ISの世界で3度目の人生を歩みます。   作:ヨーシチ

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この物語はフィクションです。
実際の登場人物、団体など一切関係ありません。


2度目の転生

 

 

 海に沈んで死にかけています。

 

 足攣って溺れたとか、コンクリとランデブーして投げられたとかそんな理由じゃなくて、船が沈んで一緒に海の底にって言うね、ある意味本望と言うかなんと言うか。

 あ、申し遅れました。私、転生者で海軍の大佐をさせてもらってました田沼業正と申します。少々身の上話にお付き合いいただけますればこれ幸いに思いまする。

 

 平成の世に生まれ、20と余年を生きていた普通の男に過ぎない前世の私でしたが、創作話ではよくある事故死で転生と言うのに巻き込まれたのです。

 気が付けば赤ん坊。神様に会った様な記憶も無いから、恐らく転生特典的な物はなし。己の身一つで生きていけよと放り出されたのは1902年の日本。そうです、あの大日本帝国です。

 これやべえな、どうにもなんねえなと思いながら、海軍兵学校に行ったり、先輩や教官のいびりに吐血したり、地震がトラウマになったりと、まあ私なりに頑張って生きてみたのです。ここだけ抜粋するとなんも言えねえ感じですけども。他にもたくさんトラウマが出来たけども。

 そして今、坊ノ岬で大和と共に沈んでいると言うわけでございます。

 部下達はちゃんと救出してもらってるかな?雪風なんかは最後まで残ってた筈だし、初霜もこの斗いでは残ってたはず……きっと大丈夫だよね?

 

 呼吸が出来ない。

 

 水圧に身体が軋む。

 

 寒い。

 

 内心巫山戯ているとしか思えないでしょうが、こちとら現在進行形で死にかけています。と言うか、ほぼ死んでいます。寧ろなんでまだ生きてるのって感じです。

 歪んだ扉に脚を挟まれ動けない。室内にも浸水してきて顔まで浸かり、呼吸も不可。早く死ねることを祈って待つしか無いのです。なので、早く死ぬ為に空気を吐き出してしまいます。

 正直、心残りしか無いけれど、もう助からない身です。姉を遺して行くのは悔いが残りますが……きっと妹が支えてくれるでしょう。

 

 と言うわけで姉さん、そして妹よ、俺はもう靖國まで逝って参ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……意識がある。

 

 死んだのに?

 

 ……身体が思う様に動かない。

 

 そりゃ死んだんだから。

 

 ……とても暖かい。

 

 知ってる?海の底ってとっても冷たいのよ?

 

 ……眩しい。

 

 海底は真っ暗だよ?

 

 ……目蓋が開かない。

 

 海の中で目を開くなんて俺はやだよ?

 

 ……もう眠ろう。

 

 ……うん、それには賛成。疲れちゃったから、寝てしまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を覚ましたらね、なんと平成の世でしたと言う摩訶不思議な出来事がありました。

 先程まで大和に乗って技術将校の真似事しつつ斗って、結局沈められたはずなんだけれども……あれ、なんだか今の状況にデジャビュを感じる。

 

 ……それもそうだ。こんな感じで明治の世に放り出されたんだから。

 

 なんと言うか、ありがたいと言うべきか?赤子の頃の記憶と言うのは全然無いんだよ。1度目の転生でも最初に何か感じて、眠くなって寝たら、次に起きるのが大体物心ついたくらいと言うね。すごい御都合主義。いやありがたいんだけれども。

 兎に角、またもや平成の世に戻って来たわけですよ。どうでもいいんですが、明治、大正、昭和、平成と、随分いろんな時代を見て来たものです。

 

 話を戻してこの2度目の平成での人生、今度は軍……なんて無いけれど、戦わなくてもいい様な仕事に就こう。なんと言うかね、争いはもう疲れたよ。

 戦争なんて、碌なものじゃ無いよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんて考えていたのが、今から10年とちょっと前の事。現在の俺は、なんとIS学園なるところの1年1組の教室でホームルームを待っている途中です。

 

 いや、ちょっと待って! ISってどう言う事さ!?

 

 いやいや、ISそのものは知ってますよ?テレビで何度も見た、現存兵器では全然歯が立たない、全く新しい兵器として使われている、宇宙服的なパワードスーツでしょ?

 そうじゃなくて、ISって女性にしか使えないんじゃ無かったの?織斑一夏とか言う奴が何故か使えたから、結果的に俺もここに入学させられたってのはわかるよ?でも織斑ってやつは世界大会優勝者の身内でしょ?だったらまだ納得できなくも無いけど、なんで俺が動かしてるの?

 

 ISとかめっちゃ斗う為に使われてるじゃん……。

 

 ヘタレでも玉無しでも良いから、俺もう斗いとう無いねん……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 田沼業正改め川内紫月は、とても憂鬱な気分で第3の人生の高校入学に臨みましたとさ……。

 

 




作者は歴史に弱いですので、色々と間違うことがございます。
ご容赦ください。
ある方の作品に多分に影響を受けている可能性がございます。

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