とある無力の幻想郷~紅魔館の佐天さん~   作:王・オブ・王

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第二章 とある科学の学園都市
8,超電磁砲<レールガン>


 私、佐天涙子が幻想郷へと行った日は七月十四日、そして私が帰ってきたのは七月十五日の朝だった。

 たった数時間の出来事になってしまったことだけれど、確かに私はあそこにいた。

 確実に私の過ごした日々であり、その証拠もしっかり私の目や腕にある。

 たぶんあれが夢だったら、私は立ち直れなかったと思う。

 初春には心配されたけどなあなあに済まして、今日、七月十六日にはいつもと変わらず過ごす。

 

「まぁ、だろうね」

 

 結局、今日の身体検査(システムスキャン)の結果はレベル0だった。

 確かに突然に運動神経と反応速度が上がったとなっているけど、結局は超能力扱いではない。

 やっぱり残念だし、結構傷つくけどね。レベル0ってのは。

 このイライラどうやって晴らすべきか、なんて考えてたら無防備に歩く頭に花飾りをつけた女の子。

 

「う~い~は~る~!」

 

 思いっきりスカートをめくる。

 校門前だけど、まぁ初春だし大丈夫大丈夫!

 

「へ……ヒィッ!」

 

 素っ頓狂な声上げる初春。

 

「お~今日は淡いピンクの水玉かぁ~!」

 

 大声を上げて、叫ぶ初春につい身構えちゃったりもするけど、安心。

 チルノならもれなく氷の弾幕が帰ってくるからね~。

 リアクションは二人してたまらなくおもしろいけど。

 

「いきなり何するんですか佐天さん!!」

 

 まぁとりあえず今日は初春に良い物を聞かせてあげようと思ったんだった!

 もう一回ほどスカートをめくって私たちは移動することにした。

 初春、疲れてるけどどうしたんだろ?

 

 

 

 明らかに疲れたような表情で、ため息をついている初春。

 さすがにやりすぎちゃったかなぁ?

 

「ごめんごめん、調子に乗っちゃって、変わりに私のパンツ見る~?」

 

 どうせ『はい』とは言わないとわかってるからこう言える。

 見るなんて言われた日には……全力で抵抗しよう。

 初春は呆れたように拒否してくる。まぁそりゃそうだ。

 

「あっ、そう言えばどうだった?」

 

「どうってなにがですか?」

 

身体検査(システムスキャン)だよ」

 

 ちなみに私は案の定レベル0。

 秀でているのは運動神経と感と反応速度だけど、それでも超能力とも言えない。

 まぁそんなもんだって……でもちょっと残念。少しは期待してたしねぇ。

 

「あぁ、全然ダメでした。相変わらずのレベル1、小学校の頃から横ばいです。担当の先生からも『お前の頭の花は見せかけか! その花の力で、お前の能力値も咲き誇れ!』って……」

 

 どういうこと……? なんてことを言いたいけれどここはひとまず。

 能力がレベル1で悩むなんて贅沢だなぁ~。

 ま、とりあえず初春を励ましてあげるとしますか。

 

「ま、元気だしなよ。レベル1ならまだいいじゃん? 私なんてレベル0、無能力者だよ?」

 

 やば、初春が暗い顔を! あちゃ~やっちゃったなぁ。別に気を遣わす気はなかったんだけど、笑ってくれるわけないかぁ~。

 前ほど無能力を気にしてないんだけど、初春にとっては数日だもんね。

 とりあえずフォローしなきゃ。

 

「そんなの気にしてないからさ、私は毎日が楽しければそれでOK♪」

 

 なんだか幻想郷の生き方が身に付いてるせいかな、今が良ければそれがイイなんて……いや、いっか。

 私ってなんだか幻想郷に生きるべきって感じの性格だよねぇ。

 OKサインを出して言う私を見てから、顔をうつむかせて『佐天さん……』とつぶやく初春。

 フフッ、ういやつよのぉ~。

 

「ほら、これ聞いて元気出しな?」

 

 まぁ私が初春のテンションを下げてしまったからには、上げてあげようじゃない。

 イヤホンを一つ取って、音楽プレーヤーで曲を聞かせてあげる。

 うん、気づいたみたいだね。

 

「あっ、これって一一一(ひとついはじめ)!」

 

「うん、DL版だからこれから一緒にCDを買いに行くよ!」

 

 せっかくだから埋め合わせでもって思って私はこう言った。

 

「あっ、でも今日は白井さんと約束が……」

 

 あぁ、よく話に出てくる風紀委員(ジャッジメント)の白井黒子かぁ。

 確か同い年でしかもかの有名な常盤台中学でっていうエリート中のエリート。白井黒子のレベルも4の大能力者。

 大体にして常盤台なんて学園都市に7人しか居ないレベル5のうちの二人もいるエリート校中のエリート校、ほんとどうかしてる。

 あぁ、初春はどっかにトリップしてるし……ん、御坂美琴に会う?

