REBORN DIARIO 作:とうこ
【三月三十一日
春に咲く桜も綺麗だ。
薄桃色に色づいて染まる町の景色も、人々の笑顔も、彼らもこの日は花見を楽しんだだろうか。
四月八日
二年の新学期がスタートした。】
グラウンドでトマゾの八代目に絡まれている沢田綱吉を発見する。
内藤ロンシャンか。ここからでもそいつのウザさが滲み出ているな。
教室の窓際にて紫乃は、のちに獄寺隼人と山本武が加わり話が拗れているグラウンドでの光景を見守る。
彼女の二年のクラスもA組だった。彼らより先に登校していた紫乃だが、彼女の脳裏にあの赤ん坊の影がチラつく。
リボーンが裏で手を回していたかは彼女にもわからないが、一年のメンバーがクラスに揃いすぎているのはやはり少なからずその可能性がある。
まだ紫乃への接触を諦めてはいない。そんな挑発のように紫乃には思えた。
沈黙は破らない。
どこかで見張っているかもしれない赤ん坊に、紫乃は固く決意した。
そして彼女には、もうひとつ不安視することがあった。
「あらら~、お隣さん? トマゾ八代目ロンシャンどえ~す! こんちこんち~!」
ウザいのが隣の席になってしまった。
紫乃は自身の運の尽きを悟った。
桜の木の下に生き埋めにしてやろうかと殺意が芽生えたが、山本武や雲雀恭弥に比べればまだまだ許容の範囲である。
ここ一年の出来事で紫乃の忍耐もそれなりに図太くはなった。
「よお、伊波! 内藤と何話してんだ?」
こいつがしつこいせいで他のバカが寄ってきてしまったではないか。やはり今日中に肥料にしてやろうか、なんて前言を撤回する紫乃であった。
山本武がノコノコとやって来たことで、また面倒なことになりそうだと薄々予感していた。
「伊波ちゃんってゆーのねー! いなみんって呼んじゃってもOK!? いなみん結構俺のタイプかも!? カノジョになる?」
「は?」
「え?」
内藤ロンシャンの取っ掛かりの掴めない会話に、二人はぽかんと呆気に取られている。
どうしてそんな話が急にされたのかは定かではないが、アプローチされた紫乃よりも山本武の方がやけに敏感に反応していた。
「なんてねー! ジョークジョーク! 残念ながらロンシャン彼女持ちだから! フリーの時はいつでも歓迎ウェルカムだから~!」
そんなわけのわからんことを言って他のクラスメイトのところに行ってしまった。
「ハハッ、内藤の奴面白れーこと言うのな」
「アホくさ」
その後も動揺を隠せない山本武が、そんな言葉で空気を濁しているのをよそに機嫌を悪くした紫乃はそのまま教室を出ていこうとした。
「な、なあ伊波、内藤とその、付き合ったりとか……」
「あるわけないだろ。バカは嫌いだ」
「だ、だよなー」
吐き捨てて言った紫乃に安堵するのも束の間、紫乃のその言葉の真意を彼は読み取る。彼女は"バカは嫌い"だと言っていたのだ。
え、俺も……? と新学期初日からやけに落ち込んでいる山本武をクラスメイトの数人が目撃していた。相変わらず山本武に同情する輩もいれば、伊波紫乃に嫉妬する輩とまちまちの反応であった。
その後は新担任の不幸ということで再びリボ山が降臨し、沢田綱吉と内藤ロンシャンの学級委員長対決が始まった。内藤ロンシャンのアホさにどうでもよくなる紫乃であったが、シナリオ通り嘆き弾の効能でトマゾが学級委員長の座を勝ち取った。
紫乃はそれを見届け、その日の学校は早退した。
他原作事ですが、鉄血の鬼畜っぷりに心蝕まれております。
(訳:推しが死んだ……)