前世はバンパイア?   作:おんぐ

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投稿遅れてすみません。
アオギリ編は、一応は書けたので見直してから一気に投稿します。


閲覧注意です。念のため。


日記

 

 

 

 

 

 11月23日

 

 祝日。

 ヒデとビッグガールで、いつものようにハンバーグを食べた。その後は映画鑑賞で、第3作目を観た。ヒデは何やら難しい顔で、観ていた。

 トーカちゃんが、小坂さんと動物園に行った。

 昨日から泊まっていたので、朝のお弁当作りはうちでやった。お弁当は交換するらしく、気合いを入れた様子で作っていたのが印象的だった。帰ってきてからも、凄く楽しそうに、今日のことを話してくれた。ヒナミちゃんは、羨ましそうに聞いていた。いつか、一緒に行けるといいなあ。

 あ、そうだ。ヒナミちゃんは、朝のジョギングの後、縄跳びを始めた。結構上手に跳んでいたので、すぐに上達しそうだ。リョーコさんもするのだろうか。

 

 

 

 

 

 11月26日

 

 さっきみたニュース番組(夜)に、グールレストランの件らしきものが流れていた。CCGの精鋭部隊が出動して、殲滅したらしい。

 インタビュー映像に映っていた2人のうち、1人はなんと、あの顔の怖い捜査官、真戸さんだった。でも、少し顔つきが変わっていた気がする。背筋もピンとしていたし。

 

 さっき、何だか月山さんに申し訳なくなって電話をした。知り合いもいたかもしれない。でも、杞憂だった。いや、本心はどうかはわからないけど、電話越しの声に、悲壮感は感じなかった。

 今度、一緒にジムに行く約束をした。スカッシュなんかもできるらしい。経験ないから、少し不安だ。

 

 

 

 

 

 11月28日

 

 ヒデに誘われて、あんていくに行った。行きたくなかったけど、問答無用に連れていかれた。

 幸い、客はほとんどいなかったけど、トーカちゃんがバイトの日だったようで、僕を見て目を丸くさせていた。もう1人の店員は、初めて見る女性だった。

 

 ヒデの中で、僕とトーカちゃんが付き合っていることになった。ヒデに彼氏はいないかと聞かれたトーカちゃんが、つい僕を見ながら、いると答えたことから。

 小坂さんの前での限定じゃないのかと思ったけど、トーカちゃんに恥を掻かせられなかったし、僕も肯定したのがトドメだった。ヒデからは、散々文句を言われた。質問責めもされた。でも、最後。ヒデは温かみのある笑顔を浮かべて、おめでとう、と言った。その時は、騙していることも忘れて、照れ臭くて…少し嬉しかった。

 時々、僕の手を気にしていたのは、何だったのだろう。

 

 

 

 

 

 12月6日

 

 12月に入って、もう数日。僕を取り巻く世界が変わってから、2ヶ月だ。

 始まりのリゼさんは多分、人体実験コース。そう思うと、モヤモヤするし、同情もする。実は、まだ少しだけ恋心が残っているし(小さく書き込まれている)。やっぱり綺麗だったなあ、リゼさん。

 

 

 ここ最近は、平和な日常を過ごせた。心に余裕ができていると実感している。だからと言うわけではないが、今日の日記では、ここ最近の出来事を少し纏めてみようと思う。

 

 まず、僕の細胞を取り入れた人達についてだ。

 

 全員に共通するのは、人間の食事の他に、血の摂取を求めたことだ。嗜好目的ではなく、おそらく、生命維持にも必要なのだと推測している。

 では、人肉でも代用が利くのか。人肉を摂取した時の、味覚は以前と変わりないのか。気になる所だが、試す気にはならない。月山さん辺り、頼めば喜んでしてくれそうなきもするが、今のところ、するつもりはない。必要に迫られた時にしか、しないだろう。

