東方黒龍記 ~守りたい者達~   作:黄昏の月人

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少年は少女と対峙する。
この世界での生き方を学ぶため。
少女の頼みを断れなかったため。



第4話 対峙するは普通の魔法使い

霊夢から教えてもらって、何とか単純な弾幕は撃てるようになった。

けど、スペルカードだけはいくらやっても出来なかった。

霊夢から貰ったカードもいまだ白紙のまま。

なんでもスペルカードには自分の素質とイメージが合っていないといけないらしいから、僕の素質が分かるまではスペルカードはお預けになりそう。

「準備はいいか静也?初めてだからって手加減はしないぜ!」

「いや、少しは手加減してほしんだけど」

神社の表に移動して、僕と魔理沙は対峙している。

といっても、魔理沙は箒で空を飛んでいるのに対して、僕は地面にいるんだけどね。

「行くぜ!先手必勝!!」

魔理沙が高度を上げると同時に、その周囲に星形の弾幕が形成された。

「は?ちょっと待って、これを避けろっていうの!?」

魔理沙が展開した弾幕は僕の視界いっぱいに広がっている。

確かに所々に避けれそうな隙間はあるけど、いくらなんでも無理でしょ!!

「これくらい普通だぜ!それ!」

魔理沙が右手を突き出すと同時に、無数の弾幕放たれた。

 

 

 

 

魔理沙、本当に手加減抜きね。

私は魔理沙が展開した弾幕を見てそう思った。

全力とまではいかないけど、実力分はしっかり出している。

これならすぐに終わりそうね。

魔理沙だって立派な異変解決者。

それがこの世界を知ってせいぜい1時間程度の外来人負けるはずがない。

いくら霊力が(・・・・・・)魔理沙の魔力を(・・・・・・・)上回っていたとしてもだ(・・・・・・・・・・・)

魔理沙の弾幕が静也に迫る。

この一撃で決まるかとも思ったけど、静也は体を投げ出して何とか安全圏内に体を滑り込ませた。

その後も続く第2射、第3射の弾幕もわずかな隙間滑り込んで回避。

自分に当たりそうなものだけを的確に弾幕で相殺させてる。

ふ~ん、結構やるじゃない。

「はは、やるじゃないか静也!本当に初めてか?」

「はぁ、はぁ、これ以上はきついな」

「次も行くぜ、これを避けられたら本物だ!」

そう言って魔理沙は懐から1枚の紙を取り出して・・・まさか!?

「スペルカード!恋符『マスタースパーク』!!」

魔理沙の手から極大のレーザーが放たれる。

静也はとっさに大きく後方に飛んだけど・・・

「さすがにこれは無理!!」

静也は光の奔流に飲み込まれて吹き飛ばされ、地面に叩きつけられて動かなくなった。

「静也!!」

私は急いで静也に駆け寄る。

気を失ってはいるけど、体に目立った外傷はなかった。

「やべ、もしかしてやりすぎたか?」

「当り前よ!スペルカードも持ってない相手になにマスパくらわせてるのよ!」

「ちゃんと手加減はしたぜ。ミニ八卦炉は使わなかっただろ」

「それでもスペルカードはやりすぎよ!」

「ううっ・・・」

静也がうめき声をあげながらゆっくりと目を開けた。

「静也、大丈夫?」

「まさか1日に2度も気絶する羽目になるとは思わなかったよ」

「静也、その・・・ごめんだぜ。さすがにマスパはやりすぎだったぜ」

「うん、大丈夫だよ。気にしてないから」

さすがに悪いと思ったのか、素直に頭を下げる魔理沙を、静也は笑って許した。

「それじゃあ、そろそろお昼にしましょう。どうせあんたも食べていくんでしょ、魔理沙」

「もちろんだぜ!」

「待って、霊夢」

「どうしたの静也?」

「ごはんなら、僕に作らせてくれないかな?自分に何ができて、何が出来ないのかを把握しておきたいんだ」

「そうね。それならそうしてちょうだい。魔理沙もそれでいいわよね?」

「食べれるのなら何でもいいぜ」

「ありがとう」

「台所の場所は分かる?」

「大丈夫、分かるよ」

そう言って静也は神社の中に入っていったから、私も魔理沙と一緒に居間に向かう。

その道中、私は考えた。

確かに弾幕ごっこは素人だったけど、他の動きはそうじゃなかった。

あれは明らかに何かの武術していた者の動き、それもかなり手練れね。

静也、あなたは外でどんな生活をしていたの?

 

 

 




初めての弾幕ごっこに敗北した静也。
静也は弾幕を自分のものにすることができるのだろうか?
次回を乞うご期待。

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