コスプレして酒を飲んでいたら大変な事になりました。 作:マイケル
エスデス視点
黒い男。
トレイン・ハートネットと名乗る男の所有物になった私。
宿に連れて来られたが、奴について知る為に色々と質問をした。
名前はトレイン・ハートネット。
職業はゴミ(人間)を掃除する掃除屋とカモフラージュのためにやっている喫茶店の店長。
今は一人で活動をしているが、いずれクロノナンバーズと呼ばれる仲間を集めて『クロノス』という組織を作りたいらしい。
そして、組織の構成員で一定の強さを持つ者には番号が与えられるようだ。
トレインの装飾拳銃と胸にはXIIIの数字が刻まれている。
何故Iではないのか?と質問をすると不吉の象徴だからだそうだ。
組織での殺し以外でも、暗殺の依頼は受けるらしい。
依頼されたターゲットは将軍だろうと危険種だろうと要人だろうと依頼人の事情とターゲットの極悪さで仕事をするそうだ。
実に面白い。
この日、私はナンバーIの数字を貰う事で、後に裏世界を騒がせる事になる秘密組織クロノスが誕生した。
???視点
今朝、僕の自宅に伝令が飛んできた。
話を聞くと僕と契約をしているデブ大臣と繋がっていた木偶の坊が死体で発見されたらしい。
正直、ゴミの死体を見る趣味はないが、大臣の与えた帝具により身体強化された人間をどうやって殺したのか、興味が湧いた僕は出かける準備をして死体安置室に来てみたんだ。
そして、木偶の坊の死体を見て今までにない感動と衝撃を覚えた。
すばらしい!!これぞまさに芸術だよ!!
迷いのない銃弾が見事に木偶の坊の急所を撃ち抜いていた。
ああ、知りたい。
僕以外にもこんな芸術的な殺しが出来る人間が居るなんて……。
是非、この人物には僕と同じ将軍となり、共に戦場を駆け抜ける相棒になって欲しい。
「クリード将軍、ギャンザを殺した賊に関する情報を僅かですが集め……」
「賊ダトォ!!!」
僕の中で最も素晴らしい部類に入るアートを眺めていたら、どかどかと安置室の部屋にやって来た警備隊の男の言動に我慢できず、腰に差していた帝具『虚鉄』を抜刀して
男の左目を斬る。
もちろん殺しはしない。
だって、僕が会いたくて仕方がない人物の情報を持ってきたのだから……。
運がよかったね。
「ぎゃああああ!!目がぁ!目がぁぁぁあああ!!」
「……言葉に気をつけたまえよ…。君のようなゴミがこの芸術を
生み出した人物に対して暴言を吐くなんて許されないんだよ。
でも…情報を持ってきたからその左目だけで許してあげたんだから感謝してよね」
「あああぁあああ、ありがどうございまず……」
左目から流れ出る血を抑えながら感謝の言葉を述べるゴミ。
そうそう。何かを教えてもらったら礼を言うのは社会の基本だよ。
「さあ、言いたまえ。このすばらしい殺しをした人物に関する情報を」
「は…い、ぞの人物は……」
痛みに悶えながらゴミの報告に耳を傾ける僕。
犯人の特徴はまず、性別は男で服装は黒一色
身体的特徴は胸にXIIIの数字が刻まれている……か。
「ふははははっはは!!まさに暗殺者の風貌だね!!実に素晴らしい!!
ご褒美に君を帝都警備隊の隊長にしてあげるよ!!」
一人の狂人の喜びの声が安置室に響く中。
警備隊の隊員オーガは左目を代償に警備隊の隊長へと昇進した。
☆☆☆☆
ジョニー視点
宿泊する宿の部屋で右へ左へウロウロする怪しいコスプレ男がいた。
はい、俺の事です。
おおおおおお、落ち着けジョニー!
まままま、まずは情報収集だ!!
まだ有罪と決まったわけではない!!
とりあえず、いまだにベッドで眠っている名前もしらない美少女ちゃんを起こして質問をしてみた。
Q名前は?
Aエスデス
Qどうしてここに居るのか?
A俺の所有物となりクロノスと喫茶店に所属しクロノナンバーズになったから
ほわっと?
落ち着け、落ち着くんだジョニー。
前半部分は色々とおかしいが後半部分はちょっとだけ記憶がある。
だしか……コスプレ仲間を見つけたら同好会でも作って『クロノス』でも
作るとか調子に乗っていた薄くフワフワした確かな記憶が……。
つまりあれか?