 血に関しての味覚は、普通のグールであった頃とは少し違うと、月山さんが言っていた。でも、血の、より繊細な味わいが感じとれるようになったらしい。ここまで、美味しく感じたことはなかったと言っていた。

 月山さんが飲んだのは松山さんの血。ちなみに、事後報告だった。互いに血を飲み合ったそうな。想像すると、少しえろい。 

 ともかく、人間の血は飲んでいないと。グール同士ならば、いいのでは!と判断して松前さんと飲み合ったらしい。松前さんは、恐れ多いと拒否したそうだが、月山さんが無理矢理飲ませたらしい。なんでも、される側も中々いいと気づいたからだそうだ。クセになったと。正直、聞きたくなかった。

 いろんな場所の血液を飲んだそうだ。詳細は聞かなかったが、松前さんが、若干頬を染めて話していたのが、印象的だった。これが噂のギャップ萌え!

 赫包の辺りの血が、格別に美味しかったそうだ。肩を震わせて話す月山さんは、少し気持ち悪かった。でも、少し安心した。赫包の辺りというのは、つまり、Rc細胞が多く含まれている血液だ。この事実は、この先どうであれ、重要なものになるだろう。月山さんが、グールよりもRc値の低い人間を襲う心配も、少なくなった。

 しかし、そう考えていた矢先、西尾さんがやってくれた。まあ、僕も臨機応変にと言いつつ、結構行き当たりばったりなところがあるので強くは言えない。ただ、これも事後報告だった。それも、数日過ぎてからの報告だ。

 西尾さんは、彼の彼女の、西野さんの血を摂取していた。なぜ、すぐに言わなかったのかと聞くと、彼は渋々といった様子で答えた。

 ああー

 今振り替えっても、本当僕って配慮が足りないなぁ。

 きっかけは、西野さんの月経。

 西尾さんいわく、何かうまそうな匂いがしたらしい。で、頭の回る彼は、周期的に、西野さんに月のものが来ていると、答えをすぐに出した。そして、彼は、段々時間が経つにつれ、耐えることが難しくなり、彼の様子から、西野さんが察して、血を提供した。こんな話だった。

 普通の人間が、血を失っている時に、更に血を失って大丈夫なのかと心配したが、飲んだのは、ほんの少しらしい。というか、それで十分だったそうだ。

 ここで、疑問が湧いた。Rc値の低い人間でも、それも少量の血液でも、吸血衝動が収まった点だ。

 西尾さんは、僕の肉を摂取しているという、他とは違う点がある。これが原因で西尾さんが特別だとも考えられるが、他の人達も、Rc値の低い血液でも、生命維持をするのには十分であるのかもしれない。でも、西野さんから血を定期的に貰うわけにもいかないし…まあ、いいや。とりあえず今後も、西尾さんには、西野さんの血を飲み続けてもらおう。

 

 トーカちゃんは、約一ヶ月前、僕の血を飲んでいる。それ以降、唾液…細胞の摂取もなしで、普通に、人間の食事を食べている。吸血衝動も、起きていない。あるとしたら、そろそろかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 閲覧注意↓R15

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後に、我が家の一員である、リョーコさんとヒナミちゃん。結果から言うと、二人は母娘で、互いに血を飲み合った。これ自体には、何の問題もない。しかし、その結果に至るまでの過程を、僕が忘れることはないだろう。だって、あれは⎯

 

 真面目に書こう。

 僕の夢精がきっかけだった。西尾さんよりも酷い内容だ。しかも、文字にすると、更にやばいな。

 しかし、僕だって、若い男だ。まだ、枯れていない。僕は、性欲をもて余していたんだ。

 でも、自覚はなかった。…いや、ちょっとはあったかも。うん、少しだけ。家には、いつも二人がいて、自分で処理もできなかったし。それに、二人はかなり無防備だったから。あの、西尾さんの一件から、明らかに、物理的な身体の距離が縮まっていた。たまに、三人で寝ていた。笛口さん(夫)の代わりだとしても、嬉しかったし、僕も安心して眠れた。普段から、ヒナミちゃんが布団に入ってくることも多くなった。

