この素晴らしい願い事に奇跡を!   作:赤福餅

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4章
41話


『アクシズ教は芸達者になれる加護があると聞きますが……ゼスタ師匠は、どうして宴会芸スキルを取得してるんですか?』

 

 それは、まだそれを変態師匠と呼ぶ前の話。

 

『ふむ、まず普通に趣味です』

 

『趣味にスキルポイントを無駄にするんですか?』

 

『はっは、無駄とは手厳しいですね』

 

『だって、ゼスタ師匠はこの街一番の『アークプリースト』だって聞いています。でも、宴会芸スキルに無駄に消費しなければもっとすごい『アークプリースト』になれたと思う。だから、何か理由があるんじゃないかな、って』

 

『無論、趣味だけではありませんとも』

 

 そういって、司祭は親友から預けられた子にひとつ魔法をかけた。

 

『この『ヴァーサタイル・エンターテイナー』は、芸達者になれるよう器用値を上げる宴会芸スキルの支援魔法です。ですがそれは、『調星者(スーパースター)』と呼べるほどに芸の道を究めれば“『冒険者』に限らず、自身の経験を他人に受け継がせる”ものになるんですよ』

 

『え……』

 

 その初耳な情報に目を大きくさせる幼児。

 

『確かに、アクシズ教において私以上の『アークプリースト』はいないと断言できるほどに私は優秀なプリーストですとも。ですが、私ひとりでは手に負えないものが多い。所詮、神ならぬ人の身では限界があるのです』

 

 それは、少年の記憶の中では片手で数えるほどしかない、そう滅多にない真面目な師の姿であったか。

 

『プリースト職は、一般的に熟練度が上げ難い。なにせ、魔法使いのような敵を一気に殲滅できる攻撃魔法なんてものはありませんからな。前に出て戦うこともできますがそれも戦士には劣りますし、パーティの回復役が一番危険な前衛に出るのはリスクが大き過ぎます。唯一例外として、アンデッド悪魔といった害虫共を抹殺するくらいしか経験値の稼ぎ場がないのです。

 また、資質が求められる職業でもありますからな。それも上級職のプリーストとなるとさらに希少です』

 

 フッと笑うと幼児の頭に手を置く。

 

『残念ながら、私の支援魔法ではまだ伝えられる者は限られる。そう、『やればできる』と女神アクア様の祝福が皆に広まり、プリーストはおろか、冒険者でもない、ただの人らにもアクシズ教に入信すれば我が回復魔法が扱えるようになる。……それが私の理想でもあります』

 

『ゼスタ師匠……』

 

『若い内は、自己鍛錬を積み、己が道を邁進すると良いでしょう。しかし私くらいになると後進たちのことも考えなくてはならなくなる。特に後継は見つけませんとな』

 

『……でも、反面教師にしかならないゼスタ師匠の評判を聞くとロクでもない経験値しかもらえなさそうな気がする』

 

『はっはっは、まったく師匠を疑うとは不遜な直弟子ですな。体罰は私の望むところではありませんし……よし、ひゃくれつなめをして差し上げましょう!』

 

『うわあああっ!?!?』

 

 この一件が原因で、アクシズ教の男性信者は子供に近づくことが条例で禁止された。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 『アクシズ教徒はやればできる。できる子たちなのだから、上手くいかなくてもそれはあなたのせいじゃない。上手くいかないのは世間が悪い』

 

 『自分を抑えて真面目に生きても頑張らないまま生きても明日は何が起こるか分らない。なら、わからない明日の事より、確かな今を楽に行きなさい』

 

 『汝、何かの事で悩むなら、今を楽しくいきなさい。楽な方へと流されなさい。自分を抑えず、本能の赴くままに進みなさい』

 

 『汝、我慢することなかれ。飲みたい気分の時に飲み、食べたい気分の時に食べるがよい。明日もそれが食べられるとは限らないのだから』

 

 他にも『犯罪でなければ何をやったって良い』、『悪魔殺すべし』、『魔王しばくべし』などなど……これら教義は要するに『欲望のままに生きろ』ということ。

 それが、水を司る女神アクアをご神体とするアクシズ教のモットーである。

 

 なので信者は奇人変態・荒くれ者・自己中が多く、一般人に煙たがれており、『『デストロイヤー』が通った後はアクシズ教徒以外、草も残らない』と語られるほど、チンピラやモンスターよりも恐れられている。

 

 けれども、物事の長短は見方次第で逆転することもある。

 

 

「どうして、上手くいかないのか。何故、悪行を犯していないのに、あなたの息苦しく思うのか。それは誰のせいでもない。わかりますか――それはただ、間が悪かっただけなのです。そう、あなたが降した選択と、取り巻く環境が、たまたまその時だけ噛み合わなかったから、望んだ願いに届かなかった。あなたの人生は、それだけの話です。ええ、要は全てが悪いのですから、悲観するのはバカバカしいでしょう?

