最強の敵、
どこに連れていかれるのかは、悟空にも分からない。
しかし、どこに行くにしても悟空は満足していた。
最高のライバル、ベジータ。強い敵の数々。
戦闘民族サイヤ人の血は、いかなる場合でもいつでも悟空を楽しませてきた。
中には命を落としたこともあった。それでも仲間と共に戦う日々は、悟空を満足させるには充分であった。
心地よい風に揺られていた。しかし、突然悟空の姿がどこかへ消えた。
神龍はそれに気づかぬままに、どこかへと飛び去ってしまった。
悟空が目を覚ますと、そこがいつも見ている景色ではないことに気がつく。
西の都のような近代的な都市ではなく、かといってパオズ山のような田舎でもない。
悟空にとっては、どこか違和感を感じるような街であった。
気を探ってみても、ベジータや悟飯などの仲間たちの気は感じられない。
この街にもそこそこの戦闘力を持つ者は感じられるが、悟空と比べてみても天と地ほどの開きがある。
例えで出してみるなら、一番強い気で天津飯と良い勝負をするくらいのものか。
といっても、それが別に弱いと言っているわけでもない。ただ単に悟空の気が強すぎるだけであって、その気の持ち主はここでも最強クラスの実力者であろう。
「どうしたんだ、坊主?そんなとこに突っ立って」
悟空に話しかけてきたのは、強面の中年男性。そこそこ筋肉がついてはいるが、気はそこまで強くない。
「おっちゃん、ここどこだ?」
悟空の問いに、強面の男性は少し不思議そうな顔をした後に答えた。
「ルグニカ王国だよ。それがどうかしたのか?」
悟空の記憶が正しければ、ルグニカという場所は地球のどこにも存在しなければ、他の星にも存在していない。もちろん、どこかにある可能性も捨てきれないが、それは恐らくないであろう。
「ほら、とりあえずこれでも食っとけ」
強面の男性は、悟空に林檎を投げつけてきた。それを危うげなくキャッチした悟空は、男性に礼を言ってその場を離れた。
「どうなってんだ?確かにオラは神龍の背中に乗ってたはずなんだけどな」
悟空は頭を悩ませるが、所詮は動物と同じような思考の持ち主なのだ。すぐにどうでもいいか、という結論を導きだして探索を始めることにした。
林檎をかじりながら、路地裏を歩く。もしも道に迷ったとしても、舞空術を使えばすぐに脱出をすることができる。
そう考えれば、道に迷うのを恐れることなく適当に道を進むことができる。
「死にたくなければ、金目のものを置いていきな」
そうして悟空はよく分からない、3人の男に絡まれるのであった。
「金?そんなもん、オラ持ってねーぞ」
悟空は男たちへと向けて、そう言う。それが気にくわなかったのか、男たちは悟空へと襲いかかってくるのだが……。
「なにすんだ、オメェら!」
それに対して、手加減に手加減を重ねた一撃を繰り出したのであった。しかし、それでも男にとってはとてつもない威力を持っていたらしく、住宅の壁を突き破ってどこかへと消えていった。
残った2人の男は、悟空の力に恐れをなしてどこかへと走って逃げ去っていった。
「これ、どういう状況?」
その状況を偶然目撃していた、黒髪を逆立たせた男はそう呟くのであった。
私の中で最近流行っていたアニメが、ドラゴンボールとRe:ゼロから始める異世界生活でした。
文章も短く、読みづらい所もあるかもしれませんが、
至らぬところがあれば、優しく指摘してくださると幸いです。