魔法少女靖子~暁の水平線に平和と友情の絆を~ 作:ラフィーネ
鎮守府の海域から無事戻ってきた島雪たち。中破した艦娘はいたが、轟沈したものはなかった。島雪も小破はしたが、無事帰ってきた。
「はぁー、無事帰ってこれた」
「お前の活躍があってのことだ、風呂入って休むか」
「はい!」
それを見ていた提督と金剛は、初めてにしては上出来だった軽巡洋艦島雪の活躍に喜んでいた。執務室で提督は金剛に後日の島雪の遠征に同行することを命じた。
「へーい提督、私が島雪と一緒に?」
「そう、あの子、あのままじゃ心配だし、だから、あなたが同行して島雪の話を聞いてくれない?」
「わかりました。私もあの子のこと心配デース、同行しまーす。」
「それと、もしあの子が元の世界に帰れなかったときのことだけど、あの子を養子にしようと思ってるの。艦娘とはいえ人間だし・・・。」
「わかりました。そのことも伝えておきます。」
「お願いね。」
そして、遠征のメンバーは神通、曙、子日(ねのひ)、初春、島雪、金剛に決定した。出発は午後7時となった。自室で島雪は閉じこもっていた。学校のこと、友達のこと、姉や兄、親戚、両親のことで頭がいっぱいだった。このまま帰れなくなったらどうしようと、そればかり考えていた。不安で、心配だった。結局就寝時間がすぎてしまい、寝れたのは午前1時を回っていた。そして、午前の授業が終わると、羽黒から、夜の遠征に行くように命じられた。遠征といっても、どれくらいかかるか、どのルートをいくかは知らされていなかった。しかもゆうべ、試してみたが、元の世界への通信はできなかった。空間ディスプレイ機能、データ照合などの機能はある程度備わってはいたが、さすがの妖精さんもそこまでは無理だったらしい。いくら島雪本人にあわせて作ってあるとはいえ、無理なところもあるようだ。連絡がとれたら、状況は少しでもかわるはず・・・。そして、すべての授業がおわり、島雪はドックに足を運んだ。そこでは妖精さんが艤装の修理をおこなっていた。その様子をみて島雪は、
涙を流しながら、
「ありがとう、見ず知らずのあたしのために艤装や武器、服をつくってくれて。」
と、お礼をいった。それを見ていた青葉は声をかけようとしたが、そんな気にはなれなかった。なぜなら島雪は、あまり元気がなかったし、泣いていたからだ。さすがに青葉も、声をかけるのをあきらめたのだった。そして、晩御飯がおわり、5人は約束の時間に集まった。島雪も遅れることなく時間通りにきた。神通たちが出発しようとしたら、待ったがかかった。
「みなさーん、今日の遠征は、私も同行しまーす。提督の命令でーす!」
「はい、わかってます。提督からも連絡がありましたし。みなさん、それでは、20分の遠征にまいりますよ。」
こうして、6人は遠征に向かった。一方、遠くのほうではふきのと妙子は駆逐イ級型と戦っていた。
「これはなんて化け物なんだ?」
「見たこともないわ。もうすでに1つは倒せたけど。」
この駆逐イ級型は未知の敵であったが、1隻は倒していた。そこへシグナムとヴィータも現れた。ヴィータのグラーフアイゼンで打った球、レヴァンティンの刀でもう一隻も沈められた。妙子は礼を言った。
「ありがとうございます。」
「かまわないさ。ん?どうしたヴィータ。」
「これは・・・。まさか、こんな世界に!?こんなものが?みんな、見てみろよ!」
「これは!?リンディ提督に連絡だ!」
ふきのたちは、リンディ提督に連絡をした。まさか、艦これの世界であの物が発見されるとは・・・。彼女たちは予想外であった。
一方、鎮守府海域の小島にある出張所で島雪たちは休憩していた。この島は公園にもなっており、憩いの場にもなっているのだ。もちろん、主張所にはトイレだってあるし、いざとなれば仮の指令室にもなるのだ。自販機だってある、入れたりつくせりなのだ。みんなが休んでいるとき、島雪だけは夜空を見上げていた。
「・・・・・みんなどうしているかなぁ」
そこへ金剛がやってきた。
「へーい島雪、どうしましたか?」
「あ、金剛さん。」
「心配なので私もきました。なにか悩み事でも?ためこんじゃいけませーん!ここではなんですから、遠征が終わってお風呂にはいったあと、私のお部屋へきてくださーい!お話聞いてあげまーす!」
島雪は、金剛さんが相談に乗ってくれるのでは?やっぱり話した方がいい!入浴の後、部屋へ行くことにした。そして、時間が来て、神通は集合を告げた。
「みんな、鎮守府へ帰りますよ!」
鎮守府へ戻る島雪たち。島雪の眺めた夜空はとてもきれいだった。鎮守府に戻った島雪たちは、お風呂場へいった。気持ちいい入浴タイム。何度入ったけど、この世界のお風呂も悪くないと島雪は感じた。入浴後、島雪はワンピースタイプのパジャマを着て、金剛の部屋へ向かった。
「こんばんは。金剛さん」
「へーい!待ってました。島雪。今夜は金剛お姉さんが相談にのりまーす!」
島雪は、悩みを打ち明けることにした。このまま帰ることができなかったらどうしたらいいのか、不安はいっぱいだった。金剛は、そんな島雪の不安にこういった。
「ここの鎮守府の子たちは、みんな姉妹、いえ、それ以上の絆で結ばれています。もしあなたが元の世界にかえれなかったら、提督はあなたを養子として迎えると言ってました。」
「本当に?」
「そうです。だから安心してくださーい!」
「あ、ありがとうございます。」
島雪は、提督が養子に向かえてくれることには異論はなかったが、この世界で生きていくのにはまだ不安があったし、複雑な気持ちはぬぐえなかった。
「大丈夫でーす!わたしたちもいまーす!もうあなたも私たちの仲間デース!これからもよろしくお願いしまーす!悩み事とかあったらいつでも相談にいらしてくださーい!」
「・・・ありがとう、金剛さ、いえ、お姉ちゃん。」
「んもぅ、お姉ちゃんだなんて、恥ずかしいでーす!」
金剛は、島雪からお姉ちゃんと呼ばれ、照れていた。しかし、島雪が元の世界では姉と仲良しだということがわかった。この夜ばかりは、姉として接することにした。そして、夜11時くらいをすぎたころには2人はもう寝ていた。その様子を見ていた榛名、霧島、比叡は、
「まるで本当の姉妹ね。」
「2人とも寝顔がかわいい。」
「私たちも3人で仲良く寝ようか。姉妹だし。」
榛名は、島雪が寝相が悪くなってることにきがついた。
「まあ、島雪ったらパンツ丸出しになってる。」
榛名は、島雪を起こさないようにパジャマの乱れをなおし、ふとんをかけなおして部屋を後にした。そして、比叡のお部屋では
「比叡おねえちゃーん」
「んもう榛名ったら。」
「お、ね、え、さ、ま」
「霧島まで。まあいいわ。たっぷりあまえなさい。」
その夜は比叡たちも姉妹なかよく一緒に寝た。
比叡、榛名、霧島の順番が間違ってました。ごめんなさい。