 それに悲しみとはまた別のところに思わぬ喜びが芽生えることもある。たとえば迷子になった道端で出会った野良猫に猫耳の素晴らしさに気付くとか! 人生とは、無意味と有意味のせめぎ合い。なので、若人よ、アクシズ教の教義を思い出すのです! 

 『アクシズ教徒はやればできる。できる子たちなのだから、上手くいかなくてもそれはあなたのせいじゃない。上手くいかないのは世間が悪い』

 すべての物事は大抵これで片が付きますぞ! 騙されたと思って口にしてみなさい! きっと心が軽くなるでしょうからな! アハハハハ!」

 

 冷酷な結論のようで、温かな肯定に満ちた言葉。

 それは、触れるまでが冷たそうで、浸ってみるとジワリとその心地良さに馴染む水のような説法であったか。

 

「何をしているのですか、あなたは!」

 

 道行く人に説法を解いていると、エリス教徒の人間が現れた。彼らを率いる美人神官が前に出て、厳しい眼差しを向ける。

 

「おやおや、誰かと思えば、エリス教の美人神官ではありませんか」

 

「あなたはアクシズ教の最高責任者でしょう! なのに、なぜ表に出ているのですか! ハンスに狙われ、温泉の浄化作業中に襲われたというのに! しかも毒にやられて倒れたと話に聞いてますよ!」

 

「はっは、あの魔王軍幹部とかいうスライムですか? あんなのところてんスライムと変わりませんよ。ちゅるんといただけますとも。もっとも味は最悪ですがな」

 

「ふざけないでください! あなたは、上に立つ者として失格です。……あまり言いたくはありませんが、この『アルカンレティア』においてあなた以上のレベルの『アークプリースト』いません」

 

「うむ、私もそう自負しておりますな」

 

「でしたら、ここでゼスタ最高司祭が倒れてしまうのがいったいどれだけ民衆を不安がらせるのかわかるはずでしょう! もっと自分の身をご自愛ください」

 

 今、水と温泉の都の雰囲気は、暗い。魔王軍の襲来に怯える世の中でも、バカらしいほど活気付いていた『アルカンレティア』は、一番の目玉である温泉に毒を混ぜられるという破壊工作に遭われていた。

 そのために、毒が混入されたと疑わしき湯治施設は即時封鎖し、アクシズ教のプリーストたちが浄化作業にあたっているがあまり芳しくない。何せ、その犯人は、以前、『アルカンレティア』で現れたと報告された魔王軍の幹部である。その毒は、腕利きの『アークプリースト』が大勢集まり、数ヶ月かけてやっと除去できるかというものだ。

 おかげで、温泉街は寂れてきていて、街の人々は外に出なくなってきており、そして、

 

「ほっほ、アクシズ教に何を言っても無駄でしょう。暴れ馬に教えを説くのと同じです」

 

「ルスカ様……いえ、しかし」

 

 詰問するエリス教の美人神官にそれをのらりくらりと躱すアクシズ教の最高司祭の言い争いの場に現れたのは、恰幅の良い男。この『アルカンレティア』におけるエリス教の最高責任者だ。

 好々爺然とした朗らかな笑みを浮かべる彼は、部下に当たる神官らを諫めると、こちらへ視線を移して、鼻で嗤う。

 

「今は何よりも一般市民の避難作業を優先すべきでしょう。もはや『アルカンレティア』は、終わりです。そもそもあなた方アクシズ教の浄化作業など無意味ですよ。デッドリーポイズンスライムの変異種の毒を浄化したなどという虚言を吹聴しているようですが。まったく、あなた方アクシズ教は、見込みという言葉を知らないのですか?」

 

「無論、知っていますとも。その単語にはこう振り仮名をつけると言い。イイワケ、とね。見込みがなければ、窮地に挑まぬのであれば、それは屍と同じこと。私はこの通り、まだピンピンと生きていましてな。危険だからという理由だけでは止められませんね。いいですか、私よりも格下な『アークプリースト』のデブ神官よ。挑むこと、それ自体に価値のあるピンチ、これを逆境と呼ぶ。この頂を前にして、命の炎をぶつけなくてなんとする!」

 

 その蔑む視線批難を撥ねのけるよう拳を振り上げる。

 

 平穏な時では迷惑なアクシズ教のバカ騒ぎだが、非常時においては、落ち込み沈みかける雰囲気を活気付ける着火剤になる。

 寂れていく温泉街で、まだ人々が居付いているのは、彼らの無駄に賑やかす人間がいるからか。おかげでエリス教が先導する避難作業も思うようにいかず……

 

 

「我らアクシズ教がいる限り、この『アルカンレティア』は、魔王軍の侵攻に遭おうとも決して屈しはしないのです! そして、このゼスタがいる限り、アクシズ教は不滅です!」

 

 

 機動要塞にも負けないしぶとさ。それは頼もしさとして映ることもある。

 

