この素晴らしい願い事に奇跡を!   作:赤福餅

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連続投稿その2です。


68話

「ゆんゆん、袋」

 

「はい!」

 

 並走しながら取り易い様にゆんゆんが袋の口をこちらに向けて開ける。

 変化魔法は身に着けている装備品も含めて効果がある。ゆんゆんに所持させて一緒に変化させていた袋には、最高級魔道具の携帯屋敷と同じように空間制御の圧縮拡張の魔法が施されており、中には見かけ以上に大量の物が入れられている。

 

「防具を着込んでいる余裕はないか」

 

 押収されていた装備品のうち、『アルゴンハート』の指輪を左の指に嵌め、『星降る腕輪』を右腕に巻く。『水のアミュレット』を首にかけて、最後は愛用の杖代わりの鉄扇にそれから太刀を取り出す。

 そこまでだ。

 八つの首を相手に走りながらストリップショーなんて器用な芸当は流石に無理で、『白波の装』に『空のトーガ』を装備する余裕はなく、『布の服』でこのヒュドラ変異種戦に望む。

 

「一撃ももらうわけにはいかないなこれは」

 

 とんぬらが愚痴ると、ヒュドラの首がひとつ大きく口を開いた。

 そこに膨大な量の魔力が渦巻いているのがわかる。

 

(これは……!)

「っ! ゆんゆん、俺の後ろに回れ!」

 

 パートナーが背後に回ると、とんぬらは鉄扇を半々に二つに分離させて振るう。右から暖風、左から寒風と混ざり合い、春と冬の精霊の協演が成す防風壁『ラジカルストーム』を展開。

 一瞬遅れてヒュドラの口から放たれたのは、『ドラゴンブレス』。

 灼熱の炎と衝突し、激しく火粉を散らす風の護り。威力が幾分か削れたところで、とんぬらは大きく深呼吸――ドラゴン固有スキル『全てを吸い込む』だ。

 

「『ブレス威力増加』――!」

 

 後方でゆんゆんが『竜言語魔法』の支援魔法を掛け、ブレスを吐き返した。

 

「ギイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」

 

 息の合った連携でカウンターされたとんぬらの『ドラゴンブレス』に呑まれて、首ひとつが甲高い悲鳴を山間に響かせる。

 

「よし!」

 

 早速、ひとつ!

 この調子で残る七つも狩っていく――と、そう簡単にはいかないからこそ、王国軍でも滅ぼせない高額賞金首だ。

 

「え……?」

 

 眼前の出来事にゆんゆんは唖然とする。

 今まさに吹き飛ばした首が欠損部からぼこぼこと泡立ったかと思うと、それが次第に盛り上がり、やがて元通り再生したのだ。

 

「聞きしに勝る自己再生能力だ。これは、上位竜種よりも怪我の治りが凄まじいんじゃないか、この亜竜」

 

 最も厄介なヒュドラ族の修復能力。水を浴びれば大抵の怪我が治ってしまうとんぬらでも首を吹き飛ばされてああも瞬時に自己再生は無理だ。普通に死ぬ。

 これは十年分蓄えた魔力量が尽きぬ限り、致命傷を与えるのは不可能だろう。

 

「まったく豪勢過ぎる前座だな……!」

 

 ヒュドラから一定の距離を保って湖の淵に沿うよう駆け回りつつ隙を窺うものの、思った以上に厄介な相手だ。動きこそ緩慢であるが、八つの首によって死角のない防衛圏を築いているようで、迂闊に間合いに踏み込めば迎撃されるのは目に見えている。

 それに何しろこの巨体。凍った湖から付き上がってくるその首のひとつひとつが塔と対峙しているものと錯覚させてくる。

 

「「「ギュオオオオオオオオオオオオオオ!」」」

 

 咆哮と共に、今度は三つに首がこちらに向かって『ドラゴンブレス』を放とうとする。

 

「『ジゴフラッシュ』――ッ!」

 

 そうはさせまいとゆんゆんが『光のタクト』を振るい、混乱するほど強烈な閃光を放つ。

 ブレス直前で目晦ましを食らった三頭は大きく首を仰け反らせてふらつかせるも、強引にその長い首を鞭にして襲い掛かる!

