魔法少女靖子~暁の水平線に平和と友情の絆を~ 作:ラフィーネ
重巡洋艦・青葉は、取材という言葉が口癖である。出撃するときも、無意識に「取材」という言葉を口に出してしまう癖がある。そんな彼女の鎮守府での役割は、鎮守府で発行する新聞をつくることである。いろんな情報を仕入れたり、見たり聞いたことを記事にしたり、取材したりと、大忙しである。とくに、ほかの鎮守府では前例がない異世界からきた艦娘のいるこの郡津提督の鎮守府なら、ネタは尽きない。なぜなら、異世界のことが聞けるからだ。もとろん、ほかの艦娘たちもそうである。
この日も、島雪たちは元の世界から帰ってきた。もちろん、学校の授業を受けないといけないし、いろいろとやらなければいけないことがあるからだ。
「あ、お帰りなさい島雪さん。どうでしたか?今回の里帰りは?」
「うん、楽しかったよ。あとでたっぷり聞かせてあげるから。」
「お願いします。」
毎回、みんなは彼女が作る鎮守府新聞を楽しみにしている。平均月に1度のペースで発行しているが、どれきらいおきに発行するかは彼女の気まぐれである。ときには連日ってこともあるのだ。
「青葉さん、次回の新聞楽しみにしてるわよ。」
「任せておいて!」
鈴鹿の部屋では、郡津提督から新しい重巡洋艦がやってくるという話で持ち切りだった。島雪と奈半利たちがそこに来ていた。
「新しい重巡?」
「うん、大淀さんから聞いたんだけど、なんでもこの鎮守府に来るって話だよ。」
「いったい誰なんだろう?新しい艦娘さん?」
「いや、ヒントはあなたたちのお友達だって」
2人は、詳しくは聞かされてはいなかったが、島雪たちはまだこの鎮守府にきてないのぞみたちのことを思い出した。早くこの鎮守府に来てくれないかと楽しみにしていた。同時に元気でやっているのかも気になっていた。島雪たち(靖子たち)の友達であるのぞみは、声優になるために専門の学校に通っている。ちょうど母親から、学校を休学するようにいわれた。
「き、休学!?なんで?」
「もちろん、任意の日に学校へ授業へでてもいいという条件よ。靖子ちゃんのおじいちゃんがうまいこと取りなしてくれたのよ。」
のぞみにとっては、寝耳に水のことだった。さらにのぞみは、母親からリンディ提督の手紙も受け取り、部屋で読んだ。
「・・・・・そうだったんだぁ。あの子時々いなくなってる理由はこのことだったのか。しかもリンディ提督がああいってるなら、うかうかしてられないわ。なぜ休学の手続きしてたかわかったわ。こうしちゃいられない!準備しなきゃ。」
のぞみは、艦これの世界へ行く準備をした。手紙には、艦これの世界のデータが入ったフラッシュメモリーも同封されていたのだ。準備を終えたのぞみは、母親に
「いってくるね。ママ。」
「・・・気を付けて帰ってきてね。」
そして、のぞみは近くの公園で変身を済ませ、背中の飛行ユニットで空を飛んでいた。間もなく海に差し掛かった。空間ディスプレイでワープする位置を確認したのぞみは
「ここね、よし、では!」
艦これの世界へワープした。ワープを済ませたのぞみは、あたりを見回した。そして、空間ディスプレイで地図を確認した。
「ここかぁ。艦これの世界ってのは。あとは鎮守府ってとこを探すだけね。」
そのとき、通信が入った。ルッキーニからである。
「やっほー、のぞみ元気?ウィッチーズ基地によってかない?」
「いいの?OK!」
のぞみは、ウィッチーズ基地に向かった。そこへみんなに挨拶にいくためだった。しかし、その様子を偵察に来ていた闇の鎮守府の駆逐ロ級と軽空母は見逃さなかった。そこには重巡紅波もいた。重巡紅波は闇の提督にそのことを連絡した。そのころ提督は、カップラーメンを食べていた。
「うーん、限定もののカップ麺はうまいなぁー。」
紅波は何度も連絡したが、提督は気づかなかった。
「提督!」
それでも・・・。
「うん!これは最高にうまい!」
ついに頭にきた紅波は思いっきり叫んだ。
「提督ぅ!」
「うわぁ!」
ビックリした提督は、限定もののカップ麺をひっくり返してしまった。
「あーあ、せっかくのカップ麺が・・・。」
「提督、見たこともない飛行物体がいますが。」
「う、うむ、そのまま見張っといてくれ。」
「はい。」
通信を終えた提督だったが、床にこぼしてしまった限定もののカップ麺をみて、残念そうに見つめていた。
「う、う、ウォーマイガット!」
と、思わず叫んでしまった。一方、青葉は、スクープをゲットすべく動き出した。
「よぉーし!とっておきのスクープゲットするぞぉー!」
島雪の部屋では、島雪と秋雲がなにやらお話をしていた。今度の同人誌即売会のお話しである。
「ねぇー島雪、今度蒼龍さんのコスプレして?」
「あ、構わないけど?できたら飛龍でもいいかな?」
「うん、いいよ。」
その時、テーブルの下から青葉がひょっこり顔を出した。
「あの、次回の島雪さんたちのコスプレ見れるのはどこですか?どんなキャラを予定してますか?」
「うわぁー!」
「それと島雪さん、あなた正規空母にもなりたいんですか?」
2人はビックリ仰天!続いてお風呂場では、お湯が入っている湯船に木津が天龍と木曾、加古と摩耶に自分の母親のことを話していた。
「んでさー、うちのお母さん、いわゆるヤンママだぜ。」
「へぇー、お前の母ちゃんがかぁ。今度写真見せてくれよ。」
「いいぜ!」
そのとき、ブクブクと泡が出てきたと思ったら青葉が出てきた!