 とにかく、何が言いたいのかというと。⎯身体は正直だったということだ。

 やっぱり、文字にすると酷い。最低だ。

 

 あれは、確か夕食後の出来事。月山さんから頂いた高級アイスを、お風呂上がりに味わっていた時のことだ。

 これ以上はないくらいに、舌を噛んだ。なぜそうなったのかは、今となってもわからない。冬にアイスを食べたのがいけなかったのか。ただ、思いっきり噛んだ。滅茶苦茶痛くて、涙がボロボロと流れた。千切れたのではないかと心配したほどだ。傷は直ぐに治った気がしたのだが、ちょっと怖かったし、念のため、ヒナミちゃんに確認を頼んだ。

 後悔している。それが、軽率だったのだ。

 

 口を開けたら、血が口の端から、タラリと溢れたのがわかった。涎が垂れたみたいで、少し恥ずかしくなったので、口で拭おうとした。そう、拭おうとした。

 できなかった。ヒナミちゃんに、ペロリと、あたたかな舌で舐め上げられたからだ。

 僕は、動くことができなかった。まるで石のように固まっ……いや、石になっていたんじゃないだろうか。何が起きたのか、あの時は全く理解できていなかった。しかも、それで終わりではなかったのだ。

 間抜けな顔をしていただろう、ポカンと開いた僕の口に、彼女が吸い付いてきたのだ。舌に吸い付かれ、次に血が溜まっていた下顎の歯茎を滑らかな動きをする舌で舐め回され、最後にじゅるるっと強烈な吸引が行われ、それは終了した。

 僕は、腰を抜かした。ぶっちゃけると、天にも昇ったかのような心地だった。目の前には、頬を上気させつつ、満足そうな表情のヒナミちゃん。隣には、目を丸くさせて、唖然としたリョーコさんが見えた。

 それから場が動いたのは、正気に戻ったヒナミちゃんが、声にならない叫び声を上げて、トイレに閉じ籠って、暫く経ってからのことだった。

 

 落ちというか、場を納めるのに、他の人達の血の件を話した。そして、リョーコさんとヒナミちゃんが血を飲み合って、その場は落ち着いた。

 錯乱したヒナミちゃんを落ち着かせるのは、大変だったなあ。やっと、トイレから出てきたと思ったら、僕の前で土下座して、ごめんなさいごめんなさいと、ひたすら謝り続けたのだ。どう言い宥めても駄目だったので、もう力業で抱き上げてから、どうにか話の場に。そんな感じだった。

 

 

 

 あれが、僕、金木研のファーストキスになるのだろうか。いやいや、犯罪だ。あれは、そうノーカンだ!全くの事故である。でも、ヒナミちゃんの口に目がいってしまうことがある。気持ち悪いなあ僕……ああああ煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散

 

 

 ちょっと気が楽になったかも。疲れた今日はもう終わり⎯⎯

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 「あれ、お兄ちゃん机で寝てる……これ、日記かな」

 

 

 ヒナミは周りを確認した。

 ベッドでは、目の柄が着いたアイマスクを装備したリョーコが、規則正しい寝息を立て眠っている。油断していると、ビクッとなるから、正直やめてほしい。

 これは、トーカからの差し入れだった。何でも、目が暖まって快眠ができるらしい。ヒナミの物もあったが、眠っている時に、無意識に外していたので、それ以来使っていなかった。

 そして、隣りでは……金木が普段とは違った、無防備で、あどけない寝顔を晒していた。

 

 

 「かわいい…」

 

 

 ヒナミは、もう慣れた手つきで、サラサラとした金木の髪に指を通す。金木には、何の反応もない。

 

 

 「ページ、開いてるし、ちょっとだけ……ううん、だめ。お兄ちゃんに嫌われるかも………………ちょっと、ちょっとだけ⎯」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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