少し私なりの思考が入ってます。
「っ……!?」
「貴女は誰ですか?ここは人間風情が来る場所じゃない、それを承知の上で?」
底冷えするような声と視線に、私はたじろぐ。
「……はぁ」
ひんやりとした沈黙を切り捨てたのは咲夜だった。
「妖夢、主への忠誠心も程々になさい。」
「……咲夜さんに言われると何とも言いがたいのですが。」
「刺すわよ?」
鋭い目線が少し和らぐ。咲夜がつかつかと近寄ると次の瞬間、私の視点が変わる。あまりの激しさに目眩がするが、美鈴が大丈夫か、と苦笑いで返す。
見ると、さっきまでの私の位置に、つまり咲夜が剣を突きつけられていた。
「っ……!?」
「ふふっ、分かってたくせに?」
「……はあぁ……」
気の抜けたようなため息をつくと、女の子は剣を下ろした。咲夜さんは私にウインクすると、女の子に向き直った。本当に完璧な従者だ。
「その、いきなり現れるの止めていただけませんか?心臓に悪いんですが……」
「ふふふ、貴女の反応可愛いんですもの」
「何ですかそれ!?主人に似たんですか?!」
さっきの怖さは何処へやら、女の子は咲夜に抗議している。女の子は幼さを滲ませる表情を引っ込め、いきなり私の方へ振り向く。しかし、呆れたような目は私を通り越している様な気がして私は振り向く。
「あら、バレちゃった?」
いたずらっ子のような表情をした女性は、木の陰にもたれていた。
「当たり前じゃないですか……幽々子さま」
「ふふっ。妖夢ったら怖かったわねぇ~大丈夫だった?」
「えっ、えぇっと……」
いきなり話を振られてしどろもどろになってしまう私に代わるように、フランが切り出す。
「あのねっ!魅空羽は挨拶回しに来たんだよー!」
「挨拶回り、ですね」
美鈴のこっそりとした訂正もありつつ、私は本来の目的を思い出す。
それを聞くと女の子は、しっかりとした表情で私に向き直った。
「魂魄妖夢と申します。お願いいたします。」
「あっはい、よろしくお願いします!」
つい態度が子供向けになってしまう、無理もないだろう。相手はせいぜい13程にしか見えないのだから。
「うふふっこれでも私の立派な従者なのよ~」
その声に隣を見ると、いつの間に先程の女性が立っていた。女性は扇子を口元に当てながら名乗る。
「西行寺幽々子よ~亡霊やってまーす♪」
歳に合わないピースサインに私は呆けてしまう。妖夢が後ろで頭を抱えている所を見ると、いつものことなのだろうか。
ふと、黒い蝶が目の前を過る。
私は無意識に目で追いかけてしまう。魅惑を感じさせる蝶、ふとその前に小さなリボンが躍り出る。
フランがその蝶に虚ろな目で手を伸ばしていた。刹那、私は反射的に、その手を掴んで止める。
フランも何か虚になっていたようで、私が止めると自分の行動に首をかしげて美鈴の方へかけていった。
私の中で、夢幻の光景が、鋭い痛みがフラッシュバックする。少し恐れを感じて、ぎゅっと手を握りしめながら、強ばる表情を解した。
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