そこで少年が出会うものは。
少年が少女に感じるものとは。
僕は今、永遠亭という場所に向かって歩いている。
大丈夫って言ったんだけど、ミスティア達に行かないとだめって念を押されたから行くことになった。
明日慧音さんに謝らないといけないな。
(彼女たちの判断は正しいですよ主様。傷は塞がったとはいえ、あれほどの怪我をしたのですから、いちど本職の医者に診てもらうべきです)
僕の心情に風龍が答える。
けれど、木龍の加護を受けたんだから大丈夫なんじゃないかな?
(木龍の加護はそこまで万能ではありません。そうですよね木龍?)
(・・・・・)
(木龍?)
(は、はひ!?確かにそうです。先ほども申しましたように、私にできるのは表面上の応急処置のようなものだけですから)
それなら仕方ないか。
それにしても、どうして病院が人里から離れたところにあるのかな?急病が出たらどうするんだろう。
まぁ、それはいいとして・・・どうしよう。
(?どうかされたのですか、主様)
迷った。
さっきから同じような景色ばかりが続くせいで、方向感覚がおかしくなってしまったみたいだ。
どうしようかな?運よく誰かが近くにいれば道を聞けるんだけどな。
どうしてもの時は能力を使うしかないか。
そう考えていると、今度は水龍の声が聞こえてきた。
(主様、前方に複数の気配を感知しました。数は6人です)
良かった、道を聞くことが出来るみたいだ。
(ただしご注意を、どうやら襲われているようです)
・・・詳しい距離は?
(前方1500mです)
分かった、少し急ごう。
風龍、加護を。
(かしこまりました)
風龍の加護を受けて一気に駆け出す。
しばらく走っていると、僕にとっては聞きなれた、けれどこの世界では聞くとは思ってなかった音がしてきた。
この音は銃声?僕以外に銃を扱う人物がいるのか?
銃声が聞こえる地点から100mのあたりまで来たところで、竹に身を隠しながらそっと奥を窺う。
そこには二人の少女と、四体の下劣な笑みを浮かべた妖怪がいた。
妖怪の方は良いとして、襲われていると思われるほうの少女たちの方に目を向ける。
どうやら少女たちの方もウサギの耳が生えているところ見るよ妖怪のようだ。
一人はとても小柄な少女だ。チルノ達とたいした差はないと思う。
そしてもう一人の少女を見たとき、僕の胸は大きく高鳴った。
外の世界のブレザーとほとんど同じ服を着ていて、二丁の拳銃を手に持っている。
なんだ、この感覚は?
戦闘に介入することすらも忘れ、じっとその少女のことを見つめる。
初めて見る顔だ。そもそもこの場所に来るのは初めてなのだから当たり前だ。
外の世界にもうさぎの耳をつけた知り合いなんていない。
それなのに、その少女を見れば見るほど胸を強く締め付けられる。
自分の状態に戸惑っていると、乾いた音が響いてきた。
どうやら弾が切れたようだ。
それを見て好機と判断したんだろう、四体の妖怪が一気に少女たちに詰め寄っていく。
それを見て、僕は腰の刀に手をかけながら一気に駆け出す。
竹林の中、静也は二人の少女と出会った。
果たして静也は、少女の中に何を感じたのだろうか?
次回を乞うご期待。