「……ふん、どうなっても知りませんよ」

 

 言い捨てて、ルスカらエリス教が去ったところで、半歩斜め後ろに付き添っていた最高司祭の秘書……な役柄である黒髪赤目の少女。今はローブで特徴的な赤目が隠せる僧侶服に身を包んだゆんゆんがひそひそと耳打ちする。

 

「……ねぇ、とんぬらってアクシズ教を打倒するとか言ってなかった?」

 

「言わないでくれゆんゆん。こんな変態師匠の影武者は、この一時限りだ」

 

 やや呆れた調子の彼女の声に、最高司祭……に化けている直弟子な少年は嘆息する。

 

 ――どうして、こんな偽りの最高司祭など請け負ってしまったのだろうかと。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 厳しい冬の終わりが見え、まだ肌寒いものの次の季節である春の足音が聞こえてくる。

 雪解けと共に、冬眠していたモンスターたちが顔を出し、繁殖行動を活発に行う。それに伴って、暖かな部屋に籠ってゆっくり身と心を休めていた冒険者たちももうすぐ活動を再開する。

 

「――出たな、『ひょうがまじん』」

 

 山岳頂上付近の永久凍土地帯に生息する爆弾岩と同じ物質系のモンスター。氷漬け能力を持ち、集団で嵌められたら脱出不能の危険な魔物『ひょうがまじん』。

 その山肌を覆い尽すほどの群れを前に、二人の『アークウィザード』のペアは一歩も引かず、それぞれの得物を手に取り挑む。

 

「まずは手筈通りに一発デカいのをぶちかますぞ!」

 

「『ブレス威力増加』!」

 

 仮面の少年が真っ赤なチーズを口に放り込むと同時、少女は『竜言語魔法』の支援をかける。続けて、

 

「『エナジー・イグニッション』!」

 

 それは体内で発火して、青白い業火でもって標的を灼き尽くす上級魔法。それを彼女は、パートナーの身裡に狙い定めて発動。

 普通であれば即死であるが、ドラゴン固有スキル『全てを吸い込む』で身裡より迸る焔を火種として取り込んでみせ、合体魔法の手順同様にその魔力を己が魔力と『錬金術』スキルにて混合。そして、宴会芸スキルの『火吹き芸』でもって――

 

 

「炎会芸『煉獄火炎』――ッッ!!」

 

 

 少年の口より、ごおと火焔が吐き出される。

 凍てつく寒気が、沸騰した。吹いた炎の、途轍もない熱量故に。

 刹那に干上がった空気中の水分が、絶叫の如き水蒸気爆発となって連鎖し、紅蓮の業火はモンスターが群れる山肌をなめつくす。

 炎熱系が弱点の『ひょうがまじん』は一掃されて、絶対に溶解しない魔力源の珠核だけを残して蒸発する。

 

「あひゅい」

 

「大丈夫、とんぬら?」

 

 心配そうに様子を窺ってくるゆんゆんを、とんぬらは問題ないと手で制す。今の連携技で、舌を火傷してしまったとんぬらは、初級水魔法で口の中を濯いで、

 

「猫舌なんでね、熱いのは苦手なんだ。それよりもドロップアイテムを回収だ。エリー」

 

「ハイ、ますたー」

 

 豹モンスターを留守番させて連れてきたぽんこつ兵に指示を出し、自らも拾い集める。けれど、その返答に満足しなかったゆんゆんに前に立たれる。

 腰に手を当てる、納得いかないという意思表示を全面に出したポーズを取って、

 

「もう、とんぬらは水に濡らせば治るというけど、それでも適当過ぎよ。ほら、口を開けて、火傷がないか診てあげるから」

 

「っ!?」

 

 真正面からその童顔を近づけるゆんゆんに、飛び退いて距離を取るとんぬら。

 

「え……ど、どうして逃げるのとんぬら?」

 

「いや、ゆんゆん、しばらく距離を置こうと事前に取り決めたではないか。顔を視界内には入らないように気を付けると」

 

「言われたけど、そんなの言われたってわけがわからないわよ……。……ねぇ、私、そんな顔も見たくないほどあなたに嫌われるようなことしちゃったの?」

 

「そんなことはない。ゆんゆんに悪いところはない」

 

「じゃあ、いいじゃない!」

 

「ゆんゆんが悪くなくても、こちらがよろしくないんだ! ほら、バニルマネージャーの呪いのせいで、あれやこれを見たせいでどうにも変に意識してしまうというかだな」

 

「その話は聞いたけど全然わからないわよ。もっとちゃんと言って! 私、ここ最近、一緒にいるけど避けられてて……寂しくてイヤなの」

 

「あー……! その文句はやめてくれ。色々と心にくるから」

 

