以上です。展開早くなってごめんなさい。
感動話なのに短い。今までの展開何処へ。
最後まで駆け抜けるっ!
「あ……」
「間に合って良かった~……え、泣かないでよー」
焦ったように私に声をかける様子を見て、何だか可笑しくなってきた。先程までの空気感は何処へやら、私は笑ってしまう。
「……ホントに良かった。」
「……?」
「燐乃亜、笑うようになってるでしょ?だから良かった。」
「……まぁな。てか、何でこのタイミング?」
「んー……まぁ、色々あったんだよね。うん。」
彼女ははぐらかすように言うと、私に立つように言った。頷いて目線を動かす。
「キャハ、キャハハハハハハハハハ!!!」
「うわぁ……もう何か完全に狂ってるねフランちゃん」
「さっきからヤバい感じなんだよな……」
「へぇ……。!?、霊夢に魔理沙?!」
「あー……っと。頑張ろ。」
「……うん。許すまじフランちゃん。」
テンションが変わった。事の深刻さを理解してもらえたようで何よりだが、冗談抜きで怖い。
それによく考えると、私の会ったことのある彼女と服装が違う。
白い高貴なマントにワンピース。大きな魔女帽子といった、いかにも魔法使いな感じだ。が、何より目立っているのは、その手に握られたステッキだった。簡単に言うと、スノードームに棒が付いているような、そんな見た目だ。
「よし、行こうか燐乃亜。スペカはあるよね?」
「あぁ。問題ない。」
「それじゃ、"爆風シャイニーズフレア"!」
「OK、"新月オールラウンド"!」
太陽熱と月光が混ざり合い、なんとも不思議な光景が広がった。レーザーの中を炎が駆け抜けていく、お互いぶつかり合う事もなく。
スペカの時効が切れる。確かスペルブレイクと言ったか、忘れてしまったがまぁどうでもいい。
「……フランちゃん。フランちゃん!」
「……貴女ハ誰?」
「え……私だよ、覚えてないの?」
「貴女ハ誰?コノ子ハ誰?ソノ子ハ誰?ネェ、ネェネェ」
攻撃によって振り向いたフランに、彼女が語りかける。フランは頭を抱えて、空中で苦しんだ。彼女が手を伸ばしても、何も変わることは無い。
「ネェ、私ハ、誰?」
「「!!!」」
今度こそ完全に壊れてしまった。もう目の前にいる吸血鬼は、フランではないのだから。そう、ただの狂気の塊と化した妖怪だ。
「ネェ、教エテヨ!私ハ、私ハ誰?!」
「うるせぇっ!お前は誰でもないんだっ!"カシオペヤクローン"っ!」
「痛イ、ヨ!ヤメテ、ヤメテ……ッ」
「……っ!」
「攻撃を止めちゃダメ!フランが跡形も無くなる前に、こいつを止めなくちゃ!」
「……あぁ。分かった。」
そうするしか無いのだとしたら、私に出来るのは全力の砲撃だけだ。私は精神をスペルに傾けて、次々にカシオペヤ座を生み出していく。
彼女は必死にフランへと手を伸ばしているが、ずっと何かに阻まれている。その何かを壊すために、私は一層攻撃に力を込めた。
「痛いんでしょ、苦しいんでしょ!?早く、早く出てきてよ……フランちゃん……」
「……フ、ラン?誰?」
「っ……貴女の名前だよ?思い出してよ!ねぇ、フランちゃん!」
「ワカラナイ。ワカラナイワ……私ハ誰ナノ?」
つい攻撃を止めて、二人の会話に耳を傾ける。フラン(?)は、涙ながらに呟いている。
「フラン……?私ハ、フランナノ?デモ……私ハ、誰?ネェ……ワカラナイヨ……誰ナノ?」
「……魅空羽。」
「え?」「エ……?」
「私は、魅空羽だよ。」
「……燐乃亜だ。」
「「貴女は……誰?」」
二人分の声がどうか届きますように。