 

「常盤台のレベル5ゥ?」

 

 噂の電撃姫にぃ?

 

「どうせまた能力を笠にした上から目線のいけすかない奴なんでしょ? しかも常盤台のお嬢様だなんて……」

 

「いいじゃないですかお嬢様!」

 

 初春のセレブへの憧れがまた……これが始まると長いんだよねぇ。

 お、今日は早めに帰ってきた。

 

「この際だから佐天さんも一緒に!」

 

「いや、嫌だから」

 

 明確に拒否してやる。

 

「こんな機会めったにないですよ! さぁ行きましょう!」

 

 あっ、いつの間に私の左手をっ! この小娘ぇ!

 待て、待って! 初春、やめてぇぇぇぇ! レベル5になんか会いたくなぁい!

 

 ああもう―――不幸だぁっ!!

 

 

 

 結局歩いていれば、面倒なことにファミレスにていちゃつく女子中学生が二人。

 まぁ常盤台の制服を着てるあげく、初春がそっちを見てるし……たぶんツインテールの方が白井黒子。

 はぁ~面倒。

 

 そして、とりあえずファミレスから出て四人揃って紹介にうつるという話になった。

 白井黒子さんがまずは初春と御坂美琴さんをつなげる橋……しかして私はここに必要なのか、な~んて思うも紅魔館に行ったときもこんな感じだったよねぇ。

 まずは自己紹介ってことで、白井さんが初春を御坂美琴さんに紹介する。

 そして『それからぁ~……』と言葉がつまる白井さん。

 まぁレベル5も4も無能力者を見下してることでしょうから、さっそくレベル0だと教えて鬱陶しそうにしてもらいましょう。そして帰ろう、うん!

 

「どうも、初春のクラスメイトの佐天涙子です。初春に言われてついてきました、レベル0の無能力者ですのでお話にはついていけないと思いますけど」

 

 うん、咲夜さんに教えてもらったスーパー嘘笑顔でお辞儀。そして嫌味の無いような言い方で相手の気分を害さず……まぁ鬱陶しそうにしてくれた方が助かるんだけど。

 帰れるし!

 うん、初春も特に心配してないようだし……って驚いてる? どうして?

 いや、失礼なことはいってないよねうん、あ、御坂さんがなんか言おうとしてる。

 

「初春さんに佐天さん、うん。私は御坂美琴、よろしく」

 

 あれ、気さくな感じ?

 

「よ、よろしく」

 

「お願いします……」

 

 あれ、あれ、なんか思ってたレベル5と違う。

 白井さんが何かを言おうとしたら、その脳天に拳が直撃。痛そ~。

 

「とりあえずゲーセンいきましょ!」

 

 ゲイ専? いや、違う違う! てかゲーセンですかお嬢様!

 まったくわからない。なにレベル5って、初春も呆気にとられてるし。

 まぁいいかということで四人で歩くことにした。ゲーセンまでそんなに距離もないし丁度いいね。

 正直お花とかお琴とか言われるよりはずっとマシだよ。てか白井さん言ってるし、勘弁してください。

 

「佐天さん、さっきのどうしたんですか?」

 

「さっきの?」

 

「なんだか凄い綺麗なお辞儀してたじゃないですか、まるで繚乱家政女学校のメイドさんのようでしたよ!」

 

「えぇ~あの上流階級のメイドになる生徒たちが通うがっこうのメイドみたいに~? あははっ、冗談はよしてよ初春~」

 

 ハハハッ、スカーレット家の方が全然上流階級だから。いやマジで。

 なんたってレミリア様の家なんだから当然だよね!

 別に過大評価をしてるつもりもない。

 前を歩く御坂さんを見て、私はふと思ったことをつぶやいてみる。

 

「なんだか全然お嬢様じゃないね」

 

「上から目線でもありませんね~」

 

 うっ、痛いところをつくじゃない初春。

 ん、もらったチラシなんて見てどうしたの……クレープかぁ、ゲコ太ストラッププレゼント?

 なにこのやっすいキャラ、昔薬屋の前に立ってたカエルにそっくり。

 なぁんて横を向いて話ながら歩いてたら、ぶつかった。

 

「っ、すみません」

 

 あれ、なんか話聞いてないし……あぁ、なるほど。

 目の先を見てみればわかる。欲しいのはそのゲコ太と……。

 生のカエルって大丈夫なんですかねぇ?

