東方黒龍記 ~守りたい者達~   作:黄昏の月人

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少年たちは赤き館へとたどり着く。
そこで彼らを待ち受けるものとは。


第16話 赤き門番

「吸血鬼?」

紅魔館へ向かいながらそこに住む住人について聞くと、霊夢は吸血鬼だと言った。

「そう。紅魔館の主とその妹は、500年近くを生きる吸血鬼よ。

 他には妖怪の門番、図書館の管理人である魔女、人間のメイドがいるわね」

「えらくいろんな種族が住んでるんだな。吸血鬼か、やっぱ負けると血を吸われて血の従者にされたりするのか?」

「いや、あいつらはほとんど人間の血は吸わないぜ」

「それなら安心だが、それはそれで吸血鬼としてどうなんだ?」

そんな話をしているうちにチルノたちと遊んだ霧の湖を抜け、だんだんと大きな館が見えてきた。

「うわ、なんだここ?目に悪すぎるだろ」

「いくらなんでも赤すぎるわよね」

なるほど、その館は”紅魔館”という名も納得の紅さだった。

その館の門には、一人の妖怪が立っている。

赤く長い髪に、緑色のチャイナドレスを着た女の人だ。

「彼女が美鈴?」

「そう。紅 美鈴。紅魔館の門番をしている妖怪よ」

霊夢が言うように、彼女からは妖力を感じた。

「静也、あれどう思う?」

「明らかに普通じゃないね」

美鈴からは生気のようなものを感じられず、まるでゾンビのように立っている。

なにより、瞳が黒く濁りきっている。

「で、誰が相手をするんだ?」

「私がやるぜ」

真の問いかけに魔理沙が答えた。

「美鈴は格闘戦こそ得意だが、弾幕の方はそこまでじゃない。だから魔法使いの私が遠距離から一気に片を付けてやるぜ」

「分かった。頼んだよ魔理沙」

「頼まれたぜ!」

箒にまたがって飛んでいく魔理沙。

そして美鈴から少し離れたところで止まった。

「おい美鈴、今日も本を借りに来てやったぜ!」

美鈴に向かって大声で話しかける魔理沙。

先にどのくらい意識が有るか確かめているみたいだね。

「お前たちに紹介したいやつもいるし、レミリアの所に案内してくれよ」

だけど美鈴は魔理沙の言葉に反応することはなく、無言で拳を構える。

魔理沙もそれを見て無駄だと判断したのだろう。

ミニ八卦炉を構えた。

「美鈴っていつもあんななのか?」

「いいえ。いつも居眠りばかりしているけど、わりと友好的な妖怪よ」

「普通じゃないってこどだね。一体ここで何が起きてるんだ?」

「ま、中に入れば分かるわよ」

僕たちが目線を戻すと、ちょうど魔理沙がスペルを構えたところだった。

「先手必勝だぜ!星符『メテオニックシャワー』!!」

魔理沙の手から大量の星形の弾幕が放たれ、美鈴へと迫る。

美鈴は右へ左へと弾幕の隙間を縫っていくが、とうとう躱し切れなくなって両手を交差させ防御の構えをとる。

そこに無数の弾幕が降り注ぎ、土煙が舞い上がった。

どうみても直撃だっただろう。

「ふぅ~、案外あっけなかったな。警戒して損したぜ」

「すごいな。これが魔法使いか」

「真は見るの初めてだよね。これが霧雨 魔理沙と言う少女の強さだよ」

「もはや普通の魔法使いってレベルじゃないだろ」

魔理沙が箒を肩に戻ってくる。

その表情は笑顔だ。

僕もつられて手を振ろうとするけど、魔理沙の背後で土煙が不自然にゆがんだ。

「魔理沙、まだだ!」

「は?」

魔理沙も後ろを振り返る。

そして土煙の中から美鈴が飛び出してきた。

「な!?」

急いで空に逃げようとする魔理沙。

だけど一歩遅く、美鈴の蹴りが直撃して大きく吹き飛ばされた。

「ぐはっ!?」

「魔理沙!?」

「そんな、確かに直撃したはずよ!?」

「さっきの攻撃に耐えきったのか!?」

「まだ来るよ!!」

魔理沙へと追撃を仕掛ける美鈴。

魔理沙の動きは見るからに鈍っていて、今度は体に美鈴の拳が突き込まれ、吹き飛ばされた魔理沙は壁に叩きつけられた。

「まずいぞ、もう一撃くらったら!」

魔理沙にとどめを刺すべく迫る美鈴。

けれども魔理沙はすでにミニ八卦炉を構えている。

背中が壁だから、反動を気にする必要もなく全力を出すことが出来る。

「私を、舐めるな!恋符『マスタースパーク』!!」

魔理沙の手から放たれる極太のレーザー。

すでに慣性のついていた美鈴がそれを避けられるはずもなく、光の奔流に飲み込まれた。

「やったか?」

「分からない」

真の問いかけに銃を取り出しながら答える。

もしもまだ立っているなら、無理やりにでも割り込む必要があるだろう。

光が消えた時、そこには地面に倒れる美鈴がいた。

それを確認して、僕たちは急いで魔理沙に駆け寄る。

「へへ、やってやったぜ」

「そんなことより、大丈夫なの魔理沙?」

「あぁ。体のそこらじゅうが痛むが、歩けないわけじゃない」

「よし、とうとう館の中だ。気を引き締めていこう」

 

 




門番を突破した静也達。
その先に待ち受けるものは?
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小説家になろう様にてオリジナル小説を始めました。
そちらもご覧になってもらえると嬉しいです。
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