魔法少女靖子~暁の水平線に平和と友情の絆を~ 作:ラフィーネ
お風呂から上がり、あの時の味がわすれられない島雪は、また食べたいなぁーと、自室で考えていた。あれはまさしくおふくろの味って感じであった。時間はすでに11時になっていた。
「あ、もうこんな時間!早く寝ようっと。」
島雪は、また鳳翔さんがおいしい料理を作ってくれることを期待した。翌日、授業の2時間目が終わると、島雪、鈴鹿、涼風、響、文月は、高雄から遠征のついでにお使いを頼まれた。伊達一提督のところへいって、野菜をもらってきてほしいというのだ。伊達一提督の鎮守府では野菜を育てているというのだ。これがまたおいしいと評判だという。しかし、あと1人たりない・・・。いったい誰が行くのだろうか…。鈴鹿は気になって聞いてみた。
「高雄さん、あと1人は誰ですか?」
「それはこの子よ。入っておいで。」
そこへ入ってきたのは、新人の蒼龍(そうりゅう)だった。
「二航戦(にこうせん)の蒼龍です、よろしくお願いします。」
5人は挨拶をして、さっそく出発をした。このため3時間目以降の授業なしになった。この鎮守府には2人の正規空母がいたが、この蒼龍が加わったことで、3人になった。島雪と鈴鹿はこの鎮守府の戦力が再び増強されたと感じていた。島雪と文月は、鳳翔さんの作った料理が最高だったとみんなに話した。そして今夜、その鳳翔さんが、みんなに手料理をふるまうことになったのだ。2人はたのしみにしていた。
「そうだったんだぁ、ぼくも食べたいなぁ」
「でしょ!涼風も食べたくなってきたよ。」
「それは私も楽しみだ。」
「ふーん、あとで挨拶しなくっちゃね。」
島雪がテレビを付けると、輸入野菜を積んだ商船が次々と襲われ、輸入ものの野菜が高騰してるというニュースを聞いた。
「あ、このニュース!」
「知ってるんですか?蒼龍さん」
「ええ、知ってるわ。幸い死者はでてないようだけど。」
それを見た蒼龍は驚いた。実は蒼龍は提督からこの事件のことを聞いていたのだ。郡津提督の鎮守府でも、このニュースのことは伝わっており、司令部から厳重に警戒するように厳命されていたのだ。伊達一提督のところについた一行は、用意されていた野菜を護衛艦からくわに積む作業中、休むことになった。からくわは、唐桑半島にちなんでつけられた名前である。郡津提督所属の護衛艦である。島雪は、鈴鹿に鳳翔さんのことを話したが・・・。
「ああ、冷蔵庫とかパソコンとかテレビとか電器屋さんで買ったらただで直してくれるもの?」
「それは保証!」
・・・鈴鹿のだじゃれで島雪は思わず突っ込んだ。しかし、鳳翔さんは軽空母である。腕前はどんなものか、そして正規空母の蒼龍さんの腕前も気になるし、5人は気になる、一度見てみたいと思っていた。そのころ、闇の鎮守府では、開発した軽巡が野菜強奪に成功してるという連絡を聞きつけ、提督が大喜びしていた。
「わははははは、どうだ今回の軽巡黒風の威力は!」
「今回は提督の意欲作ですからね!」
「いや、私のはいつだって意欲作だよ!」
「・・・ほんとかしら?」
秘書艦は半信半疑だった。それに、鎮守府の提督が食べ物の強奪をしていいのかと疑問を感じていた。一方、島雪たちは、宿毛湾に到着していた。さっそく野菜積み込みの作業に入っていた。
「島雪と鈴鹿はいてるか?」
「はい。あたしたちに何か?」
「この前はこの泊地を救ってくれて本当にありがとう、俺からも礼を言わせてもらうよ。最近野菜が狙われてるというニュースが入ってるのは知ってるな。」
「はい。私もそのことはニュースで知りました。また被害があったそうで。」
「ぼくはおそらく、この前この泊地を襲ってきた敵と同じじゃないかと思います。」
「俺もそうじゃないかと考えてる。同一犯だろう。警戒を厳重にしなければな。」
そこへ、その様子を見ていた軽巡黒風と、駆逐艦6隻(イ級、ロ級、ハ級3隻ずつ)、輸送ワ級型3隻が様子を見ていた。
「いま荷物を積み下ろし中です。船に野菜を積み込むための作業をしています。」
「よし!作戦開始だ!」
「了解!」
港に威嚇射撃を開始、そして襲撃を開始した。その知らせは畑にいる3人にも伝えられた。
「大変です!提督!」
「どうした?桃桜?」
「積み込み作業中の護衛艦が何者かに襲われてます。おそらくこの前の敵かと」
「やはり来たか。頼めるか?俺も出る。郡津提督にも応援要請を出すから。」
「わかりました。いこう、鈴鹿ちゃん。」
「うん。」