「あのぉー、木津さん、あなたのお母さまのことについてさらにお話聞かせてください!」
「ひえー!」
5人はいきなりでてきた青葉に驚いた。そこへ比叡さんがきた。
「あれ?だれか私呼びましたか?」
呼んでませんって!比叡さん。さらに村雨のお部屋では鈴鹿が白露たちと会話していた。鈴鹿は白露と同じ服装をしていた。
「こうしてると時雨ちゃんたちとぼく姉妹みたいだね。同じ白露型みたいだね。」
「うん、本当に姉妹って感じだね。」
「あたし、鈴鹿を本当に白露型の仲間に入れよっかな?」
白露が冗談交じりで言うと時雨の押し入れに隠れていた青葉が突然でてきた。
「あのー白露さん、鈴鹿さんを正式に白露型の仲間入りを認めるってほんとうですか?」
「待ってよ青葉さん!あれは白露ちゃんが言ってたのはほんの冗談だよ!」
「そうよ冗談よ!」
鈴鹿と白露は否定した。青葉の強引な取材は鎮守府のみんなから顰蹙(ひんしゅく)を買った。しまいには郡津提督から大目玉を食らった。
「青葉さん!鎮守府新聞をつくるのに熱心なのはいいけど、もっとちゃんとした取材をしなさい!駆逐艦の子たちや軽巡、重巡の子たちからも苦情がきてますよ!みんなの迷惑を考えてください!」
「はい、申し訳ございません・・・。」
郡津提督から散々怒られた青葉は、鎮守府の周辺ならいいネタがあるのではと思い、準備を整え、カタパルトに向かった。
「重巡洋艦、青葉、抜錨(ばつびょう)!」
一人でスクープを求め、出撃していった。しかし、重巡紅波はそれを見逃さなかった。闇の提督に青葉を攻撃することを伝えた。
「よし、わかった。駆逐4隻、軽巡1隻をそちらに送る。それまで待っていろ。」
「了解しました。」
そのころ、鎮守府では、青葉がいないことに気が付いた。衣笠が青葉とお買い物に行こうとしたが、どこをさがしてもいなかったのだ。それを聞いた郡津提督は艦娘たちと一緒に鎮守府中を探していた。そこへ大淀が飛んできた。
「提督、大変です!青葉さん勝手に1人で出撃しました!映像も残ってます。」
「何ですって?急いで出撃しなくちゃ。島雪さん、蒼龍さん、祥鳳さん、奈半利さん、菊月さん、伊勢さん、お願いします!あとで応援を出しますから。」
6人は青葉を助けるべく、救助に向かった。そのころ、青葉はウィッチーズ基地に向かっていた。いいネタはないか探すためだった。しかし、重巡紅波たちの攻撃を受けた。
「な、なによ一体!見たこともない重巡?」
「ふふふ、私は闇の鎮守府の重巡紅波だ。闇の提督からお前を攻撃しろとの命令だ。覚悟しろ。」
「闇の提督?闇の鎮守府?誰それ?それに闇の鎮守府って何なの?」
「おっと、しゃべりすぎたか。覚悟!」
重巡紅波たちは青葉に集中攻撃を開始した。ちょうどそのころ、その様子をウィッチーズ基地から見ていたのぞみが見つけた。
「あれ?何なの?大変!芳香ちゃん、女の子が襲われてる!」
「本当だ!早く助けに行かなくっちゃ!坂本さん!」
「ああ、こっちでも確認した。宮藤、リネットと一緒にのぞみの援護に付け。」
「はい!」
そしてのぞみ、芳香、リネットは青葉を助けるべく救援に向かった。一方、青葉は善戦したが、紅波たちの攻撃で中破してしまい、大破寸前まで追い詰められてしまった。
「・・・だ、だめ、もうここまでか。」
「さあ、ここまでだよ。秘密を知られたからには・・・」
そのとき、上空からのぞみ、芳香、リネットが機関銃や自動小銃で駆逐イ級型と二級型を中破させた。