 ここ最近のとんぬらの悩みは、全てを見通す悪魔から押し付けられた『先を見通す』未来視。

 大人に成長した彼女との甘々な予知夢を見せられて、それが現在のゆんゆんとダブってしまい、このように生活に支障が来てしまっている。

 なのでそれを解消しようと、同じ未来視持ちの師匠である凄腕占い師そけっとに予知能力の制御法について相談の手紙を送ったのだが、まだ返ってきてない(呪いをかけた当悪魔に訊くべきなのだろうが、あの愉悦第一のマネージャーが素直に答えてくれるはずがない)。

 現状できるのは、“慣れる”しかないのだが、己を律してきた少年には刺激が強いものばかり。それもR15規制でも働いているのか、見せられる内容が肝心なところで暗転(カット)されるため、かえってその絶妙な生殺し感に余計に悶々とされる毎日だ。

 

 おかげで『毎日、我輩に味噌汁(ごはん)を作ってくれ』と呪いをかけたバイトのマネージャーは実に充実した日々を過ごしている。

 

「あれもこれもダメって……とんぬらぁ……」

 

「わかってくれ頼む!」

 

 寂しそうに鳴かれるのは、こちらも辛い。

 かといってそんな『成長した未来の姿のあれやこれを見ています』などと当人に相談できるわけがない。言えば、納得してもらえるかもしれないが、未だに『ラブラブ・メドローア』の一件が尾を引いているゆんゆんを引き籠りにさせかねない。

 

「ほら、エリーにばかり働かせてないで、俺達も仕事するぞ」

 

「むぅ、また誤魔化されたけど……。わかったわよ」

 

 基本真面目な彼女で助かった。渋々ながらも離れてくれて、安堵の息を零すとんぬら。

 

 今、とんぬらとゆんゆんが行っているのは、冒険者ギルドのクエストとは別の、個人的なものだ。

 魔道具店の新商品開発。

 基本赤字経営なウィズ魔道具店を立て直すために打ち出したバニルマネージャーの抜本的な改革のひとつ。

 この世界にはない発想を持ったカズマ兄ちゃんが商品の原本を開発またはアイデア案を提出し、その商品の量産態勢と販売ルートをバニルマネージャーが確保する。

 そして、早速、『鍛冶』スキルを取得して、『こたつ』という優秀な暖房器具の商品開発に勤しむカズマ兄ちゃんとは別に、この春の次に来る夏の季節にうってつけな『くーらー』なる冷房器具の提出案の実現にとんぬらたちは着手することとなった。

 それで魔力を注ぐと室内の温度を下げる魔道具開発のために、こうして永久凍土地帯のモンスターを狩りに来たのである。

 ちなみに精力的に働くバイト達に感化されて『では、私も!』と張り切ったウィズ店長は、バニルマネージャーに余計なことをするなと言いつけられて店番をされている。

 

「私達、パートナーなのに……色々な意味で……」

 

 仕事はきっちりとこなしつつ、ぶつくさと不満を愚痴る相方に、とんぬらはガシガシと髪を掻く。

 何はともあれ告白をして、正式に交際を始めたはいいのだが、出鼻を挫かれて、それらしいことはしていない。いささか問題だろうか、と考え直したとんぬらは、己の許容範囲を思案して、

 

「……じゃあ、手でも、繋いでみるか」

 

 夢は視覚だけなので、触覚まで感じない。接触なら問題はない。

 そう判断して、相変わらず顔は直接視野に入れないようそっぽを向いたままだが、手を差し出した……が、

 

「お、お触りは、メッ!」

 

 今度は、ゆんゆんが後退った。

 人差し指で×マークを作っている彼女に、とんぬらは頭上に?マークを浮かべる。

 

「えー、っと……手は洗った方が良いよな」

 

「その、待って。勘違いしないで、とんぬらの手が汚いとかじゃ全然なくて、むしろ……そう、これは私個人の問題なの!」

 

 もじもじとバッテンから指先をつんつんと付き合わせながら、しどろもどろに弁明を始める。

 

「ほら……まだ、接触されるとあの時のことを色々思い出しちゃうというか、ね? 気持ちが落ち着くまでまた日を改めて……」

 

「俺が言うのもなんだが、相当めんどうくさいな!」

 

 男女のお付き合いに前途多難な少年のツッコミが山間に木霊した。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 帰り道中でのやりとりは割愛するが論議の末、ゆんゆんはとんぬらの三歩後ろについて歩くことになった。

 

 縦一列に並んで進む冒険者パーティだとすれば、間一人分空いている感じである。ので、最初は前を詰めろと言ったのだがお触り禁止と奥ゆかしい彼女は影を踏むのにも緊張してしまうようで。なら、不自然ないようそこにぽんこつ兵のエリーに入ってもらおうかと提案したのだが、それだと背中が見難いと抗議が上がり、こうなった。ぽんこつ兵は最後尾である。

 

(もっとちゃんと告白してやるべきだったか……なんだかむしろ距離が遠ざかっている気がするのだが)

 

