REBORN DIARIO   作:とうこ

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雷への嫉妬 1

【十月二十日

 

 この日の天候は雨。これから巻き起こるリングの舞台には打ってつけの演出だ。】

 

 

 

 

 

 視界不良の中、彼らのいる屋上からは数メートル先に離れた別棟の校舎のポイントに紫乃は待機していた。

 

 彼女がポイントに着いて間もなく、彼らの姿が正門がある方向から確認できる。グラウンドを渡り、校舎を見上げる彼らは勝負の前からそれぞれに緊張感を張り詰めているように見える。

 その沢田綱吉の後ろから、長靴を履いた牛……ランボの姿も視認できる。

 彼らの緊張感の原因でもあるその子供が、あのステージの上で、これから一人戦わなければならない。当の本人は、アホみたいに雨の中を長靴で走り回っている。

 彼らと一定の距離を保ちながら、紫乃にもその場の緊張感は伝わった。拳が震えている。隊服の上から被ったコートに大粒の雨が降りかかるが、彼らの姿だけを一心に見つめていた。

 

 

 

 

 

 ボンゴレ達が屋上にたどり着くと、二時間もこの雨の中を待機していたという屈強な強面の男が待ち構えた。

 傘も刺さず、とんだ頭のイカれた野郎だと敵味方問わず噂されている。こんな面で変態なのだから、救いようがない。

 

 雰囲気だけは一丁前に醸し出す男を相手にせず、沢田綱吉達は円陣を組んでから勝負に臨むようだ。

 

 

「ランボ」

 

 円陣を組んだ後には気持ちを切り替えて、沢田綱吉はランボを呼び止める。あのダメツナが、真剣な眼差しだった。

 

「嫌なら行かなくていいんだぞ」

 

 真剣に、ランボがこんな戦いに巻き込まれることを心配している。彼の世話役はなんだかんだ彼が適任なんだろう。

 

 しかし、アホな仔牛は意気揚々とステージの中央に向かっていく。あくまで遊びだと思っているようだ。沢田綱吉の親心が報われることもなく、彼らのいる屋上へと打ちつける雨はその勢いを増した。

 

 彼がランボに心配の色を隠せない気持ちもわかる。

 よりによって彼の相手は、女子供だろうと、容赦無く殺してきた悪魔……レヴィ・ア・タンだ。

 

 

 

 

「それでは、雷のリング、レヴィ・ア・タンVS.ランボ――――勝負開始」

 

 

 審判役のチェルベッロのその声が、雨が降りしきる屋外に響き渡った。

 

 

 

 別棟から勝負の行方を見守る紫乃のもとにも、不穏な気配が迫る。この雨でも近くで奴らの気配を感じる。きっとここから遠くない場所で、同じくこの勝負の行方を見届けるつもりなのだろう。

 

 邪魔が入らなければいい。だが、紫乃が身を焦がして待ち続けるあの男の姿はまだ現れない。

 首筋にキラリと光る髪飾りに触れ、その時が来るのを今はまだ堪えていた。

 

 

 


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