コスプレ的なものに興味があった彼女と意気投合し、飲み歩いた
挙句に俺が泊まっている宿に連れ込み恥ずかしい設定話しつつ
13歳の中二病な少女を雇ったと……?
ははははははは、お巡りさん!!!ここです!!俺を逮捕して!!!!
ふぅ……なんか、焦るだけ焦ったら一周して落ち着いた。
お互い服も着てるしR18的なこともなく、俺は中二病なコスプレ仲間?
と新しい店員を雇っただけ!!それだけだ!!
何にも悪くない!!!俺は悪くねぇ!!
と、心の中で号泣会見なみの餓鬼臭い、言い訳をしつつ、目の前の彼女を店員として面倒を見ることを決めた俺は、予定を切り上げて我が喫茶店へと彼女を連れて帰ってきた。
幸い喫茶店は売り上げ上昇中だし、喫茶店であると同時に自宅である我が家は二階建てなので、部屋もそれなりに余っている。
彼女の一人や二人雇えないわけじゃない。
それに、ハンバーガーを生産するのに一人ではきつくなってきたし、彼女を雇うのはかなりタイミングがよかったのかもしれない。
それに我が喫茶店にはウェイトレスがいなかったしな……。
うん!何事もポジティブポジティブ!!
よし!まずは彼女が何が出来るのか聞いてみよう!!
出来ないのであればしばらくは指導する必要があるしな!!
「エスデス。料理の経験、もしくは給仕の経験はあるか?」
「…いちおう、肉料理は出来るが給仕の経験はないな」
ふむ。
それじゃあ、しばらくは給仕は俺で、彼女にハンバーガーを任せるか。
ただ、用意したハンバーグの肉を焼いてタレを掛けた後、パンをはさむだけだし。
何度か、根気よく教えれば一人でもできるようになるだろう。
失敗しても俺が責任をもってフォローすればいいだけの話だ!!
よし!頑張るぞ!!
と、思ってたらやべぇよ。
この子、いろんな意味で逸材すぎるだろ……。
狩りをして生活をしていたらしいので、キッチンでハンバーガーを教えたらすぐにマスター。
そして給仕を教えたら…彼女に悪い固定客ばかりが付いて、一般男性客と女性客がまったく来なくなってしまった。
その悪い固定客はと言うと……
「おい、犬。まさかハンバーガー5個だけじゃあるまいな?」
「はぁ、はぁ。10個、頂きますです!!姐さん!!」
「よし」
俺がいない時、店番をしていたエスデスに難癖をつけたゴロツキ達は、彼女の従順な犬となり、我が喫茶店の売り上げに貢献してもらっている。
椅子に座らず、床で四つんばいになりながら………。
あと、俺のことをジョニー様とか呼んで来るんだよ気持ち悪い。
売り上げは、エスデスファンのゴロツキが増えるたびに上昇するが、同時に女性客や一般男性客が減っていく。
喜んでいいのやら、悲しんでいいのやら……。
ご近所さんの目も辛いし、もう引っ越そうかな……
あと、重要な問題が俺に発生した。
俺の胸の油性ペンが消えません!!
あと話は変わるが、俺はエスデスに会ってから体の調子がおかしい。
いや、別に病気や怪我をしたわけではない。
その逆で、体の調子がとてもいいのだ。
具体的に言うと体が頑丈になり強くなった。
いつもヒィヒィ言っていた買出しも息を切らすことなく店に帰ってこれるしセールをやっている店に向かって走れば、今までとは比べ物にならない速度で走れる。
まさか……地味にやっていた筋トレがここまで効力を発揮するとは……。
しかしその反動なのだろうか?表情筋が固くなって目がつり上がってしまった。
まるでトレイン・ハートネット(殺し屋)状態。
一応、接客業なのに……。
☆☆☆
エスデス視点
トレイン…じゃなかった。
今はジョニーでもなく仕事中は店長と呼べばいいんだったか?
