戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

104 / 227
第103話 ぎこちない共闘!並行世界の壁!

「奏…奏ェ…」

翼は奏の手を握ろうとしたが奏は一歩後ずさった。

「離れろ!このニセモノめ!」

「え?」

「そうだ!翼はもう…!奏にまだ何か辛い目に合わせるつもりか!」

「待つんだ!そんなつもりはないんだ!」

ペックモンが緑の龍人型デジモン__ディノヒューモンを説得した。

「彼女はそれほど大きな存在だったの?立花響?」

「大きいなんてモンじゃないです!翼さんにとって奏さんは…!」

「それからそこの黄色いお前。なぜ、奏とおんなじガングニールを持ってる?」

「そ、それは…」

すると奏が武器を下ろして背を向けた。

「お前ら、弦十郎のダンナが会いたがってる。ついてきな!」

響たちは奏について行った。

 

 

「翼、なのか?」

弦十郎たちが驚いたような表情を浮かべた。

「翼さん?」

「どうして?」

藤堯と友里が驚く中、奏だけは翼たちを睨んでいた。

「どうして翼さんが現れたんですか!?そこの2人は一体誰なんですか!?」

後ろのドアから白衣を着た男女が現れた。

「水琴さん?」

「水琴くん、落ち着いて。」

「りょりょ、了子さん!?」

「櫻井女史…どうやらこの世界は二課のままのようだな。」

「この、世界?どういうことですか?」

水琴が翼が首を傾げた。

「師匠も変わりないですねー」

「師匠?何を言ってるんだ?」

「え、だって師匠は生身で瓦礫を破壊したり隕石をパンチ一発で破壊したり、ノイズをやっつけたりするんですよ?」

それを聞いた弦十郎はポカンとしていた。

「…悪いが俺にはそんなことできないぞ。」

「うむ、弦十郎は逆上がりもできないし護身術ぐらいしかまともにできないぞ。」

クダモンが呆れながら答えていた。

(翼のギアは間違いなく天羽々斬だ。しかもあたしの知るものよりもはるかに強い。それにしてもなんであたしとおんなじガングニールを纏ってんだよ。)

奏が拗ねたような表情で翼たちを見つめた。そして響たちは具体的な経緯を話した。ルナアタックやフロンティア事変そして魔法少女事変のことも話した。しかし、さすがにフィーネのことに関してはフィーネ=櫻井了子という確信が持てないためその存在はぼかしてはいたが。

「うむ、そちらは装者が6人にデジモンの技術が進んでいるのか…」

「そんなに装者が量産できてるなんて凄いモンですね。まあ、大きな事件がポンポンくればそうなるのも道理か。」

拓実が感心していた。そして弦十郎の口から最近ノイズが突然変異を起こし、一体だけで大量の人々の殺傷を可能にしていることを翼たちは知った。弦十郎はそれをカルマ化と名付けそのノイズを"カルマノイズ"と名付けているらしい。

「お願いだ!手を貸してくれ!今は多くの戦力が必要なんだ。頼む!」

「分かりました。私たちの命にかえてでもカルマノイズを切り捨ててみせます。」

「ッ!巫山戯んな!」

「…奏?」

「なんでもない…」

すると奏は部屋から出て行ってしまった。

「奏さん…」

響が奏を追いかけて行った。

「奏さんやっぱあのことを…」

拓実が顔を曇らせていた。

「ねえ、天羽奏はどうしてああなの?」

「…ここで話すのはまずい。ちょっと場所を変えましょう。」

2人は拓実の部屋に入った。

「さてと、ここならいいでしょうね。」

そこには資料などが整理されていた。そして机には何らかの写真たてがあった。

「では聞かせてほしい。奏に何があったの?」

「いいでしょう、もう3年くらい前になる。」

水琴が険しい顔になった。

「あのライブ事件で俺や奏さんに翼さんは一応多くの人々を助けられたんですけど、翼さんたちは強力になったデジモンやノイズの大群に押されていた。俺もパートナーデジモンたちも負傷し、奏さんも絶体絶命になって翼さんが最後の切り札として絶唱でそいつらを一掃したんです。けど、その結果翼さんはバックファイアで殉職してしまって…」

「なんだと…!」

「奏さんはその後アーティストも辞めて訪れたのはただ戦うことの日々でした。翼のいないステージには誰もいないってあの人は考えてたんでしょうね。それからは憎しみでさらに適合係数をあげました。」

「そんなことがあったなんて…!」

翼が衝撃を受けた表情を浮かべた。

「そっちの世界の翼さんに会えたのは何かの運命なのかもしれませんね。きっと、同じ痛みを持った者同士ならきっと分かり合えるはずです。お願いします!もしかしたら気休めのようなものでしかないかもしれないですけど一度話してみてください!」

