幻想郷は夢を見る。   作:咏夢

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この章の最終話……に、なると思います!
改めてここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!

あ、でもまだ書きたい話もあるのでっ
終わってないですから!
また主人公が出来たら始まりますから!(汗)
終わってないですから!(二回目)


再会、最愛、再開

「と、いうわけで……」

「異変?解決おめでとうございます!と……」

「魅空羽、おかえりだぜ!つーことで!」

『カンパーイ!!!』

 

かけ声と共に、食器のぶつかり合う音がそこかしこで響き、辺りが一気に騒がしくなる。

 

人妖達は、"魅空羽と私"="夢の迷い人"

つまりは私達に興味津々なようで、宴会が始まるとすぐに話しかけてくる者がいた。

 

「久しぶりね!ふふん、あたいがこえをかけてあげるなんて、こーえいだとおもいなさい!」

「どうも~、お久しぶりです~。」

「チルノに大ちゃん!久しぶりだね~」

「お前らもいたのか……。てかどうしたんだよ?」

「きょうはとくべつに、あたいのトモダチをしょーかいしてあげる!」

 

とくべつに、を強調して言ってきたチルノは、後ろを振り向いて声を上げた。すると、見た目も様々な子供(?)達が駆け寄ってきた。

 

「さぁ、あいさつしなさい!これがあたいのらいばるよ!」

「これって……失礼だよチルノちゃん~……」

「ルーミアだぞー。よろしくなー。」

「リグルです!宜しく!」

「ミスティアですー!宜しくお願いしまーす!」

「……可愛い!」

「?えへへー。照れるんだぞー。」

「そーだ!みんなであそぶのよ!」

「いいね!今日は何するの?」

「私は何でもOKだよー」

「んー……じゃ!おにごっこね!みくはがおに!」

「へっ!?私?……分かった!1、2、……」

「みんな逃げろーっ!」

「わぁーっ!」

「……え、私も?」

 

結局妖精達が飽きて寝つくまで、鬼ごっこやかくれんぼなどと色んな遊びをした。かくれんぼでチルノが竹林に入った時はどうしようかと思ったが、妹紅や慧音も巻き込んで最後はとても面白くなった。私が本気で隠れて、去報が出された時には、さすがに焦ったが。

何はともあれ、朝から始まった宴会は着々と終焉へと向かっていた。

 

―――――――

 

まだ話したことの無かった楽団の三人と話していると、籃が来た。どうやら紫が呼んでいるらしいので、魅空羽にも声をかけようとすると、なぜか隣にいない。とりあえず藍に着いていくと、神社の裏に紫と魅空羽が立っていた。

それで話が始まるのかと言われればそうでは無く、霊夢と魔理沙が橙の小さな手に引かれてやって来た。

私の仕事は終わったとばかりに会場に戻っていく橙を横目に、藍が口を開く。

 

「……燐乃亜、半年前の事は覚えているな?」

「あー……まぁ、一応話としては。」

 

半年前の事といったらアレだ。私が人里を巻き添えにして、魅空羽と出会ったあの事件だ。

今度は穏やかに紫が話し出す。

 

「あの後……というか、貴女がこの世界から還った後、魅空羽がどうなったか分かる?」

「え……?」

「確かに、貴女のように元の世界に戻りはしたわ。夢から醒めて、次の迷い人が現れる時までは、ね。」

 

「どういうことだ?次の迷い人、って燐乃亜なんだろ?」

「そうよ、それに当たり前じゃないの。"現の迷い人が現れている間は、迷い人の時を終えた者も出入りできる"って……」

 

霊夢と魔理沙が首を傾げると、紫は一つ息を付いた。そして魅空羽の背を押す。そのまま半歩前に出た魅空羽は俯かせていた顔を上げた。

 

「えっと……じゃあ、その……座ろうか?」

「え、あぁ……」

 

全員が木の枠組みに腰かけると、魅空羽はそっと話し始めた。

それは、私が"アイツ"と過ごした日々の事だった……。

 

―――――――

 

あの日――燐乃亜がこの世界に、夢の迷い人として現れた日。私は少しだけ早く、此所に来ていたんだ。

またこの世界に来れて、すっごく嬉しかった。

でも私、心配で……燐乃亜は、やっぱり色々あったから……一人で、大丈夫かなって。

もちろん、霊夢や魔理沙もいるし、レミリアさんとかいい人達もいっぱいいるよ?

