するといきなり拓実が振り返って後ろの6人に待ったをかけた。
「何ですか?」
「ほい、あれ!」
拓実が指差すと、目の前には道が分かれているのがわかった。
「「分かれ道!?」」
「そそ、どうする?」
(とりあえず二手に分かれましょう。分かれて水琴拓実の監視をしましょう。)
というわけで片方にはクリスに切歌、調が、もう片方には拓実の監視も兼ねて響、翼、マリアがついた。
「んじゃあまあ、行きますか。」
平行世界の拓実の言動に振り回されているマリアたちは無事今回の事件を解決させられるのだろうか?
「拓実よ!君はなぜ初期設定のチャラ男になったのか!?」
「まさかあんなキャラになるなんて思いもしなかったデス…」
「やっぱりああいうグイグイ押されると困っちゃうよね切ちゃん…」
「そうデスねえ〜けど!大好きだからグイグイしたくなるんデス!」
「切ちゃん…」
「はいはい、続きはうちで濃厚にしてよね!」
第90回 爽谷、切歌、調
爽谷のセリフはどこぞの青春爆発ファイアーです。実際拓実も初期案としては割とチャラ男でGの時は戦闘中ナンパしようとしてボコられる役にでもしようかと思いましたが、なんか真面目なキャラにしたくなったので今みたいな真面目な熱血キャラにしました。