結局私は、勢いで紅魔館に居候することになった。
永遠亭での事は誰も触れなかったが、反って好都合だ。
「それで、これからどうするのかしら?」
昼下がりのティータイム。紅茶を楽しむ合間、レミリアは目を細めて私に聞く。
私は今考えていることを打ち明けた。
「はい、他にも挨拶回りに行きたいんですけど……」
「それなら、白玉楼なんてどうでしょう?」
咲夜さんが指を立てて微笑む。その指が指すのは……
「えっ、と?」
「くくく……咲夜。説明してあげなさいな」
笑いを堪えながらレミリアが言う。咲夜もその様子に苦笑いしながら、私の前に横に立った。
「まず……そうですね、天国って信じます?」
「へ?あ、あぁ、まぁ……。」
「話が早く進みますね。ここには上空に、冥界という、天国に似た場所があるんです。」
「ほえぇ……」
一昨日の事といい、現実離れした世界だ。
咲夜さんは空を見上げて続ける。
「その冥界にある唯一の屋敷、それが白玉楼です。どうですか?」
「はい、大体は理解できました、けど……」
「何?ここまで来て怖じ気付いたのかしら?」
レミリアの言葉に首を振って、私は言う。
「私、そんなに飛べないんですが……」
―――――――
「めーりん、あとどのくらーい?おんなじ景色なんだけど~……」
「あともう少しですよ~……多分」
フランは飽きてきた、とブツブツ言う。
その少し離れた所で、咲夜があからさまにため息をつく。
「まったく……適当ねぇ」
「だって分かんないですよ~」
美鈴が曖昧な答えしか返せずにいると、フランは少し高度を下げて私の所へ来る。
「魅空羽~あとどのくらーい?」
「うん、こっちが聞きたいかな……」
そう、私たちは現在進行形で、冥界に向かっている。
私が心配していると、フランと美鈴、咲夜が着いてきてくれた。
「……結構だわ」
「どういうことですか?」
「ほら、道案内よ。」
そこには見覚えのある妖精ともう一匹の妖精がいた。
「ここであったがひゃくねんめ!きょーこそぼっこぼこにしてやるんだから!」
「チルノちゃ~ん……止めようよぉ……」
「あら、あなた百年も生きてたの?初耳ねぇ」
咲夜が冷たく言い放つ。チルノは私を見つけるとハッとしたように叫んだ。
「やい魅空羽!ここであったが……」
「五月蝿いわよ」
結局私に決め台詞を言うことなく散ったチルノよ、永遠なれ。
咲夜さんはというと、もう一匹に向かって道のりを聞いていた。妖精は雲と雲の隙間を指差すと、チルノの落ちた方へ飛んでいった。友達なのだろうか?
「さて、ここが冥界よ。」
先を行く咲夜さんが振り向いて告げる。私たちは頷いて着地する。
と、私の目の前を桜が舞う。
次に目を開けた時に私は、年下の女の子に鋭い目線と剣先を向けられていた。
ありがとうございました!
次回こそ白玉楼回です!
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