幻想郷は夢を見る。   作:咏夢

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一人称が同じで口調が違うというのは、なかなか書きづらいですね~……


変わらぬ過去と変わる思い

「何の用?じゃないでしょうが。あんたが不審火の犯人ね」

 

こういうのに馴れた霊夢が突っかかる。そして、周りの焔を消そうと試みるが……さすがは地底。次から次へと灼熱の炎は湧いてくる。

 

「無駄だ、私でもその焔がどうやって湧いてるのか知らないからな」

「どんなよ!?」

「どんなだよ!?」

 

少女は、顔をしかめてからこう続けた。

 

「ここはやっと出来た私の居場所だ。邪魔すんなよ」

「いいえ、ここは貴女の居場所ではありません。麗しき地底の奥深く、紅き憎しみの焔の霊殿。昔より封印されてきた場所のはず……。」

 

さとりさんの言葉は本当らしく、目の前のステンドグラスは焔を宿す魔方陣のようだった。

妹紅や魔理沙はいつでも闘えるよう身構えているが、少女は何も素振りを見せない。ただあっさりとこう言うだけなのだ。

 

「ここから出ていけ。さもなければ焼き尽くす」

「ふんっ!誰を焼き尽くすだって?」

「あんな程度の炎で、私達を倒せるとでも思ってんのか?」

「ちょ、ちょっと!」

「あんたたちねぇ……でも、ただで出てく気は無いわ」

 

妹紅、魔理沙の挑発的な発言に、多少苛ついたのか、少女が声を荒げる。

 

「うるせぇ!出てけって言ってんだろ!」

「私がやるわ、下がって!」

「私にもやらせろよ~」

 

霊夢と魔理沙は前に出た。この位置からでは顔は見えないが、普通の女の子な背中にただならぬ貫禄が滲んでいる。

闘いは魔理沙のスペルで始まった。

 

「さっさと終わらすぞ、"ミルキーウェイ"!」

「分かってるじゃない、"夢想妙寿"!」

 

霊夢のスペルは周りの炎に掻き消されたが、魔理沙の放った小さな星たちは列をなして、炎を突き破った。

と、魔理沙の意に従っていたはずの星たちが止まる。

 

「なっ!どうしてだ?!」

「私をナメてるのか?」

 

少女は初めて笑った。魔理沙の星は色を変え、少女の周りに並ぶ。

 

「私の能力は"夏の宙を操る程度"。それを知っての事か?」

「っ!それって……!?」

「ははっ!一発には一発だろう?もちろん、一発で済むかは知らんがな!"獄炎彗星―コマンドサテライト―"!!!」

「下がって下さい!"オーロラアテンションロンド"っ」

 

炎の彗星とオーロラの障壁がぶつかり合う。ここに来たばかりの私なら、あっさり押し負けていただろう。

しかし、今は違う。本気の戦いでは無いものの、多祥なりとも経験は積んできたのだ。

 

「誰も……誰も私は変えられないんだッ!」

「皆が……皆が私を変えてくれたの!!!」

 

誰に言うでもなく、私達は叫ぶ。

 

「私の過去なんて……あんたには分からないだろッ!」

「私の思いなんて……貴女には分からないだろうけどッ!」

 

 

 

 

 

 

 




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