「こっちに来て、私達は此所だよ。」
深い深い闇の、宇宙の果てから――
「貴女の名前を教えて……」
何億年の時を越えて――
「「友達に、ならない?」」
キラリと輝く一番星のように。
静寂が辺りを包み込む。ゆっくりでいい、でも返事が欲しい。もどかしい空気の中で、そっと誰かが口を開く。
「……フラン……」
「!」
「フラン、ドール……?」
「……そっか。それが、貴女の名前?」
彼女……魅空羽は優しく問いかけた。
「ワカラナイ……デモ……コレハ……チガウ……」
「……?」
「コレハ……コノ子の名前、ダカラ……」
「……じゃ、貴女に名前をあげる。」
「燐乃亜?」
「それで万事解決だろ?」
「……なるほど。」
「名前……?」
私は魅空羽に耳打ちした。そして手を伸ばす。その指先にはスペカを挟んでいる。
絶対に外せない、ふともう一方の手に温もりが伝わる。もう横は向かない、信じているから。
「「スペルカード発動。」」
「"冬の大三角―ウィンタートリリンガル―"」
「"夏の大三角―サマートリニティ―"」
星空へと放たれた二つの魔方陣が、ゆっくりと回りだす。それはまるで、四季折々の星座のようだった。
「貴女の名前は……」
――儚く散る、華のように。切なく、そして甘く。
「さよなら、シュガー。またいつか会おうな。」
「……アリガトウ」
―――――
霊夢と魔理沙の診察を終えた永琳が顔を上げた。
「二人とも大した傷じゃないし、直に目を覚ますわ。さすがの生命力と回復力ね。」
「良かった……!」
「にしても、久しぶりね魅空羽。元気そうで何よりだわ。」
「え?あっ、はい。お久しぶり、ですねっ」
「?」
魅空羽の少々不審な様子、首を傾げる永琳を笑う輝夜。
何だかまだ色々とある気がして、魅空羽に再度声をかけようとしたその時だった。
「そろそろネタばらしの時間かしら?」
「うわあっ!!!」
「!!?」
「やだぁ、驚かせないで頂戴?」
「「こっちの台詞だ(ですよ)!!!」」
「ふふ、元気そうで何よりね。あ、そうそう……」
「何だ?」
「他の子達、お返ししといたから♪じゃあね~」
「は?え、ちょっ!待てスキマ妖k……ったく」
「行っちゃった……。他の子達、って?」
「んー……あ。」
そういえば、紅魔館組は揃いに揃って吹っ飛んでいたはずだ。レミリアを除いて、だが。
「てか、レミリアはどこ行ってんだ……?」
「レミリアさん?それなら神社で眠って……」
「呼んだかしら?」
「ってうわっ!レミリアさん!」
ドアの所からひょっこり顔を出したのは、レミリア本人だった。ちょこちょこと歩いてきて、話し始める。
「目を覚ましたら誰も居ないから、心配になってね。それで紅魔館に戻ったら、あの有り様じゃない?これは永遠亭かしら、と。」
「此所にいるのは霊夢と魔理沙だけだが?」
「あ、大丈夫よ。咲夜達は紅魔館の前で再建を始めてたわ。」
「回復力半端なっ!?」
「ふふっ。だから言ったでしょう?お返ししたって」
「お前の所業か……」
「さすが紫さん……!」
「……煩いわね……何事よ?」
「ん~……」
「あら、お目覚めね。」
「霊夢!魔理沙!」
「えっ?!み、魅空羽!?」
「やっと会えたな!良かったぜ!」
これはまた宴会になりそうだな、と永琳と顔を見合わせ苦笑を浮かべる。こればかりは仕方がないし、改めてゆっくり話し合うのも良いだろう。
私は一足先に、博麗神社へと向かった。
ありがとうございました!
感想等お願いいたします!
あ、あと活動報告の方書きました!期限は設けないつもりなので、コメント下さい!