戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
クリスがアームドギアで攻撃を仕掛けるもカースドファラオにあっさり弾かれてしまった。
「この間よりも強くなってやがる!」
「はあああああ!!!」
響が懐を狙うもカースドファラオが起点を効かせたためダメージを与えられなかった。
一方、船外では拓実と爽谷がスフィアゴーストを撃破していた。
「メタルグレイモン!そっちはどうだ!?」
「今のとこ大丈夫!けど数が多すぎる!」
メタルグレイモンとメガドラモンは空からやってくるスフィアゴーストを退治していた。最初有利に運んでいた拓実たちだったが黒い靄がどんどん増えていき少しずつ疲労が溜まってきていた。
「頼むよ!切歌、調!」
「任せるデス!その代わり…!」
「背中は頼むよ!」
「ああ、任せてよ!」
爽谷もデジメモリなどでデジモンを呼び出しつつ殲滅を図るも敵の増殖スピードはそれを凌駕していた。
(このままじゃいずれ全滅する!急いでくれよ、立花さんたち!)
一方の響とクリスはカースドファラオの攻撃の押されながらも大振りな攻撃に生じる隙を見逃さずにカウンターで攻撃した。
「パワーが増してるがそんなの関係ねえ!蜂の巣だ!」
<SPREAD ZEPPERIN>
アームドギアをライフル状に変化させクリスはエネルギー弾を拡散させて一気にカースドファラオを全方位から攻撃した。
「今だ!一気に行け!ぐっ!」
クリスも黒い靄にやられ気力が衰えていた。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」
正面から放たれた響のパンチを防ぎきれず、カースドファラオは正面から吹き飛ばされまたも球体を生成した。
「行け!そんなもんぶっ壊せ!」
「うん!はあああああああああ!!!!」
響は球体を追いかけたがカースドファラオが復活してしまった。
「まだ、いたの!?」
「くそ…力が入らねえ…」
「「うわあああああああああ!!!!」」
クリスと響はカースドファラオに吹き飛ばされてしまった。
一方、船内でも切歌と調が必死に戦っていたがすでに限界だった。
「はあ…はあ…」
「私たち、最後まで戦えたのかな?」
「きっとできたデスよ!でも…眠くなっちゃったデス…」
「私も…ちょっとだけ、寝ようか…」
そういうと2人は変身を解除して倒れてしまった。しかしスフィアゴーストはなおも船外から溢れていた。
「ちくしょう!まだなのか!?」
「切ちゃん!しらちゃん!早く!」
船外の拓実たちも完全に押され、もはや敗北は時間の問題だった。そんな中拓実と爽谷は息を切らし、倒れていた。
「まだだ!俺はみんなを信じてる!だから!負けられるか!」
「僕も付き合うよ…帰ったら切歌や姉さんたちとご飯食べたいしね。」
爽谷と拓実は疲労でスピリットレボリューションが解けてしまったがすぐにたちあがった。
「行くぜ!勝ったらなんか奢れよ!」
「うん!」
「「スピリットレボリューション!!」」
そして響は残された力を振り絞り戦うもほぼ勝利は絶望的だった。
「くそったれ…!」
クリスの一撃でカースドファラオを倒れさせて球体を三度放出させた。
「これがラストチャンスだ!行け!」
「うん、今度こそ!!!」
響が球体に背中のブースターで迫った。
響は球体に迫り、破壊するかと思いきやそれを手で包み込んだ。
「バカ!何考えてんだ!?」
「王様、泣いてるんだよね?」
響の目の前には涙を流すツタンカーメンのマスクがあった。
「どういう…ことだよ?」
「昔ね、私も事故で生き残った時に周りの子からどうして生き残ったんだ!って責められたことがあったの。そのせいでみんな暗い顔だった。お母さんにお父さんにおばあちゃんも泣いてた…だからあのままだったら私も王様と同じになるところだった。けどね、王様!」
響は球体を包み込みながらニコッと笑った。
「未来やみんな友達ができたから変われたんだ!誰かを呪うよりも誰かと一緒に笑い合いたいって私はそう願えるようになった。だから、私は今幸せなんだ。そうだ!王様も私達の友達にしてくれないかな?友達がいればきっと誰がを呪わなくて済むよ!きっと王様の悲しみに向き合って変わるきっかけを作ってくれるはず!だから、友達になろうよ!」
そういうと球体は響の手から飛び出して弾けた。それに伴い、黒い靄やスフィアゴーストも消えた。
「なんなんだよ一体?」
「王様…」
響はマスクを見て微笑んだ。マスクから涙が溢れていなかったのである。
それから数日後、
「これってツタンカーメンのマスクじゃない?」
「うんうん!調べたよね!確か…」
