幻想郷は夢を見る。   作:咏夢

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新章始まりましたっ!

前章が終わる前にこれ書いてあったのは内緒でふ。
ゲフンゲフン。

少し次は遅くなると思います(T-T)


葉月燐乃亜は夢を見る。
継がれる夢物語


放送室、という名の空き教室。というのも、この学校の放送部は数年前に廃部になったらしい。職員はもちろん職員室を使うので、ここは絶好の独りになれる場所なのだ。

 

いつも此処でヘッドホンを付けて、タブレットを弄る。ちなみに、タブレットは放送室の物だが、制限が何もついていないので、私が使い放題している。

 

私―葉月燐乃亜(はづきりのあ)は放送室を、放課後の溜まり場にしていた。まぁ溜まり場と言えど一人だし、今は冬休みだが。冬休みだ、そうだ。私の家は、両親共働き、それに仕事バカだ。家を何日留守にしようが、知ったこっちゃない。

 

いつも通りタブレットでも良いのだが、私は一冊の冊子を手に取った。この冊子を手にいれたのは、図書室だ。

 

――――――――

 

(ん……何これ)

 

その冊子はカウンター脇のラックに何冊か置いてあった。すると、図書当番の三年生が声をかけてきた。

名札には"如月"とある。そういえば、秋から入った文芸部の先輩だったか。そもそも行っていないのであまり交流は無いが、最初の部活の時にとても嬉しそうに接してくれたのを覚えている。純粋な青い瞳で。

 

「それ、今年の文芸冊子なんです!良かったら持っていって下さい、葉月さん」

「え……と、じゃあ、はい。どうも……」

 

結局よく分からない感じで、私は冊子を持ってきた。

 

――――――――

 

(文芸冊子って言っても、どうせ先輩達の意味わかんないし、新入生は楽そうだから入ったやつらだし……)

「駄作だろ、どうせ」

 

私は本音を呟きつつも、ペラリとページを捲る。やはりどいつもこいつも意味の分からない空想を並べ立てている。

もう読むのを止めようか、と思った矢先、気になる文字が目に入る。

 

『夢に見る幻想郷』

 

その話を半ば無意識に読み進めると、体験談のような話だった。色々なファンタジックキャラ、ドタバタ劇。そんな中に感じたのは……

 

厚かましい程の"生への欲望"だった。

 

何もそんなこと書いてない、下手すればただの空想なのに、それなのに……。

 

「どうして……?」

 

その疑問は更に別の方向へと広がる。そしてある出来事に繋がる。

 

あの夢。夏休みの終わりだっただろうか。私を受け入れたあの瞳。

 

「気のせい……だよな、うん。」

 

私は乱暴に冊子を閉じると、放送機器へ叩きつけた。まるで生を、自分自身を否定するように。

 

――――――――

 

事実、私は変な夢を見ていた。ほんのたまに、残酷な楽園の夢を。生への執着漂うその世界を、私は否定し続けていた。

 

「もしかしたら、あるの……か?」

(異世界、とか……)

 

そのまま考え込むように眠りに落ちた。

 

 

 




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