 

「これまで修めてきた芸能から編み出した我が蘊奥――『春花秋月・九尾の猫』!」

 

 右手に太刀、左手に鉄扇の『二刀流』から繰り出す斬打複合の高速九連撃。

 扇が振るわれる度に、宴会芸・手妻スキル『胡蝶の舞』の変形で青葉、黄葉、紅葉(木の葉を模した聖水反応式起爆札)、それから『風花雪月』の雪精をその軌道に舞わせる、四季の移ろいを魅せる『扇の舞』、

 それと同時並行に抜刀からの一刀、その勢いを殺さず、立て続けに振るわれる二の太刀、三の太刀……と停止期の存在しない剣の舞は、篠突く雨のよう。『抜刀五月雨斬り』。

 最後には宴会芸・手妻スキルの水芸『花鳥風月』に春風の精霊『春一番』を合わせた一芸に、竜巻が巻き起こり――起爆札が爆発する。

 

「―――」

 

 ヒュドラの首が三つ、宙に斬り飛ばされた。

 そして、二人は下がる。新たな首が復元し始めているが、幸い完全に再生するまでには少し時間がかかるようだ。

 態勢を立て直し、呼吸を整えると、

 

「ゆんゆん、前に出る。援護を頼む」

 

「わかったわ。――『速度増加』! 『筋力増加』! 『体力増加』! 『魔法抵抗力増加』! 『皮膚強度増加』! 『感覚器増加』! 『状態異常耐性増加』! それから、『光刃付加』! 頑張ってとんぬら!」

 

 『ドラゴンロード』の支援を受けて、とんぬらは一気に金色のヒュドラ目掛けてダッシュした。

 

(後の事を考えて、魔力消費の激しい大技の連発は控えたい。となると、ここは機が来るまで、小刻みにやっていくしかないな)

 

 現時点では持久戦は分が悪いとわかっているが、時間を稼ぐ。

 

「『ヴァーサタイル・エンターテイナー』!」

 

 自らに器用値を上げる芸達者の支援魔法を掛けたとんぬらは、学校に通う以前は、鉄扇と短刀の『二刀流』のスタイルも用いていた。それはまだ攻撃手段となる魔法や宴会芸が熟達していなかったころで、基本、鉄扇は防御(たて)に、短刀で相手の急所を突く戦闘をしていた。

 短刀と太刀では勝手がだいぶ違うものの、今のとんぬらの膂力ならば、両手を使う太刀も短刀のように扱える。

 

「グルオオオオオオオオ!」

 

 ただ武器を二つ持とうが、向こうの首は八つ。

 当然のように八つの首がそれを迎撃するように回頭し、とんぬらを狙ってブレスを放つ。

 だが、灼熱を吐き出す直前で、援護射撃がその内の頭のひとつを射抜いた。

 

「『ライトニング』!」

 

 序盤ながら紅魔族の戦闘考察力で相手のパターンを把握してきている。

 八つの頭に死角は存在し得ないが、逆を言えばそのうちの一角が崩れれば突破口が生まれる。ゆんゆんの雷撃魔法は、金色のヒュドラの頭を吹き飛ばすだけの威力はないものの、それを作り出すには十分だ。

 

「『ギガスロー』――ッ!」

 

 とんぬらは『ドラゴンブレス』を搔い潜りながら大きく跳び、『ライト・オブ・セイバー』の支援魔法が掛けられた鉄扇をブーメランのように旋回させて投擲した。

 回転する鉄扇は弧を描いて首ひとつを容易く両断し、さらに両手で構えた太刀を思い切り振り落としてもうひとつ。

 

「飛び乗り成功!」

 

 巡ってきた鉄扇をキャッチし硬い鱗に覆われた背に着地した。ここでならヒュドラもブレス攻撃はできまい。すれば、自滅で、デカすぎる図体では小回りが利かない。

 無論、ヒュドラは振り落とさんと暴れる、足元が激しく不安定の中、とんぬらは果敢に攻撃に移る。

 相手に魔力を消耗させるには滅多切りして自己再生させるのが一番だ。

 その分、こちらの隙も大きくなってしまうが――

 

「――『ライトニング』!」

 

 それをゆんゆんの雷撃が見事に埋める。

 指示出しできる距離でなくとも、とんぬらが一番牽制してほしいタイミングで雷撃を放ってくれる。逆にとんぬらも掛け声がなくとも、ゆんゆんがどの首を攻撃するかほとんど直感で分かっていた。

 

「はあああああ!」

 

 太刀が根元を断ち切ろうと薙ぐ……が、手応えが先よりも強かった。肉を断ったが、骨に阻まれ、刃がヒュドラの体に埋まって抜けなくなる。筋肉で締め付けられているのだろう。

 いや、それ以上に、

 

(っ!? さっきよりも硬い……!)