 好きだとか愛してるだとか、そういう直截的な文句を言おうとすると『パルプンテ(あいしてる)』と口から出た言葉が変換されてしまう、奇跡魔法の使い手の宿業故にそれは中々難しい問題だ。だが、回りくどく変化球で攻めると、三歩後ろに下がって背中をじーっと見つめるめんどうくさい娘にあらぬ誤解を招きそうである。今でさえ、傍から見ればこれはパートナーというよりストーカーになってきているのだ。これ以上変な方向に|進んで(離れて)いってもらってはこちらが困る。

 

「おや、とんぬら……とゆんゆん。あなた達はまた一体何をしているのですか」

 

「そう呆れた目で見るなめぐみん。やむにやまれぬ事情が重なって現状に至っている」

 

 そんな調子で通りを歩いていると、バッタリとこの駆け出し冒険者の街まで共にやって来た同郷の『アークウィザード』のめぐみんに遭遇する。

 当然、反応するライバルのゆんゆんは……定規で測ったようにとんぬらから三歩分離れたところのまま、

 

「め、めぐみんっ、こんなところで奇遇ねっ」

 

「挨拶をするならもっとこっちに近づいてきてくださいよゆんゆん」

 

「残念ながら、どうにもゆんゆんは俺に接触するとアレらしい。影を踏むのもダメだ。……ちなみに俺もゆんゆんの顔が視界に5秒以上入るともうアレだ。この距離感はお互いに配慮した妥協点だと理解してくれ」

 

「できませんよ。そんな理解を求められてもできませんからね」

 

 やっぱり呆れ果てられた。

 

「はあ……。あなた達はようやく男女のお付き合いを始めたとそこのめんどうくさいストーカー娘から惚気られたのですが」

 

「ストーカーじゃないからっ、ちゃんととんぬらのか、かの…パートナーよ! 色々な意味で」

 

「この状況じゃまるで説得力がありませんよ」

 

「まあ、めぐみん、こうなったら後ろは振り向けないからもう前向きに考えることにしている。この状況も人に近寄れない、つれないところがまたいい感じな小猫を攻略しているようでなかなか悪くないと思い始めたところだ」

 

「今日のとんぬらの話はまったく理解できませんよ」

 

「めぐみんが文句を言いたいのもわかる。俺もそれらしくゆんゆんと腕組みくらいはしてみたいと思うんだが、無理強いは良くない」

 

「そ、そうねっ、わ、私もこ、恋人らしく見つめ合ったりしたいけど、無理強いは良くないわ」

 

「ああ、もう! 煮え切りませんね、このヘタレとぼっちは! したいならすればいいじゃないですか! むしろ、交際する以前より距離が出ていてどうするんです!」

 

「落ち着け、めぐみん。これでも模索している最中なんだ。ほら、ゆんゆんの腰のあたりを見てみろ。俺が『錬金術』スキルで作製したアクセサリ『ねこのしっぽ』があるだろ。それはウソを見抜く魔道具と同じ原理で、感情に反応して動くから、サインになるんだ。マネージャー対策として羞恥の悪感情を出さぬよう、常に精神統一を心がけさせるためにつけさせているのだが、そのおかげで顔色を読まなくても意思疎通はできる。さらに、ゆんゆんに似合っていてかわいさが倍増している!」

 

「っ~~~!!」

 

 握り拳を作り力説するとんぬら。

 顔と目を真っ赤に俯くゆんゆん、その腰のあたりでパタパタと尻尾のアクセサリが揺れ、その尾の先についている鈴の音まで聴こえてくるので、感情表現がとてもわかりやすい。

 

「ね、ねぇ、やっぱりこれって変じゃないかしら……その、勝手に動いちゃうのは恥ずかしいんだけど」

 

「いいや、どこも変じゃないぞゆんゆん。めぐみんは疎いが、獣の尻尾をつけるのはここ最近の魔法使い系女子の流行なんだぞ。ほら、冒険者ギルドでよく見るリーンさんもつけてるだろ。ゆんゆんもそれに倣ってオシャレをしているんだ。まあ、明鏡止水を目指す修行の方は芳しくないが……」

 

「いいえ、おかしいですよ! 修行の一環だとか理屈をこねてますけど結局とんぬらの趣味ですよね! どうしてそう才能を無駄遣いしてまで猫フェチの方向に走るんですか!」

 

「とても有意義な開発ができたと自負している。それに才能云々については爆裂狂のめぐみんに言われたくないぞ」

 

「どうして普通の付き合いができないのに、バカップル上級者みたいなことがやれるのか、あなたたち二人の羞恥の基準がまるでわかりませんが……もういいです。そんなめんどうくさいことをしなくても、克服した方が手っ取り早いでしょう!」

 

 堪忍袋の緒が切れためぐみんがついにゆんゆんに飛びついた。

 

