魔法少女靖子~暁の水平線に平和と友情の絆を~ 作:ラフィーネ
翌朝、金剛と島雪は朝7時半になってもまだ寝ていた。そこへ比叡が起こしにきた。
「お姉さま、島雪、起きてください!もう朝ご飯ですよ!真っ昼間までねるおつもりですか!それに島雪も、遅刻しますよ!」
比叡の大きな声で起こされた島雪と金剛は着替えて食堂へ向かった。島雪は以前姉と一緒に寝た感じが似ていて、まだ金剛と一緒に寝たことが脳裏に離れなかった。提督にはお礼を言いたいと思った。ウィチーズ基地では、坂本少佐が鎮守府に向かう準備をしていた。
「これから鎮守府に行ってくる。あの島雪のことでな。」
「やっぱりあの子は靖子ちゃんだったのですね。」
「ああ、だから行くのだ。飛行機の用意はできてるな。」
「はい!」
そして、坂本少佐は飛行機で鎮守府に向かっていった。鎮守府では、島雪が授業を受けていた。一部の人の周りの目が気になっていた。もしばれたらなんて言ったらいいのか、悩んでいたが、今悩んでても仕方がないと、今は授業に集中していた。靖子の家では、まだ靖子が帰ってないことを心配した姉は、すでに警察には捜索願もでていた。心当たりを電話したが、どこにもいない。万が一のことがあったら大阪に住んでいる靖子の両親や妹になんて詫びたらいいのか頭がいっぱいだった。一方、靖子を探しにいっていたまどかたちは、その日も艦これの世界にいた。しばらく飛行していたら、ゆうきがウィチーズ基地を見つけた。
「ねえ、以前いったことがある芳佳ちゃんとこがあるよ。ここへ寄って聞いてみようか?」
「わかった。連絡いれてみる。」
妙子はウィチーズ基地に連絡を入れ、着陸許可をもらって基地を訪れた。妙子たちはリビングに通された。そして、芳佳たちに靖子は来なかったか聞いてみた。
「ええ、来たわよ。しかも提督さんたちと。しかも島雪って名前で。」
なんと、基地に靖子がきていたことが判明した。
「よかった、ここにいたんだ。とにかく見つかってよかった。」
「芳佳ちゃん、その靖子ちゃんどこに?」
妙子たちは靖子がどこにいるか芳佳に聞き、靖子が鎮守府にいることも判明した。ふきのはリンディ提督に連絡をいれることにした。そして、芳佳の案内で妙子たちは鎮守府に向かうことにした。鎮守府の教室では島雪が授業をうけていた。すると金剛の
声で放送が・・・。
「へーい!島雪さん、島雪さん、応接室へきてください。お客様がおまちです。」
呼び出された島雪は応接室へ行くことにした。なんとそこには坂本少佐がいた。
「ひさしぶりだな、靖子。安心しろ、ここはお前と私だけの2人だけだ。」
「さ、坂本さん・・・・・。」
思わぬ来客に、島雪は驚きを隠せなかった。坂本少佐は、なぜ靖子がこの世界にいるのか、そして、なぜ島雪として艦娘になったのか、いろいろ聞いた。島雪は終始黙っていた。
「心配するな、私はお前が異世界の人間だからって差別するつもりはない。」
「・・・はい。あたし、空を飛んでたら、いつの間にこの世界に飛ばされたんです。」
「飛ばされた!?この世界にか!?」
「ええ、そして、空を飛んでたら、両手に大砲をもったお姉さんたちが襲ってきたんです。」
「両手に大砲?」
「ええ、これがその写真です。」
島雪は写真を坂本少佐に見せた。
「これは・・・、戦艦ル級じゃないか?」
「何ですか?それは。」
そう、坂本少佐は深海棲艦のことを郡津提督から聞いていたのだった。初めて聞く敵の名前に、島雪には皆目わからなかった。坂本少佐はさらに深海棲艦について聞いた。
「ほかにはどんなやつがいた?」
「これもいてました。」
島雪は軽母ヌ級の写真も見せた。
「これは軽母ヌ級だな。飛行機を飛ばすやつだ。」
「軽母?」
「軽空母のことだ。これもいてたのか。」
「あたしその、ヌ級とかいうの、ラジコン飛行機飛ばしてるのかなぁって、思いました・・・。」
「お前はそういうの好きだな。相変わらず。艦娘になっても変わらんな。」
坂本少佐は少々あきれ顔だった。
「あとは、これもいてました。」
「これは軽巡へ級に駆逐ロ級だな。」
「それも深海棲艦ですか?」
「もちろんだ。ちゃんと郡津提督からは話は聞いているし、データもある。」
島雪は少々驚いた。ウィッチーズ基地にもその情報が届いていたとは知らなかったのである。
「あと、あのネウロイとかのことも?」
「それはまだこの鎮守府には伝えていない。頼むからゆっくり写真を見させてくれ」
質問攻めされた坂本少佐は少々迷惑そうだった。一方、妙子たちは芳佳に佐伯湾泊地にある鎮守府に案内された。
「ここだよ。あの子がいてる場所は。」
