コスプレして酒を飲んでいたら大変な事になりました。 作:マイケル
☆帝都☆
腐敗が進行する帝都の宮殿では豚の様に太った大臣が帝具に関する知識を幼い皇帝に人の好い笑顔でレクチャーしていた。
「大臣…帝具については色々と理解できたが、500年前と1000年前に出現したとされる2つの超兵器とはなんだ?」
「陛下。超兵器とは、帝国が建国される以前に作られた古代兵器の事であり、帝具の雛形と呼ばれる兵器で、歴史家の話では動乱の時代や革命の時代になどの人類の転換期に出現する兵器だと言われており、現在確認されているのはクリード将軍のイマジンブレードだけでございます。
残りの1つは500年前の内乱で紛失してしまったそうで今でも行方は分からぬままなのです」
「クリード将軍が虎徹と呼んでいたあの武器が超兵器なのか?
余には普通の刀に見えたぞ」
分厚い帝具図鑑を見る幼い皇帝の疑問に持っていた干し肉をむしゃむしゃ食べてから答える大臣。
「陛下。確かに普段は刀にしか見えないのですが、イマジンブレードは複数の能力を持った恐るべき兵器なのです。
刀身は伸縮自在にして透明化も可能。
持ち主が成長すれば刀が共鳴し、進化する。
始皇帝に仕えていた二人が帝具の素材を集める為に超級危険種を狩った最強兵器なのでございます」
「おお、それは凄い!!今度クリード将軍に頼んで手に持って見てみたいぞ」
「それはダメです!」
笑みを浮かべて説明していた大臣が慌てた様子で皇帝の意見を却下する。
成長すれば薬に女や金などはいくらでも与えて快楽漬けにしてやる為に皇帝を甘やかして来た大臣が初めて本気で却下した。
大臣の却下に不貞腐れる皇帝。
「何故だ?拒絶反応が出る帝具ではないのだから、余でも持つ事くらいは出来るだろう?」
「陛下、先ほども言ったように超兵器は帝具の雛形。
能力が帝具よりも優れていたとしても、あれは帝具と変わりありません。
当然、拒絶反応があります」
「ほう。どんな拒絶反応がでるのだ?」
大臣はポケット手を突っ込んで入れていた饅頭を食べた。
そして、一拍ほど間を開けて皇帝の質問に答えた。
「…食われます」
「は?」
「ヘカトンケイルと同様に刀が本性を現し、文字通り頭から食われるのです。
クリード将軍に出会うまで、あの刀に1700人の将軍が500年の間に食われているので、陛下は触らぬ方がよろしいかと思います」
「そ、そうか。うむ、お前の言う事に間違いはないからな。
余は絶対に触れないぞ」
「さすがは陛下。ご理解がよろしくて大変すばらしいですぞ」
「…それにしても、よくクリード将軍はそのような刀に適合出来たな。
何か条件があるのか?」
「それに関しては謎が多くてですね。
文献には死を乗り越えた魂を持つ者だとか、地獄を見ても己の道を進む者が適合したと書かれているのですが……。
死を乗り越える事など出来るわけもなく、地獄も程度による様でイマジンブレードに挑戦した将軍の中には拷問を経験した者が何人も居ましたが、悉く食われました。
結局は謎のままなのです」
「そうか…でも、超兵器を持つクリード将軍が居るのだから、帝国は安泰だな!」
「そうですね…陛下」
「ところで大臣。超兵器についての記述の最後に書いてあるこれはなんだ?
