REBORN DIARIO   作:とうこ

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経過観察報告

【経過報告。

 

 しばらく沢田綱吉と、その周辺には関与していない。

 唯一、あの後の山本武の火傷の具合が心配になり、御法度であることは重々承知だが、雲雀恭弥の目を盗みあの河原の橋の下に呼び出して傷の具合を看ていた。山本武は部活が終われば約束通り来てくれた。

 火傷は痕が残るかもしれないと息が詰まる思いでいたが、私の心配をよそに思いのほか回復は良好だった。一週間で調子も戻り、グラウンドの練習で女子達が歓喜に喚くほど活躍目覚しくなる。もう少しで痕も目立たなくなるだろう。

 それから学校でも話しかけられることが数回あったが、山本武に関わることはなくなった。

 

 

 

 

 私が山本武の怪我の具合に一喜一憂している間にも、沢田綱吉の方は上手くやっていた。休日に笹川京子と三浦ハルが対面し、イーピンを含めた三人が仲良くなった。

 その日風紀委員会に連絡が入り、商店街にある巷で人気の製菓店『ラ・ナミモリーヌ』が襲撃されたようだ。並盛で騒がれたが結局あの赤ん坊が手を回して揉み消しにした。世の中には知らない方が幸せなこともある。何も知らずその晩に体重が増えて落ち込んでいる彼女達は幸せな方だ。

 

 余談だが、雲雀恭弥がラ・ナミモリーヌから店のケーキを持って帰ってきた。この男に洋菓子とかミスマッチだろとは言わない。黙っているのがプロの傍観者だ。

 奴はモンブランで、私はザッハトルテをいただいた。私の煎れた和茶でいただいたが、意外と相性のいい組み合わせだ。色々あったが疲れた身体に嬉しい誤算である。

 

 浮かれているのではない。棚から牡丹餅があったことも一字一句詳細に書いておく、こんなことも記録に残しておくのがプロの傍観者である。

 

 

 

 

 またある日は、並盛で急激に増えた窃盗詐欺の犯罪グループの三人が捕まる急展開があった。ラ・ナミモリーヌ襲撃から一ヶ月あまりのことだ。

 しかし、彼らを交番に突き出したヒーローの男が裸だったため、公然猥褻罪に当たるとして逮捕された。元も子もない。あの赤ん坊も大目に見てすぐに釈放されただろうが……。

 

 

 沢田綱吉の周りは日に日に騒がしくなっているようだな。

 

 他方で私は応接室で雲雀恭弥のお茶出し担当だ。熱いのもぬるいのも濃いのも薄いのも気に食わないと愚痴愚痴と文句ばかり言う。そろそろ毒を盛ろうかと本気で考えている。

 

 

 

 

 

 

 十二月に入り、登校する道中に沢田綱吉の家の辺りが黒服の屈強な男達で賑わう光景を朝から発見。

 恐らくこの時期だ。跳ね馬が来る。

 

 私と奴では、相性が悪い。

 遠回りをして学校に登校した。

 

 

 

 

 その翌日にも、悪徳金融で有名な桃巨会が何者かの鎮圧により壊滅にまで追い込まれた。

 察するに跳ね馬と彼の元家庭教師の仕業だろう。また派手に暴れたらしい。

 もともと雲雀恭弥にも目をつけられていた組織だが、獲物を横取りされて憤慨しているかと思えば雑魚を相手にする手間が省けたと喜んでいた。なんだかな。

 

 

 

 

 

 跳ね馬の登場で、イベントは多くなる。

 

 しばらくは、膠着状態が続きそうだ。

 どれほど日本に滞在するつもりなのか知らないが、君は私が一番会いたくない人物なんだ。私の計画を崩さないでくれ。君ならわかってくれるはずだ。】

 

 

 


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