響たちはギリシャエジプト展に来ていた。あの事件でいくつかなくなったり壊れてしまった展示品があったものの無事に開催していた。4人はツタンカーメンを調べる時に知ったことで賑わっていた。
「これは確か!エジプトの…「ツタンカーメンだよ!」」
寺島の言葉を切って響がマスクを指差した。
「おおお〜〜!!!」
一行は響に拍手した。
「すごい、立花さん分かるんですね!」
寺島のパートナーのフローラモンも感心していた。
「だって、私の友達だから…」
「え?」
一行がぽかんとしながらツタンカーメンのマスクに対して笑顔を向けた響を見ていた。響には心なしか、ツタンカーメンの姿らしきものが見え、微笑んでいたのが見えていた。
その夜、無人となった建物に三つの女性らしき影が現れた。
「全く即席の哲学兵装にしてはやったワケだ。」
「けど目くらましにはちょうどいいわけ?少し派手にやりすぎちゃったんじゃない?」
「仕方ないわ。この完全聖遺物を奪うのには派手な目くらましでもしないと。このアンティキティラの歯車を取られでもしたら統制局長の計画が奴らに把握されかねないわ。」
1人は小柄でカエルのぬいぐるみを抱いていた。もう1人は青髪で妖艶さを醸し出し、真ん中の1つは高貴な雰囲気を漂わす格好をし、船底部で響たちが見つけた歯車を持っていた。そのまま、3人は建物を出た。するとシャボン玉が辺りに漂い始めた。
「ほう、そんな役にたつかもわからねえブツの回収とはな。結社も随分とまあくだらねえことをしてたみてえだな。」
3人にイギリスでマリアたちと対峙したリコリスが迫った。
「リコリス、そちらも大した変化はなさそうなワケだ。てっきり弾け飛んだかと思ったワケだ。」
プレラーティが嫌味を述べるとリコリスがすぐにミズカマイタチで彼女の顔面に傷をつけさせた。
「うっせえカマチビプレラーティ、そんなことより報酬をよこしな。こっちだってお前らには関わりたくはないが持ってるモン使ってお仕事ができるのはまあお前らくらいだしな。それがわかったら、さっさとよこせ。」
すると3人はクスクス笑いだした。
「護衛任務でポカッたのに偉そうに言えるかしら〜?」
「口の利き方に気をつけろカリオストロ…!今ここでてめえを殺して太平洋に沈めるぞ。このカマビッチが…!」
「いや〜ん!こわ〜い!」
リコリスが声を荒げ殺気を発しながら睨みつけた。
「お前は任務を放棄した。その件を我ら知らないとでも思うか?」
真ん中の影がリコリスを鼻で笑いながら見つめた。
「‥そういうわけか。で、俺を殺すかサンジェルマンよ?まああれもない今、ここで逆に殺してやってもいいがな。特にそこのカマレズの2人には力の差を教えてやりてえしな…」
リコリスが構えを取った。
「…やめておこう。今回はSONGに気づかれないように動いていた。この歯車のために…今は時間が惜しい。またにしましょう。」
「ふん、神の力か…くだらねえ夢だな、サンジェルマン。人間が神になれるわけねえんだ。少しは理解したらどうだ?あんたなら分かってるはずだが…」
リコリスを無視してサンジェルマンたちは歩き出した。
「では、我らはこれで。近いうちに南米でお宝探しがあるので。」
サンジェルマンたちは消えて言った。
「ふん、好きにしろ。俺はもうちょいこの国を旅させてもらうぜ。精々邪魔しない程度に頼むぜ。邪魔したら俺も俺で考えさせてもらうからな。」
リコリスは部屋を出て月を眺めた。
「この理想、儚い泡沫、弾け飛ぶ…即興にしちゃいいやつができたな。この国はじっくりと探索してみるか。」
リコリスは一句詠うとシャボン玉を吹き、その中に入って空を舞っていった。リコリスはどこから持って来たのか三味線を出して弾き始めた。そしてシャボン玉は夜の街に消えた。
「ねえ〜リコリス〜」
「ああん!?」
「リコリスって、子供っぽくない?」
「なんだと?」
「散々カッコつけた割にはあっさり退くわ、働かないわ、ちびと言われて逆上するわで威厳がなさすぎるワケだ。」
「てめえら…殺されてえか?次なんか言ってみろ、お前らの死因は俺が決めるぞ。」
「ああ〜ん!メンゴメンゴ〜」
「てめえ…謝る気あんのか!?」
「やめなさい、2人とも。」
第86回 リコリス、カリオストロ、プレラーティ、サンジェルマン(in結社本部)
さて、AXZのキャラたちが先行登場させましたが彼女たちとリコリスの関係ははっきり言って犬猿の仲です。リコリス自身、サンジェルマンに関しては実力などは認めてるものの、カリオストロやプレラーティに関しては出会ったらすぐに嫌味を言って来るため彼自身2人には結構イラついてます。一応、年齢としてはリコリス≧サンジェルマン>プレラーティ&カリオストロといった感じです。要するにリコリスは後輩になめられてる先輩って感じです。