運命を司る超兵器についてと書かれているが…」
「ああ…それは確か130年前の歴史学者が超兵器が登場する文献や遺跡を調べて考察した妄想のようなものです。
紛失した最後の超兵器の事で、なんでも攻撃すれば必ず悪しき魂を打ち抜くとか、死を乗り越えた者を運命によって強制的に導くとか……。
根拠は所持していた才能のない少年が将軍へと成長したかららしいですが……」
「まるで何かの御伽噺のようだな。それは流石に嘘だろう」
「ええ、私も陛下と全くの同意見です」
超兵器は歴史学者が解き明かしたい謎の一つである。
制作された年月や制作工程、ありとあらゆることが謎。
ロストテクノロジーによって生まれた現代最強の兵器。
始皇帝の時代には超兵器にまつわる石板があった。
刀に選ばれし者、地獄を生き抜く強靭な精神を持たずに振るえば全てを食われ。
××に選ばれし者、死を乗り越えた魂を持たずに放てば幸運を吸われる。
試練を乗り越えし、刀に選ばれし者。
精神と刀が共鳴し、成長を遂げれば世界を動かす力を手に入れる事が出来よう。
試練を乗り越えし、××に選ばれし者。
××によって、争いに投じる事になるが、強靭な肉体と己が知る最強を再現し、成長を遂げれば全てを滅却できる究極の光を放てるだろう。
ただ、忘れるな。
その刀は主の肉体を常に狙っているぞ。
ただ、忘れるな。
訪れた運命を自覚し、立ち向かわねば××に見限られ、命と魂を吸われるぞ。
選ばれし者、兵器に飲まれるな。
選ばれし者、我は汝らが正しき道を行くことを願い、ここに書き記す。
超兵器について書かれた石板は、帝具を完成させた皇帝の手によって破壊された。
超兵器を持つ悪しき者が牙をむけば帝国が滅びると予感したからだ。
人類を滅ぼす兵器は封印し、使えぬようにした方がいい。
しかし、皇帝が死んだ500年後。
運命に導かれた二人によって、超兵器は目覚めて片方は再び姿を消した。
この時の使い手はお互いに手を取り合い、帝国の為に戦った英雄であった。
だが、今回の使い手は敵同士。
刀が勝てば、世界に暗黒の時代が訪れ、文明が滅びて人類に新たな文明の始まりが訪れるだろう。
××が勝てば、革命が訪れて平和な時代がやって来る。
今まで共に戦ってきた超兵器。
敵対すればどうなるかは超文明を築いたであろう古代の人間でも、それは知らない。
☆ジョニー☆
顔合わせを終わらせて、数か月の時が過ぎていた。
「店長!おかわり!!」
「はいよ」
クロノスの周辺にある町に住むことにした俺は、空き家を借りて喫茶『黒猫』をオープン。
毎日仕事をしつつ、ナンバーズの近況と革命についての話を聞いたり、日本で学んだ世界史などを思い出し、俺なりの意見を出したりしている。
最近は本気で革命を起こすのではないかと思うようになって来るほどの熱意をクロノス本部の人間から感じる
もし、本当にそんな事になっていたら総督の俺ってかなり危ない立場だよな……。
などの不安をじわじわと感じつつも、町に馴染み始めていた。
そんな時、何人もの研究者達がぞろぞろと店にやって来た。
団体さんかな?レオーネに対応してもらおう。
現在この店を回しているのは俺とレオーネの二人だけ。
エスデスとマインはパンプキンという射撃武器の適正があった為に特訓をするらしい。
見た事はないが、かぼちゃをモチーフにしたエアーガンかな?
本物でも自衛になるだろうしいい事だ。
「店長!なんか科学班と考古学者の人が店長に来て欲しいんだって!!」
「わかった。すぐに行く」
一体なんなんだろうか?
俺はお客におかわりのコーヒーを出した後、白衣を着た男達の元へと向かった。
「トレインさ……じゃなかった。店長、大変なんです!クロノス本部の地下室をさらに拡張しようと工事をしていたら遺跡が発掘されました!!
そこで我々が調査をしたのですが……そこで大変なものを見つけたのです!!」
俺が仕事とプライベートを分けている人間であることを思い出した男は俺の呼び方を言い直し、急ぎの内容を話し始めた。
つーか、俺の名前ってトレイン固定なんだね?
確かにジョニーよりかはかっこいいけどさ。
なんか、完全に訂正する機会を失ったな……。
そんな事を考えてながら男達に聞かされたその、内容はとんでもない内容だった。
「古代文明人と思われる少女の入ったカプセルを見つけたのです!!」
読者の皆様いつも応援ありがとうございます。
皆様からの評価を沢山いただくとやはり書く時のテンションや意気込みが違いますね。
今回は帝具の材料を集めた兵器についてと新キャラのフラグを立たせていただきました。
これからも応援よろしくお願い致します。
※内容に修正が加わる事があります。
修正した場合、最初と違う文章や表現になっているかもしれませんがご了承ください。