幻想郷は夢を見る。   作:咏夢

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スペル考えるのは楽だな。
魔理沙のは原作なるべく調べるようにします。



決闘、魔符、彗星

結局、冥界を出たのは夕方8時頃だった。朝8時頃に着いたから、丸半日あの世に居たのか~と呟いていると霊夢に冷やかな目で否定された。

 

早苗とは空中で別れ、霊夢と共に博麗神社に降り立つ。縁側に気配を感じて振り向くと、魔理沙がちゃっかり湯呑み片手に座っていた。

 

「よっ。随分と遅かったな?」

「いや何であんた居るのよ。あくまでも人ん家よ?」

「まぁそう怒るなって。夕飯出来てるんだぞ」

「え、本当!?」

 

現金な奴なのか子供っぽいのか、霊夢はそれを聞くなり魔理沙に向かって走り出した。そして、軽くジャンプすると魔理沙に抱きつく。

 

「ありがとっ」

「ぅわっ!と……どういたしまして、だぜ」

「ふふっ。~♪」

 

数秒のハグの後、上機嫌で廊下の奥に消えた霊夢を見送ると、私は魔理沙の隣に座った。そして少し呆然としているような魔理沙の肩に手を添えた。

 

「……なぁ燐乃亜。あいつ、酒呑んでたか?」

「いや、見てた感じ呑んでた様子は無かったぞ?」

「お、おう。そうか……」

 

やはりいきなりのスキンシップに、多少は戸惑っている様だ。私は改めて魔理沙の肩を軽く叩くと、席を立った。用意してあるとはいえ、準備を手伝いがてら霊夢の様子を見に行こうと思った。

 

―――――――

 

疲れからの奇行だったのか、霊夢はすっかり正気に戻っていて、何とも言えない空気が漂っている。私はそれとなく二人に話題を振ることに徹した。

 

「そっそういえばさ、冥界で能力がどうとかいう話があったがアレって私にも使えるんだったか?」

「あ、あぁー。うん、そういえばそうだったな。」

「え、えぇ……。まぁ私達としてはその能力で一度遣られてるから、あんたが自然に使えてるのに違和感無かったわね」

「あーまぁ。使ってない訳じゃ無いけど、使ってる自覚があんまり無いんだよなぁ……」

「そうだな……特訓か何かしてみるか。スペルも作らなきゃだろうし」

「特訓?スペル?」

 

二人は調子が戻ってきたとばかりに私を口説き始める。話の内容を要約するとこうだ。

能力の制御の練習がてら魔理沙と決闘、つまり弾幕ごっこをしないか、と。

二人の話によると、必ずと言っていい程"スペルカード"とやらの必殺技が必要らしいので、まずはそれを考える事にした。

 

―――少女作成中―――

 

出来た。

声には出さなかったものの、正直疲れた。あえて手札を見せずに、魔理沙と空に向かう。

ふと魔理沙が遠い目をして地上の霊夢に言った。

 

「あの時は五分くらい待ちぼうけだったんだけどな。やっぱ環境が違うのか……」

「?……あぁ~!そうね、あの時は唐突だったし、ね」

 

何の話なのかは言わずもがな解っていた。だからこそ、私は何も聞こえないフリをして改めてルールを確認した。ちょっとした話し合いの末に手札は3枚、被弾はハンデとして私は二回、魔理沙は一回までになった。

 

「それじゃ始めっか!"アースライトレイ"!」

「"獄炎彗星―コマンドサテライト"!」

 

何回か使っている為か、このスペルは比較的コントロールが楽だ。かといって魔理沙が当たるはずも無く、私は弾幕や光線を小刻みに避けるしかなくなる。

 

魔理沙が二枚目のスペルを取り出したのを見て、私は少し距離を取る。魔理沙のスペルは火力で圧すものが多いらしい。なら、距離が有った方が断然避けやすい筈だ。

 

「行くぜ燐乃亜、恨むなよ!"ブレイジングスター"!」

「はっ!?」

 

いきなりのスペル宣言に対応が遅れる。これでもかというほどのスピードに、魔理沙だけを意識してしまったのがいけなかった。霊夢から一回目の被弾報告が挙がる。

これで対等。私も迫り来る弾幕を避けながら、二枚目のスペルに移る。

 

「"新月オールラウンド"!」

 

魔法陣が展開する。基本的に全ての力を扱える"夢の迷い人"だが、私は魔力と妖力が比較的得意だ。

白銀の光線が捻れるように魔理沙を狙う。華麗に避ける魔理沙は、スペルの勢いそのままに光線を引き離していく。流石のスピードだ。

しかし、これからは流れが少し違う。というか、変わることを祈っている。これから私が使っていくのは先程作ったスペル、つまり魔理沙にとっては初見の弾幕だ。

 

「行くぞ、"カシオペヤクローン"!」

「ついに来やがったな……!」

 

皆さんご存知(?)カシオペヤ座を型どった弾幕が次々に現れては飛び、現れては飛ぶ。

複雑な形の弾幕が、まるで無重力下のように縦横無尽に動き回る。"新月オールラウンド"とは、ある意味対称的なスペルだと思う。

これで魔理沙の集中力も少し逸れると良いのだが。そうでないと、フランに聞いた彼女の二の舞に成りかねない。

 

「面白いぜ……規則性が無いとやっぱ動きにくいなぁ。さて、こっちも本気で行くぜ!"メテオドラゴン"!」

「よし……負けないっ!」

 

私は知らなかった。

これは弾幕ごっこなんかでは決して無く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――決闘なのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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