 

 即座に鉄扇から抜けば玉散る氷の刃を『氷細工』で成型。埋まった太刀と交差させてようやく挟み切る。

 

 このヒュドラの変異種。自己再生能力だけでなく、攻撃に対して耐性まで獲得していくのか。

 

 とんぬらは、一度血振りした太刀を鞘に入れて、舌打ちをする。

 そこへ『グランドラゴーン』は、顎を開き、紫色の瘴気を吐き出す。猛毒のブレス。湖を汚染するヒュドラの毒霧がとんぬらを呑み込む。

 これならば自滅せずに身中の虫を殺すことができる。

 ゆんゆんからの支援で状態異常の耐性力が上げられ、魔王軍幹部であるデッドリーポイズンスライムの変異種の毒を食らってから耐性値が高いとんぬらであるも、完全に無害ではない。吸い過ぎれば、戦闘に支障が出てくる。

 

「『ウインドブレス』」

 

 蝕むヒュドラの瘴気を風魔法で吹き払い、呼吸圏を確保したとんぬら。

 そこへ、

 

「『ライトニング』――!」

 

 奔る稲妻。

 しかし、それはヒュドラを狙ったものではない。

 『手を稲妻の如く素早く動かす』のが手妻(手品)の語源。まさしく語源を体現するかの如く、とんぬらの手は自分を目掛けて飛来した雷撃を掴む。

 魔法を錬成させて、己の魔法に上乗せさせる『マホプラウス』の技法。これは、端に相手の魔法をカウンターするだけに使えるものではない。

 むしろ味方と協力することの方が、正しい構想である。

 

「『ブレス・ライトニング』!」

 

 瘴気を掃った風魔法は、相方の雷撃魔法と融合して、嵐と化す。

 これがほぼ完全に紫の毒霧を焼き払い、金色の体表を焦げ付かせて――とんぬらの身体が宙を飛ぶ。

 

(なっ!?)

 

 合体魔法で、八頭竜は怯んだ。チャンスだ、ととんぬらが思ったその時、“新たな九つ目の首”が、足元の背から生えて、思い切り突き上げたのだ。

 

(こんな隠し玉があったとはっ!)

 

 まずい。気球となる『空のトーガ』を装備していない以上、『春一番』で飛行するのはできない。

 このまま重力に引かれて落下すれば、待ち構える九頭目の咢がとんぬらを呑み込もうとする。

 

「だが、そんなに大口を開けていると阿呆に見えるな――『アストロン』!」

 

 超重量の鉄塊となったとんぬらの落下速度が加速。目測を誤り、口キャッチを失敗した九つ目の頭は鼻面を醜く潰された。そのまま凍った湖面に叩きつけられ、氷を砕いて頭が埋まる。

 その道連れに沈んでしまう前に、『アストロン』を解いたとんぬらへ、混乱から回復したヒュドラの首ひとつが迫るも、

 

「『ライト・オブ・セイバー』ッッッ!」

 

 自らの『光のタクト』の杖先の延長線上に光の刃を展開し、ヒュドラの首を刎ね飛ばした。

 後衛のゆんゆんが、前に出てとんぬらを助け出す。

 

「ぐぅっ……!」

 

 捕食されるのは逃れたとはいえ、最初の不意打ちの突き上げを受けたとんぬらはダメージが少なくない。身体が軋み、動けないほどにないにしても全速で走るには無理がある。

 

「……とんぬらっ!」

 

「大丈夫……! それより再生されるまでに下がらなければ餌食になる……」

 

 心配そうな顔のゆんゆんに答えつつ、とんぬらは鉄扇を握り念じる。

 幸い、ここは凍った湖面。雪精に頼まなくても滑走路はできあがっていて、『春一番』の後押しを受ければ無理に走らなくても滑って移動できる。

 が、自己再生した頭から獲物に食らいつかんと、鋭い歯を剥き出しにしながら首を伸ばす。

 すかさずゆんゆんがまだ展開していた『ライト・オブ・セイバー』で迎え撃つ。風を裂くように薙ぎ払われたその光刃は、また首をひとつ斬り飛ばしたが、次のヒュドラの首と拮抗し、弾かれた。

 

「えっ……!? 『ライト・オブ・セイバー』が!?」

 

 魔力を篭めた分だけ切れ味の上がる上級魔法。紅魔族の優秀な『アークウィザード』であるゆんゆんの一刀はヒュドラの金鱗を断ち切ってみせた。

 だが、再生のたびに耐性を得ていく『グランドラゴーン』は、一頭を斬り伏せて魔力を消耗して切れ味が落ちたとはいえ、ゆんゆんの渾身の一刀を防ぐだけ殺され難くなっている。

 そして、逃げるこちらの背中に雪崩れ込む蛇竜の頭。

 躱す余裕はなく、防ぐ術はない、この金色の濁流に飲まれれば、終わり――いや、前を見ていたとんぬらは、笑った。

 

 

「来てくれたか……!」

 

 

 向こう岸に群がる蛍火のように妖しく揺らめく紅い光点。

 それは感情の昂りに輝きを増す一族の瞳。それが無数、あった――

 

「『トルネード』ッッッ!!」

 

 大量の魔力を注ぎ込んだ、大魔術。

 紅い瞳の青年の放った上級魔法はヒュドラを包む巨大な竜巻を発生させた。

 横っ面に暴風波を受けて、とんぬら達を食らわんと伸ばしていた首はくの字に折れ曲がり、大きく煽られる。

 そして、青年の隣に偉く綺麗なお姉さんが、同じく紅い瞳を輝かせ、左手を前に突き出した。

 

