魔法少女靖子~暁の水平線に平和と友情の絆を~ 作:ラフィーネ
夜、提督の執務室では、提督である郡津少将と金剛が会話をしていた。救出した靖子のことについてであった。
「あの子は?」
「大丈夫でーす、もうお目覚めデース」
「そう、よかった。一時はどうなるかと思ったわ。ところで、例の天龍型3番艦のことなんだけど。」
「適任者このとですね?」
「そのことなんだけど、あの子ならできると思うの。」
「what?」
「報告書読んだけど、ひょっとしたらと思って・・・」
彼女は、靖子を艦娘として鎮守府に迎えるつもりだ。
「そんなの前例がありませーん!あの子にできるのですか」
「やってみる価値はありそうだわ。もし無理なら、ここの身の回りのお仕事もあるし。お洗濯とか、お掃除とか。」
それを聞いて、金剛は納得した。確かに普通の人間に艦娘をやらせるというのは、この世界では前代未聞のことだった。
「わかりました、提督がそうおっしゃるのなら・・・、あのー、紅茶のことですが」
「ごめんなさい、今日はもう門限だから。明日買っておくわ、レモンティーね。」
「イチゴ味の紅茶でーす!間違えないでくださーい!」
「ごめんなさい、ミルクティーね。」
「ノー! イ、チ、ゴ、あ、じ、デーーース!!」
「いなご味ね」
「どんな味ですか!!まったく!!」
翌日、病室で靖子は最初の朝を迎え、カーテンを開けて、まどからあたりを見回した。
「・・・ん、ここは?」
夕べのことはなかなか思い出せなかった。しかし、ここはどこかは一応の見当はついている。ベッドが並んでいる、ご飯を食べるためのテーブル、テレビもおいてある。少なくとも病室であることは間違いない。考え事をしながらベッドに腰かけた。
「・・・なんか知ってる病院と違う。それにしてもひどくやられたなぁ、傷だらけだよ。いきなり攻撃してくるなんて。なんで攻撃してきたんだろう。?誰!?女の子4人?あとの2人は帽子かぶってるけど?」
そこに誰かいるか靖子は気づいた。窓からのぞいていたのは響(ひびき)たちであった。
「あの人がですか?運ばれた女の子ってのは。」
「そうみたいね。」
「仲良くなれるかな?あの子と。」
「それは会ってみないとわからない」
そこへ利根が来て、
「おいおぬしたち!その子にあうならあとにしろ!まずは朝食だぞ。」
と、4人を食堂へいくよう促した。靖子は、どこかで、いや、ゲームで見たことがある女の子だと思ったが、思い出せなかった。確かに見覚えはあるのだが・・・。そのころ、鎮守府の食堂では、艦娘たちが朝ご飯をたべていた。間宮さんは吹雪におかゆを渡し、靖子の病室に持っていくよう指示した。それを見つけた赤城は
「あら、それ私にくれるの?」
「だめです!これは病室の人にもっていくぶんです!」
「冗談よ、冗談」
吹雪は、ここの鎮守府では新人であった。食堂でも、靖子のことで噂はもちきりだった。
「ねえ、赤城さん」
「なあに、加賀さん」
「なんか女の子が保護されたそうね。なんでも戦艦ル級に襲われたとかで。」
「ああ、知ってるわ。どんな子か、あとで見にいってくるわ。」
「それより・・・赤城さん。朝ご飯まで大盛りですか!?」
「だめ?」
朝ご飯まで大盛りで食べる赤城さんでした!
病室で寝ていた靖子は、あの4人の女の子のうち、一人だけ見覚えがあるような気がしたが、思い出せなかった。その時、吹雪がドアを叩くノックの音に気が付いた。コンコン!
「はい、どうぞ」
「朝食を持ってきました。おかゆです。」
靖子は、ちょっと警戒していた。
「そこへおいといてください。」
「食べないんですか?」
吹雪は、ひょっとしたら食欲がないのではないかと思った。
「食欲がないんですか?大丈夫、ちゃんとたべられますよ。」
吹雪はおかゆを一口味見した。
「ね、問題ないでしょ、私だってたべられますよ。」
それを見て、靖子は謝った。
「ごめんなさい、ちょっと警戒してました。疑ってごめんなさい」
「いいんですよ、間宮さんはいい人ですから。それに金剛さんや利根さんたちだって、提督も、ここはいい人ばかりですよ」
利根?金剛?やはりここは艦これの世界だったのか!靖子は思った通りここはあの艦これの鎮守府だとますます確信した。靖子は、おかゆに手を伸ばし、すっかり平らげた。
「おいしかった、ごちそうさま」
と、靖子はお皿を吹雪に返した。吹雪は靖子の食べっぷりを見て笑った。
「まあ、まるで赤城さんみたい。おなかすいてたのね。うふふ。」
「赤城さん?」
「ええ、ここの人よ」
赤城さんといえば、あの正規空母の赤城さんだ。ということは加賀さんもいてることになる。靖子はそう考えた。しかし、着ている服について聞いてみた。
「なんであたしこんな服着てるの?」
「ああ、ずぶ濡れだったし、そのまま治療するのはあれだから服ははさみで切って処分しちゃったわ」
靖子はワンピースタイプの病衣の裾をまくりあげ言った。
「しかもなんでパンツこんなのはいてるのあたし。これ子供がはくやつっぽいよ」
それを見た吹雪はあわてて病衣の裾をおろさせた。
「だめ!女の子でしょ。」
「・・・ごめんなさい」
と、靖子は謝った。
「まあ、ちゃんと着るものはこうして用意できたんだし」
「そうね、助けてくれてありがとう。あのままだったら、あたし本当に死んでいたかもしれないし・・・。」
靖子は涙を流した。
「いいのよ。あたしたちだってあなたを放っておくわけにもいかなかったし。」
そのとき、ドアをノックする音がした。響たちだ。
「はーい。どうぞ。」
暁たち4人が病室に入ってきた。
「あ、あなたたちはあの時の!」
4人は自己紹介した。
「私は響、よろしく」
「私は暁よ」
「私は雷(いかづち)です。」
「私は電(いなづま)です、よろしくお願いします。」
靖子も自己紹介しようとしたが、吹雪にとめられた。なぜ自分が自己紹介をとめられたのか、靖子にはわからなかった。
「あとで提督からお名前教えてあげるって。」
4人は納得して出て行った。
「あ、提督からここを案内するようにいわれたの。歩けるかな?」
「歩けるけど。メガネがないと・・・。」
吹雪はわかっていたかのようにメガネを靖子に渡した。
「ありがとう。あとシュシュとかない?ツインテールにしたいんだけど。」
「あ、やったげる」
髪を結ってもらった靖子は上着を羽織って吹雪の案内で中を歩くことにした。どんなとこなのか、靖子は興味津々だった。
この小説を書いてるときは2人ともいませんでしたが、今は2人ともいます。加賀さんは建造で、赤城さんは任務達成で入手しました。