ブラック・ブレット 《禍のハジマリ》   作:蟠竜

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視点は結構変わります。
3歳児ってどのくらい喋るんだ…!?


苦しみの讃歌

紅茶の香りが鼻腔をくすぐる。

やはり沙羅さんの淹れる紅茶は格別だ。

 

(けん)ちゃん、聞いているんですか?」

俺の肩に寄りかかり、頬を膨らませているのは日の本一の美女と名高い太子(たいし)様。

こんな所を一般人、ましてや彼女の熱烈なファンの方に見られたら、ひ弱な俺は一瞬で殺されてしまうだろう。

 

「失礼しました太子さ…あいたっ!」

鋭いデコピンが飛んできた。

 

「…ごめんって深冬(みふゆ)。」

今の彼女はこの国を担う太子様ではない。俺の妻であり北斗と七星の母、深冬なのだ。

俺が太子様と呼ぶと凄く怒る。フグみたいに頬を膨らませて…

迫力があると言うよりただただ可愛いだけなのだが、怒る。

 

あと超がつくほど甘えん坊だ。

 

「ですから…北斗が本当に可愛くて!背筋をピーンと伸ばして正座して『お母さまみたいな“しゅくじょ”になるの!』って言うのですよ!もう天使!!」

 

…親バカでもある。

 

「それを言うなら七星だって、『お父さま!今日は七星がご飯作る!』ってカップ麺に卵とか乗せてくれて…

な、七星のご飯はきちんと作ってるぞ?

…主に沙羅さんが。」

「沙羅さんが健ちゃんの食事の栄養バランスについて頭を悩ませていましたよ。」

「だって研究してるんだから仕方ないだろ…」

 

2人で睨み合っていると可愛い妖怪がやって来た。

 

「おとーさまー」

「おかーさまー」

 

妖怪くっつき虫である。

 

「よーし北斗!お父さんが抱き締めてあげ…なんで深冬のほうに行くんだ?!」

 

「だってだってお父さまの()()()痛ーい」

「そーだそーだ」

「今日は剃ってあるぞ。」

「じゃあ褒めてあげる!」

 

北斗を抱き上げながら、その尊大な言い方に苦笑する。

住んでいるところがところだからなあ〜将来お堅すぎる子になって苦労しそうだ。

 

「そう言えば今日はね、七星にプレゼントを持ってきたんです。」

「プレゼント?」

「そう。菊之丞さん、持ってきて頂ける?」

 

菊之丞さんが車から取ってきたのは、赤と青の三輪車だった。

 

「なあに?これ」

「これはね!さんりんしゃだよ。見ててね〜」

 

北斗が青い三輪車で周りを走り始めた。

どうやら七星に教える為に練習してきたようだ。七星は目をキラキラさせながら笑っている。

 

「お姉さますごーい!!七星もやる!」

お姫様方はすっかりプレゼントに夢中になった。

 

「ありがとうな。深冬」

「どういたしまして。ところで()()は今どうなっているの?」

「ああ…」

 

あれ、とは俺の研究のことだ。

その研究は俺が、否()()が大学生のとき始まった。

 

 

 

 

 




まだ本題に入らないのか!という方いると思います。
すみません。色々と、色々とあるのでね?
今のうちにほのぼの成分を入れたいんです!!
それではまた。

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