 まぁとりあえず、行く流れなようで……。

 

 

 

 クレープ屋に並んでいると、クレープの屋台がある公園は子供達で溢れかえっていた。

 学園都市ツアーと言ったところだろうね、ていうかガイドさんが言ってるし。

 変なタイミングできちゃったなぁ~。

 ここは席をとってくるためにこの三人から抜け出して……。

 

「佐天さん、私たち席取ってきますから買っといてください!」

 

「お金は後でお支払いしますわ~」

 

 白井さんはともかく、おい初春! 私とレベル5を二人きりにするとはなにものかぁ!

 これは蛇に睨まれたカエル、ならぬマングースに睨まれたハブ!

 ちくせう……。

 ていうかなんか、イライラしてる?

 

「あの、順番変わります?」

 

「えっ!?」

 

 あっ、嬉しそう。

 

「べ、別に順番なんて、私はクレープさえ変えたらそれだけで良い……」

 

 騒ぎながらゲコ太のストラップを持って走り回る子供達。

 それを見て羨ましそうにする御坂さん、まさか……人気あるの、ゲコ太?

 ふと話題が欲しくなった私だけどな~んもありませんとも、大体にして無能力者(レベル0)超能力者(レベル5)の共通の話題とか……。

 悪い人じゃないのかもしれないけど、どうにも……。

 

「わっ!」

 

「きゃっ」

 

 左からやってきた男の子とぶつかる私、倒れそうになる男の子の手を掴んでなんとか体勢を整えさせる。

 危ない危ない。

 

「大丈夫?」

 

「うん、ごめんなさい!」

 

「こっちこそぼぉっとしててごめんね?」

 

 そう言って頭を撫でて上げると、頷いてから走っていく。

 やっぱり片目で生活するのは慣れないなぁ~、すごい不安になるし。

 御坂さんが私を見てるけど……。

 

「どうしました?」

 

「あのね、最初から聞いていいのかわからなかったんだけど……その片目はどうしたの?」

 

 片目とは多分私の“左目”のことを言ってるんだと思うけど、その左目は初春以外は知らない。

 なんたって左目に私は“眼帯”をつけてるんだから……いやはや、包帯にしようかどうか悩んだんだけどねぇ、なんたって包帯かっこいいし。

 あれ……なんかこういうのってなんかで“なんとか病”って言うって見た気が……。

 

「まぁ色々あってですね」

 

 御坂さんは『そう』とだけ言って終わらせる。

 あぁ、今回は私のせいで会話が……む、無念。

 眼帯をつけてる方の目が吸血鬼の眼、なんて言えないしねぇ。美鈴さんの腕と違ってなじまないんだよね。

 というより色が違うからなぁ~。

 

「お待たせしました~」

 

 さてさて、初春と白井さんと私の分を頼んでと……よしっ!

 あっ、ゲコ太ストラップはいらないけど、うん。もらっとこう。

 

「最後の一個ですよ」

 

「どうもって最後!?」

 

 背後でドサッと音がする。振り返ればそこにはレベル5と言う名の屍。

 声をかけてみれば、涙目の御坂美琴さん、猫みたいな眼しやがって……。

 

「よかったら、これ……」

 

 恐るべき速度で私の右手を掴む御坂さん。

 危うく反射で投げ飛ばすとこだった。死ぬ、私死ぬ。まぁセーフだけど。

 

「いいい、いいの!?」

 

「え、ええ」

 

「ありがと~~!!」

 

 まぁいいか、とりあえずこれはあげよう。

 御坂さんがクレープを買うと、私と御坂さんは初春と白井さんの元へと行くことにした。

 なんか遊んでるし……。

 まいっか、とりあえずレベル5さんが楽しそうでなによりです。

 

 一口、あぁ、案外おいしい。

 私の隣りでクレープを食べてる初春もおいしいのか無言で食べ続けてる。

 問題は私たちの前で騒ぎながら食べている二人……フランでも大人しく食べるのにこの人たちは……。

 違う、フランの方が481年ほど長生きしてるんだった。

 私はなんという場所にいたのかと今思うと気が遠い。

 

「よかったですね」

 

 初春が喋った。

 

「御坂さん、お嬢様のイメージとはちょっと違ったけど、思ったよりずっと親しみやすい人で」

 

 まぁ、確かにそうなんだと思う。

 私だって幻想郷で他人を見る目は養ったし、御坂さんが悪い人じゃないことはわかるけど……。

 やっぱりレベル5とはそう簡単に馴染めないわけだよ。だって電撃姫だもの、攻撃系の能力者でろくな相手に会ったことがないことだけあって余計だね。

 なんて思いながら御坂さんを見ていると、私の視線に気づいたのか近づいてくる。

 これはあれだね『なにガン飛ばしてくれてんだあ~ん?』ていうパター―――。

 

「はい」

 

 ……はい?