「待て、お前は戦わないのか水琴?」

「俺は今は戦いから引いてます。あの日以降、俺は防人を捨てたんです。」

拓実は立ち上がった。そして机の上に置いてあったライブの日にとったのかツヴァイウイングだった2人と拓実に弦十郎の4人が映った写真を握りしめた。

「俺にできるのは戦いじゃない___俺にできるのは多くの人たちの魂を救うことなんだって気づいたんです。俺は確かに防人かもしれません。」

拓実は立ち上がって写真たてを手にした。

「けど、戦いばかりに染められるわけにはいかない____自分らしく人を笑顔にする。そのために俺は了子さんにお願いしてあの人から聖遺物の知識を得ようと今も必死に足掻いてるんです。ノイズたちによって亡くなる人たちをこれ以上増やさないことだけがあの人たちの魂を救うたった一つの方法なんです。生きてる命は今ここで救える。けど失った命を救うには今この瞬間から未来に繋げないといけない!これは俺にできるかもしれないことなんです。一つの魂だけでも…救いたいんです!」

拓実が涙を流した。

「それでもこうして翼さんに会えたのは自分の努力は無駄じゃなかったんですね…!」

「ああ!お前の意志はきっと実を結ぶ。精進しろ」

翼が微笑んで首を縦に振った。

「ありがとう、水琴。色々わかったわ。」

翼とマリアは部屋を出た。

「で、どうするの?」

「向き合ってみる。水琴も足掻いてるんだ、もう少しだけ…足掻いてみる」

「付き合うわよ。あなた1人でやらせるわけないじゃない。」

 

 

一方、響は奏を呼び止めていた。

「なんだお前は?」

奏が睨みつけてきたが響はそれに怯まず笑顔になった。

「私は立花響 16歳!身長は157cm!体重は秘密!趣味は人助け!好きな食べ物はご飯&ご飯!」

「何やってんの…」

アグモンも苦笑いを浮かべていた。

「ふざけてんのか?」

怒声をあげる以前に奏は呆れ果てていた。

「いえ、奏さんに対して伝えたいことがあるんです!私を助けてくれてありがとうございます!」

「おいおい、あたしはお前なんか助けてないぞ?」

「それでも…!奏さんがいたから私はこうして笑ってられるんです!だから世界とかそういうのは関係ないです!」

するとノイズ反応が確認され警報が鳴り、装者たちは直ちに出動した。

 

 

(ここから先は私ト云フ音奏其ノ先ニ を聴きながら読むのを勧めます)

街ではノイズが暴れまわっていた。

「どうやら、かなりの数が揃ったようね。」

しかし、奏は響たちとは連携を取らずに独断でノイズを攻撃し始めていた。

「幻?夢?優しい手に包まれ 眠りつくような 優しいい日々も今は」

(あのガングニールのやつに翼もどうしてあんなに強いんだ…!仲間がいるのがそんなにも違うモンなのかよ!)

「奏…動きが鈍くなってないか?」

「そんなわけがないだろ!コテモン!」

(そうだ!それは弱さなんだ!あたしは弱いから家族や翼も失ったんだ!あたしは1人でも戦うんだ!)

「曇りなき青い空を見上げ嘆くより 風に逆らって 輝いた未来に帰ろう!」

「奏…」

翼たちも奏よりも遥かに速いスピードでノイズたちを散々に打ちのめしていった。

「すごいものね。適合係数が低くても、あんなに高く実力を発揮するなんて…」

翼は奏を自分の世界の奏と重ねていた。強く自分の支えになっているはずの奏がどこか遠のいている感覚に包まれていた。

「翼さん!新手の敵です!」

すると翼たちの目の前に黒いノイズが現れた。その姿自体は翼たちが倒した人型の鉤爪持ちのノイズと酷似はしているものの明らかに何かが違っていた。さらにはビルを破壊してタスクモンにトリケラモンそしてパロットモンが現れた。

「黒いノイズ!あれがカルマノイズね!」

「一期の片付けてやる!行くぞコテモン!」

奏がサンライトイエローのデジヴァイスを構えた。

「コテモン進化!!ディノヒューモン!」

「無茶だ!ノイズもそうだが敵は完全体が2体なのよ!?」

マリアもデジヴァイスを構えた。

「アグモン進化!!ジオグレイモン!」

ジオグレイモンはパロットモンと戦い始めた。

「ほらほらほら!!!」

アームドギアで攻撃を進める奏であったが、カルマノイズはそれらをひらりとかわした。しかも攻撃を数発受けながらもなお健在であった。

「まだまだ…うっ!」

奏が突然攻撃をやめ距離を置いた。

(奏のやつLiNKERが切れたのか?クソッ!)