「ほら、ゆんゆん! ほぼアクシズ教徒なとんぬらの変態嗜好になど付き合わなくても、あなたの中途半端な身体を押し付ければ……なんですかっ! なんですかその胸はっ! また育ったのですかっ! 見せつけているのですかっ!」

「やめてっ! 自分が育たないからって私に当たらないでよっ!」

 

 バッチンバッチン! ととんぬらの背後でめぐみんがゆんゆんの何かをおうふくビンタする音が。

 

「おい、何してる! いや、とても振り向けない状況なのはわかってるんだが、やめろ! それからアクシズ教徒扱いをするな!」

「まさかとんぬらに育ててもらったんですかっ!」

「やってない!」

「ふん、まあ私もお姉さんのように凄腕の大魔法使いになることは約束されてますから。いずれはゆんゆんが貧相に見えるほどの巨乳になってみせますよ!」

「魔法使いと体型の関連性がわからないんだけど、それにはもう見切りをつけた方がいいんじゃない。願いにも叶えられるものと叶えられないものがあってねめぐみん……痛い痛いっ!」

「なっ……! 先に成長期が来てるからって調子に乗らないでくださいゆんゆん!」

「なあ、あんたら、そろそろここが人目に付く場所だということを気にしたらどうなんだ! エリー、二人を止めろ!」

 

 

 そうして、頼りになる綜合警備なぽんこつ兵の介入があって、停戦協定を結んだ三人は冒険者ギルドに併設された酒場へ入る。

 

「それで、どうして機嫌が悪いんだめぐみん?」

 

 神主代行による人生相談が始まったのだが、相談者な少女の目は半目。あれだけ距離感がどうたらと言っておきながらごく自然に、隣の席に並んで座る二人を対面から見れば、もうめぐみんも呆れ果てるというか諦めの心境に達する。

 

「ひとりでうろついているところを見れば、予想はつくがな。大方、ここのところパーティでクエストをやらないから不貞腐れてたんだろう?」

 

「それから、同郷のふたりがめんどうくさいのも悩みどころですね」

 

 頬杖をついて鼻を鳴らすめぐみん。不満が憚ることなく顔に出ている。

 

「兄ちゃんの性格からして、借金も返済できたんなら無理に危険な冒険者稼業をするとは思えないな」

 

「ええ、その通りですよ。まったく、魔王討伐を目指しているとか言っておきながら、今では自分で造ったこたつの中に引き籠っていて出てきません。だらしなすぎます!」

 

「あー……確かにこたつは素晴らしいものだが、それだけに厄介ではあるな」

 

「そうよね……。ゲレゲレもめっきり外に出なくなったし」

 

 とんぬらとゆんゆんが揃って頷く。これまでの恩返しということで、カズマ兄ちゃんからは、試作品を無償提供してくれるので、二人もこたつの効能を知るところ。

 でも今や二人乗りが可能なほど成長した飼い魔物がちゃぶ台サイズのこたつに入ることができず。それはかわいそうだという相方の意見を聞いて、とんぬらがサイズを大きくして設計したゲレゲレ特注のこたつを造ってみたのだが、もはや犬小屋ならぬ猫小屋に篭ったきり、中で丸くなって出てこない。

 それと同じようなことがあちらでも起こっている。

 

「カズマが器用なのは分かりましたし、カズマの国の暖房器具が優秀なのも理解しました。でも、外は雪解けの季節です。もう活動を再開している冒険者たちもいるというのに!」

 

 そこで一人外をうろついていたところ、クエスト帰りのとんぬらとゆんゆんに遭遇したと。

 なるほど、それでイラついて八つ当たりしてしまったのだろう。

 

「めぐみんの気持ちは大体理解したが、兄ちゃんにはこちらからあまり強くは言えん。兄ちゃんの案を軸にして、ウィズ魔道具店は新商売を始めようとしているんだからな」

 

「別にいいですよ。これは私たちの問題です。明日にでもダクネスと協力してカズマとアクアを外に連れ出してやりますよ」

 

 愚痴を吐いて幾分かすっきりとした調子でめぐみんは新たに決意を固める。

 

「ま、ほどほどにな。とそれで、今日のめぐみんはひとりで外をうろついていたのか。それなら今日は誘った方が良かったか?」

 

「植物しか友達のいなかったゆんゆんではないんですから、私をぼっち扱いしないでください」

 

「今ではもう植物以外にも友達がいるわよ、めぐみんっ!」

 

「相変わらず、植物も友達の分類に入れちゃってるのか……」

 

「今日は、アクシズ教の教会に寄ってたんです。あの魔改造スライムが、お姉さんに食われてないか心配になりまして。……一応名付け親でもありますし。――まあ、お姉さんはいませんでしたけどね! 留守番していたホイミンが言うには、『アルカンレティア』で大変なことがあったとかで珍しく忙しくしているみたいです!」

 

 ボソボソと途中小声になり、そしてそれを誤魔化すよう声を余計に大きくするめぐみんに、笑みを噴き出しそうになるのを堪えつつ、

 