「ありがとう。リンディ提督に連絡しなきゃ。」
妙子はリンディ提督に回線を開いた。そのときリンディ提督は羊かんを食べようとしていた。
「リンディ提督!」
リンディ提督は大きな口をあけたままだった。
「あ、あら、どうしたの?」
「靖子ちゃんみつかったよ!場所は艦これの・・・。」
「知ってるわよ。シグナムから連絡は受けてるわよ。詳しいことはあとで言うけど。あの子その世界にいてたのね。」
「そうです。私たちはそこに向かいます。あの、それとですね。」
「わかったわ。なのはちゃんたちにも連絡入れるから。待っててね。」
リンディ提督はなのはたちも呼んで、靖子を迎えに行くことにした。一方、鎮守府では、島雪と坂本少佐との会話が続いていた。
「お前が正体を隠さないといけないわけがわかった。だが、別に隠す必要はなかったのに。」
「ごめんなさい。」
「もういい、顔を上げろ。お前が無事で本当によかった。で、これからどうするんだ?」
「ここで、お世話になります。もう決めましたから。覚悟もできてますし。」
通信室では、戦艦アースラからの通信を受信した。大淀が対応した。
「はい、どなたですか?」
「私はリンディ・ハラオウン提督、時空管理局のものです。」
「時空管理局?で、どういったご用件ですか?」
「できたら提督さんに代わってもらいますか?」
「わかりました、お呼びします。」
大淀は、郡津提督と代わった。リンディ提督は、これまでの経緯と、靖子を引き取りに来たことを告げた。そして、すぐに来ることになった。郡津提督はさっそく、応接間に向かった。
「島雪、よかったわね。お友達が迎えに来てくれたわ。」
「え!?本当なの?」
「よかったわね、これで元の世界に帰れるわよ。お友達と、リンディさんに感謝しなくちゃね。」
「はい!」
靖子は嬉しかった。これで友達と再会できるのだから。そして、郡津提督は別れの挨拶のためにみんなを呼んだ。島雪は、これまでなぜ正体を言えなかったのか話した。
「みなさん、ごめんなさい。あたしは、靖子といいます。違う世界からこの世界にきました。最初はどうしたらいいかわからなかったので本当の名前をいえませんでした。」
「え?あの子人間だったの?」
「ウィッチーズ基地の皆さんにも迷惑かけたくなくて、本当のことを言えませんでした。でも、皆さんに助けてもらった恩は忘れません。仲良くしてくれてありがとうございました。私は元の世界に帰ります。姉とか両親とかこれ以上心配かけたくないので。本当に今までありがとうございました。」
島雪は泣きながら話した。
「そんなこと言うなよ島雪!俺は楽しかったぞ!」
「そうよ、あなたの絵、かわいかったわよ。また新しいイラスト見せてよ。」
「もしできたらまたこの鎮守府に戻ってきてよ!できたら3日に一度、ひと月に1度でもいいから。」
みんな島雪が戻ってくることを待っている。しかし、島雪は学校もあるし、両親もいる。一度戻らないといけない。
「ありがとう、もしできたら、またみんなに会いに行くから。」
「約束だよ!」
島雪は、友達とリンディ提督に連れられて、アースラに乗り込み、元の世界に向かって帰って行った。姉が住んでる初音市、ようやく自宅に帰ってきた靖子(島雪)は、姉の知恵美とメイドのまりかたちと再会を果たした。
「靖子!どこ行ってたの?みんな心配したんだから。」
「ごめんなさい、お姉ちゃん。」
島雪から戻った靖子は、再会を喜んだ。そして翌日、城戸市にある学校に久しぶりの登校を果たした。クラスメートも担任の先生、校長先生も喜んだ。久しぶりの街の空、都会の景色。何もかもが久しぶりだった。1か月も、4週間もたってはいないかもしれない。しかし、靖子にとっては久しぶりだった。一か月後、鎮守府の教室では、新しく来た駆逐艦弥生の紹介が行われていた。
「弥生と申します、よろしく。」
そして、放課後、電(いなずま)、雷、暁、響、そして秋雲がボール遊びをしていた。
「ちょっと秋雲!早いわよ!」
「こっちこっち!あ!ボール!!」
「やったぁ、雷とったわ!」
しかし、雷は誰かとぶつかった。
「いたぁい、誰よ!もう。あ!あなたたちは?」
「ウソ?」
なんと、靖子達が鎮守府に戻ってきたのだ。親戚のおじいさんが大富豪で、政界、財界などの各方面に顔がきくのだ。その人の計らいで、再び鎮守府に来れたのだ。
「嘘じゃないよ。しばらくここに厄介になることになったよ。まあ、定期的に元の世界に戻らないといけないけどね。」
「靖子ぉ!会いたかったよぉ!」
暁たちと秋雲は、靖子達との再会に涙を流した。
これもようやく完成しました。2020年5月7日完成です。