腕の刀でトリケラモンを攻撃するディノヒューモンだったが、連戦によるためかあまり立ち回りが上手くなかった。

「苦無羽!」

その時、ペックモンの羽でトリケラモンを怯ませることに成功した。

「翼!一気に行こう!」

「うん、ペックモン!立花!マリア!私たちも決めるぞ!」

「はい!」

「分かったわ!」

「「イグナイトモジュール抜剣!!!」」

(ここから先はBeyond the Blade IGNITTED ARRANGEMENTを聴きながら読むのを勧めます)

「何だあれは?」

「ペックモン!」

翼がデジメモリを二枚取り出した。今回の任務にあたってデジメモリは並行世界を超えての仕様は不可能になるためあらかじめ、2、3枚持ち込んでいたのだ。

<ペックモン!サンフラウモン!ガルルモン!デジクロス!>

「ペックモンX3」

ペックモンの脚部がガルルモンに変わり、頭部のバンダナにひまわりの柄がついた。

「サンシャインクロー!」

ペックモンX3はガルルモンの俊敏さとサンフラウモンの光を使った攻撃を合わせ脚部でタスクモンを蹴り飛ばした。タスクモンが勢いよくトリケラモンを突き飛ばしたため両者は動けなくなった。

「いまだ!」

「ああ!!アキナケス!」

動けなくなったトリケラモンとタスクモンはディノヒューモンの剣の舞に倒された。

「よし、あとはお前が決めろ!」

「うん!サンシャインクロー!」

パロットモンも空中から地面に叩きとされそのまま倒された。

「はあああっ!!」

イグナイトモジュールでパワーアップした翼たち3人はカルマノイズを一気に追い詰めそのまま撃破した。

「やったぁー!やりましたね!」

「さあ、帰りましょうか。」

翼たちが帰還する中奏は複雑な表情を見せた。

(何でだ…!なんであいつらはあんなにも強いんだ…!ちきしょう!あたしはそんなに弱いのか!?)

本部に帰還したあとすぐに奏は了子にイグナイトモジュールが使えないかどうかを聞いたがさすがにダインスレイフの剣を持たない並行世界の二課には其のようなことはできず悔しがりながらも奏は諦めた。

「イグナイトモジュール…あれは人為的に引き起こしたエネルギーを力に変換する力…奏ちゃんには使いこなせないわ。」

了子は真剣な表情で先の戦いの様子を見ていた。

 




今回、拓実は奏との話し合いを翼に任せ人によっては丸投げにも思えてしまうかもしれませんが、彼自身自分にはできないことに関しては立ち止まってしまう性格があったんです。実際フロンティア事変でもデジモンに変身した時狼狽えていたのもまあそういう感じだったからです。そして彼は多くの人の命を救ったが救えなかったぶんの魂は救えると考え戦うのをやめサポートに回ったという彼のIF要素も入ってます。


さて、今回もSONGのパートナーデジモンの強さの順列をやってきます。まあ、だいたい偏ってるんですどね。今回はお待ちかねの究極体になります。ちなみに爽谷のクネモンはまだ究極体に進化してないのでハブです。
最上位 スレイプモン(弦十郎)
上位 シャイングレイモン(マリア)、ウォーグレイモン(響)、
ミネルヴァモン(アケミ)
中の上位 レイヴモン(翼)、ムゲンドラモン(クリス)
中位 メタルシードラモン(拓実)、ヘラクルカブテリモン(藤堯)
ジャンボカメモン(友里)
下位 ボルトモン(調)、グランクワガーモン(切歌)


というかロイヤルナイツである以上司令はデジモンにおいても最強なのです。ミネルヴァモンはオリンポス十二神将であるので比較的実力は上位に位置してます。メタルシードラモンがウォーグレイモンより下なのはウォーグレイモンがドラモンキラーっていう特効武器を持ってるからです。そんな中でどうしてもボルトモンとグランクワガーモンは下位の方になっちゃうわけですが、やはりかたやデジモンシリーズの主人公及びレギュラーメンバーのパートナーの進化系だったりかたや過去のデジモンシリーズのボスだったりするわけですしどうしても、見劣りするわけです。
さて、3回にわたってお送りした100話時点での強さの順列ですが実際これrqはあくまで目安です。やはり強さの要因となるのはどれだけパートナーとの心を通わせてるかが重要になります。ですから、本編で多少補正がかかった強さにはなるはずです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。