島雪と二人は急いで現場へ駆けつけた。港では、涼風、響、文月、伊達一提督所属の艦娘の妙高と鬼怒たちも応戦していた。
「こいつらか、野菜を強奪してるって連中は。」
「そうみたいね。おそらくこの連中ね。」
そして、駆逐ハ級とロ級が護衛艦のほうへ襲おうとした。
「しまった!護衛艦のほうに!」
そのとき、島雪と鈴鹿の連装砲が炸裂、襲ってきた駆逐艦を撃破した。
「お待たせ!」
「よかった。間一髪だったぜ。」
島雪と鈴鹿は黒風に奪った野菜のありかを聞き出そうとした。しかし、黒風は教えようとしなかった。
「私を倒したら教えてやる。」
「倒す?箪笥(たんす)みたいに前か後ろに倒すの?」
「は?何言ってんだ!?そういう意味じゃない!」
「仕方ないな、行くか!」
「おう!」
戦闘が開始された。涼風と文月は、力を合わせて駆逐イ級型を2隻撃破、そして響も妙高(伊達一)と一緒にロ級型とハ級型を撃破した。輸送ワ級も機銃で攻撃を開始した。本来なら武装がない輸送ワ級型なのだが、少内提督はワ級に機銃を取り付けた改良型を開発していたのだ。だが島雪と鈴鹿、鬼怒(伊達一)は連装砲で撃破した。さらに蒼龍は艦載機で残りの駆逐艦を撃破した。
「やっぱり正規空母はすごいね。」
「そりゃそうよ、あたしは二航戦よ。」
「ラジコン飛行機飛ばすの天才だね!」
「ラジコンじゃないわよ!」
「やるな。では今度は私の番だ!」
黒風は無数のミサイルを艦娘たちに浴びせた。その攻撃で妙高(伊達一)、響は小破、文月と涼風は中破してしまった。
「これはきついな。」
島雪と鈴鹿は自動小銃で、蒼龍は機銃でミサイルを次々と撃ち落としていった。
「いつまでもこのミサイル攻撃を防げると思うな!増援も呼んだからな!」
「こりゃますますきつくなりそうだ!」
ミサイル攻撃は絶え間なかった。一方、青葉は木津を誘ってスクープ探しに行っていた。
「このあたりの島に盗まれた野菜があったらすごいことになるかも。」
「どうかなあ。ん?青葉さんあれ!あの島!」
「あ、あれは深海棲艦?あれは盗まれた野菜?」
なんと、宿毛湾泊地の付近の島に盗まれた野菜が積み込まれていたのだ。すぐさま青葉は鎮守府に連絡した。まさかこの島に盗まれた野菜があったとは。一方、島雪たちは黒風に苦戦していた。すでに増援も到着していた。涼風と文月、響は大破、妙高(伊達一)と鬼怒(伊達一)は中破、島雪と鈴鹿は小破していた。無傷は蒼龍だけだった。
「さぁーて、とどめの総攻撃と行くか。」
その時、後ろから多くの艦載機が増援の駆逐艦すべてを撃破、黒風も中破した。
「な、何だ?」
そこに、助けに来た鳳翔、隼鷹、加賀、白雪、白露、龍田が助けに来た。
「ほ、鳳翔さん。」
「本当だ。」
「みんな、助けに来ましたよ。私だって空母ですから。」
「あらあら、みんなけがしちゃって。あとで治してあげるね。そうそう、盗まれた野菜はこの付近の島にあったわよ。いま積み込み作業中よ。」
それを知った黒風は最後の力を振り絞り島雪たちに最後の攻撃をしようとしたが島雪と鈴鹿の魚雷攻撃を受け、黒風は撃破された。
「おのれぇー!まさか簡単に隠し場所が発見されるとは!野菜高くなったら売りたかったのになぁ!」
少内提督は頭を抱えて悔しがっていた。そして、野菜の積み込み作業を終えて、島雪たちは帰路についた。伊達一提督と桃桜、鬼怒(伊達一)、妙高(伊達一)はそれを見送っていた。
「妙高、鬼怒、よくやった。」
「ありがとうございます。」
「あの子たち、さすがですね。」
「さすがは郡津提督の見込んだことはありますね。」
「ああ。だが、戦いはこれからだ。」
護衛艦からくわに乗り込んでいる島雪たちは、だれが野菜の隠し場所になっている島を発見したか龍田に聞いてみた。それが青葉、木津だと知った。
「青葉さんのお手柄か。やるじゃない。」
「木津ちゃんたちのおかげでもあるけどね。」
「さあ、鳳翔さんの手料理が楽しみだ!」
そして数日後、文月、響、涼風の傷も治り、食堂で楽しみにしていた鳳翔さんの手料理が出た。茄子の揚げびたしだ。
「ナスは苦手なのですぅ!」
「ちょっと電(いなづま)!好き嫌いはだめじゃないの!」
それを見て、みんな大爆笑した。
「島雪、本当においしいね。」
「うん、本当においしいわね!」
「そうだね。野菜の値段も元に戻ったし、一件落着だね!」
島雪と文月と雷(いかづち)は美味しそうに食べていた。
やっと完成しました。連休も今日で終わりですね。またお仕事頑張らないと!