 

「見てたでしょ? 一口どうぞ、さっきのお礼」

 

 そんなことやると……ほら、白井さんが大声上げてる。

 まぁあ~んとか一口どうぞ的なことは幻想郷でもよくやってたし別に不思議なことじゃないけど……。

 レベル5にやられるとさすがに恐縮というか、なんというか。

 間接的なベーゼって……。

 

「あんたの友達とはうまくやれそうな気がする」

 

 大ちゃんのことを思い出しながら初春に言ってやると、苦笑してから突然不思議そうに背後の方を見る。

 それに気づいて私もそちらを見た。

 どうしたの? なんて聞くと不思議そうに言う。

 

「いえ、あそこの銀行なんですけど……なんで昼間からシャッター下ろしてるんでしょうか?」

 

 なんで、おかしいこと……いやいや、昼間に銀行がシャッターを下ろすって普通じゃないでしょ。

 とか思っていると突然シャッターが歪んで、爆発した。

 また爆発か! もう幻想郷で見飽きたっての!

 すぐにベンチにカバンを置いて地を蹴ってから銀行の方へと体を向ける。

 

「初春! アンチスキルへの連絡と怪我人の有無の確認! 急いでくださいな!」

 

 白井さんは私の背後から走ってベンチを台にして大通りへと飛び出す。

 初春と白井さんの二人がすぐに風紀委員(ジャッジメント)の腕章をつけた。

 

「黒子!」

 

「いけませんわお姉さま、学園都市の治安維持は私たち風紀委員(ジャッジメント)のお仕事。今度こそお行儀よくしていてくださいな」

 

 そんな言葉に笑みで返す御坂さん……てかレベル5なんだから動こうよ。

 あぁ、でもだからダメなのかな? う~む難しいね。

 まぁレベル0の私が動いたら怒られそうだから止まってよう。

 銀行から出る黒煙の中から出てくる三人……それに相対する白井さんは……白井さんの能力は空間移動(テレポート)だったっけ。数少ない能力だったっけ。まぁレベル4だし負けることはないと思う。

 

 って初春の方はなんか大騒ぎだし、行くんですか御坂さん。ていうかガイドさんじゃん。

 

「男の子が一人足りないんです! 少し前にバスに忘れ物したって言ったっきり!」

 

 なんてタイミングの悪い!

 

「初春と御坂さん、男の子を探しましょう! 初春はバスの下とかで御坂さんは中をお願いします。私は周辺を探しますので!」

 

 私は走ってから跳ぶ、公園の柵を足蹴にしてもう一度跳ぶと公園の外に出てまず地をはいつくばる。

 子供だから草むらにかくれてたり爆風で中に入っちゃったりとかも考えられるしね!

 御坂さんと初春も探しに来たみたい。

 って、犯人が男の子を!

 

「御坂さ―――」

 

 まだバスの中、これなら私が言ったほうが早い!

 犯人の車の近くだけど、って強盗もう一人!? てかそりゃそうか、車を出す人ぐらいいないとダメに決まってるっての!

 男の子を連れてこうとした強盗と車から出てきた強盗が入れ替わるけど……って、なんか手に大量の鉄の弾!? 念動力(テレキネシス)空力使い(エアロハンド)っ!

 鉄の弾が私に飛ぶ……って当たんないよそんな攻撃!

 伊達に弾幕ごっこやってない。よしっ!!

 

 この距離は―――!

 

「あたしの距離だァっ!」

 

 能力者の懐に入ると同時にその胴体に右肘で肘鉄、その流れで腕を上げて顔面に裏拳、そして左手でその顎にむけて掌底を打ち込む!

 気絶する犯人、だけど私の左目が見えないのが悪かった。

 左側から衝撃が来て、そちらを見ればさっき車に戻ったかと思った強盗犯。

 

「くっ」

 

 蹴りの一発ぐらい……。

 もう一回蹴ろうとしてくるので避けようと思ったけど、避ければ今能力者から助けた男の子に蹴りが直撃する。

 たく、不幸だっ!

