寄生獣 【後藤討伐戦後】   作:だまぱんだはら

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・登場人物
【泉 一之】
新一の父。目の前でパラサイトに妻を殺害されたが、本人は軽傷で済んだ。現在新一と二人暮らしをしている。

【泉 信子】
新一の母。夫の一之と旅行中、パラサイトに襲撃され脳を乗っ取られた。その後、口封じのため新一を殺害しようとするが、ミギーの懸命な看病により失敗。病院に搬送された一之も口封じするつもりで一之に接近するが、その行動を読んでいた新一に妨害され、新一に殺害された。その遺体は海の中に落ちたため回収はされておらず、身内の人間や警察には失踪した、ということにしている。

【平間】
北署のベテラン刑事。警視。パラサイト関連の事件を主に担当し、市役所パラサイト殲滅戦では指揮官をする。殲滅戦では警部だったが、殲滅戦において被害は大きかったものの、相当数のパラサイトを駆除した指揮能力を買われ、特例で警視に昇進し、東福山市全域におけるパラサイト関連事件を総括することとなった。その慧眼はするどく、新一がパラサイトに関して何かを隠していると確信している。




第2話 警察とパラサイト(1)

家に着くと、そこには誰もいなかった。

リビングを見てみると、軽いメモに何かが殴り書きで書いてあった。どうやら、父からの伝言らしい。母の失踪のことで、母の実家に呼び出されたのだそうだ。無論すでに母は死んでいるし、母の体も海の底だ。後藤を倒した安心感と疲れのせいか、夕食も取らずに眠ってしまった。

 

翌朝、突然の訪問者がきた。

眠い目をこすり、ドアを開けると、そこにいたのは平間警部だった。

 

「どうしたんですか。こんな朝早くに、平間警部。」

「今は、警視だ。早速だが、泉君。後藤について聞きたいことがあるから、署まで来てもらえないか。」

「今すぐですか?」

「そうだ。」

 

早朝に起こされ、警視に警察署まで任意同行を求められる高校生はそうそういないだろう、などと考えながら出る準備を整えた。

父さんに伝言残しとかないと...。

警視に呼び出された旨を昨日見つけたメモに付け加えておいた。

 

「さぁ、いこうか。」

険しい顔つきの平間警部、いや平間警視に付き添われ、北警察署まで行った。

 

取り調べ室...いや狭い応接室のようなところに通された。なんの話だろうと多少動揺していたが、顔にはださない。

後藤から逃げる時に奪った車のことだろうか。あれは立派な窃盗罪。しかも無免許運転(ミギーが運転していたが)もあるし、犯罪なのは間違いない。

 

新一の前に座った平間警視は口を開いた。

 

「率直に聞こう。後藤を殺したのは君だろう。違うか?」

 

・・・!!??

これが驚かずにいられようか。昨日の話だぞ。この警視はいったい...。

 

「なんのことでしょう。あんな化けもん、俺なんかに殺せませんよ。」

 

シラをきるしかない。これがバレたら捕まることだってあり得るし、パラサイトと戦える自分がパラサイトだとバレるのも時間の問題。殺されるかもしれない。いや、そもそも昨日の事件を、しかもあんな山奥でのミンチ殺人事件を聞いただけですぐわかるだろうか。

 

「証拠はあるんだ。これだよ。」

平間警視はビニール袋に保管された、鉈を持ってきた。

 

「そ、それは...。」

そう、あの後藤にとどめをさした鉈だ。おばあさんのもののはずが、なぜここに。

 

平間警視は話し続けた。

「ここから車で2、3時間走ったところに、山辺村という村があって、そこの近くの山でミンチ殺人事件があったんだ。君も知ってる通り、パラサイトの犯行だと思われる。基本的に都市部に集中していたミンチ殺人が、人がいるかいないかわからない寂れた村の山奥で起こるわけがない。なぜなら、パラサイトが捕食する人間はそんな片田舎の山奥より都市部のほうが多いのは誰の目にも明らかだからだ。その話を偶然耳にしたもので、何かあるのではないかと思って、昨日その現場に行ってみたんだ。そこで見たのは、ミンチ殺人の殺害現場の近くで、パラサイトが死んでいたことだ。」

 

これ、完全にバレてるな。もう無理だ。

新一は話し続ける平間警視の目をじっと見た。

 

平間警視は動揺している新一の顔を見て、ニッと笑った。

「そのパラサイトは残念ながら損傷が激しく、顔は判別できなかった。が、例の殺害現場の近くにすむ老婆に話してみると、つい最近まで若い男を家に泊めていたと証言した。その男はミンチ殺人が起きた夜に倒さなきゃいけない相手がいると言い残して家を去ったそうだ。そして、翌朝見てみれば化けものの死体があると話が回ってきたそうだ。その老婆によると、その男の名は『泉 新一』なんだと。おそらくこの鉈についている指紋を採取すれば、君の指紋が出るだろうな。それにこの鉈には多少持っていたものの血もついているようだ。血液のDNA鑑定をすればそれも一致するだろう。」

 

鉈は捨てておくべきだったな...律儀に返すのはやはり危険だったか...。

 

「泉君。ほんとうのことを話してくれ。君がやつをやったんだろう??」

 

...しかたない。

「なぜ、後藤の死体だと?」

「後藤が君を殺そうとしてるのは殲滅戦の時に奴が言ってるから当然だろう。そろそろ動く頃合いだとも思っていたが。」

「しかし...」

「それに君がわざわざ人気のない村の山奥に逃げ込んだのはほかの人間を巻き込まないためだろう。今すぐ君に害をなそうとしてるわけではない。話してくれ。」

 

「・・・。(どうするミギー?)」

「・・・。(仕方ない。これは言い逃れできんな。)」

「・・・。(平間さんに手を出すんじゃないぞ。)」

「・・・。(わかってるさ。いま私がここで奴を殺せば、確実にシンイチの体を破壊されて私が死ぬ。)」

 

「泉君。何を一人でしゃべってるんだね?」

「・・・。ひとりじゃありませんよ。ここにはもう一人います。」

「どういうことだ...。」

「おれは...パラサイトなんです。」




原作では、平間さんは新一がパラサイトについてなにか知っていることは予想していましたが、結局平間さんが新一のことについてそれ以上踏むこむことはありませんでした。

平間さんと新一が今後どのように動いていくのでしょうか...。

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