以上です、はい。そんな回です。
「で?宛が出来たんでしょ、早く行くわよ」
霊夢が私達をドアに寄りかかり催促している。私が席を立とうとすると、遠慮がちに声がかかる。
「それなんですが……」
「ん?どうしたよさとり」
「異変が夜に起こるのは分かりますよね?」
「はい……?」
確かにそうだ、私と咲夜はさっきその場で阻止してきたのだから。咲夜と顔を見合せると、さとりが先を続ける。
「実はペットに調べさせた所、何回かに分けて火を飛ばしているようなのです。」
「ふぅん……って、それじゃあ今からまた止めにいかなきゃならないって事じゃないの?!」
「それなら私が行くよ。私と慧音が居れば、多分大丈夫でしょ」
妹紅が慧音の手を取って上に挙げる。それなら……と霊夢が肩を落ち着かせる。が、その前に咲夜が声を発する。
「いいえ、その必要はないわ。私が行く」
「は?咲夜が?」
「どうしてだよ?!」
「だって、私が行けば実質時が止まってる間に解決できる訳だし、問題ないでしょう?」
「まぁ、それは確かに一理あるな……だが、里の管理者として、私も着いていくぞ」
「慧音……!」
妹紅はまだ何か言いたそうだったが、次の瞬間、咲夜と慧音は消えていた。あそこで待ち伏せして追いかける気なのだろう。
「まぁ、そうとなれば……」
「「?」」
「私達は手薄になった所を狙おう……ですか。安全策ではありますね」
「あーなるほどな!でもどうするんだ?流石に私達まであの階段の前で待ちぼうけは嫌だぜ?」
それには激しく同意する。第一、あの旧都で突っ立っているだけでも危険だろうに。
「そこは問題ないでしょ。あそこから火が出てきたら、咲夜は里まで追いかけて着いたタイミングで時を止めて阻止して、それで時が止まってるまま帰ってくるでしょう。だったら……」
「咲夜たちが帰ってきてすぐに出発すりゃ良いって事だな!流石は霊夢、考えたもんだぜ……」
魔理沙は感心しつつ、出されたお茶をすすっている。皆は束の間の休息として、地霊殿で晩御飯を頂いた。
――――――
一通り近況報告などを終えて寛いでいると、ふと気配を感じ振り向く。
すると次の瞬間、勢いよく扉が開いた。咲夜が真剣な面持ちで立っており、慧音がその後ろで膝に手を付き息を切らしていた。どうやらまた全速力で走ってきたようだ。
「あの中まで時が止まってるとは限らないしね。さぁ、行くわよ!」
「はいっ!」
「「おう!」」
「えぇ!」
私達は旧都の奥地へと個々の方法で向かった。
―――――――
「にしても暑いわねぇ……せっかくの夏の夜だってのに」
「まぁな……地底だし、旧地獄だし」
ふと、一際熱い熱風が吹き抜ける。私が次に目を開けると、紅いステンドグラスを見上げて唄う少女の周りに獄炎が渦巻いていた。
その少女は、炎を映す瞳で振り向き言った。
「あんたたち……私のテリトリーに何の用?」
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