無事にフェルト、ロム爺からサテラは探し物を返してもらうことに成功して、悟空とスバルはサテラの現在住んでいる住居に招待してもらえることになった。
「ゴメンなさい、悟空、スバル。私、本当はサテラじゃなくてエミリアっていうの……」
馬車……ではなく、竜車の中でサテラ――エミリアから偽名を使っていたという報告を受ける。
しかし、申し訳なさそうなエミリアの反対方向では、悟空とスバルが初めて見る景色に興奮していた。
悟空とスバル。肉体年齢的には、大きく離れているように見えるこの2人。実は精神年齢は、どちらともに幼児のようであった。
といっても、悟空はこう見えてドラゴンボールで若返っただけで50代なのだが、それは悟空以外には誰も知らない。
なので、端から見ると仲の良い兄弟がはしゃいでいる風にしか見えないのだ。
実際は子どもや、下手をすれば孫ほどの開きはあるが。
それをパックは微笑ましげに見つめ、エミリアの従者?である桃色の髪の少女は、どこか鬱陶しそうだ。
それに気づくことなく、悟空とスバルは竜車の中ではしゃぎ続けていたのだった。
竜車が着いた場所は、広い屋敷であった。ミスターサタンや、下手をすればブルマの家ほどの大きさはありそうな屋敷。
悟空とスバルはそれを見上げ、驚いていた。桃髪の少女は、それを見てどこか得意気にしていた。
「姉さま、そちらの方々は?」
玄関で桃髪の少女を迎えるのは、桃髪の少女によく似た少女だった。ただし、髪と瞳は青色なので見分けるのは簡単だが。
青髪の少女は一瞬、スバルを見て形の良い眉を歪めるが、すぐに元の無表情に戻った。
「レム、こちらの方々は、王都でおっちょこちいのエミリア様を助けてくれた方よ。お客さまというものね」
レムと呼ばれた少女は、桃髪の少女の言葉を聞いた後に頭を下げた。
「そんなことよりもオラ、腹へったぞ!」
悟空が腹が空いたことを少女たちに伝え、少女たちも了承する。
「しばらくお待ちください。すぐに食事を用意します」
レムが屋敷の中に入っていくのを見送り、桃髪の少女が屋敷の中へと案内をする。悟空たちは案内された所に座ると、すぐにレムが料理を持って現れた。
「お待たせしました」
レムが持ってきた料理は、そのどれもが美味しそうであった。悟空はそれにすぐに飛びつき、凄い勢いで料理を片付けていくので、皆はとても驚いていた。
悟空はわずか数分で5人前はあったはずの料理を平らげると、お代わりを要求してレムを困らせるのであった。