「俺も一応生みの親として時々様子を見に行っているが、普通にアクシズ教所属のスライムになっていたな。洗礼を受けたからか、『ヒール』が使えるようになってて……いや、本当、懐が広いというのかなんというのか、エリス教だったらありえないな」

 

「血数滴でこれですから、この紅魔族の変異種に子供が出来たら大変そうですねゆんゆん」

 

「ごほっけほっ!?!? っ、めぐみん、いきなり何を」

 

 ちょうど飲んでいた水を思い切り噎せるゆんゆん。とんぬらはそれについては黙秘権を行使して何も応えず、ただ隣の少女の背中を摩ってやっている、その接触に気付かないほど動揺しているゆんゆんは、口ほどにものをいう紅魔族の瞳を赤く光らせ、

 

「おや、何故、ゆんゆんが慌てるのですか? 私はとんぬらの遺伝子を継いだ子供のことを言ったんですよ」

 

「そ、そそそれはつまり、私の……でもあるでしょっ! とんぬらの、お、おおょ……さんになるんだから」

 

 小刻みに身体を震わせながら、精一杯答えるゆんゆんに、

 

「おや? 何を言っているのか聞こえませんね? ちょうど里への報告ネタが不足していると思っていたところなので、是非、ゆんゆんがこれから言うことも書き加えておきますよ」

 

「だから、私なの! だいたい! 私だって、とんぬらの苦い()を何回も飲んでるし! もうやみつきなんだからあああああっ!」

 

「え……。……え? とんぬらの苦いのって……えと……こ、これは流石に里へ報告するのは控えた方がよろしいでしょうか」

 

「待て、めぐみん、何を連想したかは問い質しはせんがそれは誤解だからな。ゆんゆんが言ってるのは良薬口に苦しを地で行く『スキルアップポーション』のことだからな!」

 

 藪をつついたら蛇どころかドラゴンが出てきたと目を丸くして固まるめぐみん。

 そして、賑やかだった酒場は、大気に波が生じるよう響き渡るゆんゆんの主張に、しん、と静まった。これは二ヶ月半ほどギルド本部にあまり近寄らない方が良いのかもしれない。

 

 その後、30分ほど時間をかけてそれが誤解だと納得させた。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 冒険者ギルドを出て、めぐみんと別れて、自宅に帰ると、ポストに一通の封筒が入れられていた。

 

「手紙? 誰からなの?」

 

「宛名は……おお! そけっと師匠からだ!」

 

 待ち望んでいた返信に思わず歓喜の声が上がる。

 封筒の中には三枚の手紙が入っており、まず一枚目は、

 

『え、あなた達、まだ付き合ってなかったの?』

 

 男女交際をすることにしたとの報告も入れたのだが、文面からでも伝わるくらい向こうの呆れ具合がわかる。

 

『『アクセル』で一軒家を借りていると聞いていたのだけど。それ、付き合ってもなかったのに二人暮らししてたの?』

 

 それを言われると返す言葉もないんだが……

 とにかく、目下の悩みとはあまり関係ない日常のお話だったのでサッと読み飛ばして一枚目を後ろで、気になっているけど覗くのは我慢してるゆんゆんへ渡す。それから二枚目は、とんぬら個人の内容、つまりは未来視についての助言。

 

『弟子君にも予知能力とはねぇ。一目見た瞬間にビビッと来て、なんとなく弟子にしちゃったんだけど、その話を聞くとそうなる予感がしたのかしら。感覚的な問題だから直接視てみない事にはわからないけど、その力の扱いは注意しておかないとね』

 

 それなら、全てを見通す悪魔に『先を見通す』力を押し付けられる前に回避できるよう助言してほしかった。

 

 それで、未来視で容易く金銭を稼ごうとすれば、ロクでもない目に遭ったり予想もしない手痛いしっぺ返しを食らう。強力な予知能力の安易な行使や悪用は、何の因果かそれに比例する反発を生むそうだ。

 なので占い師は予知を困っている人を導くために用い、その正当な報酬として代価をもらうことで、力の行使による占い師自身への反発を最小限に抑制している。

 ……のだが、

 

『でも、弟子君のと私のモノは違うタイプだと思うのよね』

 

 とんぬらに与えられた『先を見通す』能力は、おそらくそけっとのとは違う。何故ならば、占い師は自分が関わる未来だけは占えないが、とんぬらのは逆に自分を基点として予知夢を見ている。

 兎にも角にも、いくら説明されても、とんぬらのことを直で観察でもしないとこれ以上の相談には乗れないとのこと。

 

『まあ、でも未来は変えられるものだから、不幸な未来なら回避できるように頑張りなさい。幸福な未来だったらそのまま励むと良いわ』

 

 そして、三枚目は――

 

「……とんぬら? どうしたの急に固まって……」

 