「ぶっころりーさん、そして、そけっと師匠……!」

 

「助太刀するわ。良くここまで持ちこたえたわね」

 

 その女性、そけっとは紅魔族にしては珍しく、杖ではなくドラゴンの彫刻がなされた木刀を得物とする。

 左手を前に突き出した、里の中でも高レベルの『アークウィザード』であるそけっとは、右手の木刀を一振りして、

 

「『インフェルノ』!」

 

 ぶっころりーが発動した竜巻の直中に、強烈な炎の嵐を巻き起こした。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 ダスティネス家の抗議や街での冒険者の暴動の話を聞いて、マクスウェルの力が働いているのは、この王国の行政と司法関連と推測していた。それも、息子のバルターの反応から改編も杜撰であろうことも。

 あの裁判時でも野次を黙らせることができなかったことから、名前を知らなければ辻褄合わせの力はうまく働かないのではないか、それとも全てを見通す悪魔にも予知できない事柄があるように地獄の公爵の力にも限度はあるのか。

 

 いずれにしても、だ。

 盤上の駒の向きを想うがままに反転してしまえる反則使いであるのなら、こちらは相手の予想し得ない“盤外”から援軍を引っ張って来るしかない。

 

「待たせたね。魔王軍遊撃部隊員の皆と助けに来たよ、とんぬら君」

 

「ぶっころりーさん……それに、皆さんも……」

 

 とんぬらとゆんゆんも修行時代にお世話になった、ハイレベルな上位魔法使いニートの自警団。

 

「十年の眠りから覚醒した金色のヒュドラ。これは面白そうなイベントだね」

「敵戦闘力、解析完了しました」

「やれやれ、見ていられないわね」

「べ、別にアンタの為じゃないんだから」

「俺との決着がつく前に死なれちゃ困るぜ」

「まったく世話の焼ける野郎だ」

「お前の力はそんなものか。俺を失望させるな」

「ふっふっ……いずれ校長なる者の力を見せてやろうか」

 

「あるえ……皆……!」

 

 学校時代を共に過ごした同期の少年少女……

 大文豪の卵、見習い女将、本屋の娘のブラコンにその相方など卒業した女子クラスの面々に、武器鍛冶職人もょもとを先頭に男子クラスも当然勢揃いしている。

 それに引率する教師ぷっちんらも……ちょっとこれ出るタイミングをギリギリまで待ったみたいに勢ぞろいしてるな、と思ったが口にしないでおく。これが我が里の流儀であるのだから。

 他にもバイト先であった喫茶店、服屋、ポーション屋、農家などの大人たちもいて、

 

「ウィズさんから話は聞いたよ。随分と大変なようだね」

 

「族長……」

「お父さん……」

 

 そして、中央に立つ中年男性、族長の娘ゆんゆんの父親である紅魔族の族長。

 そうこれが、ゆんゆんに頼もうとした、バニルが代役をしたとんぬらの頼み事。

 それは、紅魔の里へ応援を求めるものだった。

 

「来てくれて、ありがとうございます……!」

 

「『何か困ったことがあれば遠慮なくいってくれ』、と前に言ってあっただろう? それに私の娘を孕ませておいて、こんなところで果てていいわけがない。責任を取ってもらわないと、私も困る。君が娶ってくれないと、ゆんゆんは将来ずっと独り身になりそうで」

 

「いや、それは誤解ですから族長!」

 

「族長なんて他人行儀な呼び方はやめたまえ。前にも言ったがこれからは、お義父さんと呼びなさい、我が娘婿よ。それで、孫の顔はいつ見られるのかい?」

 

「お、お父さん! 今それどころじゃないでしょ!」

 

 呑気にお約束の決めセリフから世間話にまで興じているが、すぐ近くで高額賞金首が暴れている状況に変わりない。

 しかし、紅魔族は、四年に一度、魔王城の結界に上級魔法をぶっ放しに里の皆でピクニックに行くような、ちょっと?常識がズレている一族である。

 そして、常識外れに強いのだ。

 

「『ライトニング・ストライク』!」「『エナジー・イグニッション』!」「『メインストロム』!」「『フリーズガスト』ッ!」「『カースド・ライトニング』ッ!」「『インフェルノ』ー!」「『カースド・クリスタルプリズン』!」「『トルネード』!」「『ストーンバインド』!」「『フリーズバインド!』「『アンクルスネア』!」「『ライト・オブ・セイバー』ッ!」「セイバーッ!」「セイバーッッッ!」

 

