「「「いただきます!」」」「い、いただきます」
「はい、召し上がれ」
篠ノ之家にてお昼ごはんを食べることになった3人は龍院の妻である篠ノ之雅《みやび》の前で元気よく食前の挨拶を行い、その後に少し戸惑いながらも篠ノ之家の次女、篠ノ之箒がお昼ごはんを食べ始めた。
用意されたのは、鶏の唐揚げと厚焼き玉子(砂糖での味付け)、ほうれん草のおひたしときんぴらごぼう、そして合わせ出汁のお味噌汁と白米と言う【the和食】と言える品々だが、一夏と円はもちろんまだ3歳の雪七としても好き嫌いはなくどれも好物のものだったりする。
箒を含めた4人は静かにご飯を食べていたが突然箒があることに気づいた。
「ところで、今日は秋十さんと千冬さんは来ないのか?」と3人に聞くと「あ、忘れてた」と一夏。「別にどうでもいい」と円。「・・・・・(モキュモキュ)」と雪七。
この3人の反応に対して箒は「お前達はあの人たちのことをどう思っている!」と声を張り上げて尋ねてきた。が、
「「あんな寝坊助ほっとくのが吉」」と一夏と円。そして雪七はというと「・・・・・(モキュモキュモキュモキュ)」とご飯の方に集中していた。
箒は一夏と円の言葉に衝撃を受けたのか口を開いたままフリーズしていた。そんな時にいきなり雪七の後ろのドアが開き、
「いっくーん!」と何かが雪七の上を飛んでいった。
「た、束さん・・・・・」いきなり飛んできたのは篠ノ之箒の姉であり自称天才の篠ノ之束。一夏達の姉である千冬と同級生でもあったりする。
「はぁ・・・・・いっくんだ、さぁハグハグしよ!愛を確かめ合おう!!」と言いつつ既に抱きついていたため、円と箒は何かを言おうとしたが、
ーーゴンッ!ーー 「痛っ!」
と鈍い音がしたと同時に悲鳴が聞こえた。原因は
「束、今は食事中だ。その意味・・・・・わかっているな?」と龍院が束の頭を思い切り殴ったからだ。そのおかげもあってか束も大人しくご飯を食べることにした。何故か雪七の隣に座ってだが・・・・・
雪七がこのことに対し疑問に思っていると束から「後で私も一緒に稽古見てあげるね♪」と綺麗な笑顔で伝えてきたため、雪七は首を縦に振り食事に再び集中し直した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お昼ごはんを食べ終わり午後の稽古を始めるタイミングで束の姿が道場にあった。先程雪七に伝えていたことは嘘ではなかったらしい。そんなこんなで午後の稽古を続けているとふとある声が雪七に聞こえた。
ーー[あの人は私を完成させて何をしたいのかしら・・・・・]ーーと
いきなり聞こえた声に疑問を感じた雪七は竹刀を振るのを中断し首を傾げていた。その様子に束は気づき尋ねた。
「君はなんで竹刀を振るのやめてるのさ」と先程の一夏に対する言葉遣いとはまるで違い冷たい印象を与える言い方ではあったが雪七は気に止めず、「えっとね?さっきね?おんなのひとのこえ きこえたの」と舌足らずの言葉ではあったが一夏達はその言葉に首を傾げていた。ひとりを除いて。
「え?女の人の声?いっくんたちは聞こえた?」と一夏達に尋ねるが3人は首を横に振るだけで何も分からなかった。その為、束は雪七にその時のことを聞けば、先程聞いた言葉を雪七は舌足らずではあったがそのままを伝えた。
「・・・・・まさか・・・・・ね・・・・・」
と一番の可能性のある選択肢を頭に浮かべる。それは今束が作り上げようとしている、彼女ともう一人しか知らないものの声を聴いたのではないかということ。そのことを確認するためにある行動に出た。
「君、ちょっと私についてきて?いっくん達はそのまま稽古続けててね?」と告げると束は雪七を連れてある場所に足を進めた。
その間にも
ーー[私以外にも作ってるみたいね]ーー ーー[私を使うのは一体どんな人なのかしら]ーー ーー[・・・・・私を理解してくれる人だと嬉しいな]ーー
などと何かの声は雪七の耳に入り続けていた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「さ、ココだよ」そう言って連れてこられたのは束の自室だった。
その部屋には何も無く(勉強机やベッド、タンスなどを除いて)何を見せたいのかわからなかったため、雪七がキョトンとしていると、
「私が見せたいのはこの部屋の地下にあるの」と言いながらあるボタンを押した。すると束と束の隣に立っていた雪七の足元の畳が独りでに動きその下のフローリングがズレ更にその下には階段が続いていた。
あまりの出来事に驚きを隠せないでいたが束に手を引かれたためなんとか気を取り戻した。
その階段はそこまで長くなく目的の場所まであまり時間がかからなかった。そして束が「ココだよ。」と雪七に告げると目の前には金属製のトビラが・・・・・
その右側にテンキーがありそのテンキーに束はパスワードを入力しトビラを開けるとそこには・・・・・
「・・・・・ロボット?」雪七はそうつぶやくのが限界だった。それもそのはず。そのロボットみたいなものは今まで世界で一度も見たことのないものだったからだ。
「残念だけどこれはロボットじゃないよ?」
ーー[・・・・・今日はあの女じゃないのね?珍しい・・・・・]ーー
と声が聞こえ、「にゅ?あのおんなって だれ?」と聞き返すと束はキョトンとした顔で「あの女?君変な事言うね?」と答えたがさっきから聞こえてきていた声はこう告げた。
ーー[あの女って言うのはちーちゃんって呼ばれてる人よ?ってあなた私の言葉わかるの?!]ーーと
その言葉に雪七は聞こえていると伝えると束が「・・・・・もしかして君、この子の声が聴こえるの?」と震える声で聴いてくると雪七は首を縦に振り肯定の意を示す。
すると「すごい、すごいよ!この私でもこの子の声が聞こえないのに。うん!君の事も興味出てきちゃった。えーと君は確か織斑雪七君・・・・・だったよね?」と先程までの冷たい対応がなくなりかなりフレンドリーになったことに驚いていたが首を縦に振る。
「それなら今日からゆーくんだね!ゆーくんにはこれからこの子が何を思っているか聞く時あると思うけど、その時は教えてね?あ、もちろんこの子と話すことに束さんは禁止したり止めたりはしないよ。でもなるべく私がいる時以外は声に出さないようにしなきゃダメだよ?じゃ、道場に戻ろうか。」とだけ伝えると来た道を戻ろうとした。が、それはできなかった。なぜなら
「ボクね おりむらゆきな おなまえ おしえて?」とロボットに見えるそれに話しかけていたからだった。
なんかかなり長くなった気が・・・・・
終わり方が微妙な感じしますが気にしないでください・・・・・
今回出てきたキャラの説明を入れると
篠ノ之雅
龍院の妻で束と箒の母親。篠ノ之道場では門下生のご飯を作ったり道着やタオルの洗濯、防具の日干しなどサポートに徹する。
得意料理は和食でありその腕はなかなかのもの。なんでも龍院に美味しい料理を食べてもらいたいがためにかなりの努力をしたそうな。
とこんな感じのキャラです。
最後の束さんのセリフですが一人称が「私」と「束さん」になってますが本人を踏まえた説明の時は「束さん」、ただ話す時は「私」を使うと考えてくださればと思います。
断じてごっちゃになったからではありませんので!
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