東方黒龍記 ~守りたい者達~   作:黄昏の月人

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宴会を通し、少年は情報を得た。
この後、少年が目指す場所とは。


第3章 求めるということ、求められるということ
第33話 道標と不穏


昨日の宴会ではいろいろなことがあったけど、やっぱり一番の驚きは愛花だろう。

妖夢との試合の後、愛花は一人で紅魔館に帰ってしまった。

主を置いて一人で帰るなんてってレミリアは怒ってたから、今度何か埋め合わせをしないといけないな。

いや、埋め合わせをするのはフランの方か?まぁ、両方にすればいいか。

そこで僕はいったん考えるのをやめて、作っていた料理をお皿に移す。

それをテーブルの上に置いて、その横に一枚の札を置いてから、僕は荷物をまとめて神社を出た。

霊夢は二日酔いではないだろうけど、普段よりも深く眠っていたから、そっとしておいた。

万が一が起きても大丈夫なように、防御に長けた土龍の札を置いてきた。

霊力のパスは通っているから、念話することは可能だ。

もはや通いなれた道を歩いて寺子屋に向かう。

風龍のおかげでようやく僕も飛べるようになったけど、足腰を鍛えるために必要な時以外は歩くようにしている。

僕が楽したいという理由だけで、風龍に力を使わせるのは何だか申し訳ないからね。

(主様、今後のご予定は?)

「まずは情報収集だ。何の行動を起こすにせよ、こちらには圧倒的に情報が不足している」

風流の問いかけに答えて、昨日のことを少し思い浮かべる。

宴会に来てた皆に話を聞いた結果、この幻想郷で情報を集めらせそうな場所はいくつか分かった。

その中でも、ぼくは主に3か所に目星をつけた。

幻想郷で最多の蔵書数を誇るパチュリーが管理する大図書館。

幻想郷の歴史を代々書き記し続けている幻想郷縁起を管理している稗田家。

大図書館よりは数は劣るが、妖怪が書いたとされる妖魔本を数多く管理する鈴奈庵。

お寺や道教といったものも気にはなったけど、宗教的観点から話される可能性もあるから、先にある程度の情報を手に入れてから行ったほうがいいだろう。

パチュリーとのつながりはすでにあるし、鈴奈庵も貸本屋と言うことだから大丈夫だろう。

問題なのは稗田家だ。

人里の中でも格の高い家らしいから、果たして外来人である僕に話をしてくれるだろうか。

いや、それを検討するのもまた情報不足か。

とりあえず2か所に行ってから考えるか。

そこまで考えたところで、ちょうど人里の入り口が見えた。

そのまま寺子屋に行くと、なぜか入口の所に慧音さんが立っていた。

「おはようございます慧音さん。何かあったんですか?」

「あぁ、静也か。いつもならルーミア達が来ている時間なんだが、まだ来てないので少し心配でな」

「ルーミア達が?・・・探してきます」

「頼む。授業の方は私が何とかしておく」

慧音さんの言葉に頷き、荷物を置いて走る。

(水龍、加護を)

(了解しました)

嫌な予感がする。みんな、無事でいてくれ!

 




静也の行動は決まった。
果たしてルーミア達が遅れている理由とは?
次回を乞うご期待。

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