 圧倒的である。

 多方向から多属性の『アークウィザード』が放つ上級魔法が、ヒュドラ変異種『グランドラゴーン』を滅多撃ちにする。自己再生が間に合わない破壊、破壊、破壊。湖に逃げようにも、縛り上げたり、岩石で押さえつけたり、氷漬けにさせたりして許さない。

 一つの頭に最低ひとりはついて、『ドラゴンブレス』を溜めようものならすかさず牽制に長大な光の刃を顎に斬りかかって何もさせない。

 王国軍でも退治ができないでいた高額賞金首を、一方的に蹂躙する紅魔族の魔導師たち。

 しかし、ヒュドラもこのままでは終わらない。首を体に巻いて、守備姿勢で耐え忍んでいる。

 雨霰と火炎、雷、激流、岩石、竜巻と複数の属性で攻撃してくるが、貯蓄している魔力は十年間集め続けたもの。そうこの瘴気で汚染した凍てつく湖にある限り簡単には尽きないし、徐々に紅魔族の魔法に耐性を得て、効き目が悪くなってきている。

 また戦況は今のところこちらが一方的であるも、上級魔法はそう連発できるものではなく、長期戦となれば魔力が尽きてしまう。

 そして、息切れをしたところで、一気に――

 

「このままだと、危ういか……!」

 

「大丈夫よ、弟子君。来たのは私達だけではないから」

 

 先を見据えてやや表情を険しくしたとんぬらに、その心配を見抜いたそけっとが紅い瞳で目配せする。その方へ振り向けば、紅魔族がやってきたのとはまた別方向より、その一団が現れた。

 

 

「おやおや、悪魔にまんまと嵌められた情けない小僧は誰かと思えば、我が弟子ではないですか」

 

 

 呼んでもない応援も来た。

 『テレポート』の使える紅魔族とは違って、ここから馬車で一日以上はかかる『アルカンレティア』からすぐに駆けつけられるはずがない。

 そう、だから、呼ぶまでもなく、門外顧問にして最高司祭の直弟子の“不幸”を『アクセル』の支部長(セシリー)より『ぬら様ピンチ』と聞きつけてすぐに、思い立ったら即行動のアクシズ教は来たのだ。

 これにはとんぬらも瞠目して、信者たちを引き連れる温厚そうな白髪の中年男性を見る。

 

「変態、師匠……! あんた、どうしてここに……」

 

「なあに、ここに活きの良い触手モンスターがいると聞きましてな。ちょっとペットにできないかと見に来たんですよ」

 

 流石は『穴があればオークでもいける』と豪語する変態集団のトップだ。

 それが冗談かどうかはわからないし、どうでもいいが、一応は、人類で最もレベルの高い『アークプリースト』であるこれでも。

 

「それにこれはアクア様の御言葉でもありますから! 『なんじらー、日々清く正しく我が道を行くアクシズ教徒よ。教団の守護竜たるすっごく良い子な我が信者を、強くて逞しくて格好良いあなた達が助けるのです。さすれば、この世界に降臨してきた通りすがりのアクア様が、『実は私が女神なのでした!』とか言って、ここに遊びに来るかも知れません。一人一人にお褒めと感謝の言葉を授けるかも知れません』……とね」

 

「なるほどな……守護竜になったつもりはないんだが、アクア様に感謝しよう」

 

 一言一句、神託?を語るゼスタに背後にいるアクシズ教徒は皆うんうんと頷く。

 男も女も子供も老人も、服装も装備もバラバラで、一見すると何の集団なのか分からない。

 だが、全員、紅魔族のような遺伝的身体特徴があるわけでもないのに、目を輝かせている。

 

「ぬら様! ご無事ですか……! すぐに『ヒール』しますね!」

 

 ヒュドラの会心の一撃を受けたとんぬらに、ヒラヒラのゴスロリ服を着た、外見はやたら可愛い少女が、上目遣いでこちらを見上げ、ウルウルと瞳を潤ませて、すり寄ってくる。

 

「なあ、回復魔法は別にくっつく必要はないはずでは? いや、舌を出して何をしようとしている!?」

 

「殺菌消毒です! 他意はありません! その、実は僕、ファンクラブに入ってて、ずっとぬら様の事を……あ、あの、愛人に立候補してもいいですか?」

 

「断る! 普通に『ヒール』してくれれば結構だ。というか、その低い声は明らかに男だろ! ホモかあんた!」

 

「ぼ、僕、ホモじゃないです! 両方いけます!」

 

「俺は無理だ。一筋だ。――だから、ゆんゆん落ち着け! 短刀を仕舞うんだゆんゆん!」

 

「とんぬら、離れて! 盛った泥棒猫は、躾けないと!」

 

 心は女、体は男の両刀使いという特殊性癖なアクシズ教徒を引き剥がし、ちょっと目が怖い感じに瞳孔が開いたパートナーを押さえる。

 援軍に来てくれたはずなのに、むしろ疲れるとんぬら。

 