クロノスのメンバー、『ナンバーズ』になった私は現在、
得意な肉料理のスキルを利用してハンバーガーとやらをキッチンで店長に教えてもらいながら作っている。
ふむ、父以外に何かを教えてもらうのは初めてだが……なんだかいいものだな。
しばらくして、私がハンバーガーを完璧に作れるようになると今度は給仕について教えてくれた。
どうやらかなり頼られているようだ……ふむ、やった事がなくて不安だが、店長の頼みだ。
実行するとしよう。
私が給仕の仕事を覚え始め、店長が買出しをする間、店の留守を任された時のことがあった。
「おいおい!このハンバーガーは肉じゃなくて、虫が挟まってるぞ
どうなってるんだ!!」
店のテーブルでハンバーガーをこれ見よがしに掲げ虫が挟まれている事をアピールして騒いでいる男が居た。
む?たしかこれはクレーマーと言うのだったな。
しかし、対応が思い出せない。
店長が最低の客と言っていたのは思い出せるのだが……。
ふむ、とりあえず……。
「そうか、ブサイクなお前には上等なものではないか。遠慮せずに食え」
「ぐぼぉぉおおおお!!??」
虫の挟まったハンバーガーを男の口の中に突っ込んでやり、両手で顎を固定した後に顎を動かして咀嚼するのを手伝ってやった
最低な客には最低なおもてなし(調教)をすれば問題ないだろう。
「お、親分!!ぐぉぉおおおお!!」
「うるさい、他の客に迷惑だ。ほら、注文したハンバーガーを食わせてやる」
「ぶふぉ!??」
男の隣に居た男が騒ぎ出したので、テーブルに備え付けてあったスプーンの柄をもう一人の男の手に突き刺す。
すると痛みで男がうるさくなったので、男の席に置いてあったハンバーガーを口に無理やり突っ込んで静かにさせる。
しまった、テーブルクロスをゴミの血で汚してしまった。
後で店長に謝らなければ……。
「ガ、ガキ!この親分を誰だか分かってやってるのか!!?裏の帝王ギャンザ様の右腕の
ロドニーさんだぞ!!」
「ギャンザ……?ああ、店長に殺されたあのゴミか」
確か、店長が殺した奴がそんな名前だったな。
まあ、奴には店長と引き合わせてくれた事については感謝してもいいかもしれん。
そんな事を考えていると……。
「え、今なんと?ブギュ!?」
「店長に殺されたゴミと言ったのだが…それがどうしたゴミ」
考え事をしている時にゴミに話しかけられたので思わず蹴りを入れた後に地面に転がして踏んでしまった。
「いだだ!も、もももも、もしかしてここの店長様の胸に『XIII』の刺青が
あらせられますのでしょうか…お嬢様?」
む?グリグリ踏んでいる男の態度が急に変わったな……おもてなし(調教)の成果か?
「そうだが」
「「「ギョヒィィィィィイイイイ!!!」」」
わたしが肯定すると3人のクレーマーそれぞれ持っていた財布をテーブルに置いて走り去っていった。
ふむ。代金ももらったし、どうやら私のクレーマーに対する対応は正解だったようだな。
翌日、昨日のやつらとその部下らしき男達が迷惑料と言って金を差し出してきた。
うむ、殊勝な心がけだ。
そういえば『クロノス』はできたばかりの組織だと店長は言っていた。
ならばこいつ等を番号なしの構成員にしてやるか。
雑魚ばかりだがこいつ等の数だけでも資金が集まる
店長にもいい報告が出来るな。
☆☆☆
ロドニー視点
装飾拳銃を武器に持ち、胸に『XIII』刺青をした男が裏世界最強である『帝具』持ちのギャンザ様…いや、
ギャンザを殺した事は偶然生き残ったギャンザの部下の話で瞬く間に裏の世界に広まった。
いまや裏世界では最強の称号を手にした『XIII』男の事でこの後どうなるのか気が気でない。
帝具とは過去現在においての絶対最強の兵器だ。
それを使う、ギャンザを殺したのは間違いなくギャンザと同じ帝具使い。
その武力を持って裏の世界を恐怖に落とすのか?
それとも、ただの放置なのか?
だが、恐れていても仕方がない。
いま、どの組織もどのように動けばいいか分からず静観している今がチャンスだ!!
ここでゴマすってワイロ渡して、ギャンザの側近になった俺の権力をいかして
俺様が成り上がってやるぜ!!
手始めに、ここら一帯の店なんかを絞めて俺様の領地にしてやる!!
そして俺は気合を入れて、一軒の喫茶店に手を出して……。
部下もろともエスデス様の犬になりましたとさ。
いやいや!ただの犬じゃねぇぞ!!本名は教えてもらえなかったが裏世界最強の称号を得た『XIII』の男、ジョニー様率いる『クロノス』の構成員になれたんだぜ!!
しかもだ!!『クロノス』は帝国のゴミを掃除する組織らしい。
つまり!国のゴミ、俺達平民をバカにするクソ貴族や邪魔になる組織をぶっ潰し、帝国の表と裏の世界の頂点を目指すってことだ!!
やべえぇ!超興奮してきた!!ジョニー様超パネェ!!!
それにギャンザみたいに美味いポジションにありつければ……ぐへへへへへ!!
さあ!まずは店の売り上げ貢献と、情報収集だ!!