だけど……それ以上、は行き過ぎかな。燐乃亜を……恨んでる人も、いるから。

家を焼かれたとか、あるいは燐乃亜のせいで私が、消えちゃったんじゃないか……とか。

 

と、とにかく。それで私ね、紫さんにお願いしたの。

燐乃亜の側に居させて、見守らせてって。

そしたら……無理だった。夢の迷い人が二人同時に、しかも隣を歩いている、なんてアンバランスだ、って。

でも……紫さん優しい。私の事分かってくれたの。

交換条件だったんだけど……あ、えっとね。

 

私が紫さんの式になる代わりに、

私を燐乃亜専属の式にする。

 

って。可笑しいかな?

でも私、とっても嬉しかったんだよ!

すぐに燐乃亜の所に行って……ずっと見てた。

過去を乗り越えようとしてる燐乃亜は、すっごくカッコよくて……あ、たまに危ない時もあったよねっ、スキマの中から見ててヒヤヒヤしちゃった。

 

年越しする頃には、皆とも話せてたし……もう大丈夫かなーって。思ったりも、した。

……甘かったんだよね。ごめんね。

フランちゃんが凄く危ないの、私、知ってたのに……何も助けてあげられなくて……。ホントに、悔しかった。

 

だからもう一つお願いしたんだ。

 

私を元に戻す代わりに、

それから一日で帰る。

 

って……。

ごめん、黙ってて。ホントは言わないつもりだったんだ。でも、あともう少しだから、って紫さんに呼ばれた時に、どうしても伝えておきたかったから。今、こうして話してる。

 

私、嬉しかったよ。

最後に、燐乃亜の知ってる私で、一緒に過ごせて。

次の迷い人は……いつ現れるか……分からない。

だから、もしかしたら……

もう、会えないのかも、しれない……よね。

 

―――――――

 

こうして話し終わり、再び俯いている間にも、魅空羽の姿は薄くなっていく。霊夢が戸惑った表情を浮かべる。

だが、もう時間は残されていないのだ。

 

「なぁ……魅空羽。名前は?」

「え……?」

「フルネームが分かれば、きっとまた会える。と、思うんだけど……ダメか?」

「……!燐乃亜っ!」

「ふぎゃっ!?」

「やっぱり燐乃亜天才だよね!ねっ!」

 

はしゃいで跳び跳ねる魅空羽から、光の粒が舞う。魅空羽もそれに気付いたようで、私に向き直った。耳にそっと口元を寄せる。

 

「・・」

「!!!」

 

彼女の名前を聞いて、私は高揚を抑えて同じようにする。少しだけ背の高い耳元に、そっと囁く。

魅空羽は少しばかり目を見開いた。が、すぐに手を離して早口に言った。

 

「ありがとう。それと、また会おうね。」

「あぁ。……また、な。」

 

次の瞬間、光が弾け飛ぶ。最後に残ったのは、キラキラと舞い続ける……星だった。それを手に取ろうとすると、私の手は透けていた。

 

顔を上げると、紫は頷いた。もう私にも時間が無いようだ。

魅空羽は皆に囲まれてこの世界を去ったというが、私にその勇気は無かった。霊夢と魔理沙に向き直り、一言だけ礼を言おうと口を開いた。

 

「ストップ。何も言わないで、……」

「霊夢……?」

「礼を言うなら……魅空羽を連れて来てからにしなさい。あの子と一緒じゃないと、ダメ。」

「……。分かった、約束する。」

 

再会も束の間に去ってしまった友人、その出来事に少なからず悲しみを抱いたのは、私だけでは無かったようだ。二人にもう一度、今度は強く視線を送る。力強い頷きが、私の背中を押した。

 

身体中の感覚が無くなっていく中で、私は誰かの歌を聴いた。

 

 

 

   "夜空に輝く夢の流星を

      同じ場所で見つめていたいね"

 

   "どんなに離れていても心が

         いつか一つになれば"

 

 

 

きっとまた君に会える。私には一つの光があった。

また始まる現実での生活は、今までとは違う日々になる。そんな確信も。

 

「待ってろよ……如月、魅空羽!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました!!!

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