「俺のことはいいから、全体の支援をしてくれ」

 

『わかりました、ぬら様!』

 

 けれど、アクシズ教徒は皆、水の女神に狂信的で、主に捧げる信仰心が強いほどプリーストの魔法の力は比例して高まるもの。

 ……理不尽ながら真面目に善行を積んでいるエリス教のプリーストよりも、“力は”優秀であったりするのだ。

 だが。

 応援は来てくれたが、大量の魔力を使う『テレポート』の移動手段、また運べる人数に限りのある馬車であって、この場に戦えるのは、紅魔族は三十名、アクシズ教は二十名。これでも魔王軍相手であれば、簡単に蹴散らせる戦力であろうが、相手は十年分魔力を蓄え続けてきた怪物。

 ただ強力な力を振るうだけではならない。

 

 この援軍の到来を受け、気息を整えたとんぬらは鉄扇を開き、高額賞金首を見据える。

 

「なるべく得意魔法の属性が異なる者と三人一組のパーティを組み、九つの首ひとつにあたれ! 一人目が魔力を練り、二人目が呪文を詠唱し、三人目が魔法を放て! 相手は再生の都度耐性を獲得する。牽制はせず、三段撃ちのローテーションで絶えず、違う属性の魔法を渾身の魔力を放ち、完全再生を阻むんだ! そして、他の者たちは胴体を拘束し、逃亡を許すな!」

 

 取得した交戦情報より計算し、矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 仮面の奥の鋭い瞳で、未来に向かって思考を伸ばしていく。

 

「アクシズ信者は、一パーティにひとりずつ入ってくれ! 支援及び回復魔法を頼む! 残った者はこの汚染された湖の浄化を! 嫌がらせをしてやれ!」

 

 今この場で、紅魔族とアクシズ教の面子を知るのは己しかいない。ならば、これら全員の可能性を検討していくのはとんぬらの役目だ。

 全体を俯瞰し、ひとりひとりの顔色に注意を払いながらとんぬらは依頼する。

 

『『マジック・ゲイン』――ッ!』

 

 紅魔族の『アークウィザード』に、アクシズ教のプリーストが魔法威力強化の支援魔法をかける。

 火力が増した上級魔法に、耐性を獲得してきたはずのヒュドラの金鱗が吹き飛ばされた。そして、上級魔法は間をおかずに飛んでくる。火炎、稲妻、竜巻と別々の属性で、耐性を(つくら)れさせない。

 

 これまで王国軍に何度となく攻められながらも滅ぼせなかったヒュドラ変異種『グランドラゴーン』は、これほど追い詰められたことはなかっただろう。

 

 この上ない逆境に、思わぬ盤外から援軍が駆け付ける。

 運否天賦……この悪魔に歪ませた盤上をこうもひっくり返してしまおうとは、天をも動かしてしまうものか。

 神器を所有する黒髪黒目の異邦人ではない、この世界で誕生したひとりの勇者がこれまで駆け抜けてきて、積み上げてきたものが、今ここに現れていた。

 

 全てを見通す悪魔が最も評価するこの“魅力値(カリスマ)”は、周囲の人間が誰もが注視し自ずと従ったかつての『氷の魔女(ウィズ)』に匹敵する!

 

 そして――

 

 

 ♢♢♢

 

 

『なにっ!? 紅魔族にアクシズ教団だと……!? これは、アルダープ様にご報告せね……!』

 

 ライバルたちがピンチな時のパーティ最大火力の『アークウィザード』に、不条理に義憤に駆られる国随一頑固な『クルセイダー』が、この状況でジッと大人しくしていられるはずがない。

 また伝言役の悪魔から、『見張り役を潰しておいてほしい』とこの対人戦闘においては卑怯なくらい嵌め技上等な『冒険者』に頼まれた。

 

 街の暴動(陽動)は、ダストらに任せた。派手に暴れてくれて、領主が派遣した監視役の目を集めてくれた。そして、警備隊を仕切っていたバルターにバレそうになったがお目こぼしを貰った。

 それから、こちら三人を迎えに来ようと暴走馬車に乗ってきたアクアを拾われて、監視ポイントに最も怪しいと指定された高台へ。そこにいたとんぬらを護送してきた領主の雇った私兵騎士を捕縛……する前に、アクシズ教団の暴走馬車が跳ね飛ばしてくれたが、おかげで『バインド』からの『ドレインタッチ』が楽に済んだ。

 

 して、簀巻きにした私兵騎士らを転がすと、暴走馬車は麓の湖へ。

 

「おい、飛ばし過ぎだって。さっきもそうだけど、もうちょっと速度を……!」

 

 唯一馬を扱え、御者席に座るダクネスへカズマが苦情を飛ばす。も、ダクネスは半泣きの表情で振り向いて、

 

「……そのさっきもだが、馬が、言うことを聞いてくれないんだ……!」

 

「はあ!? じゃあ、さっきはどうやって馬を止めたんだよ!」

 

「聞いたことがある。『アルカンレティア』では、馬ですらもアクシズ教徒に洗脳されていると。アクシズ教徒の言うこと以外は聞かないとかなんとか……」

 

 見ると馬車の隅には、アクシズ教の入信書が置いてある。

 

「っんとに! あそこは魔窟だなあああ!」

 

 やっぱりアクシズ教徒(あいつら)は頭おかしい。

 銀髪盗賊団に二億の賞金をかけてくれたけど、アクシズ教徒も高額賞金首に指定すべきだろ!

