この世界での生き方を学ぶため。
少女の頼みを断れなかったため。
霊夢から教えてもらって、何とか単純な弾幕は撃てるようになった。
けど、スペルカードだけはいくらやっても出来なかった。
霊夢から貰ったカードもいまだ白紙のまま。
なんでもスペルカードには自分の素質とイメージが合っていないといけないらしいから、僕の素質が分かるまではスペルカードはお預けになりそう。
「準備はいいか静也?初めてだからって手加減はしないぜ!」
「いや、少しは手加減してほしんだけど」
神社の表に移動して、僕と魔理沙は対峙している。
といっても、魔理沙は箒で空を飛んでいるのに対して、僕は地面にいるんだけどね。
「行くぜ!先手必勝!!」
魔理沙が高度を上げると同時に、その周囲に星形の弾幕が形成された。
「は?ちょっと待って、これを避けろっていうの!?」
魔理沙が展開した弾幕は僕の視界いっぱいに広がっている。
確かに所々に避けれそうな隙間はあるけど、いくらなんでも無理でしょ!!
「これくらい普通だぜ!それ!」
魔理沙が右手を突き出すと同時に、無数の弾幕放たれた。
魔理沙、本当に手加減抜きね。
私は魔理沙が展開した弾幕を見てそう思った。
全力とまではいかないけど、実力分はしっかり出している。
これならすぐに終わりそうね。
魔理沙だって立派な異変解決者。
それがこの世界を知ってせいぜい1時間程度の外来人負けるはずがない。
魔理沙の弾幕が静也に迫る。
この一撃で決まるかとも思ったけど、静也は体を投げ出して何とか安全圏内に体を滑り込ませた。
その後も続く第2射、第3射の弾幕もわずかな隙間滑り込んで回避。
自分に当たりそうなものだけを的確に弾幕で相殺させてる。
ふ~ん、結構やるじゃない。
「はは、やるじゃないか静也!本当に初めてか?」
「はぁ、はぁ、これ以上はきついな」
「次も行くぜ、これを避けられたら本物だ!」
そう言って魔理沙は懐から1枚の紙を取り出して・・・まさか!?
「スペルカード!恋符『マスタースパーク』!!」
魔理沙の手から極大のレーザーが放たれる。
静也はとっさに大きく後方に飛んだけど・・・
「さすがにこれは無理!!」
静也は光の奔流に飲み込まれて吹き飛ばされ、地面に叩きつけられて動かなくなった。
「静也!!」
私は急いで静也に駆け寄る。
気を失ってはいるけど、体に目立った外傷はなかった。
「やべ、もしかしてやりすぎたか?」
「当り前よ!スペルカードも持ってない相手になにマスパくらわせてるのよ!」
「ちゃんと手加減はしたぜ。ミニ八卦炉は使わなかっただろ」
「それでもスペルカードはやりすぎよ!」
「ううっ・・・」
静也がうめき声をあげながらゆっくりと目を開けた。
「静也、大丈夫?」
「まさか1日に2度も気絶する羽目になるとは思わなかったよ」
「静也、その・・・ごめんだぜ。さすがにマスパはやりすぎだったぜ」
「うん、大丈夫だよ。気にしてないから」
さすがに悪いと思ったのか、素直に頭を下げる魔理沙を、静也は笑って許した。
「それじゃあ、そろそろお昼にしましょう。どうせあんたも食べていくんでしょ、魔理沙」
「もちろんだぜ!」
「待って、霊夢」
「どうしたの静也?」
「ごはんなら、僕に作らせてくれないかな?自分に何ができて、何が出来ないのかを把握しておきたいんだ」
「そうね。それならそうしてちょうだい。魔理沙もそれでいいわよね?」
「食べれるのなら何でもいいぜ」
「ありがとう」
「台所の場所は分かる?」
「大丈夫、分かるよ」
そう言って静也は神社の中に入っていったから、私も魔理沙と一緒に居間に向かう。
その道中、私は考えた。
確かに弾幕ごっこは素人だったけど、他の動きはそうじゃなかった。
あれは明らかに何かの武術していた者の動き、それもかなり手練れね。
静也、あなたは外でどんな生活をしていたの?
初めての弾幕ごっこに敗北した静也。
静也は弾幕を自分のものにすることができるのだろうか?
次回を乞うご期待。