「な、なに奴?」
「助けに来たよ!」
のぞみたちに助けられた青葉はほっとした。そして島雪たちが到着、伊勢と菊月、奈半利の砲撃で駆逐ロ級型と駆逐ハ級型は撃破された。
「まにあったね。あ、のんちゃん!」
「お久しぶり、靖子ちゃん!」
久しぶりの再会に喜ぶ島雪たちではあったが、戦いの途中である。
「ちょっとみんな!敵は残ってるのよ。感動の再会は後にして!」
「はーい。」
突然、重巡紅波が連装砲を火をふかせた。おまけに軽巡へ級型も連装砲を装備しており、島雪たちはやや苦戦していた。
「ふはははは、どうだ!私の実力は!軽巡も単装砲じゃないんだよ!」
島雪たちはなんとか接近戦に持ち込みたかったが、波状攻撃で手も足もでなかった。その時、一発の連装砲から発射された砲弾が軽巡へ級型に直撃、撃破した。
「な、なに!」
「間に合ったようね。最上。」
「そうだね、三隈。」
そう、新たな重巡、三隈が仲間入りしたのだ。ほかに島風、多摩、白露、大淀も救援に駆けつけていた。
「島雪たち、力を合わせて頑張るにゃ!」
「よっしゃあ!ありがとう。」
「おのれ!こうなったらやぶれかぶれだ!」
紅波は攻撃を再開し、三隈たちを攻撃しようとしたが・・・。
「そうはいかないよ!」
のぞみのグレネードランチャーで連装砲が破壊された。さらに紅波は魚雷で攻撃しようとしたがそれもかわされた。そして蒼龍と祥鳳の爆撃機、さらに島雪の刀で撃破された。残りの駆逐艦も大淀たちの攻撃で撃破された。そして、青葉は伊勢と最上に抱えられ、鎮守府への帰路についた。
「間に合ってよかったね。衣笠さん心配してたよ。」
「ねえ、島雪さん、あのお空を飛んでる子、お友達?」
「うん、きっと一緒に戦うことになるよ。それより青葉さん、急いで手当しないと。」
「そうだね、迷惑かけてごめんね。」
青葉は泣きながらあやまった。一方、青葉を倒し損ねた闇の提督は悔しがっていた。
「おのれぇー!またしても!おまけにあいつ、おれの鎮守府のこといいやがって!」
「提督、限定もののこのカップ麺、いけますね。」
「はい、これはさすがにうまいであります!」
秘書艦と部下たちが勝手に限定もののカップ麺を食べてしまい、もはや一つもなかった。
「うぉー!泣きっ面にハチとはこのことかぁー!」
鎮守府では、まだ傷は完治してはいないが元気になった青葉が新聞を配っていた。そこには新しく入った重巡三隈、のぞみのことが書いてあった。さらに、島雪たちのことも書いてあった。
「青葉さん、誤解を招くような記事かいてほしくないなぁ。」
「けど面白い子ね、青葉って。」
「・・・まあ、無事でよかったけどね。大事な仲間だし。」
島雪とのぞみは2人で甘味処へいった。無事青葉を救出できて、ほっとする島雪だった。提督室では、青葉から話を聞いた郡津提督が金剛と大淀と陸奥、長門と一緒に闇の鎮守府と提督のことで話し合っていた。
「闇の鎮守府に闇の提督・・・ですか。」
「噂では聞いたことがあります。なんでも深海棲艦をつくることができるんだとか。」
「しかもオリジナルだからな。」
「リンディ提督にも報告しなきゃ。」
ようやく判明した敵の正体・闇の鎮守府、闇の提督、その正体とは?郡津提督たちはもうすこし調査することにした。
春イベント、夏イベントでたくさんの艦娘さんをゲットしました。イベントが終わった後は明石さん、卯月さんもゲットできました。