 私はすかさず男の子を胸にだく。

 脇腹からくる衝撃に耐えるけど、すぐに背中を蹴られて地面を転がるハメになった。

 

「痛~っ!」

 

「お姉ちゃん大丈夫!?」

 

「あ~余裕余裕」

 

 凄い痛いです。

 初春と白井さんの声が聞こえるけど、あぁ車走り出しちゃうし。

 なんとか上体を起こして男の子を見ると怪我はないようでなにより。

 ってえ? 帰ってくるとか馬鹿なの? 逃げれば良いのに……まぁ、電撃姫はなにがあったのかご立腹のようです。

 終わったね。

 コインを弾く御坂さん、そして落ちてくるコインを―――さらに弾いた。

 音速を超えたそのコインは車を吹き飛ばして……落ちる。

 

「すっごい」

 

 生きてるの犯人?

 

 

 

 アンチスキルが到着して、犯人たちが護送車に入れられる中、なんか私はお礼を言われてる。

 まぁ悪い気はしないよね。お母さんと男の子の二人に笑顔を向けて手を振ってさよなら。

 脇腹痛いけどとりあえず二人が見えなくなってからにしよう。

 見えない、よね?

 

「痛っ~、あぁもう、女子中学生に蹴りいれるなんてどういう神経してんのよっ」

 

 フランとの戦いで腕潰されたりとかしたけどあの時と今は別、痛いものは痛い。

 あぁもう、結局最後はご機嫌斜めの御坂さんがトールの雷のごとく噂の“超電磁砲(レールガン)”って……まぁそこまで気にすることでもないか、役にたたなかったわけじゃないし。

 足音が聞こえてきて、顔を上げれば目の前には今頭の中にいた電撃姫こと御坂さん。

 

「お手柄だったね、佐天さん」

 

 レベル5に褒めてもらうことになろうとは私も予想外……。

 

「すごくかっこよかったよ……」

 

 な、なになになに! なんか恥ずかしい! てか、嬉しすぎってニヤケがっ!

 

「御坂さんも―――」

 

 悔しながらやはりレベル5はカッコイイので素直にそう返そうかと思えば、声が聞こえる。

 大ちゃんの顔が出てきたけど白井さんだ。御坂さんに抱きついてまた大騒ぎしてるけど……。

 

「佐天さん! お怪我大丈夫ですか!?」

 

 初春も心配してくれてるのね。

 

「大丈夫大丈夫!」

 

 返事をしてから、目の前で騒いでいる二人に目を向ける。

 楽しそうで……でもレベル5の御坂さん相手に口に出すのはやはり気が乗らないのであの言葉の続きは言わないことにしよう!

 まぁレベル0に褒められてもね? だから心の中でだけ言う。

 

 ―――御坂さんも、すっごいかっこよかったですよ!

 

 

 

「佐天涙子ちゃん!」

 

 ん、アンチスキルの人が呼んでる? これで今日の大騒ぎは終わりな気分だったんだけど? もしかして犯人をボコボコにしたから私は逮捕とか!?

 呼ばれてとりあえずアンチスキルの人の元へと向かうと、護送車に乗る前に先ほどまで私に気絶させられていた能力者の人がそこには居た。

 

「俺が出所した時にはまた勝負してくれ! 今度は正々堂々と、あんたを倒してみせるぜ! 今度はレベルを一つ上げて4になってからなぁ!」

 

 そんな清々しい顔で……まぁこの人を倒した時は誰も見てなかったみたいだから良いけど。

 ていうか(レベル0)にレベル4で挑むつもりですか? なんでライバル認定されちゃったの? ていうか“女の子”がそんな言葉使うもんじゃありません。

 とかそんな言葉の数々が頭に浮かんでは消えていき、いつの間にか護送車に乗せられてあの人もGO。

 

「どうしたんですの佐天さん?」

 

「アンチスキルの人が何か用?」

 

「とうとう私のスカート捲りが実刑判決されるんですか?」

 

 とりあえず白井さん、御坂さん、初春の三人からの言葉は受け流す。

 

「はぁ~」

 

 ―――不幸だ。

 

 

 

 

 




あとがき

まず、まえがきでも書いたアンケートの話は後にしてとりあえず。
今回はいかがだったでござろうか? とある系の処女作なので自信がないでござる(汗
当初の予定通りなのでござるが犯人が一人増えたでござるな。原作(アニメ)好きなお方すまぬ。

次回もまだ学園都市編、幻想郷編まではもう少しかかるでござるよ!
お楽しみにしていただければまさに僥倖ォッ!!

アンケートの結果は『B、眼帯』となりました!
ご協力ありがとうございました!

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