 微かに息を呑んだ音を敏感に耳が拾って、彼の異変を察するゆんゆんであったが、それに応じず、とんぬらはもう一度三枚目の文面を読み込む。

 思わず二度確認するその内容は、占い師としての予言であった。

 

『アクシズ教の総本山『アルカンレティア』に、魔王の手の者が復讐しに訪れる。そして、この危機を救うカギを握る最高司祭は、より強大になった宿敵に命を狙われるであろう』

 

 

 それから、共同の寝室となったために今は元寝室の工房に篭り、採取してきた素材で早速、『くーらー』造りに取り込む。

 そんな依頼された仕事に没頭するとんぬらに、最初は声をかけるのを控えていたゆんゆんであったが、夕飯の支度が終えるとその戸を叩く。

 

「とんぬら、ご飯できたわよ?」

 

「お、そうか。こちらもちょうどひと段落付いたところだ」

 

 まだまだ改良の余地はあれど、大まかに出来上がった試作品の魔道具を置いて工房を出る。そんなとんぬらに、半歩斜め後ろから横顔を伺いながらゆんゆんが訊ねる。

 

「……とんぬら、そけっとさんの予言は良かったの? ほら、今日めぐみんが教会の様子が慌ただしかったって言ってたじゃない。きっと向こうで何かがあったんじゃないかしら」

 

「変態師匠の事なんて心配するだけ無駄だ。だいたい、アクシズ教団が崩壊するのは世間的に良いことではないのか」

 

 そういう肩を竦めるとんぬらに、ゆんゆんは、む、と顔を顰めて、

 

「とんぬらのウソ吐き! 本当はゼスタさんのことがすっごく心配なくせに!」

 

「それは見当違いだなゆんゆん。俺は心配なんてしてない。むしろ、普段の犯罪行為に天罰が降って清々しているな」

 

「もうっ、ムキになっちゃって! こうなったら素直になるまでとんぬらご飯抜きっ!」

 

 ゆんゆんは言い捨てると、半歩斜め後ろからとんぬらを追い越していってしまった。追い抜かれたとんぬらはしばらくその場で立ち竦んでいたが、結局、頭をガシガシと掻いて食卓から引き返す。それから工房でひとり魔道具作りを再開。余計なことを考えぬよう、ひたすら試行錯誤に熱中していき……

 

 

 ♢♢♢

 

 

『前回と同じ轍は踏まんぞ! 魔王様からの加護を受けたこのメタルボディ! 今や俺の魔法防御力は上級魔法であろうと通用しない!』

 

 黒鉄色の人影。それも人型から輪郭が崩れてゆく何か。さらにその周囲には見ただけで身の毛がよだつほどの黒い毒素が漂っている。

 

『そうか……これが運命だったのか』

 

 それと対峙する司祭服の男は、悟ったようにその言葉を口にする。

 そして、人間など容易く食らえる怪物は、一息に男を呑み込まんと襲い掛かった。

 

『ぬわーーーーっっ!!』

 

 

 ♢♢♢

 

 

「――っ!?!?!?」

 

 最後の断末魔に、とんぬらはその場から跳び跳ねて覚醒した。

 

「はぁ……はぁ……今のは……」

 

 時計を見ると針は12時を過ぎて、深夜。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。そして、いつも見るのとは違う、夢。悪夢とも言ってもいい。それがどこかは周りが暗くてわからなかったが……夢に出てきたあの男がいるのなら、きっと水と温泉の都『アルカンレティア』のはずだ。

 

「――とんぬら、大丈夫っ!?」

 

 寝言で悲鳴でも上げてしまったのか。慌てた様子のゆんゆんが工房の部屋に入ってきた。

 

「こっちまで聴こえるくらい魘されてたけど、顔も真っ青よ。ねぇ、何があったの?」

 

「あー、そのだな。お腹が減って……いや」

 

 この期に及んでも、とんぬらは何か良い言い訳がないかと頭を働かせていた。そう、とにかく心配でなど口が裂けても言いたくないとんぬらは、誤魔化すのに必死で、正常ではなかったのだ。

 だから、いつもであれば口にできないような文句がぽろっと出てきてしまった。

 

「ゆんゆん……婚前旅行に行かないか」

 

「!!!???」

 

 その後、パニックになった少女を落ち着けさせるのに、一時間ほどかかった少年であったが、この時に二人が『アルカンレティア』へ向かうことが決定した。

 

 

 参考ネタ解説。

 

 

 調星者:小説版ドラクエⅦにおけるスーパースターの設定。『自身の経験を他人に受け継がせる』という特性があり、これで仲間の賢者を天地雷鳴士に、パラディンをゴッドハンドにクラスチェンジさせた。

 

 ルスカ:ドラクエⅢのサマンオサの国王で……

 

 メタル化:モンスター物語の設定曰く、『みかわしの服』を着たスライムが融けたミスリル銀を浴びせられ、固まったのがメタルスライム。コーティングされて強靭な守備力と素早さを手に入れた。




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