 いや、しかし。幸いにもこの馬車には、(一応)水の女神なアクシズ教の『アークプリースト』がいるわけで、

 

「なあ、アクア、馬にもっとスピードを落とせって言って」

「ハイヨー! シルバー! 頑張ってくれたら後で新鮮な野菜をあげるわ! 採れたてピチピチで跳ね回ってる奴よ!」

 

 馬を宥めようとするこちらの意図など無視して、応援するアクアに、暴走馬車はさらに加速。

 ダクネスが、切羽詰まった声で悲鳴を上げた。

 

「ああっ! 馬がさらに速く! カズマ、どうしよう! このままだと向こうの湖に突っ込んでしまうぞ!」

 

「アクアああああ!」

 

「な、なによカズマさん!? 可愛い信者のピンチなんだから急がないと!」

 

 可愛い信者の為なら何でもするとそこだけは女神の鑑である。ただし、とんぬらは別にアクシズ教というわけではない。

 そして、

 

「その前に俺達がピンチになってんだろ! このままだとヒュドラに特攻ぶちかますことになんぞ!」

 

 激しく揺れてバランスの悪い馬車内から何とか前方、目的の湖を『千里眼』で捉えたが、紅魔族にアクシズ教徒が援軍に駆け付けているようで、デカくてピカピカと光ってる金色の九頭竜が集中砲火を浴びせられている。

 それは遠視能力のないめぐみんにも身体に覚える激しい魔力の波動から悟っているようで、

 

「いいえ、急ぎましょう! このまま出遅れるなんて格好悪い真似はできません!」

 

 賛成二反対二で、急行に決定した。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 ――やっぱり、来たか。

 

 視界の端に、こちらに物凄い勢いで迫る物体を捉えた瞬間、とんぬらは動く。

 

「――ゆんゆん! もう一度援護を頼む!」

 

 幾度も自己再生して魔力を削れたようだが、まだ倒れない。

 変化を見るたびに全体に指示を出していたが、こちらの魔力の余裕もそうないだろう。

 十分にこちらは休ませてもらった。――ならば、ここで切り札を引いてみせる!

 

 鉄扇に、そして、『銀のタロット』を取り出したとんぬらは、再び凍った湖面、今は砕けた氷塊が浮かぶそこへ身を躍らせる。

 飛び跳ね、次から次の氷塊へと渡って、『グランドラゴーン』に接近。上級魔法の三段撃ちで、全ての頭が欠損している。まだ再生途中で、迎撃できる状態ではない――かに思えた。

 

「――!」

 

 ぞくりと背中を冷たいものが撫でた。

 見れば、ひとつの首が急速に再生して大きく口を開いている。

 

 これまでの再生速度を計っていたが、まだ猶予はあったはずだ。

 しかし、その疑問はすぐに解けた。他の首の再生がほとんど止まっていたのだ。

 

 ひとつに絞って自己再生能力を集中させてきたか……!

 

 このタイミングでは直撃は必至か。――いいや、後ろには頼りになるパートナーがいる。

 

「『ジゴスパーク』――!」

 

 大気を焼き焦がす蒼き地獄の雷霆。『ドラゴンロード』の必殺魔法が、金色の九頭竜を貫いて、巨体に紫電を走らせると、その動きを麻痺させた。

 この数秒の硬直に決める。

 

「お前に相応しいカードは決まった!」

 

 『占い』スキルを発動させて、タロットカードを眼前の宙空に円周状に展開。

 青く輝く瞳がその直感に従うままに望む運命を手繰り寄せるための札へ視線を走らせる。

 

「堕落への誘惑、『悪魔(ザ・デビル)』!」

 

 鉄扇を振るい、短冊と短冊の隙間に一枚目の札を挟み取る。

 

「十字旗飾る喇叭、『審判(ザ・ジャッジメント)』!」

 

 続けて返す刀で振るわれた鉄扇が二枚目を。

 最後の三枚目は一度上に弾き上げてから、嵌める。

 

「停止と逆転、『死神(ザ・デス)』!」

 

