ネタの方があれば、活動報告にお願いいたします。
「おはよう……霊夢、起きてる?」
「えぇ。上がって来なさい」
「わ、ありがとう。お邪魔するね」
博麗神社、時刻は午前10時。いきなり登場した私を、霊夢は驚きもせずに迎え入れてくれた。
靴を脱いで上がり込むと、美味しそうな香りがする。
とりあえず座って待っていると、霊夢が朝ごはんを持って出てきた。
「おはよう、魅空羽。今日は?」
「あ、自分で来たかな。紫さんには、呼ばれてないと思う。」
「……じゃあ、暇かしら?」
「えっ?うん、多分」
「そう……。」
ちょっぴり意味の分からない質問に、首を傾げること数秒。もしかして、と霊夢に言う。
「私と何かしたいの?」
「ふぇあっ?!」
何だか凄く可愛らしい声がした。私が男なら惚れかねない表情に、慌てて言葉を続ける。
「いいよ!やろう、霊夢の好きなこと!」
「え?で、でも」
「いいの!一日くらい、霊夢とも話してみたいでしょ?」
「う、うん……。ありがとう。」
本当に可愛い、可愛すぎる。抱き締めたくなるレベルの可愛さだ。恥ずかしさを紛らわす様に、味噌汁を勢いよく煽る霊夢の横顔を、暫しの間見つめていた。
「ぷはぁ……待ってて。着替えてくるから。」
「うん!じゃあ外で待ってるよ。」
「分かった。」
何だか女子みたいだな、ストラップシューズを履きながらそう思った。
確かに私も霊夢も、れっきとした女の子ではある。
だが、ここまでの生活でそれを感じたことがあったかと言われれば、否だ。
そこまで考えて、自分はこれまで霊夢の事をどう見ていたのかという疑問が生まれる。
超人?まぁ、強ち間違ってはいない。
巫女?確かにそうではあるけれど。
強者?……そうだ。
私よりもずっと強く、とても格好いい。それが霊夢のイメージだったのだ。
だったら……
「お待たせ……うわっ!?」
「れーいむっ!今日は楽しもうね♪」
「わわわ分かったから!ちょっ、離してよ~!」
――このイメージをぶち壊してみる。
そんな一日にしようと、私は思った。
――――――
「さて……本当に何も決めてないのよね。どうしましょうか?」
「うーん、それを言われるとどうにもなぁ。」
「「……。」」
開始早々、目的に行き詰まった。人里に着いたは良いのだが……。
「ん?お、博麗じゃないか!」
「その呼び方止めない?……慧音」
「あはは、こんにちは~」
慧音が寺子屋の戸を開けて、此方に声をかけてきた。霊夢と近づいていくと、微かに子供たちの声がした。
「あれ?今日って土曜よね?」
「授業、あるんですか?」
「月一日の土曜授業だ。まだ登校していない生徒もいるが……」
「ひゃっはーーーーー!!!すたっ。あたい、とーちゃくっ!」
「え、チルノちゃん。遅刻してきたのにそれは無いって……」
上空からダイブ、一回転して着地したチルノは胸を張り、その後ろから大ちゃんがフワリと降りてくる。
なるほどコイツらか、と言いたげな霊夢を横目に、私も全く同じ事を考えていた。
「おはよう、チルノ。荷物を置いたら職員室に……いや、今すぐ入れ。」
「はぁい……。」
笑顔で言い放つ慧音に抗う余地は無い。
壮絶な雰囲気に対して、私たちは二人して吹き出してしまった。
――――――
「人里って大きいよね……。」
「そうねぇ。端から端まで、なんて歩く気にもならないわ。」
「あ、じゃあそれにしよっか!今日の目的!」
「分かった。じゃあ行きましょ。」
そんなこんなで、今日の目的は、人里巡りになった。
まず最初に立ち寄ったのは、呉服屋だった。私に着物を着てほしいと、霊夢が言ったからだ。
なので私からも、少しお願いしてみる。
「ねぇ。霊夢は巫女服以外着ないの?」
「うーん……あまり着たこと無いかもね。」
「じゃあお揃いにしようそうしよう!」
「こう話してみると、魅空羽って何か安直よねぇ。」
呆れたような目をしながらも、OKしてくれた霊夢を連れて、店内へと進む。
そして、水色にパステルカラーの星が散りばめてある私の着物と、ピンクにパステルカラーの華が散りばめてある霊夢の着物を買った。
霊夢の手を引いて店を出ると、すぐの甘味屋に見覚えのあるエメラルドグリーンの髪を見つけた。
手にした団子を頬張って、顔を綻ばせている。それ故に周りへの関心が疎かだ。
則ち、これはチャンスだ。
別に急襲して傷を付けるとか、そういった物騒な話では無く、あくまで女子同士の戯れとして、だ。
霊夢と顔を見合わせて、コクりと頷き合う。そろりと近づいて、早苗が怪我をしないようにタイミングを見計らう。
……今だ。
「「わぁっ!」」
「ぴゃああぁっ!!?」
「……あはははは!!!」
「さ、早苗。あんた……ふふっ」
「ひ、酷いじゃないですかぁ!」
予想を遥かに超えた悲鳴に、一頻り笑う。
ぷくっと頬を膨らませた早苗、それを見て控えめながら肩を震わせる霊夢。
そういえば、霊夢が笑っているのは珍しいかもしれない。まぁ私が覚えていないだけなんだろうが。
「むぅ~……ほ、ほら!二人とも座って下さい!」
「あはは。はーい♪」
「全く……お昼前なのに?」
ぼやく霊夢はさておいて、早苗は頼んでいた団子を二本渡してきた。それを並んで腰かけ、戴いてから、粗方機嫌の直った早苗に提案する。
「ねぇ。お団子食べてた所悪いんだけど、お昼一緒にどうかな?」
「ホントですか?!是非!」
ということで、巫女に挟まれて近くの定食屋へと赴く。軽く雑談しながら腹を満たす事にした。
―――――――
「人里巡りですか……やったことないですけど、ステキですね!」
「……早苗も一緒に来る?」
「え、えっ!?れれれ霊夢さんホントですかっ」
「何よ。行かないの?」
「是非とも!この東風谷早苗、行かせていただきます!」
一人増えて賑やかになった私達は、人里の端目指して、また歩き始めた。
霊夢と一緒に居るのが、よっぽど珍しいのか、道行く人達が次々視線を向けてくる。が、さほど気にした様子も無く、霊夢と早苗は色々な店を教えてくれた。
雑貨屋、鍛冶屋、質屋、道場などと、中には紅魔館御用達といった看板まであった。随分種類が豊富だなぁと思いながら、てくてくと歩いていく。
と、入口と似たような門が見えてきた。だんだん日も落ちてきたようで、揃って西日に目を細める。
人里を出ると、早苗は妖怪の山の方へ歩いていった。早苗の住んでいる神社は、なんとその上なのだと言う。
ふと、自分も自分で、時間が残されていないことに気づいた。慌てて霊夢を振り返ると、穏やかな笑みを浮かべていた。少し切なそうな瞳を覗くようにして、声をかける。
「えっと……今日は」
「今日は、ありがとね。付き合ってくれて。」
「……ううん。此方こそ、楽しかったよ!」
「じゃあ、ね。」
「ふふっ。近いうちに、また来ます♪」
「……えぇ♪」
今度こそ満面の笑みを浮かべた霊夢を、最後まで焼きつけておこうと、私は目を開いていた。
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