気楽にご覧ください(笑)
「お姉様っなんてっもうっ知らないっ!」
「止めなさいフラン……!魅空羽もいるのに!」
炎の大剣を振り回すフランは、レミリアの言葉にも耳を貸さない。
はずだった。フランは私の名前を聞くと、ピタリと手を止めて笑い出す。
そして戸惑う私に向き直ったその瞳は狂気に満ちていた。
「あはははは!そうだ、そうだわ!お姉様じゃなくてもいいのよ!外来人なら、死んだって構わないんだわ!」
「……!」
その言葉に震える私は、先程のフランと似ていただろうか。思わず絞り出した声と共に、一歩前に出る。
「……私だってね、必死に生きてるのよ……それをこんな……まだ見たこともない世界で……」
あぁ、そうか。元の世界に居ては、分からなかった命のやり取り。
殺されることの無い中で、幾度も死にたいと願った。そんな思い。
それが今、私の中で壊された。
「こんなところで……死んでたまるかァァァ!!!」
私はありったけの声を使いきり、それでもまだ叫ぶ。
「貴女が何を見てきたのかなんて知らない!何に哀しむのかなんて知らないよ!けどね!」
『私だって……必死に生きてるのよ!!!』
声が重なる。それが、昔の私なのか、フランなのか、それとも違う誰かなのか。分からない。
突如フランはその場で足掻く。宙に浮かんで必死に叫ぶ。
「あ、あぁ……お姉……様……み、くは……ごめん、なさ……わた……を……止め……て……っ!」
――お姉様、魅空羽、ごめんなさい……私を、止めて!
私はもう迷わない。綺麗事でも何でも吐いてやる。
それで生きられるのなら、何だってしてやる。
私は、フランと距離を取って宙へ舞う。
「"爆風シャイニーズフレア"!!!」
「"クランベリートラップ"!!!」
「"不夜城レッド"!!!」
私は二人と同時にスペルを掲げる。まだ規模の調節が上手くいかずに、自分までぶっ飛んでしまったが。
ようやく目が慣れてきたと思ったら、今度は紅い弾幕が飛んできた。
「ぎゃぁっ!?」
「キャハハハハ!!!ちゃんと避けなきゃダメだからね?」
フランはとても楽しそうに言った。さっきのような殺意は感じられないが、完全に人格が違う。
私は宙へ舞う。さすがに私だけ地上に残るというのも不利すぎる。
フランとレミリアはお互いに弾幕を飛ばし合い、口角を上げている。上級者の貫禄というか、結界の外の人たちにも安堵が感じられる。
……間違いなく私、死にそうなんですけど。
「えぇい!こうなったら自棄だね!"チェイスプレアデス星団"!!」
「あら、フランに手を出すなんて感心しないわね?"スピア・ザ・グングニル"!」
「そうだよ~?"レーヴァテイン"!」
(不覚にも敵が二人になってるんですが!?どういう事ですか!?)
私は必死で空を舞う。さっきの感動的な展開が嘘のようだ……。あれ?もしかして感動的だったの私だけ?
私は、一か八か、向かってくる二人に出来立てのスペルを掲げる。
思い浮かべる冬の大三角。指先に力をこめ、それをなぞる。
「ペテルギウス、シリウス、プロキオン……"ウィンタートリンガル―冬の大三角―"っ!!!」
煌めく三角形の結界兼魔法陣から大量の星が降ってくる……前に、目の前に迫る2振りの剣が私を貫いた。……酷いな、この世界。
ありがとうございました!
次回は永遠亭になりそうです(魅空羽ェ……)
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