 三枚の『銀のタロット』をセットした鉄扇を掲げ、虹色の波動を放つ。

 軌跡を起こす詠唱は、ここに完了した。

 

「『パルプンテ』――ッ!」

 

 そして。

 金色の九頭竜へ、漆黒の真空波が放たれた。

 

 

「呪え、『ドルマクロス』――ッ!」

 

 

 『グランドラゴーン』に刻まれたのは、清め祓うのではなく、相手を呪い堕とす逆十字。

 金色のヒュドラ変異種の自己再生は止まり、逆に傷口から腐っていく。

 

「今だ! 一気に決めろーっ!」

 

 とんぬらは湖から脱却しながら叫んだ。

 

「アクシズ教徒も回復魔法を! 今のヒュドラはアンデッドと同じで回復魔法が劇毒になっている!」

 

 『ドルマクロス』は、呪いをかける。

 回復を劇毒に、耐性を弱点にしてしまう冥界の霧による反転の呪いをかけた。

 これまで獲得してきた耐性、そして、自己再生能力が全て仇となってしまう。

 紅魔族の族長の指揮で『インフェルノ』や『カースド・ライトニング』が一斉掃射され、アクシズ教団の最高司祭の号令で『ヒール』に『セイクリッド・ハイネス・ヒール』が降りかかる。

 この反転の呪いは、そう長い間効力を発揮するものではない。

 今、一気に片を付けなければ、逆転される可能性が出てしまう。

 湖を囲う魔法使いとプリーストから一斉に魔法を放って、まだ原型を保つ金色のヒュドラ。

 あと一押し――と誰もが思ったその時、飛び込んできた暴走馬車が一台。

 

「爆走……爆走……爆走……!」

 

 それは止まらず。爆走する馬車はひとりの少女を御者台に立たせ、それを三人の仲間が支えている。

 

「爆裂魔法が飛ぶぞー! 耳を塞げー! 水際にいる奴は避難しろー!」

 

 そのうちのひとりから警告が飛び、全員が急いで後退。

 

「最高最強にして最大の魔法、爆裂魔法の使い手、我が名はめぐみん。哀れな竜よ、今この時、天命を悟ると良い。紅き黒炎と同調し、血潮となりて償いたまえ!」

 

 が、

 

「あ」

 

 ずるっと淵に辿り着く最後の氷塊の浮島を渡ろうとしたとんぬらが、足を滑らせ、ぽちゃんと湖に落ちた。

 それに不安定な足場で移動しながら詠唱に集中していためぐみんは気づくことなく。

 

 

「穿て! 『エクスプロージョン』――ッッッッ!!」

 

 

 杖から放たれた破滅の光が、呪いに蝕まれ幾多の魔法を喰らい虫の息だった『グランドラゴーン』へと突き刺さり――瞬間、その巨体をすべて包み込むような大爆発が巻き起こった。

 

「――――――――――ッ!」

 

 爆炎に呑み込まれたヒュドラが断末魔のようなものを上げたようだが、即座に喉が焼かれたのか声にさえなっていない。のたうちもがく様子もほんのわずかな時間で、すぐにぐったりと項垂れ、動かなくなってしまった。

 爆発の熱波によって凍り付いた湖の表面は溶けて、元の姿を取り戻す。

 長い間この一帯を枯れ地にしてきた大物賞金首は、こうして永遠の眠りに就かされた……

 

 

「げほっ、ごほっ……!?」

 

「ふっ、だいぶ追い込まれていたようですね、とんぬら。しかし、あなたを倒すのはこの私ですよ」

 

「ああ、危うく今、殺されかけたな、めぐみん」

 

 試練を果たした仮面の少年は、遅れてきた最後の援軍の巻き添えを食らって溺れかけた。

 危うく、“哀れな竜”の一員に入るところであった。

 

「ふぅ……ふぅ……やっと、これからが本番だ」

 

 ゆんゆんに背中をさすってもらいながら、息を整えたとんぬらは立ち上がる。

 カチリ、と戒められていた首輪が、外れる。試練は、果たされた。わざわざ『怪獣に手を貸すのを禁じる』と御布令を出すのだから、枷の制約には『ヒュドラを倒すこと』しかなく、援軍が倒そうが問題はないと見ていた。

 怪獣を倒す試練を果たして、そして、相手に気取られることなく、信頼できる者たちが、ここに集まった。

 

「――皆……手伝える者だけで構わない。あともう少しだけ付き合ってほしいことがある」

 

 

 参考ネタ解説。

 

 

 二刀流:ドラクエⅩにて追加された、踊り子とバトルマスターの固有能力。

 『抜刀五月雨斬り』は巨猫族の五連続攻撃で、『扇の舞』は扇スキルの四連続攻撃。合わせて九連続攻撃。

 

 ドルマクロス:風と暗黒の力を得た十字攻撃。たまに相手に呪いをかける。


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